2022年6月号
特集
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大清 地場業務卸がゼロから始めた配送の内製化
配送コストを外注時の半分に抑制
大清は名古屋を地盤とする管工機材専門商社だ。
水回りや空調設備に取り付ける継ぎ手やパイプ、バルブやポンプなど約5千アイテムを取り扱っている。
社員数は45人。
1923年創業の老舗で長年安定した経営を続けていたが、2008年のリーマン危機では売上高が4割も減るダメージを受けた。
最大の経営圧迫要因は支払い運賃だった。
専属でチャーターしていたトラック5台の費用が固定費としてのしかかった。
全て契約を解除して内製化に切り替えた。
「自社トラックがあるわけでもなく、配送スタッフもいなかったが、そんなことを言っている場合ではなかった」と大藪淳一社長は振り返る。
納品トラックの配送ルートは把握していた。
営業担当者が実際に走行してみたところ、ルートを見直す余地があることが分かった。
新たな配送ルートを設計して必要な車両を確保、既存社員の中からドライバーを募って自家配送を開始した。
これによって配送コストを外注の半分に抑えることができた。
現在は名古屋市内は全て自社便で納品している。
配送エリアを三つに分け、午前と午後の1日2便を走らせている。
各便について配達件数、荷台占有率、売上額、長尺や重量物の輸送回数などを算出して採算性をチェックしている。
名古屋市以外の愛知県内および県外への配送は運送会社約10社の共同配送便を使い分けている。
「配送の内製化から15年近くたち、現状を分析すればするほど課題も見えてきている。
自社配送を増やしてきた結果、採算が合わない走行ルートも出てきている。
自社便と共同配送の最適な組み合わせを選択しなければならないステージに来ている」と大藪社長は、近くAIを活用した配車システムの導入を計画している。
配送の内製化と並行して自社運営の庫内業務の改善にも取り組んだ。
従来は庫内作業員の属人的な判断に任せきりだった。
入荷の手順や保管ロケーションなど何も決まっていなかった。
そのため注文が入ると営業担当が倉庫に入って在庫を確認しなければならなかった。
補充発注も場当たり的だった。
まずは庫内業務のプロセスと保管方法をルール化した。
商品別の回転率も調べて、それぞれ発注点を設定した。
それを業務システムに落とし込んだ。
現在、物流管理責任者を務める近藤友哉業務グループリーダーは「当たり前のことを一つ一つ実行していくことで、当初は誰もが不可能と考えていた在庫管理ができるようになった」という。
今では全ての商品の在庫、庫内ロケーション、回転率などがリアルタイムで把握できている。
「こうした改善を進めることができたのは、頼れるシステムエンジニア(SE)と巡り会えたことが決定的だった。
8年前、販売・在庫管理システムの構築を依頼したアドバンス情報システムのSEだ。
われわれが言語化できていない要件までくみ取って、120%のアウトプットで提供してくれる」という。
頼れるSEとの出会いが転機に そのSEが大清のシステム化はもちろんDXのパートナーを務めている。
取引先とのEDI連携、配送ルートごとの輸送量の可視化、各商品の売上高・出荷頻度・在庫量・販売先数・利益率を可視化した商品分析など、数多くの業務改善をSEの協力で実現した。
EDI連携を話し合う取引先とのミーティングにもSEが同席している。
「どの情報をデータとして交換するか目的に合わせて判断したり、双方のデータの互換性を確認しなければならないので、打ち合わせにSEの同席は欠かせない。
良きSEとの出会いは、DXの必要条件だと思う」と近藤リーダーは語る。
庫内作業員別のピッキング数と誤ピッキング率の可視化もSEの協力で実現した施策の一つだ。
ピッキングのスピードとミス率は個人差が大きい。
1日に1千個ピッキングできるが、10個のミスが発生する作業員もいれば、ピッキング数は1日500個だが、ミスは1個程度しかない作業員もいる。
それを前提に庫内の配置や作業指示を出すことで、倉庫全体のパフォーマンスを改善する。
「2〜3年前から始めた取り組みだが、SEがアイデアを出してくれるので、仕組み化して進めることができている」と近藤グループリーダーはいう。
誤ピッキング率を可視化したことで、熟練スタッフほど陥りやすいヒューマンエラーの存在も見えてきた。
ラベルピッキングを行う際に、同一商品(仮に「AAAAA」とする)のラベルが続いた後に似た名称の商品(仮に「AAAAa」とする)があると、先入観が働いて「AAAAA」をピッキングしてしまう。
熟練者ほど、最初の数文字を見ただけでピッキングすべき品を判断する力は高くなる。
それが先入観による錯覚も誘発していた。
同一商品のラベルが続いた後でサイズ違いのラベルが来た場合や、同じ種類でメーカー違いの品が来た場合も、同様のメカニズムでピッキングミスが発生していた。
そこで、ラベルには商品名やサイズを記載せず、品番のみ表記するよう変更して、同様のミスの発生を防いでいる。
現在は保管ロケーションを商品別やサイズ別ではなく出荷頻度別にすることで、類似の品やサイズの誤認を防ぎ、人の移動効率を高めるという改善に取り組んでいる。
倉庫の一画で、EDIで連携している取引先の商品144品目を出荷頻度順に並べ、入出庫業務がどれだけ効率化できるか実証実験も始めている。
需要予測システムの構築を次の目標に定めている。
同社の商品は工場などで配水管のトラブルが発生した際の補修品など、突発的かつ即納が求められるオーダーが多い。
欠品は許されないため必然的に発注点を高く設定せざるを得ない。
一方で発注ロットを小さくすると仕入れ値を抑えられない。
蒸気に関する商材が多いので寒い時期に需要が増えることも分かっている。
これらの特徴を持った商材の需要を予測するために、どのようなパラメーターを設けてデータを蓄積・分析すればいいのか、SEと相談しながら検討している。
既に商品別の年間需要や利益率などは可視化できているので、それらのデータも使いながらシミュレーションを重ねている。
標準化やデジタル化には、現場からの抵抗が付きもの。
同社も例外ではなかったが、管理者も物流現場に身を置くとともに、デジタルが苦手な社員の声を重視して全員が使いやすいシステムの構築に取り組み、理解と信頼を得ている。
水回りや空調設備に取り付ける継ぎ手やパイプ、バルブやポンプなど約5千アイテムを取り扱っている。
社員数は45人。
1923年創業の老舗で長年安定した経営を続けていたが、2008年のリーマン危機では売上高が4割も減るダメージを受けた。
最大の経営圧迫要因は支払い運賃だった。
専属でチャーターしていたトラック5台の費用が固定費としてのしかかった。
全て契約を解除して内製化に切り替えた。
「自社トラックがあるわけでもなく、配送スタッフもいなかったが、そんなことを言っている場合ではなかった」と大藪淳一社長は振り返る。
納品トラックの配送ルートは把握していた。
営業担当者が実際に走行してみたところ、ルートを見直す余地があることが分かった。
新たな配送ルートを設計して必要な車両を確保、既存社員の中からドライバーを募って自家配送を開始した。
これによって配送コストを外注の半分に抑えることができた。
現在は名古屋市内は全て自社便で納品している。
配送エリアを三つに分け、午前と午後の1日2便を走らせている。
各便について配達件数、荷台占有率、売上額、長尺や重量物の輸送回数などを算出して採算性をチェックしている。
名古屋市以外の愛知県内および県外への配送は運送会社約10社の共同配送便を使い分けている。
「配送の内製化から15年近くたち、現状を分析すればするほど課題も見えてきている。
自社配送を増やしてきた結果、採算が合わない走行ルートも出てきている。
自社便と共同配送の最適な組み合わせを選択しなければならないステージに来ている」と大藪社長は、近くAIを活用した配車システムの導入を計画している。
配送の内製化と並行して自社運営の庫内業務の改善にも取り組んだ。
従来は庫内作業員の属人的な判断に任せきりだった。
入荷の手順や保管ロケーションなど何も決まっていなかった。
そのため注文が入ると営業担当が倉庫に入って在庫を確認しなければならなかった。
補充発注も場当たり的だった。
まずは庫内業務のプロセスと保管方法をルール化した。
商品別の回転率も調べて、それぞれ発注点を設定した。
それを業務システムに落とし込んだ。
現在、物流管理責任者を務める近藤友哉業務グループリーダーは「当たり前のことを一つ一つ実行していくことで、当初は誰もが不可能と考えていた在庫管理ができるようになった」という。
今では全ての商品の在庫、庫内ロケーション、回転率などがリアルタイムで把握できている。
「こうした改善を進めることができたのは、頼れるシステムエンジニア(SE)と巡り会えたことが決定的だった。
8年前、販売・在庫管理システムの構築を依頼したアドバンス情報システムのSEだ。
われわれが言語化できていない要件までくみ取って、120%のアウトプットで提供してくれる」という。
頼れるSEとの出会いが転機に そのSEが大清のシステム化はもちろんDXのパートナーを務めている。
取引先とのEDI連携、配送ルートごとの輸送量の可視化、各商品の売上高・出荷頻度・在庫量・販売先数・利益率を可視化した商品分析など、数多くの業務改善をSEの協力で実現した。
EDI連携を話し合う取引先とのミーティングにもSEが同席している。
「どの情報をデータとして交換するか目的に合わせて判断したり、双方のデータの互換性を確認しなければならないので、打ち合わせにSEの同席は欠かせない。
良きSEとの出会いは、DXの必要条件だと思う」と近藤リーダーは語る。
庫内作業員別のピッキング数と誤ピッキング率の可視化もSEの協力で実現した施策の一つだ。
ピッキングのスピードとミス率は個人差が大きい。
1日に1千個ピッキングできるが、10個のミスが発生する作業員もいれば、ピッキング数は1日500個だが、ミスは1個程度しかない作業員もいる。
それを前提に庫内の配置や作業指示を出すことで、倉庫全体のパフォーマンスを改善する。
「2〜3年前から始めた取り組みだが、SEがアイデアを出してくれるので、仕組み化して進めることができている」と近藤グループリーダーはいう。
誤ピッキング率を可視化したことで、熟練スタッフほど陥りやすいヒューマンエラーの存在も見えてきた。
ラベルピッキングを行う際に、同一商品(仮に「AAAAA」とする)のラベルが続いた後に似た名称の商品(仮に「AAAAa」とする)があると、先入観が働いて「AAAAA」をピッキングしてしまう。
熟練者ほど、最初の数文字を見ただけでピッキングすべき品を判断する力は高くなる。
それが先入観による錯覚も誘発していた。
同一商品のラベルが続いた後でサイズ違いのラベルが来た場合や、同じ種類でメーカー違いの品が来た場合も、同様のメカニズムでピッキングミスが発生していた。
そこで、ラベルには商品名やサイズを記載せず、品番のみ表記するよう変更して、同様のミスの発生を防いでいる。
現在は保管ロケーションを商品別やサイズ別ではなく出荷頻度別にすることで、類似の品やサイズの誤認を防ぎ、人の移動効率を高めるという改善に取り組んでいる。
倉庫の一画で、EDIで連携している取引先の商品144品目を出荷頻度順に並べ、入出庫業務がどれだけ効率化できるか実証実験も始めている。
需要予測システムの構築を次の目標に定めている。
同社の商品は工場などで配水管のトラブルが発生した際の補修品など、突発的かつ即納が求められるオーダーが多い。
欠品は許されないため必然的に発注点を高く設定せざるを得ない。
一方で発注ロットを小さくすると仕入れ値を抑えられない。
蒸気に関する商材が多いので寒い時期に需要が増えることも分かっている。
これらの特徴を持った商材の需要を予測するために、どのようなパラメーターを設けてデータを蓄積・分析すればいいのか、SEと相談しながら検討している。
既に商品別の年間需要や利益率などは可視化できているので、それらのデータも使いながらシミュレーションを重ねている。
標準化やデジタル化には、現場からの抵抗が付きもの。
同社も例外ではなかったが、管理者も物流現場に身を置くとともに、デジタルが苦手な社員の声を重視して全員が使いやすいシステムの構築に取り組み、理解と信頼を得ている。
