2022年7月号
特集
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SBSホールディングス 「誰もやらないからわれわれが挑戦する」
延べ30万坪のECプラットフォーム
──最新設備をふんだんに実装したSBSグループ初の自動化センター『物流センター横浜金沢』が、2021年9月に稼働しました。
「現在、当社では30年までにEC物流事業の売上高を1千億円に拡大する『EC1000』というプロジェクトが始まっています。
その拠点となるECプラットフォームを各地に作っています。
『横浜金沢』もその一つです。
1千億円を受託するとなると恐らく30万坪くらいのスペースが必要になる。
その土地を用意して倉庫を建てる準備を進めています。
既に20万坪程度の用地の手当てが済んでいます」 ──EC物流の売り上げで1千億円となると、荷主の流通総額は5千億円以上になるはずです。
「それだけのEC貨物を取り扱うようになれば、大消費地を中心とする全国の7割くらいのお客さまに、完全にわれわれ自身の力で荷物を届けられるようになります。
ECプラットフォームと並行して、その全国ネットワークも作ります。
宅配大手にいつまた値上げされるか分からないような状態のままでは、お客さまから支持をもらえません。
割安な土地を探してそこに倉庫を建て、ロボットを導入して最後に届けるところまで当社で完結させます。
まだ誰も実現したことのない、全部そろったEC物流サービスに挑戦します」 ──グループのSBS即配サポートは従来からアマゾンジャパンの「デリバリープロバイダ」を務めています。
他にも各地に地域宅配会社が立ち上がっています。
今や大手宅配に頼らなくてもラストワンマイルはカバーできるのでは? 「どこも下請けとしてやっているだけなので、そこに別の荷物は流せません。
(デリバリープロバイダは)エリアを面で押さえているわけでもない。
当社はMonotaROさんの配送を受託して全国の商圏の7割近くをカバーしていますがあくまでBtoBです。
当社以外にもBtoBの宅配をやっているところはありますがCはない」 「今のところCは宅配大手3社の寡占状態です。
そのためいずれまた値上げになる。
3社で申し合わせているわけではなくても、他より安い値段だと荷物が集まり過ぎて現場がパンクしてしまう。
荷物を押し返すには値段を上げるしかない。
それだけECの荷物が増えているということです。
しかも今後さらに倍近くまで増えると見られている。
そのことにさまざまな会社が恐れを感じて、当社に『早く配送網を作ってほしい』と相談に来ています。
そうした期待に強く応えていきたい」 ──ECプラットフォームで先行した企業はどこも収益化に苦戦しているようです。
「機械への投資を先行させたからだと思います。
当社は小さな案件まで集めると既に200億円近くのEC物流を受託しています。
それだけの実績とノウハウがある。
ただし、それをこれまでは人手でピッキングしていた。
今後はその仕事を自動化倉庫に移していく。
その施設で新しいお客さまもどんどん取っていく。
その結果、設備の稼働率が上がり、ローコストになっていく」 ──「フルフィルメント by Amazon(FBA)」や「楽天スーパーロジスティクス」と同じモデルです。
しかし、ECモールは必ずしも物流サービスで利益を上げる必要はない。
実際、恐らくは赤字です。
「ECモール以外にも通販物流を受託している純粋な物流会社はたくさんあります。
ECモールと違って赤字であれば彼らは当然仕事を受けません。
ということは、通販物流会社が今100人でやっている作業のうち30人分をロボットに置き換えたとして、その投資を何年で償却するのか、という計算ができれば赤字にはならない」 「ただし、失敗するリスクもあるから物流会社は普通は勝負に出られない。
もちろん当社にしても同じです。
投資をして赤字になって苦しんで苦しんで、何で赤字になるのかみんなで知恵を絞って検証して、というプロセスを今やっている。
これが何年続くのかは分からない。
ひょっとしたらロボットにそこまでの生産性はないのかもしれない。
それでも誰かが試してみなければ分かりません。
誰もやらないからわれわれがやるんです。
腹をくくって諦めずに投資を続けてどこかで黒字化すれば、そこからは一気に広げられる」 3〜5年の償却が自動化投資の目安 ──物流業が装置産業化すると言われています。
「少なくとも設備の償却を計算できるようになる」 ──物流業が資金力の勝負になれば異業種が参入します。
「お金を払えば何でもできると思って参入しても、ロジスティクスを設計できず、設備を使いこなせなければ、いくら投資をしてもうまくいくはずがありません。
そもそも庫内作業の全部が全部、ロボットに置き換わるわけではありません。
決まった商材だけを扱うECであれば7割程度はロボット化できるかもしれない。
しかし、多岐にわたる商品を扱う場合は3〜4割がせいぜい。
24時間稼働にしたときに5割を目指すというレベルではないかと見ています。
残りは結局、人手でやるわけです」 「それでも大規模センターを新設して人手だけで回せば500人から1千人が必要になります。
もはやそれだけの人を集められる時代ではありません。
そのためかなり前から自動化を研究してきました。
シリコンバレー、中国、欧州など世界中のロボットを試して、シリコンバレーの投資ファンドに資金も入れて、われわれにとって最適なロボットを今も探し続けています」 「しかし、今のところロボットアームを使うような大がかりな自動化設備を人件費の削減効果だけで償却しようとしたら10年かかる。
それでは合いません。
3年からせいぜい5年で償却できることが一つの目安です。
そうなると当面、ピッキングは棚搬送型ロボットが主流になる。
今度、愛知県に新設する大規模センターには200台くらいを大量導入します」 ──「横浜金沢」にはオートストアも導入しました。
「横浜金沢は立地がいいので賃料が高い。
そのため天井までスペースを生かす必要がありました。
実際、オートストアを導入することで2千坪くらい多く使えるようになりました。
しかし、賃料がもっと安ければ棚搬送ロボットでいい」 ──SBSHDは20年4月にIT企画部とLT企画部をそれぞれ新設しました。
なぜそのタイミングだったのでしょうか。
「それ以前はグループ全体でもITの担当者が50〜60人、LT(ロジスティクステクノロジー)は5〜6人しかいませんでした。
それが現在はITが約200人、LTも50〜60人まで増えました。
その多くが以前は大手メーカーで生産管理やITを担当してきた優秀なエンジニアたちです。
リコーロジ(現SBSリコーロジスティクス)をはじめ、当社がメーカーの物流子会社を買収したことでグループに入ってきた人材です。
それをホールディングに移して、グループ横断の機能部隊に再編しました。
今はECセンターの開発などの仕事に当たっている。
物流業界でこれだけのエンジニアリング部隊を抱えている会社は恐らくそうはない。
当社も自力ではとても採用できない。
そこまで計算して買収したわけではありませんが、M&Aにはそうしたダイナミズムがあるんです」
「現在、当社では30年までにEC物流事業の売上高を1千億円に拡大する『EC1000』というプロジェクトが始まっています。
その拠点となるECプラットフォームを各地に作っています。
『横浜金沢』もその一つです。
1千億円を受託するとなると恐らく30万坪くらいのスペースが必要になる。
その土地を用意して倉庫を建てる準備を進めています。
既に20万坪程度の用地の手当てが済んでいます」 ──EC物流の売り上げで1千億円となると、荷主の流通総額は5千億円以上になるはずです。
「それだけのEC貨物を取り扱うようになれば、大消費地を中心とする全国の7割くらいのお客さまに、完全にわれわれ自身の力で荷物を届けられるようになります。
ECプラットフォームと並行して、その全国ネットワークも作ります。
宅配大手にいつまた値上げされるか分からないような状態のままでは、お客さまから支持をもらえません。
割安な土地を探してそこに倉庫を建て、ロボットを導入して最後に届けるところまで当社で完結させます。
まだ誰も実現したことのない、全部そろったEC物流サービスに挑戦します」 ──グループのSBS即配サポートは従来からアマゾンジャパンの「デリバリープロバイダ」を務めています。
他にも各地に地域宅配会社が立ち上がっています。
今や大手宅配に頼らなくてもラストワンマイルはカバーできるのでは? 「どこも下請けとしてやっているだけなので、そこに別の荷物は流せません。
(デリバリープロバイダは)エリアを面で押さえているわけでもない。
当社はMonotaROさんの配送を受託して全国の商圏の7割近くをカバーしていますがあくまでBtoBです。
当社以外にもBtoBの宅配をやっているところはありますがCはない」 「今のところCは宅配大手3社の寡占状態です。
そのためいずれまた値上げになる。
3社で申し合わせているわけではなくても、他より安い値段だと荷物が集まり過ぎて現場がパンクしてしまう。
荷物を押し返すには値段を上げるしかない。
それだけECの荷物が増えているということです。
しかも今後さらに倍近くまで増えると見られている。
そのことにさまざまな会社が恐れを感じて、当社に『早く配送網を作ってほしい』と相談に来ています。
そうした期待に強く応えていきたい」 ──ECプラットフォームで先行した企業はどこも収益化に苦戦しているようです。
「機械への投資を先行させたからだと思います。
当社は小さな案件まで集めると既に200億円近くのEC物流を受託しています。
それだけの実績とノウハウがある。
ただし、それをこれまでは人手でピッキングしていた。
今後はその仕事を自動化倉庫に移していく。
その施設で新しいお客さまもどんどん取っていく。
その結果、設備の稼働率が上がり、ローコストになっていく」 ──「フルフィルメント by Amazon(FBA)」や「楽天スーパーロジスティクス」と同じモデルです。
しかし、ECモールは必ずしも物流サービスで利益を上げる必要はない。
実際、恐らくは赤字です。
「ECモール以外にも通販物流を受託している純粋な物流会社はたくさんあります。
ECモールと違って赤字であれば彼らは当然仕事を受けません。
ということは、通販物流会社が今100人でやっている作業のうち30人分をロボットに置き換えたとして、その投資を何年で償却するのか、という計算ができれば赤字にはならない」 「ただし、失敗するリスクもあるから物流会社は普通は勝負に出られない。
もちろん当社にしても同じです。
投資をして赤字になって苦しんで苦しんで、何で赤字になるのかみんなで知恵を絞って検証して、というプロセスを今やっている。
これが何年続くのかは分からない。
ひょっとしたらロボットにそこまでの生産性はないのかもしれない。
それでも誰かが試してみなければ分かりません。
誰もやらないからわれわれがやるんです。
腹をくくって諦めずに投資を続けてどこかで黒字化すれば、そこからは一気に広げられる」 3〜5年の償却が自動化投資の目安 ──物流業が装置産業化すると言われています。
「少なくとも設備の償却を計算できるようになる」 ──物流業が資金力の勝負になれば異業種が参入します。
「お金を払えば何でもできると思って参入しても、ロジスティクスを設計できず、設備を使いこなせなければ、いくら投資をしてもうまくいくはずがありません。
そもそも庫内作業の全部が全部、ロボットに置き換わるわけではありません。
決まった商材だけを扱うECであれば7割程度はロボット化できるかもしれない。
しかし、多岐にわたる商品を扱う場合は3〜4割がせいぜい。
24時間稼働にしたときに5割を目指すというレベルではないかと見ています。
残りは結局、人手でやるわけです」 「それでも大規模センターを新設して人手だけで回せば500人から1千人が必要になります。
もはやそれだけの人を集められる時代ではありません。
そのためかなり前から自動化を研究してきました。
シリコンバレー、中国、欧州など世界中のロボットを試して、シリコンバレーの投資ファンドに資金も入れて、われわれにとって最適なロボットを今も探し続けています」 「しかし、今のところロボットアームを使うような大がかりな自動化設備を人件費の削減効果だけで償却しようとしたら10年かかる。
それでは合いません。
3年からせいぜい5年で償却できることが一つの目安です。
そうなると当面、ピッキングは棚搬送型ロボットが主流になる。
今度、愛知県に新設する大規模センターには200台くらいを大量導入します」 ──「横浜金沢」にはオートストアも導入しました。
「横浜金沢は立地がいいので賃料が高い。
そのため天井までスペースを生かす必要がありました。
実際、オートストアを導入することで2千坪くらい多く使えるようになりました。
しかし、賃料がもっと安ければ棚搬送ロボットでいい」 ──SBSHDは20年4月にIT企画部とLT企画部をそれぞれ新設しました。
なぜそのタイミングだったのでしょうか。
「それ以前はグループ全体でもITの担当者が50〜60人、LT(ロジスティクステクノロジー)は5〜6人しかいませんでした。
それが現在はITが約200人、LTも50〜60人まで増えました。
その多くが以前は大手メーカーで生産管理やITを担当してきた優秀なエンジニアたちです。
リコーロジ(現SBSリコーロジスティクス)をはじめ、当社がメーカーの物流子会社を買収したことでグループに入ってきた人材です。
それをホールディングに移して、グループ横断の機能部隊に再編しました。
今はECセンターの開発などの仕事に当たっている。
物流業界でこれだけのエンジニアリング部隊を抱えている会社は恐らくそうはない。
当社も自力ではとても採用できない。
そこまで計算して買収したわけではありませんが、M&Aにはそうしたダイナミズムがあるんです」
