2022年5月号
特集
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《座談会》共同物流は「協調物流」に進化する
共同物流の制約を取り払う
──今年1月に「日用品における物流標準化ガイドライン」(本誌22頁参照)が公表されました。
その意義をどう受けとめればいいでしょうか。
流研・加藤「そもそも日用品は物流の標準化が進んだ業界です。
(日用品メーカーの共同物流運営会社の)プラネット物流時代の2002年に『物流標準化ガイドライン』の最初のバージョンが作成されて、その後も09年にガイドラインを改定するなど、継続的に取り組んできました。
メーカーの物流共同化をさらに進める目的で、プラネット物流を16年に解散した後も関係者の間で活発に意見を交換してきました」 「具体的には一つは、流通経済研究所で研究会を開催して、メーカーの物流連携の在り方について議論してきました。
それと並行して(日用品VAN運営会社の)プラネットを事務局として『ロジスティクスEDI概要書』(物流EDIの標準。
20年2月にVer.1、21年1月にVer.2を発表)を定めました。
その導入・活用が今回本格的に始まることになり、日用品業界の物流はメーカーと卸が連携する新しいフェーズに入りました」 ライオン・平岡「私は二つの視点があると思っています。
一つは最後に外装表示のガイドラインを作ったのが09年ですから既に10年以上が経過して、さすがに環境が変わっている。
内容の更新が必要でした。
それに10年経つと環境はもちろん、各社の物流担当者も入れ替わっています。
そこで先輩たちが策定したガイドラインをもう一度われわれ自身で吟味して自分たちのものにしたかった」 「もうひとつが『協調物流』です。
一般的には現在『共同物流』が、社会的な物流課題に対処する一つの方法としてクローズアップされています。
しかし、日用品業界では1980年代後半ないしは90年代初頭にメーカーの共同物流が実装されて、これまで数十年にわたって運営を続けてきました。
時代と共にそこには新たな工夫が加えられて、さまざまなかたちに進化を遂げています」 「共同物流は、極めて単純化すれば、物理的に同じ場所にモノを置いて、同じトラックで届けるという構造です。
しかし、そのモデルではカバーできないモノの流れがある。
同じ場所に置こうとしても、同じトラックに載せようとしても都合が合わないモノがある。
それが無視し得るほど少ないのであればいいけれど、決してそうではない。
その部分までカバーするために従来の共同物流を協調物流へと進めたい」 ──協調物流という言葉は造語ですか。
ライオン・平岡「日用品の物流関係者の間で数年前から使われるようになりました。
置いてある場所が別でも、同じトラックに一緒に載せるわけではなくても、お互いの都合を付き合わせて協調することで、配車や配送の効率、あるいは着地のバースの運用効率など、もっと生産性を高くできる可能性がある。
そうしたことを以前から構想していました。
しかし、それを実装するには各社が共通のルールで物流を運用する必要があります。
今回のガイドラインは、日用品業界の協調物流に向けた第一歩と位置付けています」 サンスター・荒木「従来の共同化は、荷主や物流会社がそれぞれ自分の都合で共同化できる貨物だけを集めていたわけですが、協調物流ではそこからもう一歩踏み込む。
全体を効率化するために、自分のところは少し我慢して全体に合わせていくことが大事になります。
例えばメーカーはパッケージ形状やパレット仕様などを調整する。
卸店は発注日や発注量を調整する、そうやって積載効率や作業生産性を向上させる」 「従来の共同物流は自分のパターンに合わないと乗ることができませんでした。
そのためプラネットのEDIには何百社もの日用品メーカーが参加しているのに、プラネット物流に参加していたメーカーは多い時でも16社にすぎませんでした。
その16社にしても部分的にプラネット物流を利用しているだけでした。
共同化の制約を取り払い、対象をもっと大きく広げたいと考えています。
実際、今回のガイドラインは必ずしも日用品だけでなく、他の多くの業界でも共有できると思います」 ライオン・平岡「ハードを共有するのと違って、情報の共有には物理的な限界がありません。
プラネットの『ロジスティクスEDI』に乗せさえすれば誰でも協調できる」 日用品業界はなぜ先行したのか ──協調物流の実装において、プラネットはどのような役割を果たすことになりますか。
プラネット・上原「プラネットは85年の設立からずっと商流のEDIを運営してきました。
その結果、現在はメーカーだけでも約800社にご利用いただいています。
しかし、商流と比べて物流という領域では、データの標準化や連携の取り組みが残念ながら遅れていました。
それに対して2017年ごろから物流クライシスが社会的に問題視されるようになり、待機車両の解消やドライバーの安定確保に向けて、業界を上げて取り組んでいかなければならなくなった。
それが今回、ガイドラインを策定した背景だと受け止めています」 「これから日用品メーカーと日用品卸、そして物流事業者は、物流データの連携や共有を進めていく世界に入る。
しかし、各社のデータの仕様やコードがバラバラではそれができない。
その点でプラネットには商流データの標準化のノウハウがあり、日用品メーカーからの強い後押しも受けていますので、当社としてもそこで力を果たすべきだと考えて取り組んでいます。
具体的には、フィジカルな物流の問題については流通経済研究所の『日用品物流標準化ワーキンググループ』が中心になって活動して、当社はシステムまわりを担当するという役割分担です」 ──メーカー・卸間の受発注のうちプラネットを経由するものはどれくらいを占めているのでしょうか。
プラネット・上原「日用品の卸流通に限れば商流データの9割くらいを当社がつないでいます」 ──なぜそこまで広く普及したのでしょうか。
プラネット・上原「小売業、卸売業の動きが大きかったと考えています。
プラネットがスタートした1985年当時、チェーンストアはまだ黎明期にありました。
その後、小売業が急速に広域化して、それに伴い卸売業も広域化してフルライン化していった。
その結果として、当社が対象とする日用品のカテゴリーが周辺の領域まで広がっていった」 「それともうひとつ、日用品卸は小売業から『オリコンばら物流』を求められた。
ケース単位で動く食品と違って、日用品は『歯ブラシ1本から』という商慣習です。
そうした要請に対応しないと卸売業は恐らく生き残れなかった。
そのためにメーカーとの流通を効率化して、そこで浮いた分を得意先対応の投資に充てる、という構図かと思います」 ライオン・平岡「他の業界に比べてプラネットが業界VANを手掛けたタイミングが早かったこともあると思います。
EDIという言葉すら知られていない時代でしたから」 サンスター・荒木「メーカーが個々に投資を始める前からスタートしたので、そこに合わせるのが当たり前だった。
一方でドラッグストアの台頭もありました。
中小の個人店がドラッグチェーンにどんどん集約されていき、ファクス受注もなくなった」 プラネット・上原「プラネットの設立期で言うと、ライオンやユニ・チャームをはじめとするメーカーが卸売業のシステム化を推進した、情報武装化を積極的に支援したことも大きかったと思います。
そのためにプラネットができたようなものでした」 ──しかし、そうだとすると日用品業界の成功事例はなぜ他の業界に横展開されなかったのか。
流研・加藤「一つは日用品の卸売業が上位集中したというのがあると思います。
集約された上位の卸売業と上位のメーカー間であれば連携も取りやすい」 サンスター・荒木「しかし、卸売業の上位集中はこの20年間の出来事です。
それ以前は違った」 ライオン・平岡「私は加藤さんの説にも一理あると思う。
日用品のカテゴリーが広がっていったのは、他の業界の卸ではなく日用品卸がそれを取り扱ってくれたからです。
その結果として小売市場における日用品卸のカバーする範囲が広がった。
日用品卸が弱かったら食品卸や医薬品卸にシェアを奪われていた可能性がある」 ──本誌は以前に、日用品業界は〝アンチ花王〟でまとまったと解説したことがあります。
花王の直販モデルに他のメーカーが対抗した。
サンスター・荒木「卸売業界がまとまったのは事実です。
それをわれわれメーカーが後押ししたという構図でした」 協調物流のスキーム ──結果として中間流通の上位集中が進んだ。
同じことは今後、他の業界でも起きますか。
流研・加藤「小売りの上位集中よりも卸の上位集中が進んでいるというのは、日用品だけに限らない日本の流通の特徴です。
実際、加工食品業界でも同様のことが起きている。
この流れは今後も進んでいくだろうと見ています」 ──標準化や共同化で先行した日用品業界でプラネット物流が解散したことを他業界の物流関係者はどう受け止めたのでしょうか。
それと前後して加工食品業界ではF-LINEが立ち上がったのは、とても対照的でした。
流研・加藤「確かに多くの人が、何でだろうと感じたはずです。
説明はありましたが、十分に理解はされなかったかもしれない。
しかし、共同物流の内側を知っている人たちは分かるはずです。
プラネット物流は基本的にノンアセットの管理会社で、協力物流会社との役割分担で運営を進めてきました。
しかし、その進み方に必ずしも各社が足並みをそろえられるわけではなかった」 「その一方でもっとフレキシブルな縦横の連携が技術的に可能になってきている。
実際、日用品業界では現在、複数のメーカーが柔軟に共同化の組み合わせを作って、物流会社と連携して効率化を進めています。
流研の研究会には、プラネット物流と取引のなかった物流企業も入ってきている。
従来とは違うかたちの取り組みが進んでいます」 ──他の業界より1周先を走っている。
流研・加藤「そう捉えることもできると思います」 ──協調物流の考え方は理解できても、新たにセンターを立ち上げたりするわけではないので、具体的にイメージするのが容易ではありません。
ライオン・平岡「協調物流を構想するようになったきっかけが、個人的に二つあります。
一つはプラネット物流がまだあった時代の話です。
当時は東北一円にモノを届けるために、ライオンをはじめメーカーの多くが仙台近郊に在庫を置いていました。
そのためにプラネット物流も仙台に拠点を置いていた。
しかし、各社の在庫管理能力が上がり、在庫効率を高めようという狙いから、東北の在庫を関東に集約するメーカーが増えていきました。
そうなると共同化のスキームが崩れてしまう」 「それが発地側の視点だとして、着地側にも問題がありました。
メーカー各社はそれぞれ卸に朝一に納品するために車両を仕立てている。
しかし、朝一に到着しても渋滞しているので、実際の荷下ろしは昼までかかっている。
どのメーカーがどの卸のセンターに、どれだけ届けようとしているのか、全体が見えれば、空港の管制塔のように荷下ろしの順番を決めて整列させれば済むはずです。
なぜそれができないのだろうか、という本当に素朴な出発点でした」 サンスター・荒木「プラネット物流に限らず、共同物流がハードに縛られている限り、環境が変化すると各社の事情に食い違いが出てきて共同化が苦しくなってしまう。
共同物流を長続きさせるのが難しい理由だと思います。
それに対して協調は、文字通り『調子』を合わせるだけなので、そこは問題にならない」 「ただし、そこで必要になるのが着荷先(卸)にも調子を合わせてもらうことです。
モノを購入する側がコントロールすれば一番満足度も高いし、効率もいい。
200社から商品を調達している卸は200社の情報を持っています。
出荷場所の近いメーカーの発注を同じ日にまとめて一緒に持って来るように進めれば輸送効率は上がるし、納品車両も少なくて済む。
同じことをメーカーの横の連携でやろうとしても、マッチングの調整をするのは相当に難易度が高い。
その意味でも協調という言葉がふさわしいと考えています」 ──ロジスティクスEDIが普及すると膨大な物流データを蓄積することが可能になります。
そこから新たな付加価値を生み出すことができるはずです。
流研がそのデータを運用してもいい。
流研・加藤「流研は内閣府のSIPの取り組みを通してデータ連携を促進する機能を担おうとしています。
一方でデータをどこで持つのかという点では、日用品業界のデータがプラネットに集約されてそこでコントロールできるのであれば、プラネットが中立的な立ち場でデータベースを運営していくのが適当だろうと個人的には思います。
ただし、それが他の業界にも広がるようになると、今度は業界をまたいだデータの連携の在り方を考えないといけなくなる」 ライオン・平岡「その合意形成はかなり難しい。
議論を重ねても実装がいつになるのか見通しが立ちません。
むしろ、活用から入った方が話が先に進む。
データの蓄積はいったん脇に置いて、例えば協調物流で合意したメンバー間で中立性を担保してデータの共有を進めていく」 流研・加藤「確かにユースケースから入った方が分かりやすい。
まずは、ばらばらに配車を組んでいるのを、合意のとれる相手と共同化する。
それを多対多に広げる時には管制塔のような機能が必要になる。
その際にデータをどう共有すべきかと具体的に考えていく。
そのやり方が進めやすいし、皆さん納得しやすいかと思います」 まずは伝票レス・検品レス ──協調物流は現状どこまで具体化しているのでしょうか。
プラネット・上原「現在は大手メーカーと大手卸間で『ASN(Advanced Shipping Notice:事前出荷データ)』の試験運用をスタートしたところです」 サンスター・荒木「まず卸からメーカーに発注が来ます。
受注した通りに全て届けられればいいのですが、実際には在庫がなかったり、いつもとは違う倉庫から出荷しなければならないこともある。
今は卸は何がどれだけ、どこから来るのか分からないので、納品伝票で何が入荷されたのかを確認して発注データを消し込んでいる。
それに対して、メーカーが在庫を引き当てた段階でASNを送信すれば、卸は何がどこから来るのか分かるので伝票と照らし合わせる必要がない。
それによってまずはノー検品・伝票レスを目指します」 ──これまでASNは存在しなかったのですか。
ライオン・平岡「恥ずかしながら」 流研・加藤「ASNやノー検品は、卸・小売り間では進んでいるのですが、メーカー・卸間は日用品に限らず、どの業界もほとんどできていません。
卸・小売り間は仕入れの集約が進んで取引先の数が絞られています。
卸は情報システム対応ができないと取引を維持できないこともあり、小売り側のニーズに合わせて情報をコントロールすることができている。
しかし、メーカー・卸間はメーカーの数が多く、中小メーカーがかなりあるため情報化が遅れています。
最近になってようやく動き始めたところです」 サンスター・荒木「もともと卸は店舗納品で散々苦労してきました。
1本単位からの発注で出荷が細かい。
納品に行っても店員はお客さまの対応に忙しくて検品できない。
だからASNへの着手が早かった。
一方でメーカーはケース単位で出荷するだけで、納品は運送会社に委託しているので納品時の大変さを分かっていない。
そのためにASNを普及させていく必要性も十分に認識できていなかった。
それは今後ASNを普及させる上でも大きな弊害になりかねないと危惧しています」 メーカーの配車を統合して集中制御 ──ASNが提供されると納品の順番待ちもなくなるのですか。
プラネット・上原「それだけでは駄目です。
現在はASNを普及させるというフェーズですが、ASNのカバレッジがそれなりに広がってきたら、次にそれを利用して効率的な配送計画を組むというフェーズに入ります」 ──最近はバース予約システムを導入する卸が増えています。
解決策になりませんか。
サンスター・荒木「一定の成果は上がっています。
普段の渋滞はなくなりました。
1年間に240日の納品日があったとして、200日以上、220日くらいは待たなくなった。
しかし、残り20日は今でも長時間待機が発生しています。
予約システムの枠がいっぱいになってしまうと予約を受け付けられなくなってしまう。
昨年末に流研と一緒に調査したのですが、予約が取れなかった車両は明け方に到着して2時間は待っていました。
それを協調によって解決しようというのが次のステップです」 ──メーカー・卸間でASNをやり取りするのに、どのような整備が必要ですか。
サンスター・荒木「これまでの商流情報は一方通行でした。
発注が来ました、受けました、WMSに流しました、納品しました、と次の取引先に伝えるだけだったものが、伝票レスになると双方向になる」 プラネット・上原「そのために現在、システムの改修を進めています。
また、ASNを出すメーカー側の情報、どの車両に何が積載されているのかという情報は、物流現場にしかありませんので、物流事業者にASNデータの作成に協力してもらう必要があります」 サンスター・荒木「現在、協力物流会社各社に説明してお願いをしているところです。
ただし、共同配送や何回も積み替えが発生する場合には情報を捕捉することが物理的に難しい。
机上では分からないこともあるので実態を調査中です」 ──卸の発注情報を全て集めれば理論的には、日用品メーカー全体の配車を統合できます。
サンスター・荒木「それがデータ活用の大きな目標です。
まず卸が発注して、メーカーが在庫を引き当てる。
引き当てることができた情報を卸に返す。
そのやりとりがデータとしてたまっていく。
そのデータを分析して、どことどこをマッチングすれば最も効率的なのかを導き出せるはずです」 ライオン・平岡「役割としては昔からの“水屋”に近い。
それを最適化ロジックなどを使ってシステマチックにやりましょう、かつ特定の事業者に限定しない、各メーカーが日頃お世話になっている物流パートナーとのつながりはそのまま継続しましょう、というアイデアです。
そこまで行く前の段階には、いくつかステップがあります。
最初は違うトラックでもいいから、納品先で渋滞しないように、きちんと整列する。
それによって待ち時間や滞留時間を最小化する」 「次に実績データを分析して同じトラックに混載できる組み合わせを探す。
さらにはメーカーと卸が協調する。
『このカテゴリーは週5日発注しているけれど、月・水・金の3日にまとめたら、このルートの積載率はこれだけ上がります。
月・水・金それぞれ1台ずつで納品が全て終わるのでバースの効率も格段に良くなります』と提案する。
またさらにそれを複数メーカーと卸間に展開するなど、いくつかフェーズがある。
まずは、そうしたことが可能になる基盤を作ろうとしているわけです」 ──その実現可能性を加藤さんはどう考えますか。
流研・加藤「理論的にはできるはずです。
どの日用品メーカーも発注者と届ける場所はほぼ同じ。
パターンもだいたい決まっているわけですから、データさえあれば、それをAIに解析させることで配車を最適化できる。
そのような、データを集めてプランニングができる協調の基盤ができたら、他に例を見ない素晴らしい先行事例になります」 ライオン・平岡「理論的にも技術的にも可能です。
実装に必要なシステム技術や解析技術は既にそろっている。
そろっていないのは実務レベルの合意形成。
ここをどうするかということでしょうね」 プラネット・上原「合意形成が一番難しいというのはその通りだと思います。
そこはみんなで一生懸命、汗をかくしかない。
その段取りが済んで要件が決まれば、システムの実装はプラネットがお役に立てると思います」 ──プラネットはコントロールタワーの役割も果たせるのでは。
プラネット・上原「そこは皆さんのご意見に従うことになりますが、当社としてはシステムについてはお任せくださいとは言えるのですが、今回は物流です。
トラックの到着時間や、さまざまな物流資材・設備まで考慮してモノを動かすのが管制塔だと思いますので、個人的にはプラネットとは少し毛色の違った組織が必要かと、ぼんやりとですが考えています」 ──「協調物流運営会社」という新たなモデルが立ち上がるのかもしれない。
サンスター・荒木「完全な3PLとは違いますが、情報と協調を取り仕切る組織は必要になるでしょう」 ──最後に当面の活動について。
流研・加藤「流研のWGでは今、伝票のペーパーレス化に向けて、各社の伝票を持ち寄って実際の使われ方を調べて議論しています。
大きくメーカー・卸間でやり取りしている荷主間の伝票と、運送会社が使っている送り状などの2種類の伝票があります。
それもいろいろなパターンがあるのですが、何とか整理はつきそうです。
電子化して伝票がなくなった時に、どこかで困る人が出てこないかということを踏まえて検討しています。
ASNを“点”ではなく業界全体で広めて、業界全体のペーパーレス化を実現したいと考えています」 「完全に紙をなくすことは難しいかもしれない。
何らかの指示書が残る可能性はあります。
それでも米国などでは既に2000年代から、ASNを送って荷物に『SSCC(Serial Shipping Container Code:出荷梱包シリアル番号)』を読み取るラベルを貼り付け、ノー検品で格納するというフローが定着しています。
日本は20年遅れている感がある。
早くそこをクリアして、協調物流でより優れたものを打ち出していけたらいい」 ライオン・平岡「販売管理の世界ではプラネットがスタートした1985年以来、メーカー・卸間の一種の伝票レスが実現しているのに、なぜか物流はいまだに紙の伝票が主役です。
これはもう何とかしなければいけない。
その影響を最も強く受けているのは物流事業者ですから、物流事業者の理解、協力、全面的な関与を期待したいところです。
ASNを利用することで、メーカーと卸と物流事業者の3者が全て良い思いができる。
そのため今、一緒に汗をかきませんかとお願いして回っているところです」 ──今後のタイムスケジュールは ライオン・平岡「先ほどの協調配送は今年中にも具体的なものを打ち出していかなくてはいけないと考えています。
世の中の動きが激しいのでそれくらいのスピード感は必要です」 サンスター・荒木「まだ詳細は公表はできませんが、構想から実際にシステムを動かす段階に入りました。
2024年問題やドライバー不足、SDGsが追い風になっています。
物量で換算すると日用品の6割以上をカバーする取り組みを想定しています。
乞うご期待」
その意義をどう受けとめればいいでしょうか。
流研・加藤「そもそも日用品は物流の標準化が進んだ業界です。
(日用品メーカーの共同物流運営会社の)プラネット物流時代の2002年に『物流標準化ガイドライン』の最初のバージョンが作成されて、その後も09年にガイドラインを改定するなど、継続的に取り組んできました。
メーカーの物流共同化をさらに進める目的で、プラネット物流を16年に解散した後も関係者の間で活発に意見を交換してきました」 「具体的には一つは、流通経済研究所で研究会を開催して、メーカーの物流連携の在り方について議論してきました。
それと並行して(日用品VAN運営会社の)プラネットを事務局として『ロジスティクスEDI概要書』(物流EDIの標準。
20年2月にVer.1、21年1月にVer.2を発表)を定めました。
その導入・活用が今回本格的に始まることになり、日用品業界の物流はメーカーと卸が連携する新しいフェーズに入りました」 ライオン・平岡「私は二つの視点があると思っています。
一つは最後に外装表示のガイドラインを作ったのが09年ですから既に10年以上が経過して、さすがに環境が変わっている。
内容の更新が必要でした。
それに10年経つと環境はもちろん、各社の物流担当者も入れ替わっています。
そこで先輩たちが策定したガイドラインをもう一度われわれ自身で吟味して自分たちのものにしたかった」 「もうひとつが『協調物流』です。
一般的には現在『共同物流』が、社会的な物流課題に対処する一つの方法としてクローズアップされています。
しかし、日用品業界では1980年代後半ないしは90年代初頭にメーカーの共同物流が実装されて、これまで数十年にわたって運営を続けてきました。
時代と共にそこには新たな工夫が加えられて、さまざまなかたちに進化を遂げています」 「共同物流は、極めて単純化すれば、物理的に同じ場所にモノを置いて、同じトラックで届けるという構造です。
しかし、そのモデルではカバーできないモノの流れがある。
同じ場所に置こうとしても、同じトラックに載せようとしても都合が合わないモノがある。
それが無視し得るほど少ないのであればいいけれど、決してそうではない。
その部分までカバーするために従来の共同物流を協調物流へと進めたい」 ──協調物流という言葉は造語ですか。
ライオン・平岡「日用品の物流関係者の間で数年前から使われるようになりました。
置いてある場所が別でも、同じトラックに一緒に載せるわけではなくても、お互いの都合を付き合わせて協調することで、配車や配送の効率、あるいは着地のバースの運用効率など、もっと生産性を高くできる可能性がある。
そうしたことを以前から構想していました。
しかし、それを実装するには各社が共通のルールで物流を運用する必要があります。
今回のガイドラインは、日用品業界の協調物流に向けた第一歩と位置付けています」 サンスター・荒木「従来の共同化は、荷主や物流会社がそれぞれ自分の都合で共同化できる貨物だけを集めていたわけですが、協調物流ではそこからもう一歩踏み込む。
全体を効率化するために、自分のところは少し我慢して全体に合わせていくことが大事になります。
例えばメーカーはパッケージ形状やパレット仕様などを調整する。
卸店は発注日や発注量を調整する、そうやって積載効率や作業生産性を向上させる」 「従来の共同物流は自分のパターンに合わないと乗ることができませんでした。
そのためプラネットのEDIには何百社もの日用品メーカーが参加しているのに、プラネット物流に参加していたメーカーは多い時でも16社にすぎませんでした。
その16社にしても部分的にプラネット物流を利用しているだけでした。
共同化の制約を取り払い、対象をもっと大きく広げたいと考えています。
実際、今回のガイドラインは必ずしも日用品だけでなく、他の多くの業界でも共有できると思います」 ライオン・平岡「ハードを共有するのと違って、情報の共有には物理的な限界がありません。
プラネットの『ロジスティクスEDI』に乗せさえすれば誰でも協調できる」 日用品業界はなぜ先行したのか ──協調物流の実装において、プラネットはどのような役割を果たすことになりますか。
プラネット・上原「プラネットは85年の設立からずっと商流のEDIを運営してきました。
その結果、現在はメーカーだけでも約800社にご利用いただいています。
しかし、商流と比べて物流という領域では、データの標準化や連携の取り組みが残念ながら遅れていました。
それに対して2017年ごろから物流クライシスが社会的に問題視されるようになり、待機車両の解消やドライバーの安定確保に向けて、業界を上げて取り組んでいかなければならなくなった。
それが今回、ガイドラインを策定した背景だと受け止めています」 「これから日用品メーカーと日用品卸、そして物流事業者は、物流データの連携や共有を進めていく世界に入る。
しかし、各社のデータの仕様やコードがバラバラではそれができない。
その点でプラネットには商流データの標準化のノウハウがあり、日用品メーカーからの強い後押しも受けていますので、当社としてもそこで力を果たすべきだと考えて取り組んでいます。
具体的には、フィジカルな物流の問題については流通経済研究所の『日用品物流標準化ワーキンググループ』が中心になって活動して、当社はシステムまわりを担当するという役割分担です」 ──メーカー・卸間の受発注のうちプラネットを経由するものはどれくらいを占めているのでしょうか。
プラネット・上原「日用品の卸流通に限れば商流データの9割くらいを当社がつないでいます」 ──なぜそこまで広く普及したのでしょうか。
プラネット・上原「小売業、卸売業の動きが大きかったと考えています。
プラネットがスタートした1985年当時、チェーンストアはまだ黎明期にありました。
その後、小売業が急速に広域化して、それに伴い卸売業も広域化してフルライン化していった。
その結果として、当社が対象とする日用品のカテゴリーが周辺の領域まで広がっていった」 「それともうひとつ、日用品卸は小売業から『オリコンばら物流』を求められた。
ケース単位で動く食品と違って、日用品は『歯ブラシ1本から』という商慣習です。
そうした要請に対応しないと卸売業は恐らく生き残れなかった。
そのためにメーカーとの流通を効率化して、そこで浮いた分を得意先対応の投資に充てる、という構図かと思います」 ライオン・平岡「他の業界に比べてプラネットが業界VANを手掛けたタイミングが早かったこともあると思います。
EDIという言葉すら知られていない時代でしたから」 サンスター・荒木「メーカーが個々に投資を始める前からスタートしたので、そこに合わせるのが当たり前だった。
一方でドラッグストアの台頭もありました。
中小の個人店がドラッグチェーンにどんどん集約されていき、ファクス受注もなくなった」 プラネット・上原「プラネットの設立期で言うと、ライオンやユニ・チャームをはじめとするメーカーが卸売業のシステム化を推進した、情報武装化を積極的に支援したことも大きかったと思います。
そのためにプラネットができたようなものでした」 ──しかし、そうだとすると日用品業界の成功事例はなぜ他の業界に横展開されなかったのか。
流研・加藤「一つは日用品の卸売業が上位集中したというのがあると思います。
集約された上位の卸売業と上位のメーカー間であれば連携も取りやすい」 サンスター・荒木「しかし、卸売業の上位集中はこの20年間の出来事です。
それ以前は違った」 ライオン・平岡「私は加藤さんの説にも一理あると思う。
日用品のカテゴリーが広がっていったのは、他の業界の卸ではなく日用品卸がそれを取り扱ってくれたからです。
その結果として小売市場における日用品卸のカバーする範囲が広がった。
日用品卸が弱かったら食品卸や医薬品卸にシェアを奪われていた可能性がある」 ──本誌は以前に、日用品業界は〝アンチ花王〟でまとまったと解説したことがあります。
花王の直販モデルに他のメーカーが対抗した。
サンスター・荒木「卸売業界がまとまったのは事実です。
それをわれわれメーカーが後押ししたという構図でした」 協調物流のスキーム ──結果として中間流通の上位集中が進んだ。
同じことは今後、他の業界でも起きますか。
流研・加藤「小売りの上位集中よりも卸の上位集中が進んでいるというのは、日用品だけに限らない日本の流通の特徴です。
実際、加工食品業界でも同様のことが起きている。
この流れは今後も進んでいくだろうと見ています」 ──標準化や共同化で先行した日用品業界でプラネット物流が解散したことを他業界の物流関係者はどう受け止めたのでしょうか。
それと前後して加工食品業界ではF-LINEが立ち上がったのは、とても対照的でした。
流研・加藤「確かに多くの人が、何でだろうと感じたはずです。
説明はありましたが、十分に理解はされなかったかもしれない。
しかし、共同物流の内側を知っている人たちは分かるはずです。
プラネット物流は基本的にノンアセットの管理会社で、協力物流会社との役割分担で運営を進めてきました。
しかし、その進み方に必ずしも各社が足並みをそろえられるわけではなかった」 「その一方でもっとフレキシブルな縦横の連携が技術的に可能になってきている。
実際、日用品業界では現在、複数のメーカーが柔軟に共同化の組み合わせを作って、物流会社と連携して効率化を進めています。
流研の研究会には、プラネット物流と取引のなかった物流企業も入ってきている。
従来とは違うかたちの取り組みが進んでいます」 ──他の業界より1周先を走っている。
流研・加藤「そう捉えることもできると思います」 ──協調物流の考え方は理解できても、新たにセンターを立ち上げたりするわけではないので、具体的にイメージするのが容易ではありません。
ライオン・平岡「協調物流を構想するようになったきっかけが、個人的に二つあります。
一つはプラネット物流がまだあった時代の話です。
当時は東北一円にモノを届けるために、ライオンをはじめメーカーの多くが仙台近郊に在庫を置いていました。
そのためにプラネット物流も仙台に拠点を置いていた。
しかし、各社の在庫管理能力が上がり、在庫効率を高めようという狙いから、東北の在庫を関東に集約するメーカーが増えていきました。
そうなると共同化のスキームが崩れてしまう」 「それが発地側の視点だとして、着地側にも問題がありました。
メーカー各社はそれぞれ卸に朝一に納品するために車両を仕立てている。
しかし、朝一に到着しても渋滞しているので、実際の荷下ろしは昼までかかっている。
どのメーカーがどの卸のセンターに、どれだけ届けようとしているのか、全体が見えれば、空港の管制塔のように荷下ろしの順番を決めて整列させれば済むはずです。
なぜそれができないのだろうか、という本当に素朴な出発点でした」 サンスター・荒木「プラネット物流に限らず、共同物流がハードに縛られている限り、環境が変化すると各社の事情に食い違いが出てきて共同化が苦しくなってしまう。
共同物流を長続きさせるのが難しい理由だと思います。
それに対して協調は、文字通り『調子』を合わせるだけなので、そこは問題にならない」 「ただし、そこで必要になるのが着荷先(卸)にも調子を合わせてもらうことです。
モノを購入する側がコントロールすれば一番満足度も高いし、効率もいい。
200社から商品を調達している卸は200社の情報を持っています。
出荷場所の近いメーカーの発注を同じ日にまとめて一緒に持って来るように進めれば輸送効率は上がるし、納品車両も少なくて済む。
同じことをメーカーの横の連携でやろうとしても、マッチングの調整をするのは相当に難易度が高い。
その意味でも協調という言葉がふさわしいと考えています」 ──ロジスティクスEDIが普及すると膨大な物流データを蓄積することが可能になります。
そこから新たな付加価値を生み出すことができるはずです。
流研がそのデータを運用してもいい。
流研・加藤「流研は内閣府のSIPの取り組みを通してデータ連携を促進する機能を担おうとしています。
一方でデータをどこで持つのかという点では、日用品業界のデータがプラネットに集約されてそこでコントロールできるのであれば、プラネットが中立的な立ち場でデータベースを運営していくのが適当だろうと個人的には思います。
ただし、それが他の業界にも広がるようになると、今度は業界をまたいだデータの連携の在り方を考えないといけなくなる」 ライオン・平岡「その合意形成はかなり難しい。
議論を重ねても実装がいつになるのか見通しが立ちません。
むしろ、活用から入った方が話が先に進む。
データの蓄積はいったん脇に置いて、例えば協調物流で合意したメンバー間で中立性を担保してデータの共有を進めていく」 流研・加藤「確かにユースケースから入った方が分かりやすい。
まずは、ばらばらに配車を組んでいるのを、合意のとれる相手と共同化する。
それを多対多に広げる時には管制塔のような機能が必要になる。
その際にデータをどう共有すべきかと具体的に考えていく。
そのやり方が進めやすいし、皆さん納得しやすいかと思います」 まずは伝票レス・検品レス ──協調物流は現状どこまで具体化しているのでしょうか。
プラネット・上原「現在は大手メーカーと大手卸間で『ASN(Advanced Shipping Notice:事前出荷データ)』の試験運用をスタートしたところです」 サンスター・荒木「まず卸からメーカーに発注が来ます。
受注した通りに全て届けられればいいのですが、実際には在庫がなかったり、いつもとは違う倉庫から出荷しなければならないこともある。
今は卸は何がどれだけ、どこから来るのか分からないので、納品伝票で何が入荷されたのかを確認して発注データを消し込んでいる。
それに対して、メーカーが在庫を引き当てた段階でASNを送信すれば、卸は何がどこから来るのか分かるので伝票と照らし合わせる必要がない。
それによってまずはノー検品・伝票レスを目指します」 ──これまでASNは存在しなかったのですか。
ライオン・平岡「恥ずかしながら」 流研・加藤「ASNやノー検品は、卸・小売り間では進んでいるのですが、メーカー・卸間は日用品に限らず、どの業界もほとんどできていません。
卸・小売り間は仕入れの集約が進んで取引先の数が絞られています。
卸は情報システム対応ができないと取引を維持できないこともあり、小売り側のニーズに合わせて情報をコントロールすることができている。
しかし、メーカー・卸間はメーカーの数が多く、中小メーカーがかなりあるため情報化が遅れています。
最近になってようやく動き始めたところです」 サンスター・荒木「もともと卸は店舗納品で散々苦労してきました。
1本単位からの発注で出荷が細かい。
納品に行っても店員はお客さまの対応に忙しくて検品できない。
だからASNへの着手が早かった。
一方でメーカーはケース単位で出荷するだけで、納品は運送会社に委託しているので納品時の大変さを分かっていない。
そのためにASNを普及させていく必要性も十分に認識できていなかった。
それは今後ASNを普及させる上でも大きな弊害になりかねないと危惧しています」 メーカーの配車を統合して集中制御 ──ASNが提供されると納品の順番待ちもなくなるのですか。
プラネット・上原「それだけでは駄目です。
現在はASNを普及させるというフェーズですが、ASNのカバレッジがそれなりに広がってきたら、次にそれを利用して効率的な配送計画を組むというフェーズに入ります」 ──最近はバース予約システムを導入する卸が増えています。
解決策になりませんか。
サンスター・荒木「一定の成果は上がっています。
普段の渋滞はなくなりました。
1年間に240日の納品日があったとして、200日以上、220日くらいは待たなくなった。
しかし、残り20日は今でも長時間待機が発生しています。
予約システムの枠がいっぱいになってしまうと予約を受け付けられなくなってしまう。
昨年末に流研と一緒に調査したのですが、予約が取れなかった車両は明け方に到着して2時間は待っていました。
それを協調によって解決しようというのが次のステップです」 ──メーカー・卸間でASNをやり取りするのに、どのような整備が必要ですか。
サンスター・荒木「これまでの商流情報は一方通行でした。
発注が来ました、受けました、WMSに流しました、納品しました、と次の取引先に伝えるだけだったものが、伝票レスになると双方向になる」 プラネット・上原「そのために現在、システムの改修を進めています。
また、ASNを出すメーカー側の情報、どの車両に何が積載されているのかという情報は、物流現場にしかありませんので、物流事業者にASNデータの作成に協力してもらう必要があります」 サンスター・荒木「現在、協力物流会社各社に説明してお願いをしているところです。
ただし、共同配送や何回も積み替えが発生する場合には情報を捕捉することが物理的に難しい。
机上では分からないこともあるので実態を調査中です」 ──卸の発注情報を全て集めれば理論的には、日用品メーカー全体の配車を統合できます。
サンスター・荒木「それがデータ活用の大きな目標です。
まず卸が発注して、メーカーが在庫を引き当てる。
引き当てることができた情報を卸に返す。
そのやりとりがデータとしてたまっていく。
そのデータを分析して、どことどこをマッチングすれば最も効率的なのかを導き出せるはずです」 ライオン・平岡「役割としては昔からの“水屋”に近い。
それを最適化ロジックなどを使ってシステマチックにやりましょう、かつ特定の事業者に限定しない、各メーカーが日頃お世話になっている物流パートナーとのつながりはそのまま継続しましょう、というアイデアです。
そこまで行く前の段階には、いくつかステップがあります。
最初は違うトラックでもいいから、納品先で渋滞しないように、きちんと整列する。
それによって待ち時間や滞留時間を最小化する」 「次に実績データを分析して同じトラックに混載できる組み合わせを探す。
さらにはメーカーと卸が協調する。
『このカテゴリーは週5日発注しているけれど、月・水・金の3日にまとめたら、このルートの積載率はこれだけ上がります。
月・水・金それぞれ1台ずつで納品が全て終わるのでバースの効率も格段に良くなります』と提案する。
またさらにそれを複数メーカーと卸間に展開するなど、いくつかフェーズがある。
まずは、そうしたことが可能になる基盤を作ろうとしているわけです」 ──その実現可能性を加藤さんはどう考えますか。
流研・加藤「理論的にはできるはずです。
どの日用品メーカーも発注者と届ける場所はほぼ同じ。
パターンもだいたい決まっているわけですから、データさえあれば、それをAIに解析させることで配車を最適化できる。
そのような、データを集めてプランニングができる協調の基盤ができたら、他に例を見ない素晴らしい先行事例になります」 ライオン・平岡「理論的にも技術的にも可能です。
実装に必要なシステム技術や解析技術は既にそろっている。
そろっていないのは実務レベルの合意形成。
ここをどうするかということでしょうね」 プラネット・上原「合意形成が一番難しいというのはその通りだと思います。
そこはみんなで一生懸命、汗をかくしかない。
その段取りが済んで要件が決まれば、システムの実装はプラネットがお役に立てると思います」 ──プラネットはコントロールタワーの役割も果たせるのでは。
プラネット・上原「そこは皆さんのご意見に従うことになりますが、当社としてはシステムについてはお任せくださいとは言えるのですが、今回は物流です。
トラックの到着時間や、さまざまな物流資材・設備まで考慮してモノを動かすのが管制塔だと思いますので、個人的にはプラネットとは少し毛色の違った組織が必要かと、ぼんやりとですが考えています」 ──「協調物流運営会社」という新たなモデルが立ち上がるのかもしれない。
サンスター・荒木「完全な3PLとは違いますが、情報と協調を取り仕切る組織は必要になるでしょう」 ──最後に当面の活動について。
流研・加藤「流研のWGでは今、伝票のペーパーレス化に向けて、各社の伝票を持ち寄って実際の使われ方を調べて議論しています。
大きくメーカー・卸間でやり取りしている荷主間の伝票と、運送会社が使っている送り状などの2種類の伝票があります。
それもいろいろなパターンがあるのですが、何とか整理はつきそうです。
電子化して伝票がなくなった時に、どこかで困る人が出てこないかということを踏まえて検討しています。
ASNを“点”ではなく業界全体で広めて、業界全体のペーパーレス化を実現したいと考えています」 「完全に紙をなくすことは難しいかもしれない。
何らかの指示書が残る可能性はあります。
それでも米国などでは既に2000年代から、ASNを送って荷物に『SSCC(Serial Shipping Container Code:出荷梱包シリアル番号)』を読み取るラベルを貼り付け、ノー検品で格納するというフローが定着しています。
日本は20年遅れている感がある。
早くそこをクリアして、協調物流でより優れたものを打ち出していけたらいい」 ライオン・平岡「販売管理の世界ではプラネットがスタートした1985年以来、メーカー・卸間の一種の伝票レスが実現しているのに、なぜか物流はいまだに紙の伝票が主役です。
これはもう何とかしなければいけない。
その影響を最も強く受けているのは物流事業者ですから、物流事業者の理解、協力、全面的な関与を期待したいところです。
ASNを利用することで、メーカーと卸と物流事業者の3者が全て良い思いができる。
そのため今、一緒に汗をかきませんかとお願いして回っているところです」 ──今後のタイムスケジュールは ライオン・平岡「先ほどの協調配送は今年中にも具体的なものを打ち出していかなくてはいけないと考えています。
世の中の動きが激しいのでそれくらいのスピード感は必要です」 サンスター・荒木「まだ詳細は公表はできませんが、構想から実際にシステムを動かす段階に入りました。
2024年問題やドライバー不足、SDGsが追い風になっています。
物量で換算すると日用品の6割以上をカバーする取り組みを想定しています。
乞うご期待」
