2022年7月号
特集
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佐川グローバルロジスティクス 自社サイト荷主のフルフィルメントを超速化
深夜24時に注文した商品が翌朝届く
SGホールディングスグループが2020年1月に東京都江東区に竣工した「Xフロンティア」は、7階建て延べ床17万平方メートルの次世代型大規模物流施設だ。
1〜4階は佐川急便の大規模中継センター、5階には佐川グローバルロジスティクス(SGL)が「EC Logi Tokyo」(ECLT営業所)を置いている。
同営業所の通販専用区画「ECプラットフォーム」では、3600坪のフロアに最新鋭の自動化設備をフル導入して「シームレスECプラットフォーム」と名付けたフルフィルメントサービスを提供している。
EC事業者の在庫を預かり、24時間365日稼働でスピード出荷する。
ECの受注は通常20時〜24時の時間帯にピークを迎える。
翌朝から出荷処理を始めて夕方までに宅配会社に渡しても、顧客に届くのは翌々日になる。
それに対してECプラットフォームは深夜24時に受けた注文でも、すぐに出荷を処理して下層階の中継センターに流すので早朝便の出発に間に合う。
東京23区内であれば午前中に荷物が届く。
現在は荷主約100社が入居している。
荷主数・物量とも20年3月のサービス開始以来、一貫して増え続けている。
その多くはアマゾンや楽天などの大手ECモールとは距離を置き、自社専用サイトを中心に販売しているEC事業者だ。
「Shopify(ショッピファイ)」を利用している荷主も多い。
ECプラットフォームには、棚搬送ロボット「EVE」46台・専用棚1328本(写真1)、ロボット倉庫「オートストア」(写真2)、無人搬送機(AGV)「OTTO」14台、自動包装システム「Carton Wrap(カートンラップ)」などの自動化設備が導入されている。
入荷検品が済んだ商品は出荷頻度をベースに、Aランク品は通常の平棚(中量棚)、BランクはEVE、Cランクはオートストアに格納する。
平棚エリアを囲んでコンベヤーを走らせている他、棚搬送ロボットとオートストアのエリアはOTTOでオリコンを自律搬送して検品エリアと接続している。
カートンラップは、1分当たり15個・1時間最大1千個のスピードで、荷物の縦・横・高さを自動測定して最適なサイズの段ボール箱を組み立て梱包する。
荷物の容積が従来比約33%小さくなる。
さらに送り状の封入やロゴの印字まで自動化したことで梱包プロセスの省人化率70%を実現した。
ECプラットフォームの設計は、SGLのエンジニアリング専門部隊の物流ソリューション部LE(ロジスティクスエンジニアリング)課が担当した。
その責任者を務めた堀尾大樹営業部ECLTエリアエリアマネジャーがそのまま現在も同施設の運用を統括している。
「入庫から出荷まで自動化設備を導入したプロセスはほぼ設計通りに動いている。
ただし、これまでは処理能力に余裕があったので、フロアや各設備の使い方を試行錯誤しながら運用できた。
荷主数が増えて充填率も上がってきたので、安定稼働からより効率的な設備の使い方にスイッチを切り替える時期を迎えた」という。
堀尾エリアマネジャーはLE課に配属される前にも中部地区で拠点の責任者を務めていた。
しかし、現場は手作業中心で本格的な自動化設備を扱った経験はない。
ECプラットフォームの立ち上げプロジェクトに参画して、ロボティクスをはじめとする自動化設備について基礎から学ぶ必要があった。
最新設備が導入された他社の現場もいくつか視察した。
しかし、見学して得られる知識は限られる。
作業自体は誰でもすぐにできるように単純化されている。
一方、設備のマニュアルは膨大だ。
何がどこに説明されているのか探し出すだけでも骨が折れる。
どこにも答えがないこともある。
自動化設備の現場管理者の役割は端的にはトラブルシューティングだ。
エラーが発生した原因は何か。
それはWMS・マテハン側で起きたのか。
それとも顧客から送信されたデータに誤りがあったのか。
あるいは通信の問題か。
そのエラーをどう修正すれば誤出荷や在庫差異の発生を防げるのか。
さまざまな要素の連関を紐解いて正しい対処法を見つけ出さなければならない。
堀尾エリアマネジャーは「トラブルが起きた時の対応方法が手作業の現場とは全く違う。
実際に設備を動かしてみて初めて分かることばかりだった。
稼働からこれまでの2年間にわたってさまざまな失敗を重ね、『こういう時はこうやるべきなんだ』と一つ一つ経験しながら覚えてきた」という。
物流エンジニアの育成を急ぐ SGLではECプラットフォーム以外にも、協働型ピッキングロボット(AMR)や仕分けロボット「t-Sort」などの自動化設備を各地のSRC(佐川流通センター)に導入している。
今年5月にはSGLとSGシステム、NECの3社共同で、ロールボックスや大型貨物を、NECの次世代型協調搬送ロボット2台で挟み込んで自動運搬する実証実験を行うと発表した(写真3)。
SGLの森田祟史執行役員物流ソリューション担当兼物流ソリューション部長は「EC貨物は今後も増え続ける。
それに合わせて人手を増やしていくわけにはいかない。
しかも、これまでSRCはほぼ日中しか動かしていなかった。
夜間の拠点活用も視野に入れて作業工程の機械化を積極的に進めている」という。
物流ソリューション部は、LE課の他に、WMSを開発するLS課(ロジスティクスシステム課)、現場の立ち上げを役割とするOS課(オペレーションセットアップ課)、品質管理を担当するQC課の四つのチームから構成されている。
同部のスタッフはいずれも現場責任者の経験とQC手法を身につけている。
しかし、今後は設備やシステムを活用した効率化にアプローチがシフトしていく。
森田執行役員は「自動化・省力化設備についてはまだまだ経験値が足りない。
物流エンジニアの育成は大きな課題」と先を急いでいる。
1〜4階は佐川急便の大規模中継センター、5階には佐川グローバルロジスティクス(SGL)が「EC Logi Tokyo」(ECLT営業所)を置いている。
同営業所の通販専用区画「ECプラットフォーム」では、3600坪のフロアに最新鋭の自動化設備をフル導入して「シームレスECプラットフォーム」と名付けたフルフィルメントサービスを提供している。
EC事業者の在庫を預かり、24時間365日稼働でスピード出荷する。
ECの受注は通常20時〜24時の時間帯にピークを迎える。
翌朝から出荷処理を始めて夕方までに宅配会社に渡しても、顧客に届くのは翌々日になる。
それに対してECプラットフォームは深夜24時に受けた注文でも、すぐに出荷を処理して下層階の中継センターに流すので早朝便の出発に間に合う。
東京23区内であれば午前中に荷物が届く。
現在は荷主約100社が入居している。
荷主数・物量とも20年3月のサービス開始以来、一貫して増え続けている。
その多くはアマゾンや楽天などの大手ECモールとは距離を置き、自社専用サイトを中心に販売しているEC事業者だ。
「Shopify(ショッピファイ)」を利用している荷主も多い。
ECプラットフォームには、棚搬送ロボット「EVE」46台・専用棚1328本(写真1)、ロボット倉庫「オートストア」(写真2)、無人搬送機(AGV)「OTTO」14台、自動包装システム「Carton Wrap(カートンラップ)」などの自動化設備が導入されている。
入荷検品が済んだ商品は出荷頻度をベースに、Aランク品は通常の平棚(中量棚)、BランクはEVE、Cランクはオートストアに格納する。
平棚エリアを囲んでコンベヤーを走らせている他、棚搬送ロボットとオートストアのエリアはOTTOでオリコンを自律搬送して検品エリアと接続している。
カートンラップは、1分当たり15個・1時間最大1千個のスピードで、荷物の縦・横・高さを自動測定して最適なサイズの段ボール箱を組み立て梱包する。
荷物の容積が従来比約33%小さくなる。
さらに送り状の封入やロゴの印字まで自動化したことで梱包プロセスの省人化率70%を実現した。
ECプラットフォームの設計は、SGLのエンジニアリング専門部隊の物流ソリューション部LE(ロジスティクスエンジニアリング)課が担当した。
その責任者を務めた堀尾大樹営業部ECLTエリアエリアマネジャーがそのまま現在も同施設の運用を統括している。
「入庫から出荷まで自動化設備を導入したプロセスはほぼ設計通りに動いている。
ただし、これまでは処理能力に余裕があったので、フロアや各設備の使い方を試行錯誤しながら運用できた。
荷主数が増えて充填率も上がってきたので、安定稼働からより効率的な設備の使い方にスイッチを切り替える時期を迎えた」という。
堀尾エリアマネジャーはLE課に配属される前にも中部地区で拠点の責任者を務めていた。
しかし、現場は手作業中心で本格的な自動化設備を扱った経験はない。
ECプラットフォームの立ち上げプロジェクトに参画して、ロボティクスをはじめとする自動化設備について基礎から学ぶ必要があった。
最新設備が導入された他社の現場もいくつか視察した。
しかし、見学して得られる知識は限られる。
作業自体は誰でもすぐにできるように単純化されている。
一方、設備のマニュアルは膨大だ。
何がどこに説明されているのか探し出すだけでも骨が折れる。
どこにも答えがないこともある。
自動化設備の現場管理者の役割は端的にはトラブルシューティングだ。
エラーが発生した原因は何か。
それはWMS・マテハン側で起きたのか。
それとも顧客から送信されたデータに誤りがあったのか。
あるいは通信の問題か。
そのエラーをどう修正すれば誤出荷や在庫差異の発生を防げるのか。
さまざまな要素の連関を紐解いて正しい対処法を見つけ出さなければならない。
堀尾エリアマネジャーは「トラブルが起きた時の対応方法が手作業の現場とは全く違う。
実際に設備を動かしてみて初めて分かることばかりだった。
稼働からこれまでの2年間にわたってさまざまな失敗を重ね、『こういう時はこうやるべきなんだ』と一つ一つ経験しながら覚えてきた」という。
物流エンジニアの育成を急ぐ SGLではECプラットフォーム以外にも、協働型ピッキングロボット(AMR)や仕分けロボット「t-Sort」などの自動化設備を各地のSRC(佐川流通センター)に導入している。
今年5月にはSGLとSGシステム、NECの3社共同で、ロールボックスや大型貨物を、NECの次世代型協調搬送ロボット2台で挟み込んで自動運搬する実証実験を行うと発表した(写真3)。
SGLの森田祟史執行役員物流ソリューション担当兼物流ソリューション部長は「EC貨物は今後も増え続ける。
それに合わせて人手を増やしていくわけにはいかない。
しかも、これまでSRCはほぼ日中しか動かしていなかった。
夜間の拠点活用も視野に入れて作業工程の機械化を積極的に進めている」という。
物流ソリューション部は、LE課の他に、WMSを開発するLS課(ロジスティクスシステム課)、現場の立ち上げを役割とするOS課(オペレーションセットアップ課)、品質管理を担当するQC課の四つのチームから構成されている。
同部のスタッフはいずれも現場責任者の経験とQC手法を身につけている。
しかし、今後は設備やシステムを活用した効率化にアプローチがシフトしていく。
森田執行役員は「自動化・省力化設備についてはまだまだ経験値が足りない。
物流エンジニアの育成は大きな課題」と先を急いでいる。
