2022年12月号
特集
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デザイン・フォー・ロジスティクスの始め方
サプライチェーンを考慮した設計
パソコン大手の米HPは、サプライチェーンを考慮した設計「DFSC(Design for Supply Chain)」を、従来から積極的に推進してきた。
同社のDFSCには次の6の視点がある。
・品目数の削減(Variety Control) ・延期(Postponement) ・ロジスティクス強化(Design For Logistics) ・アーキテクチャー標準化と工程設計への配慮(De sign For Manufacturing) ・税効果 ・リサイクルの考慮 このうち「ロジスティクス強化」とは、ロジスティクスを考慮した設計「DFL(Design for Logistics)」と呼ばれる視点だ。
世界最大の家具量販チェーンのIKEA(イケア)が、デザイン性の高い家具を低価格で販売するために、DFLのコンセプトに基づいて独自のビジネスモデルを構築したことはよく知られている。
同社は欧州の標準パレットに基づいて規格化した「フラットパック」と呼ぶ平らな外箱に輸送ユニットを標準化して、全ての製品をフラットパックのサイズに合わせてデザインしている。
製品の企画段階から開発責任者とデザイナーの他に包装技術者が必ず加わり、ロジスティクスの視点から部品のサイズや包装方法を検討する。
机や椅子、棚などの家具はそのままでは輸送や保管の効率が悪く、物流コストが高くつく。
そこで家具を部品の状態でフラットパックに隙間無く詰め、製造工程から輸送、保管、陳列、顧客への受け渡しに至るサプライチェーンを徹底的にユニットロード化している。
一般にロジスティクスのコスト構造は、製品の設計段階で7~8割が決まるとされる。
そのため海外のグローバルメーカーのマネジメント層はDFLのコンセプトを経営常識として身に付け、生産管理機能の一つとして業務に組み込んでいる。
ところが日本企業の関心は薄い。
筆者は前職のソニーで、包装設計と物流の効率化・自動化に長年にわたり携わった。
全社的な包装改善プロジェクトにも取り組んだ。
支払い物流費の金額が大きい三つの事業本部を対象に、経営層からDFL推進への理解を得た上で、商品設計、製造、調達、物流他の関連部門からなる全体最適志向のコスト削減プロジェクトを構成し、それぞれ1年ずつかけて包装を見直した結果、当時の総物流費の約20%に相当する数百億円規模のコスト削減が実現した。
ただ、商品開発部門の経営層は当初、包装改善にそれほど興味を示していなかった。
同社の開発部門には国内トップクラスの包装設計技術者が大勢いる。
そこにわざわざ物流から口を挟む必要はないだろう、との認識であったようだ。
しかし、包装改善プロジェクトのコスト削減効果が数字にはっきりと表れるようになって、経営層の認識は大きく変わった。
筆者の元に経営層から直接メールで包装に関する質問が届くようになった。
今、足元では深刻な物流コストインフレが起きている。
何も手を打たなければ売上高物流コストは上昇し、利益を圧迫していく。
しかし、大きな効果を期待できる改善のネタは既に尽きているとの声がある。
筆者はそうは思わない。
確かに、在庫削減や物流ネットワークの見直し、オペレーションの改善など、モノの「流し方」を対象にしたコスト削減には、従来から積極的に取り組んできたであろう。
しかし、「モノ」そのものが持つ特性に焦点をあてた物流改善、すなわちDFLは、多くの日本企業においていまだ手付かずに近い状態にある。
図1は日本ロジスティクスシステム協会の2017年、2018年、2019年の「物流コスト調査報告書」において、調査対象企業に「実施した物流コスト削減策(全業種)」をアンケートした結果を、筆者が整理したものだ。
これによるとモノの「流し方」を対象にした改善が全体の61・1%を占めているのに対して、DFLに相当する「商品設計・包装の見直し」の占有率は8・7%に過ぎない。
物流管理における「モノ」とは基本的には包装体のことであり、「モノの特性」は製品・包装・パレットなどのサイズ、プロポーション、重量などによって定義される。
そして物流コストは、モノの流し方とモノの特性の掛け算で決まる。
モノの流し方と並んで、モノそのものが、物流コストの最大のドライバーなのである。
DFLは、モノが影響を与える全てのプロセスを考慮・評価した上で全体最適な設計を行う考え方である。
物流の持続可能性が脅かされている今、日本企業もDFLに基づく製品、包装設計改革に本格的に乗り出すべき時を迎えていると筆者は確信している。
DFLの六つのアプローチ これまでの包装改善プロジェクトの経験から、筆者はDFLに基づく包装最適化の施策を大きく次の六つに整理している。
すなわち「①モジュール化」「②ユニットロード化」「③ダウンサイジング」「④軽量化」「⑤簡素化」「⑥集合化」である。
それぞれについて事例を交えながら説明する。
①モジュール化 モジュール化とは、包装のサイズをパレットやトラックの荷台、海上コンテナ、保管設備などに適合させることで物流効率を高める方法である。
物流コスト、物流品質、さらには作業性の向上に直接的な効果がある。
事例1は、コンテナに合わせてパレット貨物(電子部品)をモジュール化した事例である。
コンテナを満載にした時の積載効率が従来は80・5%だった。
それを包装改善によって92・9%に高めた。
具体的には以下のような改善を実施した。
・ コンテナの内寸が幅2340㎜であるのに対して従来は、横幅1030㎜のパレットを2列並べて積載しており幅に280㎜の空きがあった。
そこでパレットのサイズを1140㎜に変更した。
2枚分の幅とフォークリフトの作業しろの60㎜を足すとピッタリ2340㎜になる。
同様に奥行きにもムダがあったので、パレットの縦の寸法を810㎜から986㎜に変更した。
・ 1140㎜×986㎜のパレットに合わせて外箱のプロポーションを調整した。
このプロポーション調整では、外箱内の部品収納用の仕切り構造を見直し、無駄空間を徹底的に排除することでこれを実現した。
・ 封かん・開梱の手間を軽減するため、外箱の蓋にあたるフラップをなくして開放式とし、パレット積載時の各段に段仕切り(トレイ)を挟むことで蓋の代わりと荷崩れ防止機能を付与した。
このモジュール化によって、コンテナ1本当たりに積載できる製品数は29%増え、輸送費22%削減、搬送工数50%減、包装材料費20%減、封かん・開梱作業費10%減などの効果があった。
②ユニットロード化 ユニットロード化とは、パレットやスリップシート、カゴ車などを使って、複数のモノをユニットにまとめてハンドリングすることである。
例えばバラ積み貨物をパレットにユニットロード化すればフォークリフトなどを使った機械荷役が可能になる。
工数削減、バンニング・デバンニング時間短縮、管理業務の軽減、物流品質向上などの効果がある。
③ダウンサイジング 文字通りモノの形状を小さく、薄くする、あるいは製品自体の構造を変えて容積を圧縮することである。
事例2では、非常に簡単なダウンサイジング例だが、厚さ約8ミリ(ABフルート)の段ボールを、強化ライナーと中芯を用いた厚さ5㎜の両面段ボール(強化Aフルート)に変更することで、一般的な出荷用段ボール箱(箱形式 JIS Z 1507-0201溝切型)のサイズを、400㎜×250㎜×150㎜から394㎜×244㎜×138㎜にダウンサイジングした。
この材料変更だけで段ボール箱の容積は11%圧縮された。
モノが小さくなることで、サプライチェーンの全行程を通じて輸送コスト、保管コスト、ハンドリングコストが削減され、総物流費を約10%削減する効果があった。
その他のダウンサイジング例としては以下のような策がある。
・ 緩衝材を見直して厚みを薄くする ・ 箱の形式を「溝切り型」から「箱形式 JIS Z 1507-0401組立型」に変え、段ボールの使用量を減らして容積を小さくする ・ 箱に収める製品の形状を変更し突起部などをなくする ・ 箱の内部のムダ空間が小さくなるように収納品のレイアウトを変更するなどである 事例3ではブリスターパック(台紙に透明な成形プラスチックなどで蓋をするパッケージ)のダウンサイジングを行った。
ブリスターの材質をダブル(BCフルート)からシングルに変更。
ブリスターの形状も変更して台紙サイズを小さくすると同時に、販売単位を考慮した上で1パック当たり12ピースだった入り数を24ピースに増やした。
その結果、40フィートコンテナ1本当たりの製品数は21%増加した。
同じだけ保管効率も向上した。
積み下ろし作業の工数は39%削減された。
包装材料費を約30%削減する効果もあった。
事例4はギフト商品の外箱(集合箱)のダウンサイジングだ。
1箱当たり40個入りで従来は485㎜×608㎜×233㎜の外箱を使い、3辺計が1326㎜なので宅配便タリフの140サイズが適用されていた。
個装の仕切りピッチを小さくして、外箱の縦横高さをそれぞれ圧縮、同じ40個入りで3辺計を1193㎜に圧縮することで140サイズを120サイズに変更した。
④軽量化 包装材や製品自体の重量を軽くする。
あるいは包装内の入り数を増やして、包装材・包装副資材・パレットなどに対する相対的な軽量化を図る。
重量勝ちの製品であれば、約20キロの木製パレットを約5キロの強化段ボール製やプラスチック製に変更することで輸送費が削減される。
製品の強度を維持したまま不要な部分をなくしたり、材料を変えたり、部材に穴を開けたりして軽量化することもある。
同梱のチラシや説明書のサイズや形状なども検討する。
⑤簡素化 包装の構造を簡素化する、包装材・包装副資材などの数を減らす。
収納効率の改善の他、材料費削減、廃棄材料削減、軽量化、ハンドリング性の向上などに有効である。
事例5では、包装構造と製品(部品)の形状の両方を変更することで大きな効率化が実現した。
従来はカートン内に、傷防止を目的とする保護袋と仕切りを部品1個単位で設けていた。
部品自体にリブ(爪)をつけ、部品同士を組み合わせることができるように変更、仕切りを不要にし、保護袋も大きな袋1枚にまとめて入れるようにした。
部品にリブを付けるための金型改造コスト増と、収納トラック積載効率の向上、保管スペース圧縮および包装作業の軽減や材料費削減を比較してメリットがあることを確認した上で変更に踏み切った。
⑥集合化 個装商品を集合包装に変更する。
例えば5個単位の複数オーダーが多い小型商品であれば5個入りの集合包装にすれば当然ながらピッキング回数は5分の1になる。
出荷包装作業工数、包装容積、包装材も減る。
さらには個装出荷品を半製品の集合包装出荷に変えて包装容積を圧縮して輸送、現地で組み立てを行うといった踏み込んだ改善方法もある。
後追いの改善では間に合わない モノの「流し方」の改善は顧客までのLT短縮や在庫起因コスト削減などで大きなテーマであるが、その活動の手間や改善投資回収期間を考えるとその改善効率は決して高くはない。
無数の作業が連なり、多くの人たちの手によってモノは流れていくからだ。
しかも、改善効果は限られる。
ある物流センターでピッキング作業の生産性を20%向上できたとしても、その会社の総物流費に与えるインパクトは知れている。
それに対してモノの特性に着目した改善は、サプライチェーンのプロセス全体を効率化してトータル物流コストを削減できる。
しかも、改善を実施したその日からすべての物流プロセスでコスト効果を発揮するのである。
モノの流し方の改善よりもむしろ優先度は高いと言えるだろう。
もっとも、筆者がDFLの重要性をはっきり認識するようになったのは、生産技術部門に所属して包装士とIE(インダストリアルエンジニアリング)士の資格を取得した後、社内コンサルタント的な立ち場で世界各地の拠点を回り、物流現場にも足を踏み入れるようになってからのことだった。
保管ラックと荷物の高さが合っていない。
パレットに上手く載っていない。
コンテナやトラックに上手く積載できない。
あるいは、包装の強度が足らずに荷崩れが起きそうだといった、それまで気付いていなかったさまざまな設計の不具合が目に付いた。
そこで物流現場から設計へのフィードバックを開始した。
その結果、設計の変更に成功したこともあったし、変更できなかったこともあった。
数え切れないほどのフィードバックを繰り返した末に、後追いの改善では結局、十分な効果を刈り取れないと悟った。
設計の変更には時間がかかる。
プロダクトマネジャーの説得に成功して、設計部門が図面を引き直したとしても、それが生産計画に反映されて実際に工場からモノが流れてくるまでには、少なくとも半年はかかるだろう。
それでは目の前の問題を解決できない。
しかも、商品のライフサイクルはどんどん短くなっている。
現場で問題が起きてから取り組んでも間に合わない。
製品の企画段階からDFLに着手する必要がある。
そのために物流部門には関連部門への情報発信が求められている。
経営層および企画、設計、調達、製造、販売などの関連部門に向けて、従来以上に能動的にDFL推進の有効性や同基礎データである自社の輸送モードや輸送デバイス寸法、作業代、物流料金体系、実コスト、包装効率評価指標(KPI)などの物流情報を発信し、それを全社で共有する。
設計承認の段階でDFLコンセプトが盛り込まれているかを評価するデザインレビューのしくみも導入する。
それがDFLの第一歩となるはずだ。
同社のDFSCには次の6の視点がある。
・品目数の削減(Variety Control) ・延期(Postponement) ・ロジスティクス強化(Design For Logistics) ・アーキテクチャー標準化と工程設計への配慮(De sign For Manufacturing) ・税効果 ・リサイクルの考慮 このうち「ロジスティクス強化」とは、ロジスティクスを考慮した設計「DFL(Design for Logistics)」と呼ばれる視点だ。
世界最大の家具量販チェーンのIKEA(イケア)が、デザイン性の高い家具を低価格で販売するために、DFLのコンセプトに基づいて独自のビジネスモデルを構築したことはよく知られている。
同社は欧州の標準パレットに基づいて規格化した「フラットパック」と呼ぶ平らな外箱に輸送ユニットを標準化して、全ての製品をフラットパックのサイズに合わせてデザインしている。
製品の企画段階から開発責任者とデザイナーの他に包装技術者が必ず加わり、ロジスティクスの視点から部品のサイズや包装方法を検討する。
机や椅子、棚などの家具はそのままでは輸送や保管の効率が悪く、物流コストが高くつく。
そこで家具を部品の状態でフラットパックに隙間無く詰め、製造工程から輸送、保管、陳列、顧客への受け渡しに至るサプライチェーンを徹底的にユニットロード化している。
一般にロジスティクスのコスト構造は、製品の設計段階で7~8割が決まるとされる。
そのため海外のグローバルメーカーのマネジメント層はDFLのコンセプトを経営常識として身に付け、生産管理機能の一つとして業務に組み込んでいる。
ところが日本企業の関心は薄い。
筆者は前職のソニーで、包装設計と物流の効率化・自動化に長年にわたり携わった。
全社的な包装改善プロジェクトにも取り組んだ。
支払い物流費の金額が大きい三つの事業本部を対象に、経営層からDFL推進への理解を得た上で、商品設計、製造、調達、物流他の関連部門からなる全体最適志向のコスト削減プロジェクトを構成し、それぞれ1年ずつかけて包装を見直した結果、当時の総物流費の約20%に相当する数百億円規模のコスト削減が実現した。
ただ、商品開発部門の経営層は当初、包装改善にそれほど興味を示していなかった。
同社の開発部門には国内トップクラスの包装設計技術者が大勢いる。
そこにわざわざ物流から口を挟む必要はないだろう、との認識であったようだ。
しかし、包装改善プロジェクトのコスト削減効果が数字にはっきりと表れるようになって、経営層の認識は大きく変わった。
筆者の元に経営層から直接メールで包装に関する質問が届くようになった。
今、足元では深刻な物流コストインフレが起きている。
何も手を打たなければ売上高物流コストは上昇し、利益を圧迫していく。
しかし、大きな効果を期待できる改善のネタは既に尽きているとの声がある。
筆者はそうは思わない。
確かに、在庫削減や物流ネットワークの見直し、オペレーションの改善など、モノの「流し方」を対象にしたコスト削減には、従来から積極的に取り組んできたであろう。
しかし、「モノ」そのものが持つ特性に焦点をあてた物流改善、すなわちDFLは、多くの日本企業においていまだ手付かずに近い状態にある。
図1は日本ロジスティクスシステム協会の2017年、2018年、2019年の「物流コスト調査報告書」において、調査対象企業に「実施した物流コスト削減策(全業種)」をアンケートした結果を、筆者が整理したものだ。
これによるとモノの「流し方」を対象にした改善が全体の61・1%を占めているのに対して、DFLに相当する「商品設計・包装の見直し」の占有率は8・7%に過ぎない。
物流管理における「モノ」とは基本的には包装体のことであり、「モノの特性」は製品・包装・パレットなどのサイズ、プロポーション、重量などによって定義される。
そして物流コストは、モノの流し方とモノの特性の掛け算で決まる。
モノの流し方と並んで、モノそのものが、物流コストの最大のドライバーなのである。
DFLは、モノが影響を与える全てのプロセスを考慮・評価した上で全体最適な設計を行う考え方である。
物流の持続可能性が脅かされている今、日本企業もDFLに基づく製品、包装設計改革に本格的に乗り出すべき時を迎えていると筆者は確信している。
DFLの六つのアプローチ これまでの包装改善プロジェクトの経験から、筆者はDFLに基づく包装最適化の施策を大きく次の六つに整理している。
すなわち「①モジュール化」「②ユニットロード化」「③ダウンサイジング」「④軽量化」「⑤簡素化」「⑥集合化」である。
それぞれについて事例を交えながら説明する。
①モジュール化 モジュール化とは、包装のサイズをパレットやトラックの荷台、海上コンテナ、保管設備などに適合させることで物流効率を高める方法である。
物流コスト、物流品質、さらには作業性の向上に直接的な効果がある。
事例1は、コンテナに合わせてパレット貨物(電子部品)をモジュール化した事例である。
コンテナを満載にした時の積載効率が従来は80・5%だった。
それを包装改善によって92・9%に高めた。
具体的には以下のような改善を実施した。
・ コンテナの内寸が幅2340㎜であるのに対して従来は、横幅1030㎜のパレットを2列並べて積載しており幅に280㎜の空きがあった。
そこでパレットのサイズを1140㎜に変更した。
2枚分の幅とフォークリフトの作業しろの60㎜を足すとピッタリ2340㎜になる。
同様に奥行きにもムダがあったので、パレットの縦の寸法を810㎜から986㎜に変更した。
・ 1140㎜×986㎜のパレットに合わせて外箱のプロポーションを調整した。
このプロポーション調整では、外箱内の部品収納用の仕切り構造を見直し、無駄空間を徹底的に排除することでこれを実現した。
・ 封かん・開梱の手間を軽減するため、外箱の蓋にあたるフラップをなくして開放式とし、パレット積載時の各段に段仕切り(トレイ)を挟むことで蓋の代わりと荷崩れ防止機能を付与した。
このモジュール化によって、コンテナ1本当たりに積載できる製品数は29%増え、輸送費22%削減、搬送工数50%減、包装材料費20%減、封かん・開梱作業費10%減などの効果があった。
②ユニットロード化 ユニットロード化とは、パレットやスリップシート、カゴ車などを使って、複数のモノをユニットにまとめてハンドリングすることである。
例えばバラ積み貨物をパレットにユニットロード化すればフォークリフトなどを使った機械荷役が可能になる。
工数削減、バンニング・デバンニング時間短縮、管理業務の軽減、物流品質向上などの効果がある。
③ダウンサイジング 文字通りモノの形状を小さく、薄くする、あるいは製品自体の構造を変えて容積を圧縮することである。
事例2では、非常に簡単なダウンサイジング例だが、厚さ約8ミリ(ABフルート)の段ボールを、強化ライナーと中芯を用いた厚さ5㎜の両面段ボール(強化Aフルート)に変更することで、一般的な出荷用段ボール箱(箱形式 JIS Z 1507-0201溝切型)のサイズを、400㎜×250㎜×150㎜から394㎜×244㎜×138㎜にダウンサイジングした。
この材料変更だけで段ボール箱の容積は11%圧縮された。
モノが小さくなることで、サプライチェーンの全行程を通じて輸送コスト、保管コスト、ハンドリングコストが削減され、総物流費を約10%削減する効果があった。
その他のダウンサイジング例としては以下のような策がある。
・ 緩衝材を見直して厚みを薄くする ・ 箱の形式を「溝切り型」から「箱形式 JIS Z 1507-0401組立型」に変え、段ボールの使用量を減らして容積を小さくする ・ 箱に収める製品の形状を変更し突起部などをなくする ・ 箱の内部のムダ空間が小さくなるように収納品のレイアウトを変更するなどである 事例3ではブリスターパック(台紙に透明な成形プラスチックなどで蓋をするパッケージ)のダウンサイジングを行った。
ブリスターの材質をダブル(BCフルート)からシングルに変更。
ブリスターの形状も変更して台紙サイズを小さくすると同時に、販売単位を考慮した上で1パック当たり12ピースだった入り数を24ピースに増やした。
その結果、40フィートコンテナ1本当たりの製品数は21%増加した。
同じだけ保管効率も向上した。
積み下ろし作業の工数は39%削減された。
包装材料費を約30%削減する効果もあった。
事例4はギフト商品の外箱(集合箱)のダウンサイジングだ。
1箱当たり40個入りで従来は485㎜×608㎜×233㎜の外箱を使い、3辺計が1326㎜なので宅配便タリフの140サイズが適用されていた。
個装の仕切りピッチを小さくして、外箱の縦横高さをそれぞれ圧縮、同じ40個入りで3辺計を1193㎜に圧縮することで140サイズを120サイズに変更した。
④軽量化 包装材や製品自体の重量を軽くする。
あるいは包装内の入り数を増やして、包装材・包装副資材・パレットなどに対する相対的な軽量化を図る。
重量勝ちの製品であれば、約20キロの木製パレットを約5キロの強化段ボール製やプラスチック製に変更することで輸送費が削減される。
製品の強度を維持したまま不要な部分をなくしたり、材料を変えたり、部材に穴を開けたりして軽量化することもある。
同梱のチラシや説明書のサイズや形状なども検討する。
⑤簡素化 包装の構造を簡素化する、包装材・包装副資材などの数を減らす。
収納効率の改善の他、材料費削減、廃棄材料削減、軽量化、ハンドリング性の向上などに有効である。
事例5では、包装構造と製品(部品)の形状の両方を変更することで大きな効率化が実現した。
従来はカートン内に、傷防止を目的とする保護袋と仕切りを部品1個単位で設けていた。
部品自体にリブ(爪)をつけ、部品同士を組み合わせることができるように変更、仕切りを不要にし、保護袋も大きな袋1枚にまとめて入れるようにした。
部品にリブを付けるための金型改造コスト増と、収納トラック積載効率の向上、保管スペース圧縮および包装作業の軽減や材料費削減を比較してメリットがあることを確認した上で変更に踏み切った。
⑥集合化 個装商品を集合包装に変更する。
例えば5個単位の複数オーダーが多い小型商品であれば5個入りの集合包装にすれば当然ながらピッキング回数は5分の1になる。
出荷包装作業工数、包装容積、包装材も減る。
さらには個装出荷品を半製品の集合包装出荷に変えて包装容積を圧縮して輸送、現地で組み立てを行うといった踏み込んだ改善方法もある。
後追いの改善では間に合わない モノの「流し方」の改善は顧客までのLT短縮や在庫起因コスト削減などで大きなテーマであるが、その活動の手間や改善投資回収期間を考えるとその改善効率は決して高くはない。
無数の作業が連なり、多くの人たちの手によってモノは流れていくからだ。
しかも、改善効果は限られる。
ある物流センターでピッキング作業の生産性を20%向上できたとしても、その会社の総物流費に与えるインパクトは知れている。
それに対してモノの特性に着目した改善は、サプライチェーンのプロセス全体を効率化してトータル物流コストを削減できる。
しかも、改善を実施したその日からすべての物流プロセスでコスト効果を発揮するのである。
モノの流し方の改善よりもむしろ優先度は高いと言えるだろう。
もっとも、筆者がDFLの重要性をはっきり認識するようになったのは、生産技術部門に所属して包装士とIE(インダストリアルエンジニアリング)士の資格を取得した後、社内コンサルタント的な立ち場で世界各地の拠点を回り、物流現場にも足を踏み入れるようになってからのことだった。
保管ラックと荷物の高さが合っていない。
パレットに上手く載っていない。
コンテナやトラックに上手く積載できない。
あるいは、包装の強度が足らずに荷崩れが起きそうだといった、それまで気付いていなかったさまざまな設計の不具合が目に付いた。
そこで物流現場から設計へのフィードバックを開始した。
その結果、設計の変更に成功したこともあったし、変更できなかったこともあった。
数え切れないほどのフィードバックを繰り返した末に、後追いの改善では結局、十分な効果を刈り取れないと悟った。
設計の変更には時間がかかる。
プロダクトマネジャーの説得に成功して、設計部門が図面を引き直したとしても、それが生産計画に反映されて実際に工場からモノが流れてくるまでには、少なくとも半年はかかるだろう。
それでは目の前の問題を解決できない。
しかも、商品のライフサイクルはどんどん短くなっている。
現場で問題が起きてから取り組んでも間に合わない。
製品の企画段階からDFLに着手する必要がある。
そのために物流部門には関連部門への情報発信が求められている。
経営層および企画、設計、調達、製造、販売などの関連部門に向けて、従来以上に能動的にDFL推進の有効性や同基礎データである自社の輸送モードや輸送デバイス寸法、作業代、物流料金体系、実コスト、包装効率評価指標(KPI)などの物流情報を発信し、それを全社で共有する。
設計承認の段階でDFLコンセプトが盛り込まれているかを評価するデザインレビューのしくみも導入する。
それがDFLの第一歩となるはずだ。
