2023年1月号
特集

《伝票電子化》TSUNAGUTE「telesa-delivery」 北海道で製配販物流の400社超がデータ連携

複写式伝票をなくして事務作業を削減  2018年9月に創業したスタートアップのTSUNAGUTE(ツナグテ)は、伝票運用効率化サービス「telesa-delivery(テレサデリバリー)」と入出荷予約受付サービス「telesa-reserve(テレサリザーブ)」の二つのソリューションを軸に物流のデジタル化を支援している。
 テレサデリバリーは複写式の紙伝票を用いたアナログな伝票運用をデジタル化するサービスだ。
同サービスを用いたデータ連携を最も大規模に展開しているのが、生活協同組合コープさっぽろの納品に関連する企業を対象とした北海道での事例となる。
コープさっぽろの物流センター運営などを担う北海道ロジサービス(HLS)とツナグテなどが21年から準備を進め、22年から本格的な運用を行っている。
コープさっぽろに納品する食品や飲料、菓子といった各メーカーや卸、物流会社など合計約430社が参画している。
 物流現場で一般的に使用されている複写式の紙伝票を用いた従来型の運用では、発側拠点と着側拠点の双方で紙伝票の使用に関する事務作業が大量に発生していた。
 発側拠点の事務所では、メーカーから送られてくる出荷データを複写式の伝票に印刷してドライバーに渡す。
ドライバーは着側拠点で受領印を押してもらい、伝票を発側拠点に持ち帰る。
事務所で受領印が押されているかどうかや欠落チェックを行った上で、仕分けて保管する。
 一方、着側拠点では納品車両のドライバーから伝票を受け取ると、伝票の記載内容と発注内容が合っているかを紙伝票とパソコン画面を突き合わせて確認する。
問題がなければ複写式伝票の耳を取り、控えを剥がして、受領印を押した伝票をドライバーに手渡し、伝票をファイリングして保管する。
 こうした一連の複写式紙伝票運用に起因する作業を削減するため、テレサデリバリーを導入した。
 伝票内容に相当する情報をCSVアップロードやシステム連携でクラウド型共通システムに取り込むことで、発側拠点と着側拠点をデータ連携。
伝票作成、伝票突合、伝票への押印、伝票の仕分けや保管といった作業フローの各所に存在していた事務作業を削減している。
伝票データは必要に応じて統一伝票の形式で出力することもできる。
 発着拠点事務所での効率化に加えて、商品と一緒に複写式の紙伝票を納品先へと運び、受領印が押印された紙伝票を持ち帰るといったドライバーが行う伝票関連作業も効率化した。
納品先情報、商品、ケース数といった伝票情報をドライバーのスマホにQRコードとともにデータ化できるので、ドライバーは着側拠点でスマホのQRコードを荷受け担当者に提示し、荷受け担当者はそれを読み取って電子サインをすれば受領結果がシステムに登録され、電子受領が完了する。
ドライバーが業務用のスマホを使用していない場合は、印刷した統一伝票のQRコードを着側拠点で提示すればスマホ使用時と同じように電子受領が行える。
 一連の伝票デジタル化によって着側拠点における事務作業時間は伝票突合作業、伝票仕分け作業、伝票保管作業、伝票返却作業を合算して約5分の1に削減された。
入出荷予約サービスのテレサリザーブも組み合わせて運用しているため、双方の効果でトラックの待機時間も1台当たり約2分の1に削減されている。
 問題発生時などに特定日時の伝票を取り出す必要が出てきた際の作業も効率化されている。
複写式の紙伝票の場合は保管場所から探し出した上で郵送したり、紙伝票をPDF化してメール送信するといった業務が発生していたが、システム化によって大量の伝票を一括検索できるようになった。
 サービス開始以来、テレサデリバリーは740社以上が利用し、月間で46万枚以上相当の伝票処理を行っており、加工食品や日用品などを中心に幅広い業界での活用が進んでいる。
テレサリザーブも260以上の拠点で累計17万人超のドライバーに利用されている。
今後も両ソリューションの利用拡大を推し進めることで、サプライチェーン上の複数企業をまたいだ形での物流効率化に寄与していく方針だ。
囲み記事 使いやすいサービスで企業を結ぶ 春木屋 悠人 社長  物流現場にはアナログな作業が今も多く存在している。
その中で特に目立つのが紙に起因する各種作業だ。
普段の生活では紙を使う機会はどんどん減ってきている。
ビジネスシーンでも契約書は電子契約、請求書もPDFなどのデータになって送られてくるようになり、ペーパーレス化が進んでいる。
それにもかかわらず、物流現場では千枚単位で紙を印刷し、紙を軸にして作業工程が組み立てられている。
そうした当たり前のように紙を使って行われている作業を効率化したいというのがテレサデリバリーを開発する出発点だった。
 その最終目標は企業間のデータ連携によるサプライチェーンの全体最適化だ。
メーカー、3PL、運送会社、卸、小売りなど、サプライチェーン上の異なる企業にモノが移動すると、モノは滞りなく動いているのに、データだけがブツリと切れてしまう。
データ自体は各企業が持っている。
だったら、企業が持っているデータを結びつける枠組みがあればいい。
 物流情報共有化のキーとして捉えているのが伝票情報だ。
荷物と紙伝票が一緒に動く従来のやり方では、何も準備できない。
データで事前に情報を受け取ることができれば余裕を持って配車できるし、荷受け作業も効率的に組み立てられる。
 ただ、サプライチェーン上の異なる企業同士の物流情報を結びつけるといっても、勝手につながるわけではない。
接続するための「装置」としての使いやすいサービスが必要になる。
その使いやすいサービスとしてテレサデリバリーとテレサリザーブを開発した。
サプライチェーン上でやり取りしている当事者ではなく、ロジスティクスを理解した第三者的な立場として当社がサービスとして構築する形がベストだと考えた。
 今後の展開としては大きく二つ考えている。
一つは北海道を舞台としたデータ連携の取り組みをいっそう拡大していく。
コープさっぽろの納品に関連する400社以上の企業に続いて、23年2月からドラッグストアチェーンのサツドラ(サッポロドラッグストアー)の納品に関連する企業でも同様の取り組みを展開する。
 北海道は主な物流拠点が札幌市内にまとまっており、関連する物流会社の数もそれほど多くない。
本州と切り離されて域内物流が展開されているので、データ連携の具体的なモデルを構築しやすい。
 もう一つ進めていきたいのが、医薬品卸と医薬品メーカー、運送事業者を対象とする連携システムの運用だ。
こちらも共通の連携基盤を軸とした取り組みで、23年中の全面スタートを目指している。
 日本の労働人口が減少を続けていく中で物流を回していくには、機械化も一つの有力な手段だが、われわれはソフトウエアの観点からアプローチしていく。
使いやすいサービスを軸にして物流DXの一翼を担っていきたい。

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