2022年6月号
特集
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《海外論文》ロジスティクス概念の変遷と4PLの登場
ロジスティクスコンセプトの変遷
荷主企業のロジスティクスアウトソーシングの手法は、ロジスティクスコンセプトの変化に伴い、活発に進化を続けている。
その結果として、この分野で実際に何が起きているのか、それを認識することが本稿の目的である。
多種多様な荷主のニーズと、それに応えるロジスティクス・サービス・プロバイダーの奮闘ぶりを、われわれは日々目にしている。
企業がロジスティクス業務をアウトソーシングすることはもはや常識となっており、その行き着く先が3PLである。
しかし、3PLにもまた3PLなりの限界がある。
そこから登場したのが4PLである。
まずは1PLから4PLに至るロジスティクスのステージを整理する。
■ 1PL 自社で発生する物流業務を自社で運営する。
■ 2PL 自社で発生する物流業務を、子会社もしくは関連会社が運営する。
社内の物流担当部署を分社化するケースが一般的である。
多くのグループ会社を抱える大企業に適したロジスティクスサービスである。
■ 3PL 自社で発生する物流業務を、外部のロジスティクス企業にアウトソーシングする。
もともとはコスト削減を目的として外部企業に物流業務を委託するという、単なる外部委託から始まったものが、長期にわたるパートナーシップと幅広い包括的なサービスの提供を意味するまでに発展した。
■ 4PL 3PLよりさらにもう一歩踏み込んだコンセプトであり、ITや既存の3PLへのコンサルティングなども含む総合ソリューションを提供する。
さまざまなセクターに属するサービスプロバイダーのリソースやケイパビリティ、テクノロジーを束ねて運用する総合的システムと定義される。
荷主とサービスプロバイダーによるジョイントベンチャーや10年間程度の長期契約によって成立する別組織を通じて、包括的SCMを提供する。
専門分化が進む現代社会に寄り添うかたちで、ロジスティクスサービスはいまや輸送・保管・荷卸・梱包などの物理的作業にとどまらず、最新の情報通信技術を取り入れたサービスや、サプライチェーンの各組織を幅広くマネジメントする領域にまで達している。
ロジスティクスの発展段階 3PLや4PLがより進化した物流システムであることは確かであっても、実際には依然として1PLや2PLが存在する。
それは各企業が自分たちの産業の特性、企業規模、成り立ちといった要因を踏まえた上で、最適なロジスティクスサービスや配送手段を選択しているためである。
■ 1PLから2PLへ 一昔前まで、製品の完成段階から消費者に届くまでのプロセスを自社で行うことは、ごく当たり前のことだった。
ところが1PL型の規模が拡大して取引先の数も増えると、取り扱いが複雑化して社内の関係部署に極めて高い専門性が求められるようになる。
そこで企業は次第に2PLを採用するようになり、ロジスティクス業務に特化した子会社の立ち上げに至るわけである。
■ 2PLから3PLへ 規模の大きい荷主が子会社にロジスティクスサービスを提供させるというやり方は、1PLに比べれば一歩先を行っている。
しかし荷主はもともと製造などを本業としており、その子会社にもロジスティクスビジネスの専門的知識はほとんどない。
荷主が次第にその限界に気付き始めると、子会社ではなく、ロジスティクスビジネスに精通した専門企業によるサービスが必要だ、との認識が広がることになった。
その結果、荷主と直接的な関係を持たない外部の企業からロジスティクスサービスを受ける、3PLのメソッドが登場してきたのである。
3PLの登場により、企業はロジスティクス関連支出を削減できるようになり、本業に集中して製品の質を向上させることが可能になった。
ただし、1PLの場合と同様に2PLもいまだ多くの企業が採用している。
企業規模の大小を問わず、ロジスティクスサービスは必ず第三者から提供されるべきだということではない。
無理に3PLを採用してコストがむしろ増加することさえある。
しかしITとグローバリゼーションの進展からすれば、製品をより広範囲により迅速に届ける必要性は増す一方であり、その対応には3PLが適していることに議論の余地はない。
■ 3PLから4PLへ 優れたシステムとして評価される3PLも、社会の複雑化と専門分化が一層進行するに従い、その限界をあらわにすることになった。
激烈な競争の中で生き残りを図るため、さらに効率的で低コストのロジスティクスサービスが求められるようになってきた。
ロジスティクスサービスは保管・輸送・積み下ろし・アセンブリなど、幅広い範囲をカバーするが、一つのロジスティクス企業が全ての分野にわたって卓越した能力を発揮することを期待するのは無理難題に近い。
そのため近年、ロジスティクス企業1社では多岐にわたる荷主の要望に充分に応えきれない場合に、最適なサービスを提供できる別のロジスティクス企業をパートナーとして加えることで全体最適を実現する、ということが図られるようになった。
この4PLメソッドが登場したことで、荷主はロジスティクス業務のそれぞれの分野で最高水準のサービスを享受できるようになったのである。
アウトソーシング コンセプト 1980年代以降、主に米国で盛んになったロジスティクス機能のアウトソーシングは、今後5年でその市場規模が2倍以上に膨らむと期待されている。
各企業はコアとなる機能以外をアウトソーシングすることで、コスト削減とサービス向上による競争力の強化をもくろむ。
われわれが本稿で使うアウトソーシングという言葉は、プランニングやマネジメント、オペレーションの舵を取るのがアウトソーシングのサプライヤーであるという点で、従来から企業が行ってきた外注や下請け、分社化などとは概念的にやや異なっている。
下請けは業務の一部を外部に委託するものであり、例えばゼネコンが電気工事を他の企業に発注することなどを指す。
委託するのは業務のみに限られるという点でアウトソーシングとは異なる。
ロジスティクスアウトソーシングは当初、輸送・倉庫・マテリアルマネジメントといった比較的単純な機能に限られていたが、近年はEDIの情報交換・受注・輸送会社選び・梱包・ラベリング・組立作業など、直接的な顧客サービスにまで広がりを見せている。
アウトソーシング戦略 アウトソーシング戦略とは、自社が行うさまざまな活動の中で、戦略的に重要な分野や最も優れた能力を持つコアコンピタンスに全てのリソースを集中させて、それ以外のプランニングからオペレーションに至る全ての業務を、その分野を専門とする企業に委託することを指す。
言い方を変えれば、企業とサプライヤーが持つコアコンピタンス同士をネットワークを介して結びつけることで、企業全体のシナジー効果を最大化する戦略である。
アウトソーシングを戦略的に活用する能力は、強靱な企業、そしてネットワーク企業やバーチャル企業となるための第一歩であり、必要不可欠な条件である。
その一方で、ロジスティクスアウトソーシング戦略の策定に当たっては、以下に挙げた基本的問いに答えを用意しておくことが重要である。
─ロジスティクス機能を直接コントロールしないで品質を維持できるのか? ─グローバルなロジスティクス部門を社内で構築する余力はあるのか? ─長期的な視点から見て顧客にとってプラスとなるのか? ─アウトソーシングが企業のコアコンピタンスの強化につながるのか? ─コアコンピタンスに集中し、ロジスティクスに特化した企業を活用するとしても、それらをコントロールするテクノロジーはあるのか? ─保有するロジスティクスアセットを直接コントロールする必要はあるのか? アウトソーシングのメリット アウトソーシング戦略のポイントは、オペレーション効率を改善して競争優位を獲得するそのやり方にある。
経済不況と低成長という環境の下では、企業はトータル物流コストを抑えて利益を生む体質に変容する必要に迫られる。
またアウトソーシングには物流コスト削減だけではなく、サービスと生産性の向上というメリットもある。
─長期的に見て、3PLへのアウトソーシングは効率改善をもたらす。
荷主企業と3PLの協力関係が密になり、情報共有も進むからである。
─SCMアウトソーシングのプロバイダーは、信頼性と物流フローの予測精度が高く、担当するチャネルのサービスレベルを向上させる。
─信用のおけるアウトソーシングパートナーは、顧客サービスの品質を向上させる。
─車両や倉庫といった物流設備・施設が供給されることで、荷主の設備投資コストは削減され、資金の流動性も改善する。
─自社で開発するよりも高度なITやシステムを享受できる。
アウトソーシングのデメリット アウトソーシングのデメリットはまず一つに、社内の他の部署・機能との連携や、それらをコントロールする能力が失われることである。
ロジスティクスには、社内の生産・販売・財務その他との協力関係が必須である。
そのためロジスティクス機能をアウトソーシングする場合には、こうした協力関係をいかに維持していくかを検討する必要がある。
二つ目に、アウトソーシングによって人員の再配置という問題が生じることが挙げられる。
アウトソーシングを実施すれば、社内人事と組織の再編成に手を付けざるを得なくなる。
配置転換や人員削減など、効果的な対策が必須になる。
労働組合の強い企業では、労使紛争が勃発して通常の操業ができなくなる可能性さえある。
事前に周到な検討を済ませておく必要がある。
三つ目として、社外秘の情報やノウハウが外部に流出する懸念がある。
社内情報の公開範囲を決めるに当たっては、荷主とアウトソーシングパートナーの業務流域が重複しないよう留意すべきである。
最後に、アウトソーシングパートナーがふさわしい相手ではなく、期待通りの効果が上がらない場合がある。
パートナーの選択に当たっては、コスト面を重視しながらもサービスの質が悪い相手を選んで逆効果に陥らぬよう、慎重に決定することが求められる。
ロジスティクスアウトソーシングには、資本コストを抑えたりサービスが向上するなど、数々のメリットがある。
しかしながらその反面、コントロール能力の喪失やパートナーの信頼性の問題などのリスク要因があることも事実である。
企業はアウトソーシングを実行に移す前に、諸事情を勘案しながら合理的な判断を下す必要がある。
3PL “ロジスティクス”という言葉を、今では社会の至るところで耳にするようになった。
原材料の調達から製品の生産や販売に至るまで、かつて別々に行われていた業務は、顧客のニーズに応えると同時に全体のコストを抑えるために、サプライチェーンという全体的視点から統合・運営されるようになった。
これまで購買・調達部門、生産部門、営業販売部門がそれぞれ別々に行っていたロジスティクス関連業務を、多くの企業がロジスティクス専門の担当部署に一元化した理由はそこにある。
3PLというシステムにおいて、荷主は顧客サービスの向上、ロジスティクス関連コストの削減、ロジスティクス業務の効率改善といった課題の一部もしくは全てを3PLプロバイダーに委ねることができる。
一般にアウトソーシングとは、業務の一部を外部へ委託することを指すが、本業以外の周辺業務を外部の専門企業に代行してもらうことで、コスト削減や生産性の向上を図るという意図を伴う。
しかしアウトソーシングの本来の意義は、社外の専門性を効率的に利用することで、解決すべき課題に経営能力を集中させることに求められる。
4PL 4PLとは、ある企業が他社の経営資源・ケイパビリティ・技術を援用することで、ロジスティクスサービスプロバイダーの弱点を補い、荷主に包括的なサプライチェーンソリューションを提供することである。
つまり、より完璧なサプライチェーンソリューションを提供するインテグレーターと言うこともできるだろう。
4PLは、サプライチェーンにおける全ての業務の計画と運営を一括で請け負い、多種多様な組織や機能を効果的にコーディネートする。
それをLLP(リード・ロジスティクス・プロバイダー=Lead Logistics Provider)、一括請負などと呼ぶ場合もある。
4PLでは、ロジスティクス企業・コンサルティング企業・IT企業などが、仮想的な組織を形成し、一つの契約でサプライチェーン全体にわたる総合サービスを提供する。
その目的は、ワールドクラスの戦略・テクノロジー・ビジネスマネジメントを提供することである。
そして原材料の調達から手の掛かる顧客への販売まで、サプライチェーンで発生する全てのロジスティクス業務を一つの組織が受け持つ。
4PLのオペレーションモデルは、本来のロジスティクスアウトソーシング業務以外に、ITやコンサルティングも加えた総合的ロジスティクスサービスをどのように提供するかによって、以下の4種類に分けられる(図表5)。
①取引パートナーモデル 4PL企業が、顧客の業務を補完するサービスプロバイダーを使ってロジスティクスサービスを提供するモデル。
②シナジー増強モデル このモデルにおいて4PLは、3PLの組織の中に入り込んで活動する。
二つの組織は互いに依存関係にあり、それぞれのケイパビリティとマーケットも連動する。
③ソリューション・インテグレーターモデル 単独の顧客が関係するサプライチェーンの始まりから終わりまでを全面的にカバーするために、複数のサービスプロバイダーを束ねて総合的ソリューションを提供する。
④業界イノベーターモデル 複数の企業が属する特定業界向けサプライチェーンソリューションの開発と運営のため、4PL企業がさまざまなサービスプロバイダーを統合する複雑なオペレーションモデル。
サプライチェーンオペレーションの技法と戦略により、業界単位で効率性を促進する。
3PLと4PLの比較 3PLと4PLの区別については、多くの専門家がそれぞれの意見を表明している。
アウトソーシングの第一段階である輸配送・保管・積卸・梱包といったシンプルな機能から、そうしたロジスティクス機能の統合までは3PLの範囲である。
それをさらに発展させる方法の一つが、単独あるいは複数の3PL企業・顧客・IT企業・コンサルティング企業が、手を取り合って新たな組織を立ち上げることである。
3PLの問題点は何よりもまず、コスト削減が継続的ではなく一時的なものにすぎないことである。
SCMによってコスト削減と効率性改善を追求し続ける上で、既存の3PLという枠組みには一定の限界があると言わざるを得ない。
なぜなら3PLでは、技術・倉庫管理・輸送サービスの組み合わせ最適化の解を得ることができないからである。
一方の4PLでは、各分野のロジスティクスの最適化が可能であり、サプライチェーン全体のマネジメントにおいて、多種多様なロジスティクスサービスを取捨選択して最適化に導くことができると考えられる。
3PLのいまひとつの問題は、下請企業の経営最適化に必要なサプライチェーンのフロー改善に目が向かないことである。
これは、複数のサプライチェーンサービスを同時に提供するといったオペレーションおよび戦略に関する高度なスキルが、3PLには備わっていないためと言える。
これに対して4PLは、サプライチェーン最適化に求められる総合的・同時並行的なエンジニアリング技術によって、包括的なサプライチェーンサービスを提供する。
一般に、利益を上げる余地は、4PLなどによって統合されたサプライヤーを選ぶ方が大きいとされる。
また4PLでは顧客のサプライチェーンを統合・運営するのに、ソフトウエアや知識ベースのテクノロジーを活用する。
そこには自ずから豊かな柔軟性と創造性が備わる。
3PLのようにトラック・倉庫・コンテナを保有することはせずに、ロジスティクスマネジメントシステムと、そのシステムの運営に使用する輸送やコンテナといった外注サービスのコーディネートを行う。
固定資産を持たない4PLは、それゆえに市場の変化にいつでも対応できるのである。
4PLは、アウトソーシングとインソーシングそれぞれの良い面だけを取り入れたロジスティクス専門企業であり、業績の最大化をもたらす組織である。
4PLにアウトソーシングするメリットには顧客サービスの改善、財政面での効果、労働問題の単純化などがある。
また、顧客サービスのレベルおよびロジスティクスコストを直接コントロールでき、さらに顧客と直に接することで、顧客サービスレベルの実態と問題点を把握・改善することができる。
4PLの今後 4PL市場は急激な成長を続けている。
米ザ・インサイトパートナーズ社の調べによると、2019年の4PLの世界市場は564億7210万ドルであった。
今後20年から27年まで年平均成長率4・5%を維持し、27年には789億8150万ドルに達すると予想されている。
ただし短期的には、コロナウイルスによるロックダウンや隔離措置が、グローバル4PL市場のプレーヤーたちに影響を与えるだろうとしている。
また、以下に見るように、市場は幅広いセクターにわたって成長を見せている。
■ 食料および生鮮食品 生鮮食品の輸送と保管は、たいていの企業が手の届かない高度なロジスティクスを必要とする。
食品のロジスティクスや輸送を管理するサプライチェーンの専門家を探すとなると、必ずと言っていいほど3PLや4PLに行き着く。
大量の食品を輸送・保管する大企業では、包括的に幅広い専門知識を有する4PLの手を借りることが、無駄を最小限に抑えることにつながる。
■ 医療機器 医療機器を製造元から医療従事者や病院へと急送することには、平常時であっても一定のニーズがある。
それがパンデミックともなれば、ニーズが劇的に高まることは言うまでもない。
デリケートな機器が間違った人の手に渡らないようにするには、輸送過程を怠りなくトラッキングするという混み入ったプロセスを要する。
3PLにもそうしたサービスを提供するノウハウはあるが、4PLはタイトな納期や一見不可能と思われるようなスケジュールに対応することを得意としており、そこにサプライチェーンの動きをリアルタイムで監視する最新テクノロジーを投入する。
■ ECおよびマルチチャネル コロナウイルスによるロックダウンや隔離が、迅速な配送の需要を一段と高めることになり、当日あるいは翌日配送ということが、小売業や通販会社にとってこれまで以上の重要性を持つようになった。
3PLがスピーディーな配送サービスによって顧客のニーズに応える一方で、顧客のサプライチェーン全体を担う4PLは、急送需要に対応して機会損失を減らす、当日・翌日の補充をする、といったことを得意とする。
通販会社が隆盛を極めるようになるとともに、顧客の要望に応えることが必要不可欠となっている。
納期の遅れや在庫補充が間に合わずに在庫切れが生じると、すぐにネガティブなシグナルが送られて顧客離れを引き起こしてしまうからである。
(翻訳構成 大矢英樹)
その結果として、この分野で実際に何が起きているのか、それを認識することが本稿の目的である。
多種多様な荷主のニーズと、それに応えるロジスティクス・サービス・プロバイダーの奮闘ぶりを、われわれは日々目にしている。
企業がロジスティクス業務をアウトソーシングすることはもはや常識となっており、その行き着く先が3PLである。
しかし、3PLにもまた3PLなりの限界がある。
そこから登場したのが4PLである。
まずは1PLから4PLに至るロジスティクスのステージを整理する。
■ 1PL 自社で発生する物流業務を自社で運営する。
■ 2PL 自社で発生する物流業務を、子会社もしくは関連会社が運営する。
社内の物流担当部署を分社化するケースが一般的である。
多くのグループ会社を抱える大企業に適したロジスティクスサービスである。
■ 3PL 自社で発生する物流業務を、外部のロジスティクス企業にアウトソーシングする。
もともとはコスト削減を目的として外部企業に物流業務を委託するという、単なる外部委託から始まったものが、長期にわたるパートナーシップと幅広い包括的なサービスの提供を意味するまでに発展した。
■ 4PL 3PLよりさらにもう一歩踏み込んだコンセプトであり、ITや既存の3PLへのコンサルティングなども含む総合ソリューションを提供する。
さまざまなセクターに属するサービスプロバイダーのリソースやケイパビリティ、テクノロジーを束ねて運用する総合的システムと定義される。
荷主とサービスプロバイダーによるジョイントベンチャーや10年間程度の長期契約によって成立する別組織を通じて、包括的SCMを提供する。
専門分化が進む現代社会に寄り添うかたちで、ロジスティクスサービスはいまや輸送・保管・荷卸・梱包などの物理的作業にとどまらず、最新の情報通信技術を取り入れたサービスや、サプライチェーンの各組織を幅広くマネジメントする領域にまで達している。
ロジスティクスの発展段階 3PLや4PLがより進化した物流システムであることは確かであっても、実際には依然として1PLや2PLが存在する。
それは各企業が自分たちの産業の特性、企業規模、成り立ちといった要因を踏まえた上で、最適なロジスティクスサービスや配送手段を選択しているためである。
■ 1PLから2PLへ 一昔前まで、製品の完成段階から消費者に届くまでのプロセスを自社で行うことは、ごく当たり前のことだった。
ところが1PL型の規模が拡大して取引先の数も増えると、取り扱いが複雑化して社内の関係部署に極めて高い専門性が求められるようになる。
そこで企業は次第に2PLを採用するようになり、ロジスティクス業務に特化した子会社の立ち上げに至るわけである。
■ 2PLから3PLへ 規模の大きい荷主が子会社にロジスティクスサービスを提供させるというやり方は、1PLに比べれば一歩先を行っている。
しかし荷主はもともと製造などを本業としており、その子会社にもロジスティクスビジネスの専門的知識はほとんどない。
荷主が次第にその限界に気付き始めると、子会社ではなく、ロジスティクスビジネスに精通した専門企業によるサービスが必要だ、との認識が広がることになった。
その結果、荷主と直接的な関係を持たない外部の企業からロジスティクスサービスを受ける、3PLのメソッドが登場してきたのである。
3PLの登場により、企業はロジスティクス関連支出を削減できるようになり、本業に集中して製品の質を向上させることが可能になった。
ただし、1PLの場合と同様に2PLもいまだ多くの企業が採用している。
企業規模の大小を問わず、ロジスティクスサービスは必ず第三者から提供されるべきだということではない。
無理に3PLを採用してコストがむしろ増加することさえある。
しかしITとグローバリゼーションの進展からすれば、製品をより広範囲により迅速に届ける必要性は増す一方であり、その対応には3PLが適していることに議論の余地はない。
■ 3PLから4PLへ 優れたシステムとして評価される3PLも、社会の複雑化と専門分化が一層進行するに従い、その限界をあらわにすることになった。
激烈な競争の中で生き残りを図るため、さらに効率的で低コストのロジスティクスサービスが求められるようになってきた。
ロジスティクスサービスは保管・輸送・積み下ろし・アセンブリなど、幅広い範囲をカバーするが、一つのロジスティクス企業が全ての分野にわたって卓越した能力を発揮することを期待するのは無理難題に近い。
そのため近年、ロジスティクス企業1社では多岐にわたる荷主の要望に充分に応えきれない場合に、最適なサービスを提供できる別のロジスティクス企業をパートナーとして加えることで全体最適を実現する、ということが図られるようになった。
この4PLメソッドが登場したことで、荷主はロジスティクス業務のそれぞれの分野で最高水準のサービスを享受できるようになったのである。
アウトソーシング コンセプト 1980年代以降、主に米国で盛んになったロジスティクス機能のアウトソーシングは、今後5年でその市場規模が2倍以上に膨らむと期待されている。
各企業はコアとなる機能以外をアウトソーシングすることで、コスト削減とサービス向上による競争力の強化をもくろむ。
われわれが本稿で使うアウトソーシングという言葉は、プランニングやマネジメント、オペレーションの舵を取るのがアウトソーシングのサプライヤーであるという点で、従来から企業が行ってきた外注や下請け、分社化などとは概念的にやや異なっている。
下請けは業務の一部を外部に委託するものであり、例えばゼネコンが電気工事を他の企業に発注することなどを指す。
委託するのは業務のみに限られるという点でアウトソーシングとは異なる。
ロジスティクスアウトソーシングは当初、輸送・倉庫・マテリアルマネジメントといった比較的単純な機能に限られていたが、近年はEDIの情報交換・受注・輸送会社選び・梱包・ラベリング・組立作業など、直接的な顧客サービスにまで広がりを見せている。
アウトソーシング戦略 アウトソーシング戦略とは、自社が行うさまざまな活動の中で、戦略的に重要な分野や最も優れた能力を持つコアコンピタンスに全てのリソースを集中させて、それ以外のプランニングからオペレーションに至る全ての業務を、その分野を専門とする企業に委託することを指す。
言い方を変えれば、企業とサプライヤーが持つコアコンピタンス同士をネットワークを介して結びつけることで、企業全体のシナジー効果を最大化する戦略である。
アウトソーシングを戦略的に活用する能力は、強靱な企業、そしてネットワーク企業やバーチャル企業となるための第一歩であり、必要不可欠な条件である。
その一方で、ロジスティクスアウトソーシング戦略の策定に当たっては、以下に挙げた基本的問いに答えを用意しておくことが重要である。
─ロジスティクス機能を直接コントロールしないで品質を維持できるのか? ─グローバルなロジスティクス部門を社内で構築する余力はあるのか? ─長期的な視点から見て顧客にとってプラスとなるのか? ─アウトソーシングが企業のコアコンピタンスの強化につながるのか? ─コアコンピタンスに集中し、ロジスティクスに特化した企業を活用するとしても、それらをコントロールするテクノロジーはあるのか? ─保有するロジスティクスアセットを直接コントロールする必要はあるのか? アウトソーシングのメリット アウトソーシング戦略のポイントは、オペレーション効率を改善して競争優位を獲得するそのやり方にある。
経済不況と低成長という環境の下では、企業はトータル物流コストを抑えて利益を生む体質に変容する必要に迫られる。
またアウトソーシングには物流コスト削減だけではなく、サービスと生産性の向上というメリットもある。
─長期的に見て、3PLへのアウトソーシングは効率改善をもたらす。
荷主企業と3PLの協力関係が密になり、情報共有も進むからである。
─SCMアウトソーシングのプロバイダーは、信頼性と物流フローの予測精度が高く、担当するチャネルのサービスレベルを向上させる。
─信用のおけるアウトソーシングパートナーは、顧客サービスの品質を向上させる。
─車両や倉庫といった物流設備・施設が供給されることで、荷主の設備投資コストは削減され、資金の流動性も改善する。
─自社で開発するよりも高度なITやシステムを享受できる。
アウトソーシングのデメリット アウトソーシングのデメリットはまず一つに、社内の他の部署・機能との連携や、それらをコントロールする能力が失われることである。
ロジスティクスには、社内の生産・販売・財務その他との協力関係が必須である。
そのためロジスティクス機能をアウトソーシングする場合には、こうした協力関係をいかに維持していくかを検討する必要がある。
二つ目に、アウトソーシングによって人員の再配置という問題が生じることが挙げられる。
アウトソーシングを実施すれば、社内人事と組織の再編成に手を付けざるを得なくなる。
配置転換や人員削減など、効果的な対策が必須になる。
労働組合の強い企業では、労使紛争が勃発して通常の操業ができなくなる可能性さえある。
事前に周到な検討を済ませておく必要がある。
三つ目として、社外秘の情報やノウハウが外部に流出する懸念がある。
社内情報の公開範囲を決めるに当たっては、荷主とアウトソーシングパートナーの業務流域が重複しないよう留意すべきである。
最後に、アウトソーシングパートナーがふさわしい相手ではなく、期待通りの効果が上がらない場合がある。
パートナーの選択に当たっては、コスト面を重視しながらもサービスの質が悪い相手を選んで逆効果に陥らぬよう、慎重に決定することが求められる。
ロジスティクスアウトソーシングには、資本コストを抑えたりサービスが向上するなど、数々のメリットがある。
しかしながらその反面、コントロール能力の喪失やパートナーの信頼性の問題などのリスク要因があることも事実である。
企業はアウトソーシングを実行に移す前に、諸事情を勘案しながら合理的な判断を下す必要がある。
3PL “ロジスティクス”という言葉を、今では社会の至るところで耳にするようになった。
原材料の調達から製品の生産や販売に至るまで、かつて別々に行われていた業務は、顧客のニーズに応えると同時に全体のコストを抑えるために、サプライチェーンという全体的視点から統合・運営されるようになった。
これまで購買・調達部門、生産部門、営業販売部門がそれぞれ別々に行っていたロジスティクス関連業務を、多くの企業がロジスティクス専門の担当部署に一元化した理由はそこにある。
3PLというシステムにおいて、荷主は顧客サービスの向上、ロジスティクス関連コストの削減、ロジスティクス業務の効率改善といった課題の一部もしくは全てを3PLプロバイダーに委ねることができる。
一般にアウトソーシングとは、業務の一部を外部へ委託することを指すが、本業以外の周辺業務を外部の専門企業に代行してもらうことで、コスト削減や生産性の向上を図るという意図を伴う。
しかしアウトソーシングの本来の意義は、社外の専門性を効率的に利用することで、解決すべき課題に経営能力を集中させることに求められる。
4PL 4PLとは、ある企業が他社の経営資源・ケイパビリティ・技術を援用することで、ロジスティクスサービスプロバイダーの弱点を補い、荷主に包括的なサプライチェーンソリューションを提供することである。
つまり、より完璧なサプライチェーンソリューションを提供するインテグレーターと言うこともできるだろう。
4PLは、サプライチェーンにおける全ての業務の計画と運営を一括で請け負い、多種多様な組織や機能を効果的にコーディネートする。
それをLLP(リード・ロジスティクス・プロバイダー=Lead Logistics Provider)、一括請負などと呼ぶ場合もある。
4PLでは、ロジスティクス企業・コンサルティング企業・IT企業などが、仮想的な組織を形成し、一つの契約でサプライチェーン全体にわたる総合サービスを提供する。
その目的は、ワールドクラスの戦略・テクノロジー・ビジネスマネジメントを提供することである。
そして原材料の調達から手の掛かる顧客への販売まで、サプライチェーンで発生する全てのロジスティクス業務を一つの組織が受け持つ。
4PLのオペレーションモデルは、本来のロジスティクスアウトソーシング業務以外に、ITやコンサルティングも加えた総合的ロジスティクスサービスをどのように提供するかによって、以下の4種類に分けられる(図表5)。
①取引パートナーモデル 4PL企業が、顧客の業務を補完するサービスプロバイダーを使ってロジスティクスサービスを提供するモデル。
②シナジー増強モデル このモデルにおいて4PLは、3PLの組織の中に入り込んで活動する。
二つの組織は互いに依存関係にあり、それぞれのケイパビリティとマーケットも連動する。
③ソリューション・インテグレーターモデル 単独の顧客が関係するサプライチェーンの始まりから終わりまでを全面的にカバーするために、複数のサービスプロバイダーを束ねて総合的ソリューションを提供する。
④業界イノベーターモデル 複数の企業が属する特定業界向けサプライチェーンソリューションの開発と運営のため、4PL企業がさまざまなサービスプロバイダーを統合する複雑なオペレーションモデル。
サプライチェーンオペレーションの技法と戦略により、業界単位で効率性を促進する。
3PLと4PLの比較 3PLと4PLの区別については、多くの専門家がそれぞれの意見を表明している。
アウトソーシングの第一段階である輸配送・保管・積卸・梱包といったシンプルな機能から、そうしたロジスティクス機能の統合までは3PLの範囲である。
それをさらに発展させる方法の一つが、単独あるいは複数の3PL企業・顧客・IT企業・コンサルティング企業が、手を取り合って新たな組織を立ち上げることである。
3PLの問題点は何よりもまず、コスト削減が継続的ではなく一時的なものにすぎないことである。
SCMによってコスト削減と効率性改善を追求し続ける上で、既存の3PLという枠組みには一定の限界があると言わざるを得ない。
なぜなら3PLでは、技術・倉庫管理・輸送サービスの組み合わせ最適化の解を得ることができないからである。
一方の4PLでは、各分野のロジスティクスの最適化が可能であり、サプライチェーン全体のマネジメントにおいて、多種多様なロジスティクスサービスを取捨選択して最適化に導くことができると考えられる。
3PLのいまひとつの問題は、下請企業の経営最適化に必要なサプライチェーンのフロー改善に目が向かないことである。
これは、複数のサプライチェーンサービスを同時に提供するといったオペレーションおよび戦略に関する高度なスキルが、3PLには備わっていないためと言える。
これに対して4PLは、サプライチェーン最適化に求められる総合的・同時並行的なエンジニアリング技術によって、包括的なサプライチェーンサービスを提供する。
一般に、利益を上げる余地は、4PLなどによって統合されたサプライヤーを選ぶ方が大きいとされる。
また4PLでは顧客のサプライチェーンを統合・運営するのに、ソフトウエアや知識ベースのテクノロジーを活用する。
そこには自ずから豊かな柔軟性と創造性が備わる。
3PLのようにトラック・倉庫・コンテナを保有することはせずに、ロジスティクスマネジメントシステムと、そのシステムの運営に使用する輸送やコンテナといった外注サービスのコーディネートを行う。
固定資産を持たない4PLは、それゆえに市場の変化にいつでも対応できるのである。
4PLは、アウトソーシングとインソーシングそれぞれの良い面だけを取り入れたロジスティクス専門企業であり、業績の最大化をもたらす組織である。
4PLにアウトソーシングするメリットには顧客サービスの改善、財政面での効果、労働問題の単純化などがある。
また、顧客サービスのレベルおよびロジスティクスコストを直接コントロールでき、さらに顧客と直に接することで、顧客サービスレベルの実態と問題点を把握・改善することができる。
4PLの今後 4PL市場は急激な成長を続けている。
米ザ・インサイトパートナーズ社の調べによると、2019年の4PLの世界市場は564億7210万ドルであった。
今後20年から27年まで年平均成長率4・5%を維持し、27年には789億8150万ドルに達すると予想されている。
ただし短期的には、コロナウイルスによるロックダウンや隔離措置が、グローバル4PL市場のプレーヤーたちに影響を与えるだろうとしている。
また、以下に見るように、市場は幅広いセクターにわたって成長を見せている。
■ 食料および生鮮食品 生鮮食品の輸送と保管は、たいていの企業が手の届かない高度なロジスティクスを必要とする。
食品のロジスティクスや輸送を管理するサプライチェーンの専門家を探すとなると、必ずと言っていいほど3PLや4PLに行き着く。
大量の食品を輸送・保管する大企業では、包括的に幅広い専門知識を有する4PLの手を借りることが、無駄を最小限に抑えることにつながる。
■ 医療機器 医療機器を製造元から医療従事者や病院へと急送することには、平常時であっても一定のニーズがある。
それがパンデミックともなれば、ニーズが劇的に高まることは言うまでもない。
デリケートな機器が間違った人の手に渡らないようにするには、輸送過程を怠りなくトラッキングするという混み入ったプロセスを要する。
3PLにもそうしたサービスを提供するノウハウはあるが、4PLはタイトな納期や一見不可能と思われるようなスケジュールに対応することを得意としており、そこにサプライチェーンの動きをリアルタイムで監視する最新テクノロジーを投入する。
■ ECおよびマルチチャネル コロナウイルスによるロックダウンや隔離が、迅速な配送の需要を一段と高めることになり、当日あるいは翌日配送ということが、小売業や通販会社にとってこれまで以上の重要性を持つようになった。
3PLがスピーディーな配送サービスによって顧客のニーズに応える一方で、顧客のサプライチェーン全体を担う4PLは、急送需要に対応して機会損失を減らす、当日・翌日の補充をする、といったことを得意とする。
通販会社が隆盛を極めるようになるとともに、顧客の要望に応えることが必要不可欠となっている。
納期の遅れや在庫補充が間に合わずに在庫切れが生じると、すぐにネガティブなシグナルが送られて顧客離れを引き起こしてしまうからである。
(翻訳構成 大矢英樹)
