2022年11月号
特集
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NTTロジスコ “名人”の作業を動画で分析してノウハウ共有
ボトムアップで改善策を錬る
NTTロジスコグループは昨年度、庫内作業を可視化するためKURANDOの「ロジメーター」を全国20カ所の全拠点に導入した。
ピッキング、検品、仕分けなど、各作業を開始するタイミングで、作業者がスマートフォンで作業エリアのQRコードを読み取る。
これによって、個々人の作業別所要時間を高い精度で可視化できるようになった。
このデータを基に同グループの名古屋物流センターでは、作業者間の生産性のばらつきをなくす改善活動に取り組んだ。
同センターでは約35人の庫内スタッフが、NTTのモデムやルーターなどの通信機器やネットワーク設備を取り扱っている。
そのうち通信機器チーム4人のピッキングから仕分け・出荷までの全工程を改善の対象とした。
一番作業の速いスタッフをモデルとして、速く作業できるのはなぜなのか、そのノウハウを他のスタッフと共有するにはどうすればいいのかを検証することにした。
実は過去にも同様の試みはあった。
管理職が現場入りして作業者へのヒアリングと指導を行った。
しかし、言葉や書類での説明では課題やノウハウを共有しきれなかった。
そこで今回は、改善活動メンバーが発案した「現場作業を動画撮影した上での動作検証」を採用するとともに、トップダウンではなく部門のスタッフ全員で意見を出し合うボトムアップ形式をとった。
具体的には次の四つの作業を調査した。
①ピッキングした商品をオリコンに投入する方法 ②ピッキング台車に載せるオリコンの数 ③ピッキング棚への商品補充 ④ピッキング棚に保管している商品外装箱の開封 「①ピッキングした商品をオリコンに投入する方法」に関して、従来は作業者によって商品の置き方がバラバラだった。
しかし、オリコン内に商品を横向きに置くと商品が重なり、後工程の検品時に商品を取り出して数える手間が増えたり、オリコンへの戻し忘れが発生したりすることがあった。
そこで、商品が重ならないよう縦向きに置くことで統一した。
「②ピッキング台車に載せるオリコンの数」は、通常は1台の台車にオリコン2個を並べて載せている。
ところが作業が速いスタッフは台車の下段にも予備のオリコンを載せていた。
そのためオーダー件数や商品のサイズによって、1オーダーが一つのオリコンに収まらなかった場合でも追加のオリコンを取りに戻らずに済んでいた。
そこで全員が予備オリコンを載せることにして、歩行動作を削減した。
「③ピッキング棚への商品補充」では、ピッキング棚に商品を補充する際に必ず物品コードやバーコードの表示面を手前にそろえるようにルール化した。
これによってピッキング時のスキャナーでの読み取りが素早くなった。
誤ピッキングも防ぐ効果もあった。
「④ピッキング棚に保管している商品外装箱の開封」に、新たにルールを設けた。
同センターでは従来から1日の出荷分を前もって外装箱から取り出し、商品を取り出しやすいようバラ積みにしてピッキング棚に置いていた。
しかし、出荷量の見込み違いなどでピッキング棚の在庫が空になることがあった。
そこで最後の1個をピッキングした作業者が新しい外装箱を開封して商品を取り出すというルールにした。
さらに改善活動チームの定点観測を通じて、次の四つの作業環境の課題が確認された。
a.ピッキング準備 b.検品エリアが狭い c.オリコンの蓋が取りづらい d.オリコンのオーダーリスト添付面が分かりにくい 「a.ピッキング準備」には「オーダーラベルを取る」「ピッキング台車にオリコンを設置する」「組み立てたオリコンに付いている古いリストをゴミ箱へ捨てる」という三つの作業がある。
それぞれの作業を行う場所や動線が作業者任せになっていた。
オーダーラベルの置き場から離れた場所に台車を停めて、ラベルを取りに空歩行する作業者が観察された。
また、オーダーラベル、オリコン、ゴミ箱の置き場所が1カ所に集中していたことから、複数の作業者が同時に準備を行うと渋滞が起きていた。
そこで改善策として、「ピッキング台車の通路を2車線に広げる」「2車線の中央にオーダーラベル置き場とゴミ箱を設置する」「通路を挟んだ左右にオリコン置き場を設置する」というレイアウト変更を行った。
これにより最大2人が同時に準備できるようになり、かつ三つの動作を同時に行えるようになった。
その結果、ピッキングの事前準備に要する時間を1回当たり5〜7秒短縮できた。
「b.検品エリアが狭い」ことが、渋滞が発生する一つの要因になっていた。
他の検品作業者や通路を通るピッキング作業者と衝突する恐れもあった。
そこで検品エリアと隣接する仕分けエリアとレイアウトを調整して、十分なスペースを確保した。
「c.オリコンの蓋が取りづらい」ことも分かった。
カゴ車に蓋を積んで保管していたため、四方あるうちの一つの面からしか蓋が取れない。
複数の作業者が蓋を取ろうとして混雑することがあった。
そこでカゴ車をどの方向からでも蓋が取れるコロ台車に変更して、保管箇所も1カ所から2カ所に増やした。
「d.オリコンのオーダーリスト添付面が分かりにくい」ことも判明した。
オリコンにオーダーリストを挟む位置は従来から統一しており、その面には赤いタックシールを貼って目印としていた。
しかし、オリコンを畳んだ状態では目印が見えず、台車上で組み立ててから向きを直す作業が発生していた。
オリコンを畳んだ状態でも見えるように目印の位置を変更した。
5カ月間の活動で生産性25%向上 一連の改善活動の結果、通信機器チームの1件当たり平均作業時間は、21年5月の57・6秒から、同年9月には45・9秒へと、11・7秒=25・5%短縮された。
月間49・4時間に相当する作業時間の削減が実現した。
4人の個人別生産性もそれぞれ改善された。
A氏は41・3秒から32・0秒、B氏は65・56秒から56・42秒、C氏は89・98秒から37・90秒、D氏は58・98秒から35・04秒となって、個人間のバラツキも小さくなった。
作業時間が削減されたことで、センター内の他のチームの繁忙期における応援体制を強化することができた。
続いてネットワーク機器チームでも、同様の改善活動を実施することを検討している。
ピッキング、検品、仕分けなど、各作業を開始するタイミングで、作業者がスマートフォンで作業エリアのQRコードを読み取る。
これによって、個々人の作業別所要時間を高い精度で可視化できるようになった。
このデータを基に同グループの名古屋物流センターでは、作業者間の生産性のばらつきをなくす改善活動に取り組んだ。
同センターでは約35人の庫内スタッフが、NTTのモデムやルーターなどの通信機器やネットワーク設備を取り扱っている。
そのうち通信機器チーム4人のピッキングから仕分け・出荷までの全工程を改善の対象とした。
一番作業の速いスタッフをモデルとして、速く作業できるのはなぜなのか、そのノウハウを他のスタッフと共有するにはどうすればいいのかを検証することにした。
実は過去にも同様の試みはあった。
管理職が現場入りして作業者へのヒアリングと指導を行った。
しかし、言葉や書類での説明では課題やノウハウを共有しきれなかった。
そこで今回は、改善活動メンバーが発案した「現場作業を動画撮影した上での動作検証」を採用するとともに、トップダウンではなく部門のスタッフ全員で意見を出し合うボトムアップ形式をとった。
具体的には次の四つの作業を調査した。
①ピッキングした商品をオリコンに投入する方法 ②ピッキング台車に載せるオリコンの数 ③ピッキング棚への商品補充 ④ピッキング棚に保管している商品外装箱の開封 「①ピッキングした商品をオリコンに投入する方法」に関して、従来は作業者によって商品の置き方がバラバラだった。
しかし、オリコン内に商品を横向きに置くと商品が重なり、後工程の検品時に商品を取り出して数える手間が増えたり、オリコンへの戻し忘れが発生したりすることがあった。
そこで、商品が重ならないよう縦向きに置くことで統一した。
「②ピッキング台車に載せるオリコンの数」は、通常は1台の台車にオリコン2個を並べて載せている。
ところが作業が速いスタッフは台車の下段にも予備のオリコンを載せていた。
そのためオーダー件数や商品のサイズによって、1オーダーが一つのオリコンに収まらなかった場合でも追加のオリコンを取りに戻らずに済んでいた。
そこで全員が予備オリコンを載せることにして、歩行動作を削減した。
「③ピッキング棚への商品補充」では、ピッキング棚に商品を補充する際に必ず物品コードやバーコードの表示面を手前にそろえるようにルール化した。
これによってピッキング時のスキャナーでの読み取りが素早くなった。
誤ピッキングも防ぐ効果もあった。
「④ピッキング棚に保管している商品外装箱の開封」に、新たにルールを設けた。
同センターでは従来から1日の出荷分を前もって外装箱から取り出し、商品を取り出しやすいようバラ積みにしてピッキング棚に置いていた。
しかし、出荷量の見込み違いなどでピッキング棚の在庫が空になることがあった。
そこで最後の1個をピッキングした作業者が新しい外装箱を開封して商品を取り出すというルールにした。
さらに改善活動チームの定点観測を通じて、次の四つの作業環境の課題が確認された。
a.ピッキング準備 b.検品エリアが狭い c.オリコンの蓋が取りづらい d.オリコンのオーダーリスト添付面が分かりにくい 「a.ピッキング準備」には「オーダーラベルを取る」「ピッキング台車にオリコンを設置する」「組み立てたオリコンに付いている古いリストをゴミ箱へ捨てる」という三つの作業がある。
それぞれの作業を行う場所や動線が作業者任せになっていた。
オーダーラベルの置き場から離れた場所に台車を停めて、ラベルを取りに空歩行する作業者が観察された。
また、オーダーラベル、オリコン、ゴミ箱の置き場所が1カ所に集中していたことから、複数の作業者が同時に準備を行うと渋滞が起きていた。
そこで改善策として、「ピッキング台車の通路を2車線に広げる」「2車線の中央にオーダーラベル置き場とゴミ箱を設置する」「通路を挟んだ左右にオリコン置き場を設置する」というレイアウト変更を行った。
これにより最大2人が同時に準備できるようになり、かつ三つの動作を同時に行えるようになった。
その結果、ピッキングの事前準備に要する時間を1回当たり5〜7秒短縮できた。
「b.検品エリアが狭い」ことが、渋滞が発生する一つの要因になっていた。
他の検品作業者や通路を通るピッキング作業者と衝突する恐れもあった。
そこで検品エリアと隣接する仕分けエリアとレイアウトを調整して、十分なスペースを確保した。
「c.オリコンの蓋が取りづらい」ことも分かった。
カゴ車に蓋を積んで保管していたため、四方あるうちの一つの面からしか蓋が取れない。
複数の作業者が蓋を取ろうとして混雑することがあった。
そこでカゴ車をどの方向からでも蓋が取れるコロ台車に変更して、保管箇所も1カ所から2カ所に増やした。
「d.オリコンのオーダーリスト添付面が分かりにくい」ことも判明した。
オリコンにオーダーリストを挟む位置は従来から統一しており、その面には赤いタックシールを貼って目印としていた。
しかし、オリコンを畳んだ状態では目印が見えず、台車上で組み立ててから向きを直す作業が発生していた。
オリコンを畳んだ状態でも見えるように目印の位置を変更した。
5カ月間の活動で生産性25%向上 一連の改善活動の結果、通信機器チームの1件当たり平均作業時間は、21年5月の57・6秒から、同年9月には45・9秒へと、11・7秒=25・5%短縮された。
月間49・4時間に相当する作業時間の削減が実現した。
4人の個人別生産性もそれぞれ改善された。
A氏は41・3秒から32・0秒、B氏は65・56秒から56・42秒、C氏は89・98秒から37・90秒、D氏は58・98秒から35・04秒となって、個人間のバラツキも小さくなった。
作業時間が削減されたことで、センター内の他のチームの繁忙期における応援体制を強化することができた。
続いてネットワーク機器チームでも、同様の改善活動を実施することを検討している。
