2022年7月号
特集
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MonotaRO 国内最大級のAGV800台で急成長支える
「作業の生産性を50%高めたい」
工具など間接材のインターネット通販大手MonotaRO(モノタロウ)が兵庫県猪名川町に開設した物流拠点「猪名川ディストリビューションセンター(DC)」が今年4月、本格的に稼働を開始した。
昨年11月に竣工した地上6階建ての大型物流施設「プロロジスパーク猪名川1」の大半のフロアを賃借した。
利用するフロアの面積は最終的に東京ドーム約4個分に相当する約18万9千平方メートルとなる予定。
総事業費は約160億円を見込んでいる。
拠点の増強に踏み切ったのは、売上高が年率2割程度のハイペースで伸び続けており、今後も取り扱う商品の拡大が見込まれているためだ。
MonotaROの鈴木雅哉社長は「製造業や工事事業者、自動車整備業の方々に加え、最近では農業資材、介護用品などにもラインアップを広げている。
さまざまな産業で仕事に必要なものをワンストップで提供できる、調達できるということが当社のお客さまに対する価値」と指摘。
品揃えの多様さが新たなニーズを生み出していると説く。
東日本エリアでは2017年に、延べ床面積が約5万6200平方メートルの「笠間DC」(茨城県笠間市)、21年に約4万9千平方メートルの「茨城中央サテライトセンター(SC)」(茨城県茨城町)をそれぞれ開設している。
日立製作所グループの無人搬送ロボット(AGV)「Racrew(ラックル)」や自動梱包機などを導入して、作業の自動化・省力化を推し進めている。
Racrewはピッキングする商品を保管した棚の下に潜り込んで持ち上げ、ピッキング作業エリアまで届ける「GTP(Goods To Person)型」のAGVだ。
猪名川DCは現在、西日本エリアの入出荷・保管をカバーしている尼崎DC(兵庫県尼崎市)を代替し、MonotaROのロングテール戦略を下支えする西日本の重要拠点と位置付ける。
猪名川DCが本格稼働することで、笠間DCや茨城中央SCと合わせた同社全体の出荷能力は、現状の1日当たり約19万行から、1・6倍の約31万行まで高まると見込んでいる。
保管能力も猪名川DCだけで最大60万点に及ぶ見通しだ。
猪名川DCの最大の特徴は東日本の既存2拠点で得られた経験を基に、より大規模な自動化・省力化を図っていることだ。
既存2拠点と同じくRacrewを大量に導入。
商品のピッキング作業に投入し、庫内作業スタッフの負荷を大幅に軽減するとともに、生産性の向上を図っている。
Racrewはまず約400台で本格稼働させた後、最終的にトータルで約800台まで増やす計画。
物流センターでロボットを使う規模としては国内最大級になるとみられる。
併せて、自動梱包機なども採用している。
鈴木社長は自動化・省力化機器の投入と作業方法自体の見直しを並行して進めることにより「作業の生産性を現状より50%は高めたい」との目標を打ち出している。
MonotaROの物流を担う吉野宏樹執行役物流部門長は「猪名川DCは基本的に既存施設で運用している設備を踏襲した。
これまでの経験を生かして自動化機器をより有効に使えるように工夫を凝らしている」と言う。
商品棚を異なるフロア間で自動搬送 猪名川DCは4月の稼働開始時点では、プロロジスパーク猪名川1の1階を入出荷エリア、2階を保管・ピッキングエリア、3階を梱包エリア、5階を出荷頻度の高い商品を保管しておくバックヤードのエリア、そして6階を大型商品専門に保管・出荷するエリアとして使用。
空いている4階も将来は保管・ピッキングエリアに割り当てる予定。
1階のトラックバースでサプライヤーから調達した商品がトラックで到着すると、作業スタッフが検品を済ませた後、移動式の棚に順次積み付ける。
すると、Racrewが棚を持ち上げ、専用の昇降機に乗せて2階の保管エリアに自動で送り出す。
昇降機が到着すると2階のフロアを担当している別のRacrewが再び棚を持ち上げて、在庫保管エリアに搬送する。
ピッキングの際も、Racrewが出荷する商品を納めた棚をピッキング作業エリアのピッキングステーションまで運ぶ。
そこで待ち受けている作業スタッフが指示通りに商品を取り出し、出荷用の通い箱に収める。
ピッキング作業時には、作業エリア上部のプロジェクターが、取り出す商品の入ったケースに文字を映し出し、目立つ色を浮かび上がらせて取り間違いを防いでいる。
商品の入った通い箱は昇降機器で3階の梱包エリアに自動搬送される。
作業スタッフが通い箱から段ボール箱へ商品を移して緩衝材を詰めてコンベヤーに乗せると、そのまま自動封函機に送られて、内容量に応じて適正サイズの箱を組み立てる。
AGVを大量採用した狙いの一つは、作業員が庫内を歩く距離を劇的に減らすことだ。
尼崎DCは一般的なセンターと同じく、作業スタッフがカートを押しながら商品の棚を回ってピッキングしている。
1人当たり平均で1日10キロメートル前後を歩くこともある。
猪名川DCは、延べ床が約4万4千平方メートルの尼崎DCの4倍以上の規模になる。
それでもAGVで搬送を自動化することで、「人が歩き回らなくて済むセンター」を実現しようとしている。
ただし、笠間DCや茨城中央SCが平屋であるのに対し、猪名川DCは複層階。
そこでAGVをより有効に使うため、専用エレベーターで商品の保管棚を垂直搬送できるようにした。
吉野執行役は「物流センターをより立体的に使おうと検討した」と強調する。
猪名川DCは商品量が膨らんでもMonotaROが重視している「翌日配送」を確実に行うことを使命とする。
ECの世界では「最短2時間以内にお届け」などとスピード配送化が潮流だが、BtoBに求められるサービスは必ずしもBtoCと同じではないと判断している。
鈴木社長は「われわれが目指す最適なサービスは、今日の仕事が終わるまでにご注文いただければ、明日の午前中に商品を受け取れるようにすること。
仮に当日中に届いても夜には仕事は終わっている。
そこにコストをかける必要性は大きくない」と指摘。
庫内作業の自動化・効率化を磨き上げることを優先している。
現在の2割ペースの成長が今後も続けば、25年ごろには次の物流拠点の確保が視野に入ってくる。
鈴木社長らは猪名川DCの経験も生かして次は東日本エリアで、やはり自動化・省力化にこだわった物流拠点を自前で整備することを検討する見通しだ。
昨年11月に竣工した地上6階建ての大型物流施設「プロロジスパーク猪名川1」の大半のフロアを賃借した。
利用するフロアの面積は最終的に東京ドーム約4個分に相当する約18万9千平方メートルとなる予定。
総事業費は約160億円を見込んでいる。
拠点の増強に踏み切ったのは、売上高が年率2割程度のハイペースで伸び続けており、今後も取り扱う商品の拡大が見込まれているためだ。
MonotaROの鈴木雅哉社長は「製造業や工事事業者、自動車整備業の方々に加え、最近では農業資材、介護用品などにもラインアップを広げている。
さまざまな産業で仕事に必要なものをワンストップで提供できる、調達できるということが当社のお客さまに対する価値」と指摘。
品揃えの多様さが新たなニーズを生み出していると説く。
東日本エリアでは2017年に、延べ床面積が約5万6200平方メートルの「笠間DC」(茨城県笠間市)、21年に約4万9千平方メートルの「茨城中央サテライトセンター(SC)」(茨城県茨城町)をそれぞれ開設している。
日立製作所グループの無人搬送ロボット(AGV)「Racrew(ラックル)」や自動梱包機などを導入して、作業の自動化・省力化を推し進めている。
Racrewはピッキングする商品を保管した棚の下に潜り込んで持ち上げ、ピッキング作業エリアまで届ける「GTP(Goods To Person)型」のAGVだ。
猪名川DCは現在、西日本エリアの入出荷・保管をカバーしている尼崎DC(兵庫県尼崎市)を代替し、MonotaROのロングテール戦略を下支えする西日本の重要拠点と位置付ける。
猪名川DCが本格稼働することで、笠間DCや茨城中央SCと合わせた同社全体の出荷能力は、現状の1日当たり約19万行から、1・6倍の約31万行まで高まると見込んでいる。
保管能力も猪名川DCだけで最大60万点に及ぶ見通しだ。
猪名川DCの最大の特徴は東日本の既存2拠点で得られた経験を基に、より大規模な自動化・省力化を図っていることだ。
既存2拠点と同じくRacrewを大量に導入。
商品のピッキング作業に投入し、庫内作業スタッフの負荷を大幅に軽減するとともに、生産性の向上を図っている。
Racrewはまず約400台で本格稼働させた後、最終的にトータルで約800台まで増やす計画。
物流センターでロボットを使う規模としては国内最大級になるとみられる。
併せて、自動梱包機なども採用している。
鈴木社長は自動化・省力化機器の投入と作業方法自体の見直しを並行して進めることにより「作業の生産性を現状より50%は高めたい」との目標を打ち出している。
MonotaROの物流を担う吉野宏樹執行役物流部門長は「猪名川DCは基本的に既存施設で運用している設備を踏襲した。
これまでの経験を生かして自動化機器をより有効に使えるように工夫を凝らしている」と言う。
商品棚を異なるフロア間で自動搬送 猪名川DCは4月の稼働開始時点では、プロロジスパーク猪名川1の1階を入出荷エリア、2階を保管・ピッキングエリア、3階を梱包エリア、5階を出荷頻度の高い商品を保管しておくバックヤードのエリア、そして6階を大型商品専門に保管・出荷するエリアとして使用。
空いている4階も将来は保管・ピッキングエリアに割り当てる予定。
1階のトラックバースでサプライヤーから調達した商品がトラックで到着すると、作業スタッフが検品を済ませた後、移動式の棚に順次積み付ける。
すると、Racrewが棚を持ち上げ、専用の昇降機に乗せて2階の保管エリアに自動で送り出す。
昇降機が到着すると2階のフロアを担当している別のRacrewが再び棚を持ち上げて、在庫保管エリアに搬送する。
ピッキングの際も、Racrewが出荷する商品を納めた棚をピッキング作業エリアのピッキングステーションまで運ぶ。
そこで待ち受けている作業スタッフが指示通りに商品を取り出し、出荷用の通い箱に収める。
ピッキング作業時には、作業エリア上部のプロジェクターが、取り出す商品の入ったケースに文字を映し出し、目立つ色を浮かび上がらせて取り間違いを防いでいる。
商品の入った通い箱は昇降機器で3階の梱包エリアに自動搬送される。
作業スタッフが通い箱から段ボール箱へ商品を移して緩衝材を詰めてコンベヤーに乗せると、そのまま自動封函機に送られて、内容量に応じて適正サイズの箱を組み立てる。
AGVを大量採用した狙いの一つは、作業員が庫内を歩く距離を劇的に減らすことだ。
尼崎DCは一般的なセンターと同じく、作業スタッフがカートを押しながら商品の棚を回ってピッキングしている。
1人当たり平均で1日10キロメートル前後を歩くこともある。
猪名川DCは、延べ床が約4万4千平方メートルの尼崎DCの4倍以上の規模になる。
それでもAGVで搬送を自動化することで、「人が歩き回らなくて済むセンター」を実現しようとしている。
ただし、笠間DCや茨城中央SCが平屋であるのに対し、猪名川DCは複層階。
そこでAGVをより有効に使うため、専用エレベーターで商品の保管棚を垂直搬送できるようにした。
吉野執行役は「物流センターをより立体的に使おうと検討した」と強調する。
猪名川DCは商品量が膨らんでもMonotaROが重視している「翌日配送」を確実に行うことを使命とする。
ECの世界では「最短2時間以内にお届け」などとスピード配送化が潮流だが、BtoBに求められるサービスは必ずしもBtoCと同じではないと判断している。
鈴木社長は「われわれが目指す最適なサービスは、今日の仕事が終わるまでにご注文いただければ、明日の午前中に商品を受け取れるようにすること。
仮に当日中に届いても夜には仕事は終わっている。
そこにコストをかける必要性は大きくない」と指摘。
庫内作業の自動化・効率化を磨き上げることを優先している。
現在の2割ペースの成長が今後も続けば、25年ごろには次の物流拠点の確保が視野に入ってくる。
鈴木社長らは猪名川DCの経験も生かして次は東日本エリアで、やはり自動化・省力化にこだわった物流拠点を自前で整備することを検討する見通しだ。
