2022年6月号
特集
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きくや美粧堂 物流ノウハウを磨いて専門商社の機能を強化
各種自動化機器や物流ロボットを活用
きくや美粧堂は美容室を主な顧客とする専門商社だ。
首都圏を地盤に北海道から九州まで全国38カ所に営業拠点を展開して、シャンプーやトリートメントといった毛髪化粧品や各種美容機器などを供給している。
同社の物流の特徴の一つはBtoBビジネスでありながら、1件当たりの配送点数が比較的少ない点。
顧客である美容室は中小規模が多いことから、ケース単位の納品は一部の例外を除くとほとんどなく、一度の出荷点数は平均すると30ピース程度、数点単位で届ける場合もある。
同業界には、営業担当者が街中の美容室を定期的に訪問して、補充が必要な商品の注文を受けて次回の訪問時に届けたり、急ぎの場合には即日届けるといった商物一体が根付いている。
きくや美粧堂ももともとは各営業拠点の倉庫に在庫を持ち、営業担当者が届けていたが、事業の拡大に伴い、複数営業拠点での在庫の重複や管理コストなどの問題が出てきた。
そこで新たに物流拠点を配置し、商品は物流センターから顧客である美容室に配送する体制を整えた。
ただし、物流センターの運営はアウトソーシングしなかった。
物流はコストセンターではなくプロフィットセンターであり、差別化の手段と位置付けたからだ。
大久保尚彦サプライチェーン本部本部長は「われわれのビジネスは顧客数が多く要望も多種多様。
幅広いニーズに対応するには、柔軟な物流の仕組みが必要だ。
物流事業者に委託していたら難しいような調整内容でも、自前なら融通が利く。
自分たちのビジネスに合った機能も整備できる」と内製化のメリットを説明する。
顧客の声が直接届く点も自社運営の大きなメリットだ。
同社は「声をきく、気持ちをきく、心をきく。
」という経営スローガンを掲げており、その方針を物流管理にも適用している。
営業担当者が顧客から受けた物流関連のクレームを物流部門に確実に伝達する仕組みを運用している。
クレームの内容を分析して倉庫内作業、配送、調達などサプライチェーンのどの段階に起因するかを突き止め、具体的な改善を進める。
それが倉庫内の作業工程であればオペレーションの改善を行い、調達部分であれば仕入先に改善を要望する。
「顧客の要望やクレームには多くの改善のヒントが隠されている」と大久保本部長は言う。
センター発の「自社便」も試行している。
物流センターから週に数便、センターのスタッフも参加して美容室に商品を届ける。
センターのスタッフは物流拠点から出荷された商品がどのように受け取られているかを把握して、顧客の声をリアルに聞くことで物流品質の改善に役立てる。
将来のトラック不足を見据えたリサーチという側面もある。
コロナ禍に伴い現在は自社便の運行を休止しているが、将来的な再開も検討している。
物流センターは現在、主に東日本をカバーする「きくや美粧堂EastLogistics」(イーストロジスティクス)と西日本を担当する「きくや美粧堂WestLogistics」(ウエストロジスティクス)の東西2拠点体制を採用している。
イーストロジスティクスは東京都大田区の東京流通センター(TRC)物流ビルB棟の3階部分の約5700平方メートルに入居している。
管理在庫は約1万7千から約2万SKUで、出荷件数は1日当たり3500件から5千件ほどだ。
中堅規模の企業でありながら、生産性の向上を目的に梱包機やコンベヤ、物流ロボットなどの各種自動化機器の導入にも注力している。
「物流ロボットが出回り始めてすぐ、いずれロボットを活用しなくてはいけない局面が必ずやって来ると直感した。
そのためには先に運用に慣れておく必要があると考えた。
実際、物流ロボットは使ってみないとその有効性が分からない。
開発会社と現場が一緒になって運用を練り上げていく必要がある」と大久保本部長。
これまで複数メーカーの物流ロボットをイーストロジスティクスに投入し、主に搬送用途での運用を5年以上にわたり研究してきた。
今年に入ってからは新たに京都の産業ロボットベンチャーであるKeigan社のAMRを一部特殊品の出荷時の搬送工程で運用している。
こうした先行投資の目的の一つに職場の活性化がある。
「物流センターを職場としてどれだけ充実させることができるかどうか。
スタッフが1日いかに気持ちよく働けるかが、拠点運営の最大のポイントだと考えている」と大久保本部長。
そのためにソフトとハード両面から環境整備を進めている。
庫内スタッフは直接雇用のパートスタッフが主力で通常は100人程度で運営している。
固定の自社パート比率を可能な範囲で拡大していく方針をとっている。
「当社のビジネスを庫内スタッフが理解することで、商品が売れて出荷された際には喜びを共有できる。
喜びが共有できれば、必然的に生産性や顧客満足度も上がっていく」と大久保本部長は話す。
美容室のEC化を物流面でも支援 同社は美容室のEC化支援にも乗り出している。
近年、各美容室ではカットやパーマ、カラーといった通常の技術サービスに加えて、美容室専売シャンプーやスタイリング剤などの物販にも力を入れてきている。
美容室の来店客に直接販売するほかに、オンラインショップの開設ニーズが高まっている。
そうした要望に対応して、きくや美粧堂では美容室向けのオンラインショップ構築サービス「Life Karte(ライフカルテ)」を展開している。
ECサイトの構築から物流機能までをパッケージで提供する。
ライフカルテを利用している各美容室のオンラインショップで商品を注文した商品の多くは、きくや美粧堂の物流センターから顧客に直接宅配される。
センターの自社運営で蓄積してきたオペレーションノウハウがBtoC物流でも効果を発揮している。
ライフカルテを利用する各美容室からは物流センターでの商品ラインナップ確認やECサイトで販売した商品が届けられるセンターの運営体制に対する関心も多く寄せられるため、物流センター見学のニーズが高い。
イーストロジスティクスは従来からコンセプトの一つに「お客さまに見せられる倉庫」を掲げている。
都心部に立地しているので見学会にも参加しやすい。
商品をハンドリングしているセンターを見てもらうことが新たな注文やビジネスにつながっている。
コロナ禍以降、イーストロジスティクスではBtoCの出荷が急拡大している。
「アパレルなどと比べると化粧品や美容商品のEC化比率はまだ低いことから、今後1、2年で出荷量が現在の数倍に伸びる可能性もあるとみている。
美容商品ECに対応した物流センターの仕組みを練り上げていく必要がある」と大久保本部長。
新たな物流センターの設置も視野に入れているという。
その場合でもセンター運営はこれまで同様に自前で行う方針だ。
首都圏を地盤に北海道から九州まで全国38カ所に営業拠点を展開して、シャンプーやトリートメントといった毛髪化粧品や各種美容機器などを供給している。
同社の物流の特徴の一つはBtoBビジネスでありながら、1件当たりの配送点数が比較的少ない点。
顧客である美容室は中小規模が多いことから、ケース単位の納品は一部の例外を除くとほとんどなく、一度の出荷点数は平均すると30ピース程度、数点単位で届ける場合もある。
同業界には、営業担当者が街中の美容室を定期的に訪問して、補充が必要な商品の注文を受けて次回の訪問時に届けたり、急ぎの場合には即日届けるといった商物一体が根付いている。
きくや美粧堂ももともとは各営業拠点の倉庫に在庫を持ち、営業担当者が届けていたが、事業の拡大に伴い、複数営業拠点での在庫の重複や管理コストなどの問題が出てきた。
そこで新たに物流拠点を配置し、商品は物流センターから顧客である美容室に配送する体制を整えた。
ただし、物流センターの運営はアウトソーシングしなかった。
物流はコストセンターではなくプロフィットセンターであり、差別化の手段と位置付けたからだ。
大久保尚彦サプライチェーン本部本部長は「われわれのビジネスは顧客数が多く要望も多種多様。
幅広いニーズに対応するには、柔軟な物流の仕組みが必要だ。
物流事業者に委託していたら難しいような調整内容でも、自前なら融通が利く。
自分たちのビジネスに合った機能も整備できる」と内製化のメリットを説明する。
顧客の声が直接届く点も自社運営の大きなメリットだ。
同社は「声をきく、気持ちをきく、心をきく。
」という経営スローガンを掲げており、その方針を物流管理にも適用している。
営業担当者が顧客から受けた物流関連のクレームを物流部門に確実に伝達する仕組みを運用している。
クレームの内容を分析して倉庫内作業、配送、調達などサプライチェーンのどの段階に起因するかを突き止め、具体的な改善を進める。
それが倉庫内の作業工程であればオペレーションの改善を行い、調達部分であれば仕入先に改善を要望する。
「顧客の要望やクレームには多くの改善のヒントが隠されている」と大久保本部長は言う。
センター発の「自社便」も試行している。
物流センターから週に数便、センターのスタッフも参加して美容室に商品を届ける。
センターのスタッフは物流拠点から出荷された商品がどのように受け取られているかを把握して、顧客の声をリアルに聞くことで物流品質の改善に役立てる。
将来のトラック不足を見据えたリサーチという側面もある。
コロナ禍に伴い現在は自社便の運行を休止しているが、将来的な再開も検討している。
物流センターは現在、主に東日本をカバーする「きくや美粧堂EastLogistics」(イーストロジスティクス)と西日本を担当する「きくや美粧堂WestLogistics」(ウエストロジスティクス)の東西2拠点体制を採用している。
イーストロジスティクスは東京都大田区の東京流通センター(TRC)物流ビルB棟の3階部分の約5700平方メートルに入居している。
管理在庫は約1万7千から約2万SKUで、出荷件数は1日当たり3500件から5千件ほどだ。
中堅規模の企業でありながら、生産性の向上を目的に梱包機やコンベヤ、物流ロボットなどの各種自動化機器の導入にも注力している。
「物流ロボットが出回り始めてすぐ、いずれロボットを活用しなくてはいけない局面が必ずやって来ると直感した。
そのためには先に運用に慣れておく必要があると考えた。
実際、物流ロボットは使ってみないとその有効性が分からない。
開発会社と現場が一緒になって運用を練り上げていく必要がある」と大久保本部長。
これまで複数メーカーの物流ロボットをイーストロジスティクスに投入し、主に搬送用途での運用を5年以上にわたり研究してきた。
今年に入ってからは新たに京都の産業ロボットベンチャーであるKeigan社のAMRを一部特殊品の出荷時の搬送工程で運用している。
こうした先行投資の目的の一つに職場の活性化がある。
「物流センターを職場としてどれだけ充実させることができるかどうか。
スタッフが1日いかに気持ちよく働けるかが、拠点運営の最大のポイントだと考えている」と大久保本部長。
そのためにソフトとハード両面から環境整備を進めている。
庫内スタッフは直接雇用のパートスタッフが主力で通常は100人程度で運営している。
固定の自社パート比率を可能な範囲で拡大していく方針をとっている。
「当社のビジネスを庫内スタッフが理解することで、商品が売れて出荷された際には喜びを共有できる。
喜びが共有できれば、必然的に生産性や顧客満足度も上がっていく」と大久保本部長は話す。
美容室のEC化を物流面でも支援 同社は美容室のEC化支援にも乗り出している。
近年、各美容室ではカットやパーマ、カラーといった通常の技術サービスに加えて、美容室専売シャンプーやスタイリング剤などの物販にも力を入れてきている。
美容室の来店客に直接販売するほかに、オンラインショップの開設ニーズが高まっている。
そうした要望に対応して、きくや美粧堂では美容室向けのオンラインショップ構築サービス「Life Karte(ライフカルテ)」を展開している。
ECサイトの構築から物流機能までをパッケージで提供する。
ライフカルテを利用している各美容室のオンラインショップで商品を注文した商品の多くは、きくや美粧堂の物流センターから顧客に直接宅配される。
センターの自社運営で蓄積してきたオペレーションノウハウがBtoC物流でも効果を発揮している。
ライフカルテを利用する各美容室からは物流センターでの商品ラインナップ確認やECサイトで販売した商品が届けられるセンターの運営体制に対する関心も多く寄せられるため、物流センター見学のニーズが高い。
イーストロジスティクスは従来からコンセプトの一つに「お客さまに見せられる倉庫」を掲げている。
都心部に立地しているので見学会にも参加しやすい。
商品をハンドリングしているセンターを見てもらうことが新たな注文やビジネスにつながっている。
コロナ禍以降、イーストロジスティクスではBtoCの出荷が急拡大している。
「アパレルなどと比べると化粧品や美容商品のEC化比率はまだ低いことから、今後1、2年で出荷量が現在の数倍に伸びる可能性もあるとみている。
美容商品ECに対応した物流センターの仕組みを練り上げていく必要がある」と大久保本部長。
新たな物流センターの設置も視野に入れているという。
その場合でもセンター運営はこれまで同様に自前で行う方針だ。
