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2022年11月号
特集

CJPT イオンとの協業をサプライチェーン全域に拡大

トヨタ方式を応用して積載率向上  トヨタ自動車は昨年4月、イオングループの物流機能会社のイオングローバルSCMと物流改善およびカーボンニュートラルの実現に向けた協業で合意した。
その最前線「イオン南大阪RDC」での取り組みには、トヨタをはじめ、いすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業などで組織するCJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)の混成チームがあたった。
 同センターから店舗に配送する2次輸送を対象に、トヨタ生産方式(TPS)に基づく庫内作業の改善と、コネクティッド技術を用いた配送の効率化という二つの切り口で改善に取り組んだ。
その結果、実証実験段階ながら積載率の向上や便数の削減などにより10%〜15%の効率化が実現した。
 CJPTの木全隆憲プロジェクトリーダーは「単に物流コストを削減するだけでなく、同時に作業を楽にするという方針をとった。
そのために、われわれが実際に現場に入り込んで働く人たちの声を聞き、自ら作業も体験して困り事を把握した。
現場の人たちに受け入れてもらえたことが大きかった」という。
 TPSに基づく構内作業の改善では「荷量を減らす」という視点から、折りたたみ式コンテナ(オリコン)の充填率の向上と、納品トラックに搭載するカート台車の積載率向上を図った。
 同センターでは、バラ商品をオリコンに詰めて店舗に納品している。
従来そのピッキング作業は、平台車に空のオリコンを載せて商品を投入していき、1箱ずつ完成させてふたを閉じるというやり方だった。
一度、完成させたオリコンは後から中身を入れ替えたりできないため、オリコンの充填率にはかなりのバラツキがあった。
 例えばオリコンが7割埋まった状態で、次に投入する商品が残りのスペースに収まらなかった場合には、新しいオリコンを仕立てて投入することになる。
最初のオリオンは3割が空いた状態で閉じられ、そのまま店舗に納品されてしまう。
 そこで新たに1段2個×2段=計4個のオリコンを、四つとも口が開いた状態で搭載できるドーリーを現場で作り上げた(写真1)。
商品の大きさとオリコンの空きを比べて投入先を選ぶことで、容積いっぱいまで荷物を詰められる。
商品の量は同じでもオリコンの数を集約できる。
 作業性に配慮して、ドーリーの仕様も工夫した。
腰を曲げる動作などを低減して荷物が投入しやすくなるように、ドーリーの高さや奥行き、オリコンの角度などを調整した。
下の段は引き出し式にして、オリコンがいっぱいになったら押し込んで奥行きを短くできる構造にした。
 さらに、現場の感想を聞き、手を使わなくても足を使ってドーリーを操作できるように改良した。
CJPTの円能寺裕介主幹は「作業員は手にハンディターミナルを持っているので、足が使えると作業がぐっと楽になる。
これも現場でないと気付かないアイデアだった」という。
 納品トラックに積み込むカート台車の積載率にも改善の余地があった。
そこで、構内作業員がカートに荷物を積み込む作業から、カートの積載率を「検品」して、ドライバーがカートをトラックに積み込むまでの一連の工程を見直した。
 TPSにおいては、異常の検知やさらなる改善を進めるために「現場の見える化」が不可欠とされる。
その考え方に基づいて、「指示ビラ」と呼ぶツールを作成してその運用法やカートの置き場所を明確に定めた。
 新たな運用は次の通り。
まずカートに荷物を積んだ作業員が、積み込み済みのカートに「検品待ち」と印字された指示ビラ(写真2の❶)をかけて、カートを検品ゾーンに運ぶ。
それを検品者がチェックして積み荷を調整する。
検品には品質・納期を意識できるライン班長などの現場リーダーがあたる。
 十分な積載率を確認できたら検品は完了、指示ビラを裏返す。
そこには納品先の店名とQRコードが印字されている(❷)。
1枚の指示ビラの両面を使って「未検品」と「検品終了」のステータスが分かるようにした。
 QRコードをスマートフォンで読み込むと検品の終了がシステムに伝わる(❸)。
それによってシステムは各店舗向けの出荷準備の進捗をリアルタイムで把握して、最適化ロジックに基づき効率的な配送計画を立案、ドライバーのスマートフォンにタイムリーに積載指示を送る(❹)。
九州で流通全体の最適化に挑む  一方、配送の効率化はコネクティッド技術を用いてシステム的にアプローチした。
従来は、過去の出荷実績や需要予測に基づいて配送の前日に荷量を確定して配車計画を組んでいた。
当日になって実際の荷量が見込みより少なくても、低積載のまま走らせるか、現場の判断で積載率をできる限り上げる努力をするしかなかった。
 そのやり方を改め、当日の荷物情報と稼働可能な車両情報、そしてリアルタイムの交通情報を基に配送計画を高速で更新していくシステムを構築した。
本来であれば受発注情報から当日の荷量を確定して完全にムダのない配車計画を組むのが理想だが、現状ではそれを実現できるほど物流のデジタル化が進んでいないため、カートに積み付けを完了した時点で当日の荷量を確定するという次善策をとっている。
 それでもリアルタイムに荷物をトラッキングして時間帯ごとに最適な輸送計画を作成できるようになった。
一般的に1日の最終便や少量店舗は端数が出やすく、積載率が低くなる傾向にある。
しかし、最終便を待たずに端数の荷物や少量店舗を混載することが可能になり、総走行距離・便数を削減できた。
 さらに今年9月、九州エリアにあるイオングループの全ての物流センターを対象にした物流改革に着手した。
イオン九州、イオングローバルSCM、CJPTの3社が協働して、南大阪での取り組みをサプライチェーンの上流・下流に拡大する。
メーカーや卸を巻き込んでサプライチェーン全体の情報をつないで全体最適化を図る。
 今年8月にイオン九州の主導で、サンリブ、ハローデイ、西鉄ストア、西友(サニー)、トライアルなど、チェーンストア13社で発足した九州物流研究会とも情報を共有する。
 CJPTの社長を兼務するトヨタ自動車の中嶋裕樹CVカンパニープレジデント/Mid-size Vehicleカンパニープレジデントは「われわれはまだ勉強中。
それでも、お客さまの現場に徹底的に入らせてもらうことで、若いエンジニアがどんどんと育っている。
そうやって物流の“目利き”ができる人材を育て、多くのお客さまに対してそれぞれ最適な提案ができる体制を整えていきたい。
それがCJPTに期待されている役割だと受けとめている」という。

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