2023年4月号
特集

SBSホールディングス 合計20万坪のEC物流センターを全国に配置

ECの全工程をワンストップで支援  SBSホールディングスは2022年12月、入庫、保管、出荷、流通加工、ラストワンマイル、さらにサイト制作から運用、受注管理までECで必要となる全領域をワンストップで支援するサービス「EC物流お任せくん」を発表した。
 企業間物流で培ってきた倉庫管理や配送などのノウハウと各種ロジスティクステクノロジー(LT)を組み合わせることで、業界別に最適化されたECプラットフォームを構築。
国内外700超のグループ拠点を活用した分散保管出荷やEC特有の高い波動への対応などによってECスタートアップから大規模ECまでの幅広いEC事業者に対してサービスを展開する。
 各種物流サービスに加えて、ECサイトの戦略企画や構築、運用なども提供する。
その中核はSBSグループでECサイト構築やペットフードECなどを展開し、大手企業のECサイト開発でも多数の実績を保有するマーケティングパートナーが担う。
 「ECプラットフォーム事業は全ての業種のECサイトを対象としている。
初期の段階ではアパレル、雑貨、食品、家電、化粧品などが中心になるだろう。
現時点で引き合いが比較的多いのはアパレルや雑貨。
いずれもEC物流プラットフォーム事業で主力と想定していた業種だ」とSBSホールディングスの金子竜也事業戦略部主査は話す。
 SBSがグループ横断型のECプラットフォーム事業を立ち上げることになった理由の一つが一部で発生していたEC荷主の流出だった。
SBSグループのEC物流は、元々3PLを受託していた荷主がECを開始する際に、ECもそのまま請け負う形式でスタートした例が多い。
EC物流という枠での標準化もあまり行われていなかった。
そうしたEC業務の中にはEC比率が高まってきた段階で、荷主がEC物流を専門とする他の事業者に委託するというケースが出てきていた。
また、各現場で個々の案件としてEC業務を立ち上げているため、EC物流のノウハウをグループ全体でストックする仕組みがないことも課題だった。
 そこで、20年にEC物流の体制構築に向けた検討チームを組織した。
SBSロジコム、SBSホールディングスのLT部門、マーケティングパートナーなどからメンバーが参画し、ECプラットフォーム事業化に向けた調査や検証を進めた。
 そして、22年春にはSBSホールディングス、SBS東芝ロジスティクス、SBSリコーロジスティクス、SBSロジコム、SBSフレック、SBSゼンツウ、マーケティングパートナーのグループ7社から30人以上のメンバーが参加するSBSグループでも最大規模のプロジェクトが発足。
準備期間を経て同年12月のECプラットフォーム事業本格参入へと至った。
30年までにSBSグループのEC物流関連売上高を新たに1千億円創出することを目標に設定している。
 ECプラットフォームの整備に際してSBSグループではEC荷主の規模をスモールEC、ミドルEC、ラージECの3種類に設定している。
スモールECはコストやECオペレーションを重視する比較的小規模なEC荷主を想定している。
既に複数のプレーヤーが展開している分野だが、EC市場の拡大とともにさらなるEC物流事業者の増加が求められている領域だ。
ミドルECはスモールECの事業者が成長した中堅EC荷主となる。
 ラージECは店舗とEC在庫の一元化や調達系機能、フォワーディングなどといった3PL荷主と同様のSCM課題解決までを含むサービスを提供する。
主に自前のEC体制を構築している荷主のアウトソーシング需要などを想定している。
このスモールEC、ミドルEC、ラージECにそれぞれ対応した仕組みを段階的に整備していく。
24年にEC物流の戦略拠点を開設  23年1月から始まったステージ1では、複数のスモールEC拠点を立ち上げていく。
首都圏を中心とするグループ各社の10拠点で合計5千坪規模のEC専用区画を新たに設置し、統一システムを用いてプラットフォーム化していく。
EC物流専用区画では一般的な3PL区画とは異なる現場構築を行う。
荷主単位でスペースを区切るのではく、複数荷主の荷物を取り扱うEC区画を設定し、その一角に梱包や仕分けなどを行う共通作業場を配置。
その周囲に物流特性が近いEC荷主のスペースを複数配置してユニット化する。
こうしたEC現場は既にSBSロジコムの一部拠点などで先行運用しており、これをグループ全体で展開していく。
 ステージ1では22年12月に開設した先端ロボットソリューション検証施設「LTラボ」でのEC専用拠点向けロジスティクステクノロジーの企画開発や稼働データの収集も平行して進めていく。
EC物流向けシステムもベース機能は既に完成しており、一部拠点での試験運用を実施している。
 ステージ2はEC物流の戦略拠点である「野田瀬戸物流センター」のA棟が立ち上がる24年のスタート予定だ。
野田瀬戸物流センターは24年に4万坪超のA棟、26年に3万坪超のB棟を開設する予定で、A棟内の約2万坪はマテハンロボットを共通化し、流通加工プラットフォームを備えた通販専用センターとして稼働させる。
 棚搬送AGV、パレット搬送AGV、高層AGV、オートストアなどの各種ロボットや自動封かん機などを組み合わせたEC現場を作り込む予定で、ささげ業務などを行うEC向けの流通加工設備も配置する計画だ。
各種ロボットなどの省人化設備は主にミドルECの区画で運用される予定となっている。
 ステージ3に設定しているラージEC顧客の獲得はステージ1やステージ2と平行して行う。
各種経営課題の解決を含む包括的なソリューションを提供していく。
そしてステージ4ではEC拠点の全国拡大を図る。
25年以降を目標に1万坪超のEC専用の大型拠点を複数開設するとともに、EC専用区画を設けた物流拠点を全国に展開し、トータルで約20万坪のEC物流拠点を配置する計画だ。
EC物流拠点の全国拡大に向けては既にSBSグループの各事業会社が運用する既存拠点の中でEC専用区画として利用可能なスペースのリストアップを進めている。
 センターから先の配送に関しては原則、大手宅配に依頼する形となる。
そこで運びきれない部分についてはSBSグループが持つラストワンマイル機能でフォローしていく。
こちらは主にSBS即配サポートとSBSリコーロジスティクスが担う構想だ。
 「人件費は配送と倉庫の両方で今後も上がっていく可能性が高い。
システム的な支援とロボット活用による省人化によってコストダウンを図るとともに、配送に関してもSBSのラストワンマイル機能を活用することでリスクに備える枠組みを整備する。
SBSグループの規模を活かしたスケールメリットをEC物流のお客さまにも享受していただけるようにしたい」とマーケティングパートナーの福井志帆プランニング事業部部長は語り、グループ連携による総合的なEC物流サービスを構築する方針だ。

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