2023年4月号
特集
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セイノーホールディングス 幹線+地域の運び手による置き配特化の宅配便
LCCの考え方を宅配便に持ち込む
セイノーホールディングスはEC・通販事業者向けの宅配便「カンガルー置き配便 by LOCCO」を展開している。
セイノーグループの幹線輸送網とグループ会社のLOCCOが整備するラストワンマイルネットワークを組み合わせた置き配に特化した宅配サービスだ。
LOCCOは大手通販会社が2016年に設立した。
同社にセイノーグループが参画してジョイントベンチャー化、現在はセイノーホールディングスの連結子会社となっている。
LOCCOの代表取締役を兼務するセイノーホールディングスの河合秀治事業推進部ラストワンマイル推進チーム担当執行役員は、新しい宅配サービス開発の背景を次のように説明する。
「ECや通販の荷物が増加する一方、宅配クライシス以降は担い手不足などによってコストが上昇し、総量規制などによって運べる量も減っていった。
既存の宅配サービスだけでは増加するEC貨物のニーズに対応できないことが分かってきた。
ただ、仕組みを変えず、単純に運賃を下げるといったやり方では持続可能な仕組みにはならない。
従来の宅配とは異なるやり方で仕組みを構築する必要があった」 そのためLOCCOでは航空産業のLCC(ローコストキャリア)の考え方を宅配便に持ち込んだ。
LCCは従来型のキャリアが行っていたサービスの一部を省略することで価格を下げている。
同じような考え方で宅配便の「運ぶ」という基本機能は担保した上で、他の機能を削ぎ落とした宅配インフラを作り上げることを目指した。
セイノーグループは年間約1億個の宅配便を取り扱っている。
しかし、その大半は例えば企業が行ったキャンペーンなどの当選商品を一斉に個人宛に発送するといったBtoC形態が中心。
そのため、EC荷物の受取人のニーズを探るのが難しい状況にあった。
大手通販会社の協力を仰ぎ、EC買い物客に対して宅配便に関するグループインタビューを17年に東京などで行った。
そこで得られた声の中で特に多かったのが「不在の際に持ち帰られると再配達の依頼が大変」「不在時に持ち帰るのだったら置いていってほしい」といった不在時に荷物が届いた際の対応だった。
当時は置き配がまだ一般的ではなかったため、そうした置き配を要望するEC利用客の生の声は意外に思ったという。
「おそらく他の運送会社も同じだと思うが、セイノーグループにはやってはいけない『六つの行動』という原則がある。
そのうちの一つが『不在放置』。
置き配というのは、この不在放置と基本的には一緒なので、置き配を積極的に活用した宅配便サービスを構築するというのは運送会社の人間からするとかなりの違和感を覚えたのも事実だった」と河合執行役員は当時を振り返る。
しかし、その後の追加調査でも置き配に対するニーズを確認できたことから、置き配を軸とする新たな宅配便の構築を推進した。
19年の実証実験などを経て、20年4月から特定荷主を対象に首都圏でサービスを開始。
21年春からは幅広いEC・通販事業者を対象にサービスを展開している。
「カンガルー置き配便 by LOCCO」は集荷した複数商品をオリコンやカゴテナーで方面別にひとかたまりの貨物としてまとめ、認可型運賃を活用して幹線輸送する。
そして着店から先はLOCCOが組織した軽貨物運送事業者などによるラストワンマイルネットワークを用いて、不在持ち戻りがない置き配で配達する。
対象としているのは個人宛の1個口10キロ以下の3辺合計100センチ以内の荷物で、サイズは3種類。
宅配形態は原則ノーチャイム、非接触、不在票投函なしの置き配となる。
不在持ち戻りがないため、約99%の荷物が1回で配達できている。
サービスエリアは首都圏やその他の政令指定都市となっており現在、政令指定都市における人口カバー率は93・1%となっている。
リードタイムは正式には集荷より4日程度(拠点到着後プラス2日以内)としている。
翌日や翌々日着を約束してはいないが、実際の配達実績データでは半分程度の荷物は翌日配達されており、翌々日には大半の荷物が到着しているという。
必要な機能を絞り込み、従来型の宅配とは異なる輸送の仕組みでサービスを設計したことで、フルサービスの宅配便よりも1割程度安い価格での利用が可能となっている。
地域の幅広い運び手と連携 ラストワンマイルは軽貨物運送事業者などを中心に新聞配達事業者やポスティング事業者、フードデリバリーサービスなど幅広いプレーヤーと連携して、ネットワークを構築している。
地域の運び手の誰もが運べるような状態にすることがLOCCOのラストワンマイルを展開するに当たっては重要になってくる。
そのため、スマホアプリでオペレーションが完結する仕組みを構築している。
セイノーグループによる幹線輸送後に着店に到着した各荷物を割り当てられた配送パートナーは専用アプリを配送時に端末として用いる。
スマホアプリでバーコードを読み取り置き配をして、配達完了の写真を撮影すれば完了。
料金の精算もアプリの中で完結できる。
「置き配は不在でもそのまま配達できるので時間に縛られない。
時間が読みやすいから、他の業務の隙間に置き配の仕事を入れられる。
それを専用端末なしでシンプルに行えるようにした」とセイノーホールディングスの村木範行事業推進部ラストワンマイル推進チームLCC担当課長は話す。
サービス開始以来、順調にEC事業者の顧客を増やしている。
ただし、課題もある。
その一つがECサイト側の整備だ。
LOCCOの置き配は、配達先がサービス提供エリアであることに加えて、着荷主が置き配を承諾していることなどが条件になる。
既存のECサイトの場合、新たに置き配に関する項目を作り、出荷するセンター側の仕組みと連動させる必要がある。
その手間を軽減するため、ECサイト構築プラットフォームのShopifyのアプリ開発会社と提携した。
23年1月からShopifyの追加機能として、LOCCOの置き配が選択できるアプリが新たに提供されている。
配達対象地域の場合、買い物客がチェックアウト画面で「カンガルー置き配便 by LOCCO」を選択できる。
河合執行役員は「大きな案件も今年に入ってから進みつつある。
多くのEC事業者さまがLOCCOの置き配を利用することで認知度が向上し、それがさらなる採用につながると考えている。
EC化率は食品、医薬品、飲料、衣料などあらゆるジャンルで上がっている。
しかも購入時の単位が小さくなっている。
数が増えて、単位が小さくなってくると、ラストワンマイルの受け皿としてのLOCCOの役割がますます大きくなってくる。
それに対応するためにはより機動的なチームを構築する必要も出てくるだろう」と語り、顧客獲得に向けた動きをさらに加速させる構えだ。
セイノーグループの幹線輸送網とグループ会社のLOCCOが整備するラストワンマイルネットワークを組み合わせた置き配に特化した宅配サービスだ。
LOCCOは大手通販会社が2016年に設立した。
同社にセイノーグループが参画してジョイントベンチャー化、現在はセイノーホールディングスの連結子会社となっている。
LOCCOの代表取締役を兼務するセイノーホールディングスの河合秀治事業推進部ラストワンマイル推進チーム担当執行役員は、新しい宅配サービス開発の背景を次のように説明する。
「ECや通販の荷物が増加する一方、宅配クライシス以降は担い手不足などによってコストが上昇し、総量規制などによって運べる量も減っていった。
既存の宅配サービスだけでは増加するEC貨物のニーズに対応できないことが分かってきた。
ただ、仕組みを変えず、単純に運賃を下げるといったやり方では持続可能な仕組みにはならない。
従来の宅配とは異なるやり方で仕組みを構築する必要があった」 そのためLOCCOでは航空産業のLCC(ローコストキャリア)の考え方を宅配便に持ち込んだ。
LCCは従来型のキャリアが行っていたサービスの一部を省略することで価格を下げている。
同じような考え方で宅配便の「運ぶ」という基本機能は担保した上で、他の機能を削ぎ落とした宅配インフラを作り上げることを目指した。
セイノーグループは年間約1億個の宅配便を取り扱っている。
しかし、その大半は例えば企業が行ったキャンペーンなどの当選商品を一斉に個人宛に発送するといったBtoC形態が中心。
そのため、EC荷物の受取人のニーズを探るのが難しい状況にあった。
大手通販会社の協力を仰ぎ、EC買い物客に対して宅配便に関するグループインタビューを17年に東京などで行った。
そこで得られた声の中で特に多かったのが「不在の際に持ち帰られると再配達の依頼が大変」「不在時に持ち帰るのだったら置いていってほしい」といった不在時に荷物が届いた際の対応だった。
当時は置き配がまだ一般的ではなかったため、そうした置き配を要望するEC利用客の生の声は意外に思ったという。
「おそらく他の運送会社も同じだと思うが、セイノーグループにはやってはいけない『六つの行動』という原則がある。
そのうちの一つが『不在放置』。
置き配というのは、この不在放置と基本的には一緒なので、置き配を積極的に活用した宅配便サービスを構築するというのは運送会社の人間からするとかなりの違和感を覚えたのも事実だった」と河合執行役員は当時を振り返る。
しかし、その後の追加調査でも置き配に対するニーズを確認できたことから、置き配を軸とする新たな宅配便の構築を推進した。
19年の実証実験などを経て、20年4月から特定荷主を対象に首都圏でサービスを開始。
21年春からは幅広いEC・通販事業者を対象にサービスを展開している。
「カンガルー置き配便 by LOCCO」は集荷した複数商品をオリコンやカゴテナーで方面別にひとかたまりの貨物としてまとめ、認可型運賃を活用して幹線輸送する。
そして着店から先はLOCCOが組織した軽貨物運送事業者などによるラストワンマイルネットワークを用いて、不在持ち戻りがない置き配で配達する。
対象としているのは個人宛の1個口10キロ以下の3辺合計100センチ以内の荷物で、サイズは3種類。
宅配形態は原則ノーチャイム、非接触、不在票投函なしの置き配となる。
不在持ち戻りがないため、約99%の荷物が1回で配達できている。
サービスエリアは首都圏やその他の政令指定都市となっており現在、政令指定都市における人口カバー率は93・1%となっている。
リードタイムは正式には集荷より4日程度(拠点到着後プラス2日以内)としている。
翌日や翌々日着を約束してはいないが、実際の配達実績データでは半分程度の荷物は翌日配達されており、翌々日には大半の荷物が到着しているという。
必要な機能を絞り込み、従来型の宅配とは異なる輸送の仕組みでサービスを設計したことで、フルサービスの宅配便よりも1割程度安い価格での利用が可能となっている。
地域の幅広い運び手と連携 ラストワンマイルは軽貨物運送事業者などを中心に新聞配達事業者やポスティング事業者、フードデリバリーサービスなど幅広いプレーヤーと連携して、ネットワークを構築している。
地域の運び手の誰もが運べるような状態にすることがLOCCOのラストワンマイルを展開するに当たっては重要になってくる。
そのため、スマホアプリでオペレーションが完結する仕組みを構築している。
セイノーグループによる幹線輸送後に着店に到着した各荷物を割り当てられた配送パートナーは専用アプリを配送時に端末として用いる。
スマホアプリでバーコードを読み取り置き配をして、配達完了の写真を撮影すれば完了。
料金の精算もアプリの中で完結できる。
「置き配は不在でもそのまま配達できるので時間に縛られない。
時間が読みやすいから、他の業務の隙間に置き配の仕事を入れられる。
それを専用端末なしでシンプルに行えるようにした」とセイノーホールディングスの村木範行事業推進部ラストワンマイル推進チームLCC担当課長は話す。
サービス開始以来、順調にEC事業者の顧客を増やしている。
ただし、課題もある。
その一つがECサイト側の整備だ。
LOCCOの置き配は、配達先がサービス提供エリアであることに加えて、着荷主が置き配を承諾していることなどが条件になる。
既存のECサイトの場合、新たに置き配に関する項目を作り、出荷するセンター側の仕組みと連動させる必要がある。
その手間を軽減するため、ECサイト構築プラットフォームのShopifyのアプリ開発会社と提携した。
23年1月からShopifyの追加機能として、LOCCOの置き配が選択できるアプリが新たに提供されている。
配達対象地域の場合、買い物客がチェックアウト画面で「カンガルー置き配便 by LOCCO」を選択できる。
河合執行役員は「大きな案件も今年に入ってから進みつつある。
多くのEC事業者さまがLOCCOの置き配を利用することで認知度が向上し、それがさらなる採用につながると考えている。
EC化率は食品、医薬品、飲料、衣料などあらゆるジャンルで上がっている。
しかも購入時の単位が小さくなっている。
数が増えて、単位が小さくなってくると、ラストワンマイルの受け皿としてのLOCCOの役割がますます大きくなってくる。
それに対応するためにはより機動的なチームを構築する必要も出てくるだろう」と語り、顧客獲得に向けた動きをさらに加速させる構えだ。
