2023年1月号
特集
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サッポログループ物流 計画主導型の標準業務モデルを構築
物流標準化プロジェクトを展開
サッポログループは計画主導型の標準業務モデルを構築する「LPSプロジェクト(LPS=Logistics Process Standardization)」を2019年から展開している。
配車、需給・供給補充、輸出入、倉庫、請求支払いなどの業務を主な対象に属人化を極力排除した業務プロセスの整備を進めている。
その主な舞台の一つとなっているのがサッポログループ物流だ。
酒類事業のサッポロビールと食品・飲料事業のポッカサッポロフード&ビバレッジの子会社で、物流実行系業務に加え、グループの中長期の物流戦略や物流人材の育成などを担当している。
標準化対象業務のうち、配車と需給・供給補充関連業務では複数の改革を進めている。
その一つが配車のシステム化だ。
従来は各配車担当者が把握している納品先情報と貨物情報を組み合わせて計画を組んでいた。
配車担当者の属人的なスキルによって生産性が左右されていた。
そこで、主に地場輸送を対象とする自動車配車システムの運用を20年から本格的に開始した。
そのカギを握るのがマスターだ。
配車担当者が把握している各納品先の納品時間、車種、軒先での作業内容、積み合わせの可否といったデータをマスターに登録する。
その情報が適切でないと、システムが配車を組んでも実際に走ってみると問題が発生してしまう。
新システムの稼働によって、経験の浅い配車担当者でも一定レベルの配車を組めるようになった。
得意先に納品する往路の積載率は70%以上をキープ。
システム導入前と比べて数ポイント向上している。
配車システムの刷新では、それまで地場配送と幹線輸送で分けていた仕組みも一元化した。
これにより地場と幹線の仕事を組み合わせて、協力会社に提供することが可能となった。
幹線輸送で一泊する場合などに翌日午前に地場配送の仕事を入れるといった配車が可能になる。
協力会社の運送収入増加につながる。
サッポログループ物流の井上剛ロジスティクスソリューション部長は「トラックのリソースが限られてくる今後は、そうした配車がますます重要になる」と語る。
拠点間の幹線輸送では、事業会社のSCM部門と連携してトラックの運行台数の平準化に取り組んでいる。
酒類業界や飲料業界などでは18年夏に猛暑による需要急増とトラック不足が重なり、各社が欠品を起こす事態に陥った。
拠点には在庫があるのに拠点間輸送に必要な車両を十分に手配できず、需要地に必要量の商品を送り込むことができなかった。
そのためサッポログループでは過度な在庫の極小化を改め、各拠点で必要な在庫は持つという方針に転換した。
必要な在庫量を適切に補充するため、需要予測を基点に生産計画と補充計画を連動させて、各拠点でSKUごとに設定された安全在庫と標準在庫の条件を満たす必要量を拠点間輸送する仕組みを整えた。
サッポログループ物流は各拠点で必要となる補充量を数週間前には把握できるので、制約を加味した上で日々の輸送量を平準化して協力会社に依頼できる。
従来は需要が増える週末にかけて必要になるトラックの台数が増える傾向にあった。
例えば月曜日30台、火曜日20台、水曜日10台と減っていき、週末に向かう木曜日に40台、金曜日が50台といった具合に増加する。
それを補充量が少ない火曜日の20台と水曜日の10台に、補充量が多い木曜日の40台と金曜日の50台の一部を回すといった負荷調整によって、月曜日から金曜日まで毎日30台ずつの車両で運べるように平準化した。
従来よりも早い段階でトラック台数が確定するので、協力会社はトラックの有効活用ができる。
例えば3週間先に静岡から大阪の輸送が1週間分あると分かれば、サッポログループの仕事の帰りに他の荷物を組み合わせるといった工夫ができる。
井上部長は「拠点間輸送はなるべく固定化させて、スポット車両を削減して常用車両の比率を高めていく。
これもやはり協力会社に安定的に仕事を渡して、きちんと利益を出していただくことが狙いだ」と話す。
幹線配車担当者のテレワークが実現 輸配送関連業務などでは伝票や出荷指示のペーパーレス化も進めている。
受領証の照合業務は従来、人が目視で受領印の有無をチェックしていた。
その件数は全国で1日当たり1万5千枚にも達していた。
これをOCRとシステムで自動化した。
同様のデジタル化は伝票問い合わせ業務でも実施している。
従来は問い合わせを受けると、担当者が保管場所から該当する伝票を探し出して回答していた。
そこで伝票内容をデータ化して、ウェブ検索できるようにした。
キーワードからの検索も可能となり、急な問い合わせにも素早く対応できるようになった。
これらを含む一連のペーパーレス化は当初想定していなかった効果も生んだ。
コロナを契機とする幹線配車担当者のテレワーク化だ。
「配車担当者のテレワークなど、以前は想像もできないことだった。
それを実現できたということには正直驚いた」と井上部長。
FAXなどを使っていた配車依頼や車番の連絡をPC画面で確認できるようなったことに加え、幹線輸送に必要な台数を早い段階で協力会社に依頼する仕組みを整えたことで、広域幹線配車担当者のテレワークが実現した。
運行管理上の到着や積み込みなどのやり取りなどは電話で行うが、紙なしでの手配が可能となっている。
納品先までを対象としたデジタル化では「ASN(Advanced Shipping Notice=事前出荷情報)」を用いた検品レスを21年から一部卸との間でスタートさせている。
品目や数量、納品先、賞味期限もしくは生産月を示す鮮度情報といったデータを事前に卸のセンターとやり取りすることで着側での目視による検品を省略する。
検品レスを実施している卸のセンターは優先接車バースを設定しており、事前に決められた時間に接車すれば30分以内に荷降ろしを開始できる。
ドライバーの拘束時間が短縮された。
大型トラックで輸送されるメーカー直送便は物量が多いため、検品レスによる卸側のメリットも大きい。
開始当初は卸1社から始まったASNによる検品レスの取り組みが現在は複数社に拡大している。
今後さらに対象卸、対象センターの拡大を図っていく。
足元では伝票電子化の本格展開を検討している。
既に複写式伝票からA4カット紙への転換を一部で始めている。
これを足がかりに最終的にはフルデジタル化による検品レス納品を目指す。
自社単独で枠組みを構築しようとは考えていない。
業界標準の仕組みに参画する方針だ。
「伝票電子化については現状では容器伝票や得意先伝票、グループの社内伝票など取り組みを進める際の選択肢がいくつかある。
どう進めるかを含めた検討を始める」と井上部長は語った。
配車、需給・供給補充、輸出入、倉庫、請求支払いなどの業務を主な対象に属人化を極力排除した業務プロセスの整備を進めている。
その主な舞台の一つとなっているのがサッポログループ物流だ。
酒類事業のサッポロビールと食品・飲料事業のポッカサッポロフード&ビバレッジの子会社で、物流実行系業務に加え、グループの中長期の物流戦略や物流人材の育成などを担当している。
標準化対象業務のうち、配車と需給・供給補充関連業務では複数の改革を進めている。
その一つが配車のシステム化だ。
従来は各配車担当者が把握している納品先情報と貨物情報を組み合わせて計画を組んでいた。
配車担当者の属人的なスキルによって生産性が左右されていた。
そこで、主に地場輸送を対象とする自動車配車システムの運用を20年から本格的に開始した。
そのカギを握るのがマスターだ。
配車担当者が把握している各納品先の納品時間、車種、軒先での作業内容、積み合わせの可否といったデータをマスターに登録する。
その情報が適切でないと、システムが配車を組んでも実際に走ってみると問題が発生してしまう。
新システムの稼働によって、経験の浅い配車担当者でも一定レベルの配車を組めるようになった。
得意先に納品する往路の積載率は70%以上をキープ。
システム導入前と比べて数ポイント向上している。
配車システムの刷新では、それまで地場配送と幹線輸送で分けていた仕組みも一元化した。
これにより地場と幹線の仕事を組み合わせて、協力会社に提供することが可能となった。
幹線輸送で一泊する場合などに翌日午前に地場配送の仕事を入れるといった配車が可能になる。
協力会社の運送収入増加につながる。
サッポログループ物流の井上剛ロジスティクスソリューション部長は「トラックのリソースが限られてくる今後は、そうした配車がますます重要になる」と語る。
拠点間の幹線輸送では、事業会社のSCM部門と連携してトラックの運行台数の平準化に取り組んでいる。
酒類業界や飲料業界などでは18年夏に猛暑による需要急増とトラック不足が重なり、各社が欠品を起こす事態に陥った。
拠点には在庫があるのに拠点間輸送に必要な車両を十分に手配できず、需要地に必要量の商品を送り込むことができなかった。
そのためサッポログループでは過度な在庫の極小化を改め、各拠点で必要な在庫は持つという方針に転換した。
必要な在庫量を適切に補充するため、需要予測を基点に生産計画と補充計画を連動させて、各拠点でSKUごとに設定された安全在庫と標準在庫の条件を満たす必要量を拠点間輸送する仕組みを整えた。
サッポログループ物流は各拠点で必要となる補充量を数週間前には把握できるので、制約を加味した上で日々の輸送量を平準化して協力会社に依頼できる。
従来は需要が増える週末にかけて必要になるトラックの台数が増える傾向にあった。
例えば月曜日30台、火曜日20台、水曜日10台と減っていき、週末に向かう木曜日に40台、金曜日が50台といった具合に増加する。
それを補充量が少ない火曜日の20台と水曜日の10台に、補充量が多い木曜日の40台と金曜日の50台の一部を回すといった負荷調整によって、月曜日から金曜日まで毎日30台ずつの車両で運べるように平準化した。
従来よりも早い段階でトラック台数が確定するので、協力会社はトラックの有効活用ができる。
例えば3週間先に静岡から大阪の輸送が1週間分あると分かれば、サッポログループの仕事の帰りに他の荷物を組み合わせるといった工夫ができる。
井上部長は「拠点間輸送はなるべく固定化させて、スポット車両を削減して常用車両の比率を高めていく。
これもやはり協力会社に安定的に仕事を渡して、きちんと利益を出していただくことが狙いだ」と話す。
幹線配車担当者のテレワークが実現 輸配送関連業務などでは伝票や出荷指示のペーパーレス化も進めている。
受領証の照合業務は従来、人が目視で受領印の有無をチェックしていた。
その件数は全国で1日当たり1万5千枚にも達していた。
これをOCRとシステムで自動化した。
同様のデジタル化は伝票問い合わせ業務でも実施している。
従来は問い合わせを受けると、担当者が保管場所から該当する伝票を探し出して回答していた。
そこで伝票内容をデータ化して、ウェブ検索できるようにした。
キーワードからの検索も可能となり、急な問い合わせにも素早く対応できるようになった。
これらを含む一連のペーパーレス化は当初想定していなかった効果も生んだ。
コロナを契機とする幹線配車担当者のテレワーク化だ。
「配車担当者のテレワークなど、以前は想像もできないことだった。
それを実現できたということには正直驚いた」と井上部長。
FAXなどを使っていた配車依頼や車番の連絡をPC画面で確認できるようなったことに加え、幹線輸送に必要な台数を早い段階で協力会社に依頼する仕組みを整えたことで、広域幹線配車担当者のテレワークが実現した。
運行管理上の到着や積み込みなどのやり取りなどは電話で行うが、紙なしでの手配が可能となっている。
納品先までを対象としたデジタル化では「ASN(Advanced Shipping Notice=事前出荷情報)」を用いた検品レスを21年から一部卸との間でスタートさせている。
品目や数量、納品先、賞味期限もしくは生産月を示す鮮度情報といったデータを事前に卸のセンターとやり取りすることで着側での目視による検品を省略する。
検品レスを実施している卸のセンターは優先接車バースを設定しており、事前に決められた時間に接車すれば30分以内に荷降ろしを開始できる。
ドライバーの拘束時間が短縮された。
大型トラックで輸送されるメーカー直送便は物量が多いため、検品レスによる卸側のメリットも大きい。
開始当初は卸1社から始まったASNによる検品レスの取り組みが現在は複数社に拡大している。
今後さらに対象卸、対象センターの拡大を図っていく。
足元では伝票電子化の本格展開を検討している。
既に複写式伝票からA4カット紙への転換を一部で始めている。
これを足がかりに最終的にはフルデジタル化による検品レス納品を目指す。
自社単独で枠組みを構築しようとは考えていない。
業界標準の仕組みに参画する方針だ。
「伝票電子化については現状では容器伝票や得意先伝票、グループの社内伝票など取り組みを進める際の選択肢がいくつかある。
どう進めるかを含めた検討を始める」と井上部長は語った。
