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2022年6月号
特集

ティーライフ 通販物流の内製化から物流事業化に展開

「GLP名古屋守山」に6千坪を確保  通販会社のティーライフは今年5月、同4月に竣工したばかりの「GLP名古屋守山」(画像1)内に、延べ床約2万平方メートルの「ティーライフ名古屋センター」を開設した。
日本GLPとマスターリース契約を結び、当面は第三者への転貸しをメーンに運営する。
 同センターの他に、同社は静岡県内の2カ所で自社所有物流施設を賃貸している。
2015年に静岡県袋井市に延べ床約6万平方メートルの既存施設を取得、「袋井センター」を開設して物流業務を内製化した。
余ったスペースは3PLや物流会社に賃貸した。
続く19年9月には静岡県掛川市に延べ床約2・9万平方メートルの「掛川センター」を取得、その大部分を賃貸している。
 同社の石澤浩和取締役ロジスティクス事業本部長兼ロジスティクス事業部長兼物流部管掌は「当社は通販向けの3PLと物流施設賃貸という二つの事業で『プロパティ事業』を構成している。
袋井センターの取得を機にスタートした新しい事業部門だ。
3PL事業は力を付けていくのに時間がかかる。
一方、賃貸事業は場所ありき。
条件の良い物件をそう簡単に確保できるわけではない。
そこで当面は賃貸で一定の収益を確保しながら、3PLを柱に育てていきたい」という。
 同社は植田伸司会長が緑茶のティーバッグ加工と通販を目的に、1983年に静岡県島田市で創業した。
2012年にジャスダック市場に上場、14年に東証2部、16年に同1部に昇格し、今年4月にスタンダード市場に移行した。
 21年7月期の売上高は前年比10・8%増の117億円、営業利益は同81・7%増の9億円で過去最高を記録した。
TVショッピングの「QVCジャパン」でサプリメントがヒットしていることに加え、プロパティ事業も貢献している。
同期のセグメント売上高は前年比41・4%増の5億1400万円、営業利益は同60・0%増の2億3100万円を計上した。
 同社はプロパティ事業を始めるまで、物流を地元の倉庫会社に委託してきた。
ティーバッグの加工場は静岡空港に近い島田市周辺に集積している。
そこから浜松にある協力会社の倉庫に商品を運び込み、保管から出荷、配送の手配まで一括して任せていた。
15年に袋井センターを立ち上げてからも、浜松からスタッフごと袋井に拠点を移すかたちで同じ協力会社に庫内の運営を委託した。
自社物流施設を所有はしたが、協力会社への依存は変わっていなかった。
 従来から本社には物流部を置いていた。
しかし、その業務内容は仕入れが中心で物流現場を管理するノウハウや人材を欠いていた。
そこで16年4月に人材紹介会社を通して社外から石澤取締役を招き入れた。
大手物流会社のマネジャーや医薬品卸の物流担当役員を務めてきた物流のプロだ。
 石澤取締役はまず人の問題に着手した。
物流部の主だったメンバーを入れ替え、物流の経験はなくてもチャレンジ精神のある社員を登用した。
「それまで物流部がずっと社内の傍流に置かれていたこともあり、チームに受け身の姿勢が染みついていた。
意識を変える必要があった」という。
 ティーライフへの入社を機に、ツテを頼って各社の通販センターを見学させてもらった。
「どこも驚くほど先進的だった。
通販会社にとって物流は顧客との接点であり、顧客満足度に直結するサービスだ。
そのため各社は物流の高度化に積極的に取り組んでいる。
振り返って、当社の現場は手仕込みの人海戦術。
このままでは永遠に追いつけない」と強い危機感を抱いた。
キャッチアップの第一歩が庫内作業の内製化だった。
 内製化には直接的なコストメリットも期待できた。
それまで協力倉庫会社に対して、出荷個数×サービスメニューの従量課金制で委託料を支払っていた。
そのコスト分析をしたところ、作業原価にかなりの管理費を乗せた金額を請求されていることが分かった。
内製化すれば管理費を抑制できる。
 庫内作業員の人件費も、直接雇用すれば固定費になるため、省力化・自動化を進めることでコスト効率を高めていける。
ただし、そのためには設備投資が必要だ。
そこで物流を事業化して外販収入を得ることを内製化の必要条件と位置付けた。
 物流部がコストセンターのままでは先行投資を認めてもらうのは難しい。
しかし、プロフィットセンターに変われば前向きな予算を組めるようになる。
事業の拡大によって物流部門に配属されたスタッフにキャリアアップの機会を与えることもできる。
庫内作業に続いて配送も自社化  物流の内製化計画は経営会議の承認を得た。
ちょうど宅配料金の大幅な値上げに直面していたことも経営層の意思決定を後押しした。
従来は料金が割安な宅配会社1社に出荷をほぼ集約していた。
その宅配会社から5割近い値上げを突き付けられた。
交渉の末、2割強の値上げに抑えたが、それでも大幅なコスト増だ。
その負担を物流の事業化によって吸収することが物流部に期待された。
 物流部は協力倉庫会社に内製化の方針を伝えて理解を得た上で、庫内のパートアルバイト全員に、継続して働いてもらえるかを確認した。
約7割が残ってくれた。
大きな混乱もなく内製化に移ることができた。
その効果はすぐに表れた。
外注から切り替えた初年度に、倉庫の運営コストは4割近く削減された。
 続いて、通販会社向けの出荷代行をメーンとする3PL事業を18年に開始した。
袋井センターは本州のほぼ中央に位置しており、関東・中部・関西の3大消費地を宅配便のブロック別タリフの最低料金でカバーしている。
リードタイムも北海道と離島を除けばほぼ翌日に届く。
 そのメリットにプラスして、通販会社が満足する品質とサービスをティーライフ向けに構築したオペレーションで担保することで、荷主を獲得していった。
以来、出荷代行の取扱量は年率2桁のペースで伸びている。
契約を打ち切った荷主はこれまで1社も出ていないという。
 現在、同社は年間145万件の自社商品の出荷の他、外部の通販会社などから約20万件の出荷代行を請け負っている。
袋井センターに勤務する正社員は12人。
パートアルバイトは約100人が登録して常時70人が働いている。
現場には自動仕分け機とローラーコンベヤーを導入して、POS検品も開始した(画像2)。
 19年から自家運送も始めている。
4トン車を購入。
ドライバーを直接雇用して、タイムテーブルを組んで走らせている。
チャーター運賃と比べると半分近くにコストを抑制できている。
今後、保有車両台数を増やして運送業許可を取得、運送サービスの外販に進出する考えだ。
運送会社の買収も選択肢と考えている。
 石澤取締役は「今後も運賃は上がっていくだろう。
運送会社は2024年問題に対応するためのコストや燃料費の高騰を、荷主に転嫁せざるを得ない。
ドライバーもさらに足りなくなる。
トラックはあっても運べないといった事態が、そう遠くないうちにまた起きるかもしれない。
配送の内製化はコスト的にも安定稼働という点でも有効と考えている」という。

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