2022年7月号
特集
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APT 異色の非メーカー系倉庫インテグレーター
ユーザーに選択肢を提供
APTは他社製自動倉庫のリニューアルと自動化センターの構築を手掛けるインテグレーターだ。
自動倉庫のリニューアル実績は1千件を超える。
客の8割は製造業、2割が物流業となっている。
APTのような独立系アフターサービス事業者はマテハン業界には珍しい。
同事業は20年以上前、前身のソフトウエア開発会社である日本アプト時代に開始した。
同社は小松フォークリフト製自動倉庫のシステム開発を手掛けていた。
そこに他社製の自動倉庫のユーザー企業からリニューアルの相談が舞い込んだことをきっかけに、アフターサービス事業に進出した。
自動倉庫システムの仕様はメーカーごとに異なるため、開発元でなければ整備やリニューアルは難しい。
しかし、同社は自動倉庫の動きと、0と1だけで構成された制御信号の文字列を一つ一つ照合して、主要メーカー各社の信号を全て解析して代替システムを開発していった。
2009年に現在のAPTに社名を変更、自動倉庫システムのリニューアルを事業の中核に据えた。
実績を重ねていくうち、「工場内に混在している複数メーカーの制御システムを連携したい」「最適なマテハンベンダーを選定する代理人になってほしい」といった相談が持ち込まれるようになった。
現在、同社には日本アプト時代からの技術者が8人在籍しており、APTになって以降もメーカー出身の技術者を採用している。
栗原勇人ソリューション営業本部第一営業部部長は「システムの解析・開発から機器の制御、ハードウエアの修繕まで幅広い分野の技術者がそろっている企業は、メーカー以外にはまず存在しない」という。
この戦力を生かして19年に「倉庫新設事業」を開始した。
さまざまなメーカーのマテハン設備を導入した自動化倉庫を立ち上げる。
3年間で12〜13件の納品実績があり、同社の成長分野となっている。
さらに今年5月10日に、千葉県習志野市茜浜のLandport習志野内にショールームを兼ねた研究開発拠点「KocoLabo(ココラボ)」をオープンした。
パレット保管用ロボットシステム、自動格納システム、仕分けシステム、自動搬送ロボットなどメーカー8社の機器を展示している。
客の相談に応じながら実機で検証やカスタマイズを繰り返して完成度を高めていく。
ユーザーの選択肢を広げるため、海外メーカーのマテハン機器も取り扱い始めた。
第1弾として中国メーカーとの連携を進めている。
アリババや京東(JDドットコム)といった中国EC大手は、自動化やロボット化による倉庫業務の効率化、AIによる需要予測やラストマイル配送の最適化などを推し進めている。
井上良太社長は「その物流力を支える技術に興味が湧いた。
調べてみると、中国のマテハンは何をやりたいのか明確な製品が多い。
たくさんの機能を盛り込んで全能力が平均化しがちな日本製と対照的だ」という。
例えばパレット保管用ロボットシステムの「パレットシャトル」(写真1)。
縦横に移動するシャトルとパレットを置く棚で構成されているが、シャトルが棚の下をくぐり抜けて移動できるため、棚の間に走行レーンを設ける必要がない。
隙間なく荷を置くことができる。
奥にある荷物を直接取り出すことはできないが、収納力を限界まで高めた。
一方で課題も多い。
中国企業は一般に未熟な出来でも世に出して、トラブルを繰り返しながらブラッシュアップしていく傾向がある。
最初から満点を求める日本のものづくりとは文化が異なる。
APTが20年に日本の3PLに納入した中国ギャラクシス社製の自動格納システム「Hive」(写真2)もそうだった。
Hiveは平面を縦横に走行するシャトルがリフターに乗り込んで上下に移動する造りとなっており、少ないシャトルで広範囲をカバーでき、作業の集中しているエリアに柔軟にシャトルを配備できることを特長としている。
しかし、メーカーから納品された当初は「ラック部分はバリ取りもされておらず、シャトルも次の動作に移るたびに待ちが生じ、停止位置の精度も含めて、要所要所の詰めが甘かった」と松井隆治ソリューション開発本部エンジニアリング部KocoLaboチーフマネージャーはいう。
この時は電気配線を組み替えて、PLCをシーメンス製や三菱電機製に変え、APTのソフトウエアで動かすようにして解決した。
現在はKocoLaboに目玉の一つとして展示している。
デモ機はPLCを三菱電機製に入れ替え、APTのソフトウエアで稼働するようにしている。
また、オカムラ製やSUS製のコンベアと統合してある。
割安な中国製ハードを日本向けに改良 Hiveの経験から同社は、「中国製品は改造すれば日本製品に近い性能と品質になる。
ハードウエアの価格は日本製品より2〜3割安いので、APTでソフトに手を加えるコストがかかっても価格競争力を維持できる」(井上社長)との手応えを得た。
現在はギャラクシスやクイックトロンなどメーカー4社と協業しており、KocoLaboで4社の機器を展示している。
いずれの展示機器もAPTのノウハウで制御システムを解析し、自力でトラブル対処したり改良できるようにしていく計画。
協業先は、自動倉庫やAGVなど分野ごとに有望企業2〜3社を現地訪問して選定している。
中国企業との取引では、日中双方の言語や商習慣に精通した現地の協力者が、トラブル対策の面で非常に重要だ。
同社の場合はシステムのオフショア開発委託先の北京APTが、中国企業の発掘からトラブル時の交渉までサポートしている。
客先には20年初頭から現在までに、2社の製品を1件ずつ導入したほか、協業先製品の導入支援も1件手掛けた。
中国製マテハン機器の“駆け込み寺”的な役割も期待されるようになってきた。
APTの実績を耳にした企業などから、「他社から中国のマテハン機器を購入したが動かし方が分からない」「仕様通りの重量を載せたら異音がする。
代理店やメーカーに問い合わせても対応してくれない」といった相談が寄せられている。
井上社長は「中国製品は安いがトラブルも多い。
半面、日本市場はリスク対策にコストをかける習慣が希薄だ。
安さだけで中国製品が導入されるケースが増えているので、トラブル対応が新たなリニューアル市場となる可能性もある」とにらむ。
自動倉庫のリニューアル実績は1千件を超える。
客の8割は製造業、2割が物流業となっている。
APTのような独立系アフターサービス事業者はマテハン業界には珍しい。
同事業は20年以上前、前身のソフトウエア開発会社である日本アプト時代に開始した。
同社は小松フォークリフト製自動倉庫のシステム開発を手掛けていた。
そこに他社製の自動倉庫のユーザー企業からリニューアルの相談が舞い込んだことをきっかけに、アフターサービス事業に進出した。
自動倉庫システムの仕様はメーカーごとに異なるため、開発元でなければ整備やリニューアルは難しい。
しかし、同社は自動倉庫の動きと、0と1だけで構成された制御信号の文字列を一つ一つ照合して、主要メーカー各社の信号を全て解析して代替システムを開発していった。
2009年に現在のAPTに社名を変更、自動倉庫システムのリニューアルを事業の中核に据えた。
実績を重ねていくうち、「工場内に混在している複数メーカーの制御システムを連携したい」「最適なマテハンベンダーを選定する代理人になってほしい」といった相談が持ち込まれるようになった。
現在、同社には日本アプト時代からの技術者が8人在籍しており、APTになって以降もメーカー出身の技術者を採用している。
栗原勇人ソリューション営業本部第一営業部部長は「システムの解析・開発から機器の制御、ハードウエアの修繕まで幅広い分野の技術者がそろっている企業は、メーカー以外にはまず存在しない」という。
この戦力を生かして19年に「倉庫新設事業」を開始した。
さまざまなメーカーのマテハン設備を導入した自動化倉庫を立ち上げる。
3年間で12〜13件の納品実績があり、同社の成長分野となっている。
さらに今年5月10日に、千葉県習志野市茜浜のLandport習志野内にショールームを兼ねた研究開発拠点「KocoLabo(ココラボ)」をオープンした。
パレット保管用ロボットシステム、自動格納システム、仕分けシステム、自動搬送ロボットなどメーカー8社の機器を展示している。
客の相談に応じながら実機で検証やカスタマイズを繰り返して完成度を高めていく。
ユーザーの選択肢を広げるため、海外メーカーのマテハン機器も取り扱い始めた。
第1弾として中国メーカーとの連携を進めている。
アリババや京東(JDドットコム)といった中国EC大手は、自動化やロボット化による倉庫業務の効率化、AIによる需要予測やラストマイル配送の最適化などを推し進めている。
井上良太社長は「その物流力を支える技術に興味が湧いた。
調べてみると、中国のマテハンは何をやりたいのか明確な製品が多い。
たくさんの機能を盛り込んで全能力が平均化しがちな日本製と対照的だ」という。
例えばパレット保管用ロボットシステムの「パレットシャトル」(写真1)。
縦横に移動するシャトルとパレットを置く棚で構成されているが、シャトルが棚の下をくぐり抜けて移動できるため、棚の間に走行レーンを設ける必要がない。
隙間なく荷を置くことができる。
奥にある荷物を直接取り出すことはできないが、収納力を限界まで高めた。
一方で課題も多い。
中国企業は一般に未熟な出来でも世に出して、トラブルを繰り返しながらブラッシュアップしていく傾向がある。
最初から満点を求める日本のものづくりとは文化が異なる。
APTが20年に日本の3PLに納入した中国ギャラクシス社製の自動格納システム「Hive」(写真2)もそうだった。
Hiveは平面を縦横に走行するシャトルがリフターに乗り込んで上下に移動する造りとなっており、少ないシャトルで広範囲をカバーでき、作業の集中しているエリアに柔軟にシャトルを配備できることを特長としている。
しかし、メーカーから納品された当初は「ラック部分はバリ取りもされておらず、シャトルも次の動作に移るたびに待ちが生じ、停止位置の精度も含めて、要所要所の詰めが甘かった」と松井隆治ソリューション開発本部エンジニアリング部KocoLaboチーフマネージャーはいう。
この時は電気配線を組み替えて、PLCをシーメンス製や三菱電機製に変え、APTのソフトウエアで動かすようにして解決した。
現在はKocoLaboに目玉の一つとして展示している。
デモ機はPLCを三菱電機製に入れ替え、APTのソフトウエアで稼働するようにしている。
また、オカムラ製やSUS製のコンベアと統合してある。
割安な中国製ハードを日本向けに改良 Hiveの経験から同社は、「中国製品は改造すれば日本製品に近い性能と品質になる。
ハードウエアの価格は日本製品より2〜3割安いので、APTでソフトに手を加えるコストがかかっても価格競争力を維持できる」(井上社長)との手応えを得た。
現在はギャラクシスやクイックトロンなどメーカー4社と協業しており、KocoLaboで4社の機器を展示している。
いずれの展示機器もAPTのノウハウで制御システムを解析し、自力でトラブル対処したり改良できるようにしていく計画。
協業先は、自動倉庫やAGVなど分野ごとに有望企業2〜3社を現地訪問して選定している。
中国企業との取引では、日中双方の言語や商習慣に精通した現地の協力者が、トラブル対策の面で非常に重要だ。
同社の場合はシステムのオフショア開発委託先の北京APTが、中国企業の発掘からトラブル時の交渉までサポートしている。
客先には20年初頭から現在までに、2社の製品を1件ずつ導入したほか、協業先製品の導入支援も1件手掛けた。
中国製マテハン機器の“駆け込み寺”的な役割も期待されるようになってきた。
APTの実績を耳にした企業などから、「他社から中国のマテハン機器を購入したが動かし方が分からない」「仕様通りの重量を載せたら異音がする。
代理店やメーカーに問い合わせても対応してくれない」といった相談が寄せられている。
井上社長は「中国製品は安いがトラブルも多い。
半面、日本市場はリスク対策にコストをかける習慣が希薄だ。
安さだけで中国製品が導入されるケースが増えているので、トラブル対応が新たなリニューアル市場となる可能性もある」とにらむ。
