2023年3月号
特集

地域物流 域内の中ロット貨物を適切に組み合わせて輸配送

OPFでPSI連携と共同輸送を支援  ドライバー不足の深刻化による輸送能力の低下が社会問題化しつつある。
現状のまま推移すれば、トラック輸送能力が輸送需要を下回る事態に陥り、10年後にはトラックの争奪戦が始まる可能性もある。
 問題解決のため、セイノー情報サービスを研究責任者とする地域物流データ基盤ユニットでは、地域の荷主と物流事業者間で商流情報と物流情報を共有できるデータ基盤を活用し、域内の複数荷主の中ロット貨物を早期運送依頼や日付猶予期間活用といった各種調整なども用いて効率的に組み合わせて輸配送する中ロット貨物パレット共同輸配送の仕組みを構築した。
 地域内の物流需給を可視化するため、サプライチェーン企業間の生産・販売・在庫計画(Product・Sales・Inventory=PSI)連携を支援する商流需給オープンプラットフォーム(商流需給OPF)と、共同輸配送をサポートする物流需給オープンプラットフォーム(物流需給OPF)を開発した。
二つのオープンプラットフォームは連動して機能する。
 メーカーが商流需給OPFに納期などを含めた各種受注情報を登録すると、その受注情報は物流需給OPFに運送依頼としてデータが渡されるので、その運送依頼を基に荷物と車両のマッチングを担うマネジメントセンターが配車を行う。
配車結果は物流需給OPFと商流需給OPFを通じて荷主へと共有される。
 データ基盤を活用した共同輸配送では集約拠点の運用方法が異なる二つのモデルを用意した。
いずれのモデルも中ロット貨物(1トン~2・5トン)の中長距離輸配送を共同輸配送の対象とし、1トン未満の貨物は小口特積運送事業者に委託する。
①配達地域集約拠点直行輸送モデル  ①の輸配送モデルでは複数の荷送人企業から、それぞれの荷受人企業に近い場所に配置された配達地域集約拠点までの輸配送を荷送人企業手配の車両で行う。
そして、配達地域集約拠点から荷受人企業への配達までを共同化する。
荷送人企業から配達地域集約拠点までの輸配送と、配達地域集約拠点から荷受人企業までの配達は異なるトラックが担当する(図1)。
②荷送人企業最寄集約拠点集約輸配送モデル  ②の輸配送モデルでは、まず複数の荷送人企業最寄りの集約拠点まで荷送人企業手配の車両で輸配送する。
そして最寄りの集約拠点から配達地域集約拠点までの幹線を共同輸送し、配達地域集約拠点から複数の荷受人企業への配達も共同化する。
荷送人企業から最寄りの集約拠点までの輸配送と、最寄りの集約拠点から配達地域集約拠点までの輸送配送および配達地域集約拠点から荷受人企業までの配達は異なるトラックが行う(図2)。
 商流OPFと物流OPFを活用し、地域内の荷主の輸送需要と地域内の物流事業者のトラック輸送力を適切に組み合わせる中ロット貨物の共同輸配送モデルと、各荷主がそれぞれ貸切便を仕立てて輸配送する現行のトラック運行モデル(現行運行モデル)を比べた場合、積載率やドライバー拘束時間にどのような差が出ているのかを分析した。
 検証に使用した現行運行モデルは岐阜県本巣市から千葉県習志野市、岐阜県輪之内町から茨城県常陸大宮市への輸送の2種類から仮設定し、それぞれ約1トンの荷物をウイングボディの大型車で貸切輸送する運行形態となる。
 共同輸配送モデルは2020年に実証実験を行った荷送人企業最寄集約拠点集約輸配送モデルのデータを比較に用いた。
岐阜県輪之内町に設けた荷送人最寄集約拠点で、2社の貨物や西濃エキスプレスが支援研究機関以外の荷主から集荷した貨物をまとめ、千葉県流山市の配達地域集約拠点までウイングボディの14トン車で幹線輸送。
配達地域集約拠点から習志野市を含む4カ所へ配達し、茨城県常陸大宮市へは域内の配達地域集約拠点を経由して輸送した。
 地域物流サービスプロバイダーと運送事業者、荷主などとの間で行う輸送の日付調整などはデジタルコミュニケーションツールや電話を用いて行った。
 現行運行モデルと共同輸配送モデルで「走行距離」「拘束時間」「乗車時間」「乗車以外の時間」「パレット枚数」「積載重量」「積載率(重量)」「積載率(パレット)」の8項目を比較した。
比較に用いた各種数値は両運行モデルのそれぞれ6運行の平均値となる。
 その結果、共同輸配送モデルは現行運行モデルと比べて、「拘束時間」が10時間20分から8時間27分に18・2%短縮し、「積載率(パレット)」も39・3%から93・8%に向上した。
残りの項目についても改善が見られた。
フォーキャストとネゴシエーション  配達時期や量、輸送先などを運送側が早い段階で把握できれば、輸送リソースの調整などを行うことでより効率的な配送計画が立てられるようになる。
配達時間指定の幅をある程度調整できれば貨物の集約も行いやすい。
そこで、フォーキャスト(早期運送依頼)とネゴシエーション(日付猶予期間活用)の有効性についても検証した。
 比較検証では実証実験期間中の一週間の関東地域と東海地域の実績データを用いた。
そして「一週間前の運送依頼」「配達猶予期間が2日ある」「時間指定ではなく午前または午後に幅を広げる」「配達日付の調整に応じてくれる」といった各種調整に荷主側が協力してくれると仮定した。
検証項目として「集配物量の日々のばらつき(キログラム)」「集配車両運送能力(キログラム)・台数」「集配業務効率(%)」「ネゴシエーション時間(時間/日)」などを設定し、配送計画シミュレーションを行った。
 東海地域・関東地域の実績値と、配送計画シミュレーション値の変化を比較したところ、日々の集配物量のばらつきは東海地域で7・4%減少し、関東地域でも4%減少した。
その他の項目についても改善されたことから、早期の運送依頼と配達日付に猶予をもらって配達日の調整などを行うことができれば、必要となる車両台数などの集配車運送能力を低減できることが分かった。
荷主が配達日付の調整を受け入れて、取り扱い物量のばらつきが少なくなれば、安定的な配車計画ができる。
 実証実験と協議会設立などの準備が終わった「地域物流」は21年10月からセイノー情報サービスをサービスプロバイダーとする社会実装を開始している(図3)。
社会実装の主体となるSIP地域物流ネットワーク化推進協議会は21年7月から会員の募集を開始。
10月の発起人会を経て、11月に設立総会を行った。
協議会では地域の中堅・中小企業が連携しての中ロット貨物パレット共同輸配送の展開を進めている。

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