2023年1月号
特集
特集
《配車自動化》オプティマインド「Loogia」 社内開発でルート最適化技術を磨き上げる
卸・小売やメーカーも採用
オプティマインドは2015年に創業した名古屋市に本拠を置くスタートアップだ。
18年、ラストワンマイルを対象としたAI(人工知能)による配送ルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」の提供を開始した。
ドライバーが経験を基に組み立てる毎日の配送ルート計画の作成を自動化した。
AIが配送先の住所や使う車両のタイプと積載量、扱う荷物の種類など多岐にわたる変数を考慮して、最適な配送ルートを自動で作成、提示する。
配送先への「左付け」やUターン禁止、右折の抑制など、計画作成の際に考慮できる制約条件は40項目以上に及ぶ。
各車両に搭載しているGPSで取得した走行履歴や駐車位置のデータを計画策定に加味。
渋滞が発生しやすいエリアも認識する。
それぞれのドライバーのスキルや得意な担当エリアを計画に反映することもできる。
配送ルートは必要最低限のコース数になるように設定。
積載量が多くて一度に全ての荷物を車両に積みきれない場合に、配送途中でいったんデポに戻り、積み直した上で再度配送に向かうといった計算も可能だ。
配送先の情報はエクセルやCSVの形式で一括入力する。
ユーザーの既存システムとAPI連携してデータを取り込むことにも対応。
当日の配送実績をエクセルデータで出力すれば簡易的な日報として使える。
ルート最適化にとどまらず輸配送管理全体をカバーしている。
名古屋大学大学院に在籍していた弱冠22歳の時に同社を立ち上げた松下健社長は創業の思いを「アルゴリズムが世の中の課題解決につながる可能性が、まだまだ無限に広がっている。
自分たちの手で、技術と現場の架け橋になることで産業の持続可能性を高めたい」と表現する。
松下社長が配送ルート最適化に踏み出すきっかけとなったのが、現在はオプティマインドの技術顧問を兼務している同大の柳浦睦憲教授との出会いだった。
膨大な選択肢の中から最も良い方策を見つけ出す「最適化問題」の世界的権威の同教授は「組み合わせ最適化アルゴリズム」について講義していた。
松下社長は「最適化のアルゴリズムを駆使することで社会にインパクトを与え、世の中を変えられるかもしれない」と確信するようになった。
柳浦研究室に加わったものの、最適化のアルゴリズムを研究するだけにとどまらず、「社会に役立つことを証明したい」との思いに駆られて起業。
試行錯誤の末にルージアを生み出した。
オプティマインドが物流業界などから注目されるきっかけとなったのが、日本郵便が17~18年に実施したスタートアップ支援のためのオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」で最優秀賞を獲得したことだ。
ルージアは日本郵便向けにカスタマイズした上で、同社の配達効率化のためのツールとして採用された。
その後もトラックドライバー不足やEC荷物の増加などを追い風として採用企業が広がっている。
日本郵便は利用する郵便局を増やしているほか、佐川急便やダイセーエブリー二十四、アサヒロジスティクスなどの物流企業が採用。
さらに、ローソンや敷島製パン、イケア・ジャパン、生活協同組合連合会東海コープ事業連合といった輸配送現場を持つ小売・卸やメーカーも続々と導入に動いている。
LPガスの事業者からも引き合いが来るなど、需要は広がりを見せている。
これまでに延べ160社超がルージアを活用。
現在、定常的に使っている企業は80社程度に達している。
ローソンは群馬県前橋市の物流センターから群馬、埼玉、栃木3県の約440店舗への商品配送ダイヤ最適化の実証実験の結果、配送台数を約1割減らせることを確認した。
敷島製パンでは配送ルートの最適化によって走行距離を短縮、配送時のCO2排出量を約14%削減した。
東海コープ事業連合は21年に約900カ所の商品配達先をトラックがめぐるルートの作成をルージアに委ねる実証実験を行った。
配達時間は15・0%、走行距離は9・7%削減できた。
これまでにオプティマインドにはトヨタ自動車、三菱商事、自動運転技術開発のティアフォー、寺田倉庫などそうそうたる企業が出資しており、事業の将来性への期待が高いことがうかがえる。
さらに22年12月、ベンチャーキャピタルのスパークス・アセット・マネジメントやSpiral Innovation Partnersが運営する投資ファンドなどから総額約20億円を調達。
創業以来の累計で約31億円に達した。
トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」を間近に控え、ルージアへのニーズはさらに高まる可能性が高い。
松下社長は「中堅・中小企業にも採用していただけるよう、コスト効果を訴えるなどの取り組みを強化していく」と先を見据える。
機能の追加・刷新を内製化 ルージアはユーザーの要望や評価を受け、常に機能の追加・刷新を進めている。
そのため、エンジニアを既に30人程度抱え、開発は内製化。
松下社長は「当社の一番の強みはルート計画作成の精度の高さ。
そこには徹底的にこだわっており、譲れない強みになってきていると自負している。
内製化の基本は維持していきたい」と強調する。
高速道路を利用する場合の料金自動表示、車両の現在位置把握精度向上といった改良を重ねてきた。
さらに、配車の計画を立てられる期間を従来の1日単位からより長くし、1週間ごとに配送計画をまとめて立ててしまいたいといった事業者の要望に応えられるようにする方針だ。
脱炭素の潮流が産業界で強まっていることを踏まえ、配送ルート最適化による温室効果ガス排出実質抑制の部分についても取り組みを深めていくことを念頭に置いている。
松下社長は「当社へのアプローチが増えているメーカーの方々にとっては、既にカーボンニュートラルの達成が事業を進める上で第1のテーマくらいの位置付けになってきている。
まだ個人的な考えの範囲だが、より正確に排出量を算出できる仕組みを新設することも考えてみたい」と言う。
オプティマインドは「世界のラストワンマイルを最適化する」との壮大な夢を全面に掲げる。
松下社長は「ルート最適化の分野で25年くらいにはリーディングカンパニーになれるよう狙っていきたい」と力説している。
18年、ラストワンマイルを対象としたAI(人工知能)による配送ルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」の提供を開始した。
ドライバーが経験を基に組み立てる毎日の配送ルート計画の作成を自動化した。
AIが配送先の住所や使う車両のタイプと積載量、扱う荷物の種類など多岐にわたる変数を考慮して、最適な配送ルートを自動で作成、提示する。
配送先への「左付け」やUターン禁止、右折の抑制など、計画作成の際に考慮できる制約条件は40項目以上に及ぶ。
各車両に搭載しているGPSで取得した走行履歴や駐車位置のデータを計画策定に加味。
渋滞が発生しやすいエリアも認識する。
それぞれのドライバーのスキルや得意な担当エリアを計画に反映することもできる。
配送ルートは必要最低限のコース数になるように設定。
積載量が多くて一度に全ての荷物を車両に積みきれない場合に、配送途中でいったんデポに戻り、積み直した上で再度配送に向かうといった計算も可能だ。
配送先の情報はエクセルやCSVの形式で一括入力する。
ユーザーの既存システムとAPI連携してデータを取り込むことにも対応。
当日の配送実績をエクセルデータで出力すれば簡易的な日報として使える。
ルート最適化にとどまらず輸配送管理全体をカバーしている。
名古屋大学大学院に在籍していた弱冠22歳の時に同社を立ち上げた松下健社長は創業の思いを「アルゴリズムが世の中の課題解決につながる可能性が、まだまだ無限に広がっている。
自分たちの手で、技術と現場の架け橋になることで産業の持続可能性を高めたい」と表現する。
松下社長が配送ルート最適化に踏み出すきっかけとなったのが、現在はオプティマインドの技術顧問を兼務している同大の柳浦睦憲教授との出会いだった。
膨大な選択肢の中から最も良い方策を見つけ出す「最適化問題」の世界的権威の同教授は「組み合わせ最適化アルゴリズム」について講義していた。
松下社長は「最適化のアルゴリズムを駆使することで社会にインパクトを与え、世の中を変えられるかもしれない」と確信するようになった。
柳浦研究室に加わったものの、最適化のアルゴリズムを研究するだけにとどまらず、「社会に役立つことを証明したい」との思いに駆られて起業。
試行錯誤の末にルージアを生み出した。
オプティマインドが物流業界などから注目されるきっかけとなったのが、日本郵便が17~18年に実施したスタートアップ支援のためのオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」で最優秀賞を獲得したことだ。
ルージアは日本郵便向けにカスタマイズした上で、同社の配達効率化のためのツールとして採用された。
その後もトラックドライバー不足やEC荷物の増加などを追い風として採用企業が広がっている。
日本郵便は利用する郵便局を増やしているほか、佐川急便やダイセーエブリー二十四、アサヒロジスティクスなどの物流企業が採用。
さらに、ローソンや敷島製パン、イケア・ジャパン、生活協同組合連合会東海コープ事業連合といった輸配送現場を持つ小売・卸やメーカーも続々と導入に動いている。
LPガスの事業者からも引き合いが来るなど、需要は広がりを見せている。
これまでに延べ160社超がルージアを活用。
現在、定常的に使っている企業は80社程度に達している。
ローソンは群馬県前橋市の物流センターから群馬、埼玉、栃木3県の約440店舗への商品配送ダイヤ最適化の実証実験の結果、配送台数を約1割減らせることを確認した。
敷島製パンでは配送ルートの最適化によって走行距離を短縮、配送時のCO2排出量を約14%削減した。
東海コープ事業連合は21年に約900カ所の商品配達先をトラックがめぐるルートの作成をルージアに委ねる実証実験を行った。
配達時間は15・0%、走行距離は9・7%削減できた。
これまでにオプティマインドにはトヨタ自動車、三菱商事、自動運転技術開発のティアフォー、寺田倉庫などそうそうたる企業が出資しており、事業の将来性への期待が高いことがうかがえる。
さらに22年12月、ベンチャーキャピタルのスパークス・アセット・マネジメントやSpiral Innovation Partnersが運営する投資ファンドなどから総額約20億円を調達。
創業以来の累計で約31億円に達した。
トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」を間近に控え、ルージアへのニーズはさらに高まる可能性が高い。
松下社長は「中堅・中小企業にも採用していただけるよう、コスト効果を訴えるなどの取り組みを強化していく」と先を見据える。
機能の追加・刷新を内製化 ルージアはユーザーの要望や評価を受け、常に機能の追加・刷新を進めている。
そのため、エンジニアを既に30人程度抱え、開発は内製化。
松下社長は「当社の一番の強みはルート計画作成の精度の高さ。
そこには徹底的にこだわっており、譲れない強みになってきていると自負している。
内製化の基本は維持していきたい」と強調する。
高速道路を利用する場合の料金自動表示、車両の現在位置把握精度向上といった改良を重ねてきた。
さらに、配車の計画を立てられる期間を従来の1日単位からより長くし、1週間ごとに配送計画をまとめて立ててしまいたいといった事業者の要望に応えられるようにする方針だ。
脱炭素の潮流が産業界で強まっていることを踏まえ、配送ルート最適化による温室効果ガス排出実質抑制の部分についても取り組みを深めていくことを念頭に置いている。
松下社長は「当社へのアプローチが増えているメーカーの方々にとっては、既にカーボンニュートラルの達成が事業を進める上で第1のテーマくらいの位置付けになってきている。
まだ個人的な考えの範囲だが、より正確に排出量を算出できる仕組みを新設することも考えてみたい」と言う。
オプティマインドは「世界のラストワンマイルを最適化する」との壮大な夢を全面に掲げる。
松下社長は「ルート最適化の分野で25年くらいにはリーディングカンパニーになれるよう狙っていきたい」と力説している。
