2022年12月号
特集
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日通NECロジスティクス 品質評価センターを軸に設計と試験を連携
包装基点の物流最適化を提案
日通NECロジスティクスは包装技術部が包装設計や各種評価試験などの包装関連ソリューションを担当している。
NEC府中事業所内運輸課の包装設計業務がそのルーツで、1999年に首都圏地区の包装設計者集約と包装試験センターの編入を行ったことで、総合的な包装関連業務を展開する体制を整えた。
コストセンターからプロフィットセンターへと位置付けが大きく変わったのは2019年。
NX総合研究所の試験業務と一部設備が移管されたのに伴い、NXグループの包装試験センターとしての活動を本格的にスタートさせた。
さらに包装試験と製品試験の両方に注力する方針を定めたことから、22年に通称を包装試験センターから品質評価センターへと改名している。
かつては包装設計をメーカーが自ら行うことが多かった。
しかし、時代とともにメーカーが社内で包装を設計するケースは減っていき、代わって資材ベンダーが包装設計の一端を担うようになった。
ただ、資材ベンダーによる包装設計は基本的には資材販売とセットになっている。
資材の選択の幅が狭まってしまう場合があり、物流工程まで視野に入れた包装設計も難しくなる。
そこでもう一つの選択肢となっているのが、メーカー系物流会社だ。
包装設計そのものをサービスとして提供していることから、制約なしに資材を選択できる上、物流の知見があるため輸送や保管の効率を考慮した包装設計を期待できる。
日通NECロジスティクスは包装設計と評価試験を車の両輪と捉えて、包装関連業務を展開している。
CADによる設計、品質評価センター内にあるサンプルカッターなどを用いた自社設備での試作、試作品の各種試験(落下、振動、圧縮、温湿度など)を行い、評価試験で包装設計の内容に過不足がある場合は改善のため再設計を実施する。
これら一連の業務を同一の場所で行うことで、完成までのリードタイムを大幅に短縮できる。
同社の包装設計の受託案件の内訳はNECグループ関連が約6割、それ以外が4割程度となっており、幅広い企業に対して包装を用いた物流効率化を支援している。
同社の手掛けた包装改善が物流コストの削減につながった事例の一つに、コンビニエンスストアに設置されている大型複合機などを操作する複合機コントローラー端末の包装改善がある。
従来はコントローラー端末を外装箱で覆う形で包装していた。
資材の使用量を削減するため外装箱を取り払い、代わりに四辺に柱上の緩衝資材を配置。
さらに底部の突起部分を改良して、外箱がなくても輸送時などに隣同士の端末と接触しない包装を実現した。
包装材の使用量を14%削減、資材費も33%削減された。
この事例では輸送効率を高める改善も行った。
改良前は4トンワイドボディ車の荷台に1列4台×7列の計28台を積載していた。
ハンドフォークリフトの爪の差し込み口が長方形の短辺にあるため、その積載方法を採用していた。
それに対して日通NECロジスティクスの包装技術部は長辺の部分にも爪を差し込めるように包装設計の変更を提案した。
それによって同じ4トンワイドボディ車の荷台に1列3台×11列の計33台を積載することができる。
これが採用されて、積載効率は18%向上した。
もう一つの事例はリユース可能な大型モニター用の通い箱だ。
展示会やイベントなどで使用される社内備品やリース向けの大型モニターは異なる会場で繰り返し使用される。
しかし、従来は新品販売用の外箱をそのまま利用していた。
繰り返し使用することを想定して設計された包装ではないため、数回の利用で破損して使えなくなってしまう。
その場合には拠点で汎用資材などを使って包装していたが、工数がかかっていた。
そこでリユース可能なプラスチック製の包装機材を新たに開発した。
大型モニターの背面に固定用板を配置し、モニターの上からカバーを被せた後にマジックバンドで固定する。
30インチ~55インチ用と60インチ~75インチ用の2種類を設計した。
60インチ超のモニターは手荷役が難しいため底部に移動用のキャスターも備えているほか、カバーを上から被せる作業ができないため、左右に分かれるスライド式カバーを採用した。
ありあわせの材料を使っていた従来と比較すると、使用資材の量と資材費を大きく圧縮。
サイズに合わせた設計の実現により、積載効率も15%向上した。
製品開発元と連携した包装改善にも力を入れている。
その際に重視するのは物流部分を含めたトータルでの最適化だ。
例えば、製品の開発時に後工程となる輸送が考慮されていないと、緩衝材を製品に当てる部位や必要な面積を確保できないといったことがおきる。
緩衝材の複雑化や包装資材費、輸送費の増加を招く。
「そうした課題を解決するため、製品設計部門との情報交換を可能な限り行うようにしている。
製品の仕様が決まる前工程に入り、後工程を考慮した製品形状に関する意見提案を実施している」と日通NECロジスティクスの佐々木佳之包装技術部長は語る。
各種評価試験と設計を連動 最適な包装を設計する際に重要なのが製品単体と包装の評価試験だ。
基本的には同じ設備を使用する。
日通NECロジスティクスの品質評価センターは日本産業規格や国際規格などの主要な規格の大半に対応しているほか、国内では数社のみが保有する国際安全輸送協会(ISTA)の認定試験所でもある。
国内では医療機器や事務機器などで多く使用されている包装試験規格で、米国向けでISTA準拠の包装要求が増えていることから試験ニーズは高い。
危険物の航空・海上輸送に必要なUN規格に対応した指定試験場でもある。
UN規格に対応した試験設備を保有していない場合は他の試験所で試験する必要があり、ワンストップの開発が難しい。
UN容器は梱包重量100キログラム程度の資材を落下させるといった試験も行うため、地面を数メートル掘り下げて固めるなどの措置が必要だ。
これらの機能を備えた日通NECロジスティクスの品質評価センターでの受託実績は直近で年間450件近くに達しており、コロナ前は年間500件を超えていた。
近年、顧客の顔ぶれは大きく変わっている。
14年ごろの評価試験の受託状況はNECグループが約8割でそれ以外が約2割だった。
21年度はNECグループが約3割、それ以外が約7割とほぼ逆転している。
医療機器、複写機、自動車、自動車部品、産業用機器、通信機器、楽器、加工食品、包装資材まで幅広いメーカーが利用している。
評価試験の顧客がそのまま包装設計の顧客となるケースも増えてきている。
佐々木佳之部長は「評価試験と包装設計を連携させることで業務の幅を拡大し、包装を通じた物流最適化に貢献していきたい」と期待している。
NEC府中事業所内運輸課の包装設計業務がそのルーツで、1999年に首都圏地区の包装設計者集約と包装試験センターの編入を行ったことで、総合的な包装関連業務を展開する体制を整えた。
コストセンターからプロフィットセンターへと位置付けが大きく変わったのは2019年。
NX総合研究所の試験業務と一部設備が移管されたのに伴い、NXグループの包装試験センターとしての活動を本格的にスタートさせた。
さらに包装試験と製品試験の両方に注力する方針を定めたことから、22年に通称を包装試験センターから品質評価センターへと改名している。
かつては包装設計をメーカーが自ら行うことが多かった。
しかし、時代とともにメーカーが社内で包装を設計するケースは減っていき、代わって資材ベンダーが包装設計の一端を担うようになった。
ただ、資材ベンダーによる包装設計は基本的には資材販売とセットになっている。
資材の選択の幅が狭まってしまう場合があり、物流工程まで視野に入れた包装設計も難しくなる。
そこでもう一つの選択肢となっているのが、メーカー系物流会社だ。
包装設計そのものをサービスとして提供していることから、制約なしに資材を選択できる上、物流の知見があるため輸送や保管の効率を考慮した包装設計を期待できる。
日通NECロジスティクスは包装設計と評価試験を車の両輪と捉えて、包装関連業務を展開している。
CADによる設計、品質評価センター内にあるサンプルカッターなどを用いた自社設備での試作、試作品の各種試験(落下、振動、圧縮、温湿度など)を行い、評価試験で包装設計の内容に過不足がある場合は改善のため再設計を実施する。
これら一連の業務を同一の場所で行うことで、完成までのリードタイムを大幅に短縮できる。
同社の包装設計の受託案件の内訳はNECグループ関連が約6割、それ以外が4割程度となっており、幅広い企業に対して包装を用いた物流効率化を支援している。
同社の手掛けた包装改善が物流コストの削減につながった事例の一つに、コンビニエンスストアに設置されている大型複合機などを操作する複合機コントローラー端末の包装改善がある。
従来はコントローラー端末を外装箱で覆う形で包装していた。
資材の使用量を削減するため外装箱を取り払い、代わりに四辺に柱上の緩衝資材を配置。
さらに底部の突起部分を改良して、外箱がなくても輸送時などに隣同士の端末と接触しない包装を実現した。
包装材の使用量を14%削減、資材費も33%削減された。
この事例では輸送効率を高める改善も行った。
改良前は4トンワイドボディ車の荷台に1列4台×7列の計28台を積載していた。
ハンドフォークリフトの爪の差し込み口が長方形の短辺にあるため、その積載方法を採用していた。
それに対して日通NECロジスティクスの包装技術部は長辺の部分にも爪を差し込めるように包装設計の変更を提案した。
それによって同じ4トンワイドボディ車の荷台に1列3台×11列の計33台を積載することができる。
これが採用されて、積載効率は18%向上した。
もう一つの事例はリユース可能な大型モニター用の通い箱だ。
展示会やイベントなどで使用される社内備品やリース向けの大型モニターは異なる会場で繰り返し使用される。
しかし、従来は新品販売用の外箱をそのまま利用していた。
繰り返し使用することを想定して設計された包装ではないため、数回の利用で破損して使えなくなってしまう。
その場合には拠点で汎用資材などを使って包装していたが、工数がかかっていた。
そこでリユース可能なプラスチック製の包装機材を新たに開発した。
大型モニターの背面に固定用板を配置し、モニターの上からカバーを被せた後にマジックバンドで固定する。
30インチ~55インチ用と60インチ~75インチ用の2種類を設計した。
60インチ超のモニターは手荷役が難しいため底部に移動用のキャスターも備えているほか、カバーを上から被せる作業ができないため、左右に分かれるスライド式カバーを採用した。
ありあわせの材料を使っていた従来と比較すると、使用資材の量と資材費を大きく圧縮。
サイズに合わせた設計の実現により、積載効率も15%向上した。
製品開発元と連携した包装改善にも力を入れている。
その際に重視するのは物流部分を含めたトータルでの最適化だ。
例えば、製品の開発時に後工程となる輸送が考慮されていないと、緩衝材を製品に当てる部位や必要な面積を確保できないといったことがおきる。
緩衝材の複雑化や包装資材費、輸送費の増加を招く。
「そうした課題を解決するため、製品設計部門との情報交換を可能な限り行うようにしている。
製品の仕様が決まる前工程に入り、後工程を考慮した製品形状に関する意見提案を実施している」と日通NECロジスティクスの佐々木佳之包装技術部長は語る。
各種評価試験と設計を連動 最適な包装を設計する際に重要なのが製品単体と包装の評価試験だ。
基本的には同じ設備を使用する。
日通NECロジスティクスの品質評価センターは日本産業規格や国際規格などの主要な規格の大半に対応しているほか、国内では数社のみが保有する国際安全輸送協会(ISTA)の認定試験所でもある。
国内では医療機器や事務機器などで多く使用されている包装試験規格で、米国向けでISTA準拠の包装要求が増えていることから試験ニーズは高い。
危険物の航空・海上輸送に必要なUN規格に対応した指定試験場でもある。
UN規格に対応した試験設備を保有していない場合は他の試験所で試験する必要があり、ワンストップの開発が難しい。
UN容器は梱包重量100キログラム程度の資材を落下させるといった試験も行うため、地面を数メートル掘り下げて固めるなどの措置が必要だ。
これらの機能を備えた日通NECロジスティクスの品質評価センターでの受託実績は直近で年間450件近くに達しており、コロナ前は年間500件を超えていた。
近年、顧客の顔ぶれは大きく変わっている。
14年ごろの評価試験の受託状況はNECグループが約8割でそれ以外が約2割だった。
21年度はNECグループが約3割、それ以外が約7割とほぼ逆転している。
医療機器、複写機、自動車、自動車部品、産業用機器、通信機器、楽器、加工食品、包装資材まで幅広いメーカーが利用している。
評価試験の顧客がそのまま包装設計の顧客となるケースも増えてきている。
佐々木佳之部長は「評価試験と包装設計を連携させることで業務の幅を拡大し、包装を通じた物流最適化に貢献していきたい」と期待している。
