2023年3月号
特集
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医療機器 自動認識技術で院外と院内の物流を効率化
RFIDと統一バーコードを活用
医療機器の物流は誤出荷や遅延などの発生が人命にかかわるため、精度の高いトレーサビリティが求められる。
特に人工関節やカテーテルなどを扱う整形や循環器といった医療領域では治療や手術に使用する多様な医療機器の手配や滅菌期限の管理、機器の使用実績などの正確な把握が必要になる。
しかし、マスクをはじめとする個人防護用具や注射器などといった基礎的な医療機器から人工呼吸器やECMOなどといった高度な医療機器までを含めて、どこに、何があるかを把握することが難しい状態にある。
非効率な流通を改善し、医療機器の安全性確保と安定供給を確立するため、医療機器データ基盤ユニットではデータ伝達・収集手段にRFIDタグなどの自動認識術を用いて物流・商流データをサプライチェーン全体で共有するデータ基盤を開発した。
プラットフォームとなるデータ基盤に、複数の医療機器メーカーやディーラーの物流情報を格納して活用することで、従来はメーカーやディーラーがそれぞれ独自で行っていた物流を共同化。
あわせてRFIDタグなどを活用した検品システムの構築によって、検品関連の作業を効率化する取り組みとなる。
データ基盤の整備に当ってはデータ交換に必要となる用語や交換方式の標準化を行うとともに、RFIDタグの使用を前提にシステムを構築した。
ただ、全ての製品にRFIDタグを添付するのは現実的ではない上、医療機器業界は統一バーコードとして「GS1バーコード」の表示と利用が広がっていることから、両方からのアクセスを想定した業務モデルを準備した。
業務モデルを用いた実験では複数の業界団体、医療機器メーカー、ディーラー、病院が参画し、メーカーからディーラー、ディーラーから病院、さらに病院内物流までの物流関連情報をデータ基盤の活用によって一元的に管理。
流通過程を可視化することでトレーサビリティの確保や各流通段階での在庫削減、さらに物流拠点集約化や共同配送などを実験した(図1)。
医療機器は買い取りや長期貸出、短期貸出など複数の取引形態が存在するため、実験もそれぞれに適した形態で進めた。
整形医療機器領域では「メーカー・ディーラー倉庫共同利用モデル」「出荷情報の共有による病院直送モデル」「出荷情報の共有によるディーラー支店一括検品モデル」「ディーラーによるメーカー倉庫のミルクラン集荷モデル」「代表ディーラーによる病院への共同配送モデル」の5種類について実験した。
一方、循環器医療機器領域では「代表ディーラーによる一括調達および在庫コントロールモデル」や「中間タギングとRFIDによる消費情報取得モデル」などの実験を行った。
その結果を共同物流などの病院外物流関連と、手術室での受け渡し管理などといった病院内物流の両方で評価した。
院外に加えて院内物流も効率化 院外物流の共同配送関連ではトラック台数を4台から1台へと75%削減できた。
目標値として設定していた「ディーラーによるメーカー倉庫ミルクラン集荷など最終的な目標として75%効率化」を達成する効果が得られた。
RFIDタグを利用した検品効率化では「RFIDによる納品と返品検品の70%効率化」を目標として設定していたところ、1症例当たりの病院受け取り時平均作業時間は76%減となった。
院内物流については目視入荷検収作業の時間がRFIDタグ利用によって62%も削減できたほか、手術室における整形インプラント品の入荷時と返却時の平均作業時間を75%削減している。
1症例当たりの電子カルテ登録時間の短縮にも大きな効果を発揮し、手入力と比べて97%削減、バーコードと比較しても89%短縮した。
2021年度まで行った各種実証実験などで良好な結果が得られたことから、システム企画や事業化検証などを進め、23年4月に開発したデータ基盤を用いた医療機器物流情報プラットフォームを本格的に展開させる。
メーカーの出荷情報登録やディーラーの入出荷予定情報の取得などが行える「データ提供システム」、返却予定情報の取得や登録などが可能となる「データ交換システム」、標準コード変換や統合データの管理などが行える「データ管理サービス(物流情報可視化)」機能などを提供する。
データ管理サービスは複数ディーラーによる共同物流を検討する際の基礎情報として用いることができるほか、物流事業者が共同配送や共同倉庫などを提案する際のベース情報としても活用できる。
RFIDやバーコードを用いた検品システムも展開する。
出荷・入荷・納品などの各タイミングでRFIDタグを用いた検品を行えば、使用実績や返品情報をデータ基盤に格納できるので、メーカーとディーラーの双方が必要な情報を活用することができる。
標準コード体系を用いた統合データベースを関連する物流システムと連携させれば、所在情報の可視化による配送の効率化も行える。
社会実装時には日本電気と米国医療機器・IVD工業会、日本通運などで構成する医療機器物流情報プラットフォーム協議会を軸に各業界団体などの協力と参加を促しながら、データ基盤サービスの事業運営を展開していく(図2)。
社会実装の初期段階ではRFIDのメーカー添付が進んでいる上、検品業務負荷が高い整形領域の製品を主な対象とし、続いてRFID貼付の進展が予想される循環器領域の製品へと展開した後、他の診療分野の機器に拡大させる方針となっている。
特に人工関節やカテーテルなどを扱う整形や循環器といった医療領域では治療や手術に使用する多様な医療機器の手配や滅菌期限の管理、機器の使用実績などの正確な把握が必要になる。
しかし、マスクをはじめとする個人防護用具や注射器などといった基礎的な医療機器から人工呼吸器やECMOなどといった高度な医療機器までを含めて、どこに、何があるかを把握することが難しい状態にある。
非効率な流通を改善し、医療機器の安全性確保と安定供給を確立するため、医療機器データ基盤ユニットではデータ伝達・収集手段にRFIDタグなどの自動認識術を用いて物流・商流データをサプライチェーン全体で共有するデータ基盤を開発した。
プラットフォームとなるデータ基盤に、複数の医療機器メーカーやディーラーの物流情報を格納して活用することで、従来はメーカーやディーラーがそれぞれ独自で行っていた物流を共同化。
あわせてRFIDタグなどを活用した検品システムの構築によって、検品関連の作業を効率化する取り組みとなる。
データ基盤の整備に当ってはデータ交換に必要となる用語や交換方式の標準化を行うとともに、RFIDタグの使用を前提にシステムを構築した。
ただ、全ての製品にRFIDタグを添付するのは現実的ではない上、医療機器業界は統一バーコードとして「GS1バーコード」の表示と利用が広がっていることから、両方からのアクセスを想定した業務モデルを準備した。
業務モデルを用いた実験では複数の業界団体、医療機器メーカー、ディーラー、病院が参画し、メーカーからディーラー、ディーラーから病院、さらに病院内物流までの物流関連情報をデータ基盤の活用によって一元的に管理。
流通過程を可視化することでトレーサビリティの確保や各流通段階での在庫削減、さらに物流拠点集約化や共同配送などを実験した(図1)。
医療機器は買い取りや長期貸出、短期貸出など複数の取引形態が存在するため、実験もそれぞれに適した形態で進めた。
整形医療機器領域では「メーカー・ディーラー倉庫共同利用モデル」「出荷情報の共有による病院直送モデル」「出荷情報の共有によるディーラー支店一括検品モデル」「ディーラーによるメーカー倉庫のミルクラン集荷モデル」「代表ディーラーによる病院への共同配送モデル」の5種類について実験した。
一方、循環器医療機器領域では「代表ディーラーによる一括調達および在庫コントロールモデル」や「中間タギングとRFIDによる消費情報取得モデル」などの実験を行った。
その結果を共同物流などの病院外物流関連と、手術室での受け渡し管理などといった病院内物流の両方で評価した。
院外に加えて院内物流も効率化 院外物流の共同配送関連ではトラック台数を4台から1台へと75%削減できた。
目標値として設定していた「ディーラーによるメーカー倉庫ミルクラン集荷など最終的な目標として75%効率化」を達成する効果が得られた。
RFIDタグを利用した検品効率化では「RFIDによる納品と返品検品の70%効率化」を目標として設定していたところ、1症例当たりの病院受け取り時平均作業時間は76%減となった。
院内物流については目視入荷検収作業の時間がRFIDタグ利用によって62%も削減できたほか、手術室における整形インプラント品の入荷時と返却時の平均作業時間を75%削減している。
1症例当たりの電子カルテ登録時間の短縮にも大きな効果を発揮し、手入力と比べて97%削減、バーコードと比較しても89%短縮した。
2021年度まで行った各種実証実験などで良好な結果が得られたことから、システム企画や事業化検証などを進め、23年4月に開発したデータ基盤を用いた医療機器物流情報プラットフォームを本格的に展開させる。
メーカーの出荷情報登録やディーラーの入出荷予定情報の取得などが行える「データ提供システム」、返却予定情報の取得や登録などが可能となる「データ交換システム」、標準コード変換や統合データの管理などが行える「データ管理サービス(物流情報可視化)」機能などを提供する。
データ管理サービスは複数ディーラーによる共同物流を検討する際の基礎情報として用いることができるほか、物流事業者が共同配送や共同倉庫などを提案する際のベース情報としても活用できる。
RFIDやバーコードを用いた検品システムも展開する。
出荷・入荷・納品などの各タイミングでRFIDタグを用いた検品を行えば、使用実績や返品情報をデータ基盤に格納できるので、メーカーとディーラーの双方が必要な情報を活用することができる。
標準コード体系を用いた統合データベースを関連する物流システムと連携させれば、所在情報の可視化による配送の効率化も行える。
社会実装時には日本電気と米国医療機器・IVD工業会、日本通運などで構成する医療機器物流情報プラットフォーム協議会を軸に各業界団体などの協力と参加を促しながら、データ基盤サービスの事業運営を展開していく(図2)。
社会実装の初期段階ではRFIDのメーカー添付が進んでいる上、検品業務負荷が高い整形領域の製品を主な対象とし、続いてRFID貼付の進展が予想される循環器領域の製品へと展開した後、他の診療分野の機器に拡大させる方針となっている。
