2023年4月号
特集
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ディーエムソリューションズ 割安な全国一律料金で「ウルロジ」が急成長
サービス料金から逆算して原価設定
ディーエムソリューションズはダイレクトメールの発送代行事業を主力事業に2004年に設立した。
10年代後半から宅配便で送る荷物の発送代行サービスにも手を広げ、トラックバースを備えた物流拠点を整備するとともに、仕分け・封入などの流通加工業務を行うようになった。
続いて20年にEC物流市場に参入した。
同年7月、東京都八王子市内にEC物流専用倉庫「八王子第5フルフィルメントセンター」を開設、8月からサービスを開始した。
当初は「EC物流代行サービス」と呼んでいたが、21年春に「ウルロジ」というサービス名をつけた。
ECの受注処理から梱包作業、伝票発行、配送手配、未着時の返品対応、入庫作業、在庫保管・管理、棚卸まで、ワンストップで代行する。
チラシの同梱や、オリジナル段ボールの作成も請け負う。
越境ECにも対応する。
製造業許可(包装・表示・保管)を取得しているため、化粧品・医薬部外品の流通加工もできる。
同社の角田和樹物流企画部物流推進課課長は、ウルロジの強みとして、①高品質な物流を安価に提供していること、②ECで受注してから発送するまでのプロセスを自動化していること、③現場スタッフを交えてチームでクライアントをサポートしていること──の三つを挙げる。
①高品質な物流を安価に提供するため、先に競争力ある価格を決めた上で、そこから逆算して原価を設定している。
同社はDM事業を含めた発送個数にボリュームがあるため、宅配事業者から有利な料金を引き出せる。
さらに、基本料金の中に出荷手数料も含めており、出荷量が増えても料金が上がらないようにしている。
出荷の遅延やミスを防ぐため、WMSを導入してバーコード検品を行ったり、マテハン機器を積極的に導入して処理量の増加とヒューマンエラーの防止を図っている。
WMSは現在2種類を使用して、カートやモールの種類、クライアント側のニーズに合わせて使い分けている。
そのうち一つはパートナー企業と共同開発したオリジナルWMSで、クライアントが同梱物を設定しやすくなるように操作性を工夫した。
一般的なWMSに比べ、入力項目を減らしてシンプルにするとともに、入力項目の多くを選択肢式にした。
物流の専門用語は可能な限り使わないようにした。
いずれのWMSも、管理画面はウルロジの運営側とクライアントの双方で共有しており、クライアント側は日々の出荷状況や在庫確認をオンラインで確認できる。
荷物の追跡に必要な伝票番号もクライアント自身で調べられる。
また、チラシ、ノベルティ、サンプルなどの同梱指示をWeb上で一括管理できる。
マテハン機器は、主力の八王子第5フルフィルメントセンターに、Roboware社製の立体型自動仕分け機「オムニソーター」を導入している。
トータルピックに特化した自動仕分け性能を備えており、立体型なので省スペース性に優れている。
中で稼働するロボットや間口を後付けで増やして、処理量を拡大できる。
導入前に比べ、処理量は3倍に向上した。
今後も導入拠点を増やしていく方針だ。
②ECで受注してから発送するまでを自動化するため、ECモールの各種カートや受注管理システムとWMSをシステム連携させている。
オーダーが入ると自動的にWMSから出荷指示が出る。
ECモール以外で受注した場合、あるいは得意客やインフルエンサーにサンプル品を送る場合など、自動化されたプロセスの外で出荷が必要になった際も、CSVでWMSに出荷指示を送れば反映される。
③クライアントに対するサポートは、営業、物流スタッフ、連絡係の3人以上でユニットを組んで対応している。
営業担当は現場で実務を理解した上で、クライアントの要望などをヒアリングして、サービスのブラッシュアップを図る。
一方、現場の物流スタッフも案件ごとに担当責任者と複数のサブメンバーを固定して、クライアントを交えたグループチャットを組成し、営業担当者などを介さずとも直接コミュニケーションを取れるようにしている。
「EC物流では、出荷ストップやキャンセルなどのイレギュラー対応が発生しやすい」(角田課長)ことから、“伝言ゲーム化”によるヒューマンエラーを防ぎ、迅速に対応しやすい体制を整えている。
EC事業者の要望があればコールセンター業務も提供している。
例えば受取人が不在で連絡もなく、荷物の返送が必要と配送会社から知らせがあった場合に、クライアントに伝達するなどの業務を行う。
現在、数件ほどのクライアントに提供している。
倉庫面積を2年半で5倍に拡大 ウルロジの出荷個数は20年8月〜21年7月の1年で3倍以上に増加した。
21年8月〜22年7月でさらに2・5倍に増え、クライアント数も2倍以上に増加した。
22年8月以降も前年度比1・5倍のペースで出荷個数が伸びている。
フルフィルメントセンターは開始当初の八王子第5(延べ床面積4175平方メートル)に加え、日野(同1万2415平方メートル)、宇津木(同3042平方メートル)の3カ所に増えた。
日野は需要の伸びに伴い21年10月ごろ、約6千平方メートルだった延べ床面積を倍増したが、既に埋まりつつあるという。
角田課長は、「EC市場全体としては、コロナ禍の収束に伴い巣ごもり需要の反動が起きているが、マーケティングに注力しているクライアントは出荷個数が伸びているケースが多い」と語る。
商品カテゴリーよりも、EC事業者の経営努力と出店モールの集客力が出荷個数に大きく影響しているという。
特に近年、力をつけてきているモールとして、eBay Japanの総合ネット通販サイトQoo10に注視している。
角田課長は、「韓国コスメなど強みと路線を明確に打ち出している上、UIがすっきりしていて分かりやすい。
Qoo10自身がプロモーションに力を入れてメディア露出を増やし、消費者の流入を拡大させている。
セール期間も長く設定している。
こうした特徴が出店者自身の販促努力と相まって、成長に結びついている」と分析する。
ディーエムソリューションズ自身でもマヌカハニーの輸入通販事業を手掛けているほか、21年にはアパレルやライフスタイル雑貨のECショップ「awesome COLLECT」を楽天ショップに開設したり、海外から輸入した衣料品などを卸業者専門通販サイトで販売しているビアトランスポーツを完全子会社化するなどEC事業に乗り出し、ウルロジとの相乗効果を目指している。
ビアトランスポーツの買収は、フルフィルメント領域の中でも今後視野に入れていきたい越境ECサービスのため、海外商品の取り扱いノウハウや海外におけるコネクションを獲得することも目的としている。
ウルロジにおける越境ECサービスは、航空フォワーダーのペガサスグローバルエクスプレスとタイアップして22年4月ごろに本格稼働した。
出荷個数ベースでは全体の2〜5%と比率はまだ小さいものの、月に数件ほどの引き合いが入るようになってきている。
目下の円安も追い風になっている。
現状では、アニメグッズや芸能人関連のアイテムなど日本から海外の購買者に送るものが中心となっている。
「アニメや芸能関係の品はファンが価格を気にせず購入する傾向があり、越境ECに乗りやすい」と角田氏。
発送先の国の8割前後はアジア諸国が占めているという。
現在は営業担当8人(うち5人がウルロジ専属担当)、マーケティング担当2人、連絡担当2人、物流現場担当10人強、パート社員20人以上という陣容だ。
需要の増加を見込んで先行投資で人員を拡充している。
10年代後半から宅配便で送る荷物の発送代行サービスにも手を広げ、トラックバースを備えた物流拠点を整備するとともに、仕分け・封入などの流通加工業務を行うようになった。
続いて20年にEC物流市場に参入した。
同年7月、東京都八王子市内にEC物流専用倉庫「八王子第5フルフィルメントセンター」を開設、8月からサービスを開始した。
当初は「EC物流代行サービス」と呼んでいたが、21年春に「ウルロジ」というサービス名をつけた。
ECの受注処理から梱包作業、伝票発行、配送手配、未着時の返品対応、入庫作業、在庫保管・管理、棚卸まで、ワンストップで代行する。
チラシの同梱や、オリジナル段ボールの作成も請け負う。
越境ECにも対応する。
製造業許可(包装・表示・保管)を取得しているため、化粧品・医薬部外品の流通加工もできる。
同社の角田和樹物流企画部物流推進課課長は、ウルロジの強みとして、①高品質な物流を安価に提供していること、②ECで受注してから発送するまでのプロセスを自動化していること、③現場スタッフを交えてチームでクライアントをサポートしていること──の三つを挙げる。
①高品質な物流を安価に提供するため、先に競争力ある価格を決めた上で、そこから逆算して原価を設定している。
同社はDM事業を含めた発送個数にボリュームがあるため、宅配事業者から有利な料金を引き出せる。
さらに、基本料金の中に出荷手数料も含めており、出荷量が増えても料金が上がらないようにしている。
出荷の遅延やミスを防ぐため、WMSを導入してバーコード検品を行ったり、マテハン機器を積極的に導入して処理量の増加とヒューマンエラーの防止を図っている。
WMSは現在2種類を使用して、カートやモールの種類、クライアント側のニーズに合わせて使い分けている。
そのうち一つはパートナー企業と共同開発したオリジナルWMSで、クライアントが同梱物を設定しやすくなるように操作性を工夫した。
一般的なWMSに比べ、入力項目を減らしてシンプルにするとともに、入力項目の多くを選択肢式にした。
物流の専門用語は可能な限り使わないようにした。
いずれのWMSも、管理画面はウルロジの運営側とクライアントの双方で共有しており、クライアント側は日々の出荷状況や在庫確認をオンラインで確認できる。
荷物の追跡に必要な伝票番号もクライアント自身で調べられる。
また、チラシ、ノベルティ、サンプルなどの同梱指示をWeb上で一括管理できる。
マテハン機器は、主力の八王子第5フルフィルメントセンターに、Roboware社製の立体型自動仕分け機「オムニソーター」を導入している。
トータルピックに特化した自動仕分け性能を備えており、立体型なので省スペース性に優れている。
中で稼働するロボットや間口を後付けで増やして、処理量を拡大できる。
導入前に比べ、処理量は3倍に向上した。
今後も導入拠点を増やしていく方針だ。
②ECで受注してから発送するまでを自動化するため、ECモールの各種カートや受注管理システムとWMSをシステム連携させている。
オーダーが入ると自動的にWMSから出荷指示が出る。
ECモール以外で受注した場合、あるいは得意客やインフルエンサーにサンプル品を送る場合など、自動化されたプロセスの外で出荷が必要になった際も、CSVでWMSに出荷指示を送れば反映される。
③クライアントに対するサポートは、営業、物流スタッフ、連絡係の3人以上でユニットを組んで対応している。
営業担当は現場で実務を理解した上で、クライアントの要望などをヒアリングして、サービスのブラッシュアップを図る。
一方、現場の物流スタッフも案件ごとに担当責任者と複数のサブメンバーを固定して、クライアントを交えたグループチャットを組成し、営業担当者などを介さずとも直接コミュニケーションを取れるようにしている。
「EC物流では、出荷ストップやキャンセルなどのイレギュラー対応が発生しやすい」(角田課長)ことから、“伝言ゲーム化”によるヒューマンエラーを防ぎ、迅速に対応しやすい体制を整えている。
EC事業者の要望があればコールセンター業務も提供している。
例えば受取人が不在で連絡もなく、荷物の返送が必要と配送会社から知らせがあった場合に、クライアントに伝達するなどの業務を行う。
現在、数件ほどのクライアントに提供している。
倉庫面積を2年半で5倍に拡大 ウルロジの出荷個数は20年8月〜21年7月の1年で3倍以上に増加した。
21年8月〜22年7月でさらに2・5倍に増え、クライアント数も2倍以上に増加した。
22年8月以降も前年度比1・5倍のペースで出荷個数が伸びている。
フルフィルメントセンターは開始当初の八王子第5(延べ床面積4175平方メートル)に加え、日野(同1万2415平方メートル)、宇津木(同3042平方メートル)の3カ所に増えた。
日野は需要の伸びに伴い21年10月ごろ、約6千平方メートルだった延べ床面積を倍増したが、既に埋まりつつあるという。
角田課長は、「EC市場全体としては、コロナ禍の収束に伴い巣ごもり需要の反動が起きているが、マーケティングに注力しているクライアントは出荷個数が伸びているケースが多い」と語る。
商品カテゴリーよりも、EC事業者の経営努力と出店モールの集客力が出荷個数に大きく影響しているという。
特に近年、力をつけてきているモールとして、eBay Japanの総合ネット通販サイトQoo10に注視している。
角田課長は、「韓国コスメなど強みと路線を明確に打ち出している上、UIがすっきりしていて分かりやすい。
Qoo10自身がプロモーションに力を入れてメディア露出を増やし、消費者の流入を拡大させている。
セール期間も長く設定している。
こうした特徴が出店者自身の販促努力と相まって、成長に結びついている」と分析する。
ディーエムソリューションズ自身でもマヌカハニーの輸入通販事業を手掛けているほか、21年にはアパレルやライフスタイル雑貨のECショップ「awesome COLLECT」を楽天ショップに開設したり、海外から輸入した衣料品などを卸業者専門通販サイトで販売しているビアトランスポーツを完全子会社化するなどEC事業に乗り出し、ウルロジとの相乗効果を目指している。
ビアトランスポーツの買収は、フルフィルメント領域の中でも今後視野に入れていきたい越境ECサービスのため、海外商品の取り扱いノウハウや海外におけるコネクションを獲得することも目的としている。
ウルロジにおける越境ECサービスは、航空フォワーダーのペガサスグローバルエクスプレスとタイアップして22年4月ごろに本格稼働した。
出荷個数ベースでは全体の2〜5%と比率はまだ小さいものの、月に数件ほどの引き合いが入るようになってきている。
目下の円安も追い風になっている。
現状では、アニメグッズや芸能人関連のアイテムなど日本から海外の購買者に送るものが中心となっている。
「アニメや芸能関係の品はファンが価格を気にせず購入する傾向があり、越境ECに乗りやすい」と角田氏。
発送先の国の8割前後はアジア諸国が占めているという。
現在は営業担当8人(うち5人がウルロジ専属担当)、マーケティング担当2人、連絡担当2人、物流現場担当10人強、パート社員20人以上という陣容だ。
需要の増加を見込んで先行投資で人員を拡充している。
