2023年1月号
特集
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《デジタルフォワーダー》Shippio 老舗通関業者を買収してスコープ拡大
貿易事務の業務量を50%以上削減
スタートアップのShippio(シッピオ)は「理想の物流体験を社会に実装する」をミッションに掲げ、2016年に創業した。
自社のフォワーディングと貿易関連業務を包括的に管理できるクラウドベースのシステム「Shippio」を組み合わせて顧客企業の関連業務効率化を後押しする日本初の「デジタルフォワーダー」として活動している。
デジタルフォワーダーの先駆的存在としては米国のFlexport(フレックスポート)やドイツのForto(フォート)が広く知られている。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う物流の混乱で貨物の輸出入に関するさまざまな変更や調整、交渉が増えていることから国際物流を担うフォワーダーにますます注目が集まる中、両社は輸送の見積もりや発注、貨物のステータス把握などを一括で提供、国際物流担当者の負荷を大きく減らしていることが高く評価されている。
Flexportは22年2月に9億3500万ドル(約1300億円)の資金調達を果たしたと発表、企業の評価額は80億ドル(約1兆1200億円)に上る。
フォートもこれまでに累計で3億6千万ドル(約500億円)を調達。
新興国の経済成長や越境ECの伸長などで国際物流は今後も伸びが見込まれるだけに、両社の将来性に対して非常に大きな期待が寄せられている。
Shippioを創業した佐藤孝徳CEO(最高経営責任者)は「グローバルフォワーディング市場の規模は約20兆円、日本国内に限っても3兆~4兆円と非常に大きなマーケット」と指摘。
日本では特に、国際貿易の世界ではいまだに紙の書類や電話、ファクスといったアナログな手法が生きているだけに、デジタルフォワーダーが活躍できるフィールドは広大に残っていると期待を込める。
Shippioのクラウドサービスは見積もりのシミュレーションと発注をウェブ上で完結させられる上、シップメント(各輸送案件)の進捗度合いや本船動静(船ごとの航海の状況)を可視化、把握することが可能。
貿易書類も一括管理できる。
船会社との交渉などフォワーダーの実務はShippio自身が手掛けており、多岐にわたるステークホルダーがチャットで情報を素早く共有し、納期などをスムーズに調整できる機能も搭載。
改正電子帳簿保存法にも対応していく予定だ。
佐藤CEOは、システムを導入した企業の多くで貿易業務量を50%以上減らせていると説明する。
「大手や中堅企業はもちろん、特に中小企業やスタートアップにとっては貿易関連業務の管理工数を削減することで、経営企画などの中核業務によりリソースを割けるようになる」とメリットを強調する。
具体的な例としては、医薬品や医薬部外品などのメーカーのサイキョウ・ファーマはコロナ感染拡大でマスクの需要が大きく伸び、輸入量が従来の2倍近くに拡大したことから、貿易業務担当者の業務量が、新商品の登録や単価の確認、倉庫や営業担当のやり取りなどで従来の4倍近くまで膨れ上がり、忙殺されていた。
Shippioのクラウドサービスを採用した結果、輸入する案件が多くても、それぞれの進捗状況を容易に把握できるようになり、業務時間が半減したという。
明治グループで甘味料などを扱う明治フードマテリアは、輸入時の本船遅延が増え、担当者がスケジュールを確認する頻度も増加したことで負荷が掛かっていたためShippioのクラウドサービス導入を決定。
スケジュール確認の工数を8割以上減らせるなど成果を挙げたという。
クラウドサービスの採用企業は100を超え、22年7月末時点で受注高は前年同月比約4倍の伸びを記録した。
「デジタルフォワーダー」の商標登録も認められ、日本国内で存在感が高まっている。
22年9月には事業の将来性を好感され、日米を拠点とするグローバル投資ファンドのDNX Ventures、Spiral Innovation Partners、東京海上日動火災保険、みずほキャピタル、あおぞら企業投資などから計16・5億円の資金調達に成功。
Shippio創業以来の累計で約30億円に上った。
通関業務のデジタル化に挑む 新たなサービスとして、22年9月には荷主企業向けの新サービス「Any Cargo(エニーカーゴ)」のベータ版提供を開始した。
従来はShippioがフォワーディングで取り扱う貨物はクラウドサービスを通じてトラッキングや案件管理などのサービスを利用できたが、他のフォワーディング事業者が扱う案件については、それぞれ別途、案件管理が必要だった。
トータルで見れば業務に煩雑さが残っていた。
新サービスは他のフォワーディング事業者が扱う案件を含め、顧客の貨物全体の輸送状況をクラウド上で一元管理できるため、顧客の業務全体をデジタル化・効率化することも可能になるとみている。
さらに照準を合わせているのが、いまだデジタル化の遅れが目立つ通関領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。
その地盤整備のため、22年7月に1960年創業の老舗通関事業者、協和海運(横浜市)を買収した。
まず同社が通関を担う体制を確立した上で、いずれはShippioのシステム上で他の業務と同様、迅速に手続きを終えられるようにすることを想定。
NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)と接続し、直接申告できるようにすることも視野に入れている。
佐藤CEOは輸出入時の通関の申告件数が越境EC(電子商取引)の増加などを受け、2000年前半の2千万件台から最近は9千万件台と4倍強に伸びていることに言及。
日本は欧米に比べてBtoCなどの商取引のEC化率が低いことから、今後も通関の需要は旺盛と見込む。
その半面、「日本には通関会社が900社以上あると言われているが、その大半はITやデジタルの投資が十分に成されていない。
通関業務の従事者数もほぼ増えておらず、申告書類の作成・確認業務などの負担は年々増している。
通関業務の現場で効率化できる余地は極めて大きい」とビジネスチャンスを感じ取っていた。
通関の領域も物流業界の例に漏れず、人手不足が進む。
Shippioのクラウドシステムでカバーできれば、DXが加速することが期待できる。
佐藤CEOは「誰もが気軽に日本で作った物を海外へ輸出したり、海外の物を輸入したりできる環境を実現したい。
そうすることで内需に頼らない強い経済を作り上げることに貢献したい」と将来を見据えており、さまざまな国籍や性別、年代のメンバーを積極的に採用、組織の多様化にも注力していく構えだ。
自社のフォワーディングと貿易関連業務を包括的に管理できるクラウドベースのシステム「Shippio」を組み合わせて顧客企業の関連業務効率化を後押しする日本初の「デジタルフォワーダー」として活動している。
デジタルフォワーダーの先駆的存在としては米国のFlexport(フレックスポート)やドイツのForto(フォート)が広く知られている。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う物流の混乱で貨物の輸出入に関するさまざまな変更や調整、交渉が増えていることから国際物流を担うフォワーダーにますます注目が集まる中、両社は輸送の見積もりや発注、貨物のステータス把握などを一括で提供、国際物流担当者の負荷を大きく減らしていることが高く評価されている。
Flexportは22年2月に9億3500万ドル(約1300億円)の資金調達を果たしたと発表、企業の評価額は80億ドル(約1兆1200億円)に上る。
フォートもこれまでに累計で3億6千万ドル(約500億円)を調達。
新興国の経済成長や越境ECの伸長などで国際物流は今後も伸びが見込まれるだけに、両社の将来性に対して非常に大きな期待が寄せられている。
Shippioを創業した佐藤孝徳CEO(最高経営責任者)は「グローバルフォワーディング市場の規模は約20兆円、日本国内に限っても3兆~4兆円と非常に大きなマーケット」と指摘。
日本では特に、国際貿易の世界ではいまだに紙の書類や電話、ファクスといったアナログな手法が生きているだけに、デジタルフォワーダーが活躍できるフィールドは広大に残っていると期待を込める。
Shippioのクラウドサービスは見積もりのシミュレーションと発注をウェブ上で完結させられる上、シップメント(各輸送案件)の進捗度合いや本船動静(船ごとの航海の状況)を可視化、把握することが可能。
貿易書類も一括管理できる。
船会社との交渉などフォワーダーの実務はShippio自身が手掛けており、多岐にわたるステークホルダーがチャットで情報を素早く共有し、納期などをスムーズに調整できる機能も搭載。
改正電子帳簿保存法にも対応していく予定だ。
佐藤CEOは、システムを導入した企業の多くで貿易業務量を50%以上減らせていると説明する。
「大手や中堅企業はもちろん、特に中小企業やスタートアップにとっては貿易関連業務の管理工数を削減することで、経営企画などの中核業務によりリソースを割けるようになる」とメリットを強調する。
具体的な例としては、医薬品や医薬部外品などのメーカーのサイキョウ・ファーマはコロナ感染拡大でマスクの需要が大きく伸び、輸入量が従来の2倍近くに拡大したことから、貿易業務担当者の業務量が、新商品の登録や単価の確認、倉庫や営業担当のやり取りなどで従来の4倍近くまで膨れ上がり、忙殺されていた。
Shippioのクラウドサービスを採用した結果、輸入する案件が多くても、それぞれの進捗状況を容易に把握できるようになり、業務時間が半減したという。
明治グループで甘味料などを扱う明治フードマテリアは、輸入時の本船遅延が増え、担当者がスケジュールを確認する頻度も増加したことで負荷が掛かっていたためShippioのクラウドサービス導入を決定。
スケジュール確認の工数を8割以上減らせるなど成果を挙げたという。
クラウドサービスの採用企業は100を超え、22年7月末時点で受注高は前年同月比約4倍の伸びを記録した。
「デジタルフォワーダー」の商標登録も認められ、日本国内で存在感が高まっている。
22年9月には事業の将来性を好感され、日米を拠点とするグローバル投資ファンドのDNX Ventures、Spiral Innovation Partners、東京海上日動火災保険、みずほキャピタル、あおぞら企業投資などから計16・5億円の資金調達に成功。
Shippio創業以来の累計で約30億円に上った。
通関業務のデジタル化に挑む 新たなサービスとして、22年9月には荷主企業向けの新サービス「Any Cargo(エニーカーゴ)」のベータ版提供を開始した。
従来はShippioがフォワーディングで取り扱う貨物はクラウドサービスを通じてトラッキングや案件管理などのサービスを利用できたが、他のフォワーディング事業者が扱う案件については、それぞれ別途、案件管理が必要だった。
トータルで見れば業務に煩雑さが残っていた。
新サービスは他のフォワーディング事業者が扱う案件を含め、顧客の貨物全体の輸送状況をクラウド上で一元管理できるため、顧客の業務全体をデジタル化・効率化することも可能になるとみている。
さらに照準を合わせているのが、いまだデジタル化の遅れが目立つ通関領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。
その地盤整備のため、22年7月に1960年創業の老舗通関事業者、協和海運(横浜市)を買収した。
まず同社が通関を担う体制を確立した上で、いずれはShippioのシステム上で他の業務と同様、迅速に手続きを終えられるようにすることを想定。
NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)と接続し、直接申告できるようにすることも視野に入れている。
佐藤CEOは輸出入時の通関の申告件数が越境EC(電子商取引)の増加などを受け、2000年前半の2千万件台から最近は9千万件台と4倍強に伸びていることに言及。
日本は欧米に比べてBtoCなどの商取引のEC化率が低いことから、今後も通関の需要は旺盛と見込む。
その半面、「日本には通関会社が900社以上あると言われているが、その大半はITやデジタルの投資が十分に成されていない。
通関業務の従事者数もほぼ増えておらず、申告書類の作成・確認業務などの負担は年々増している。
通関業務の現場で効率化できる余地は極めて大きい」とビジネスチャンスを感じ取っていた。
通関の領域も物流業界の例に漏れず、人手不足が進む。
Shippioのクラウドシステムでカバーできれば、DXが加速することが期待できる。
佐藤CEOは「誰もが気軽に日本で作った物を海外へ輸出したり、海外の物を輸入したりできる環境を実現したい。
そうすることで内需に頼らない強い経済を作り上げることに貢献したい」と将来を見据えており、さまざまな国籍や性別、年代のメンバーを積極的に採用、組織の多様化にも注力していく構えだ。
