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2022年5月号
特集

日用品「物流標準化ガイドライン」の意義

1.「物流標準化ガイドライン」とは  公益財団法人流通経済研究所と日用品VAN運営会社のプラネットを事務局とする「日用品物流標準化ワーキンググループ」は現在、日用品メーカー12社、委託先の物流事業者9社で構成している(図表1)。
同WGは2022年1月、「日用品における物流標準化ガイドライン」を公表した。
日用品のメーカー・卸売業間の流通を対象に、物流標準化の指針をとりまとめたものである。
 今回のガイドラインの作成・公表は、日用品業界の物流標準をあらためて確認・共有化することを意図している。
物流標準化は、「総合物流施策大綱(2021年度〜2025年度)」においても今後取り組むべき重点施策に挙げられている。
物流に係るモノ・データ・業務プロセスなどの物流標準化を加速することが広く産業界に求められている。
 日用品業界は30余年前から他業界に先駆けて物流標準化を進めてきた。
現在はロジスティクス分野のEDIの導入・普及・活用に向けた新たな取り組みを開始している。
そこで、物流標準化に関わるこれまでの業界成果をレビューして内容の整理・更新・追加を行い、今後に向けた地歩を固めることとなった。
 今回のガイドラインが取り扱っているのは具体的には、製品段ボールケースの外装表示の標準化、パレットの標準化、納品伝票の標準化の三つである。
このうち特に外装表示については、表示項目・表示位置などの詳細を記述するものとなっている。
ガイドラインの内容は今後も継続的に見直す予定であり、外装サイズの標準化、EDIデータなどを活用した業務プロセスの標準化についても検討する計画である。
2.ガイドライン作成の経緯  ガイドラインの概要は以上述べた通りであるが、内容の詳細を紹介する前に、その歴史的な作成経緯を確認しておきたい。
ガイドラインの内容は一朝一夕に出来上がったものではなく、これまでの検討結果に基づいているためである。
(1)プラネット物流における物流標準化  日用品業界の物流標準化は、プラネット物流(1989年〜2016年)の専門委員会で検討・ルール化が行われてきた。
プラネット物流は大手日用品メーカーなどの出資により設立された共同物流(共同保管・共同配送)の運営管理会社である。
 複数メーカーの商品の共同物流を効率的に行うには、当然ながら各種の標準化が必要条件となる。
そこで、共同物流に関わる荷主メーカーが主体的に参画して物流標準化を検討したのである。
⃝外装表示  物流標準化のうち、外装表示については、プラネット物流の設立直後の1989年に「外装表示専門委員会」が設置されて、同年に「外装表示マニュアル」が策定された。
その後、90年代後半よりさまざまな環境変化が生じたことから2002年には同マニュアルを全面改訂し、「外装表示基準書」を発行した。
さらに、09年には、16桁のバーコードシンボル「ITF−16」の廃止に対応するため「外装表示基準書」の改訂を行っている。
⃝パレット  パレットについても、プラネット物流は1989年に「パレット専門委員会」を設置し、標準化を推進してきた。
日用品メーカーが使用しているパレットはそれまで千差万別であった。
しかし、パレット標準化の取り組みを早くから行ってきたことから、日用品業界ではT11型へのパレットの統一化が進み、定着するに至っている。
(2)日用品物流標準化WGでの検討  プラネット物流は2016年に解散となったが、日用品メーカーの共同物流は物流事業者に直接委託する形で継続実施されている。
また今日では、プラネット物流の委託先ではなかった物流事業者も、共同物流に関係するようになっている。
 流通経済研究所は、日用品メーカーの新たな物流連携の取り組みをサポートするべく、16年に「日用品共同物流研究会」を開始した。
18年からは「サプライチェーン物流生産性研究会」に名称を変更して活動を行っている。
 プラネット物流の専門委員会で策定された外装表示やパレットの物流標準は、現在でも多くが準拠すべき内容となっている。
しかし、前回の09年から過去10余年は改訂が行われてこなかったことから、見直しが必要となっていた。
 そこで、流通経済研究所・研究会の21年度活動として「日用品物流標準化ワーキンググループ」を設置して、新たなガイドラインを検討・策定することとなった。
検討に当たっては、流通経済研究所とプラネットが事務局を務め、メンバー意見の集約とガイドライン原案の作成・修正を行った。
3.ガイドラインの内容  それでは、日用品物流標準化ガイドラインの具体的な内容を紹介しよう。
(1)外装表示の標準化 ⃝考え方  高効率で高品質な物流を実現するためには、複数メーカーの商品を迅速・正確・安全に取り扱いできるよう、商品の外装パッケージ(段ボールケースなど)に必要な情報が分かりやすく、かつ一定の基準を持って表示されていることが必要である。
その要件を満たすために、物流活動で必要とされる情報の外装表示に関する統一的方法を定めることとした。
⃝外装表示の表示項目・内容  外装に表示する情報項目を整理し、記述内容を図表2の通り設定することとした。
⃝外装表示の表示位置  情報項目ごとの表示位置は、図表3の通り設定することとした。
なお、ITFシンボルは、原則として長面・短面の4側面に表示するが、外装サイズなどにより短面に表示できない場合は長面のみの表示とすることとした。
 また、図表3の「②商品記号」「③商品名」「④規格」「⑤入数」「⑥メーカー名」の項目は、目視使用の重要項目となるため、それぞれ3㎝×10㎝以上の太線枠内に表示し、長面右上に集中表示することを基本とした。
ただし、印刷する面積が無い場合は、3㎝×10㎝以下でも可とし、また、分割表示も可とした。
外装表示の項目表示イメージは図表4の通りである。
(2)パレットの標準化 ⃝考え方  日用品業界は、やはり他の業界に先駆けて1990年代から一貫パレチゼーションを指向し、パレットの標準化を進めてきた。
物流において働き方改革や労働生産性向上が求められる中、一貫パレチゼーションのさらなる適用拡大に向けて、パレットの標準化や荷役作業の効率化を継続的に推進することとした。
⃝使用パレット  日用品業界の使用パレットは、【JIS Z 0601:2001 プールパレット-一貫輸送用平パレット】で規定される、寸法1100㎜×1100㎜×144㎜とし、プラスチックパレット(T11P)もしくは木製(T11W)を標準と定めることとした。
⃝パレット荷姿  パレット荷姿についても、ユニットの高さ、最大総質量、パレットパターンを以下のように設定した。
・ 高さ マルチモーダルでの一貫パレチゼーションを想定して、ユニットの高さは、最大2200㎜(パレット高を含む)、2段積みの場合は同様に最大1100㎜(パレット高を含む)を基本とする。
ただし、大型トラック・低床車などでは、荷室の高さに余裕が生じることから、2段積みの場合1100㎜を超えるユニット高さを設定し、輸送効率を高めることも可とする。
なお、1段当たりのユニット高さは、商品特性に応じ、安全性を十分考慮して設定する。
・ 最大総質量 ユニットの質量は最大1トン以下(パレット質量を含む)とする。
・ パレットパターン 基本パターンとして「ピンフォイール」「ダブルピンフォイール」「ブロック」「ブロック交互列」を優先する。
なお、棒積みパターンは、荷崩れなどの問題があるため採用に当たっては注意する。
また、パレット平面利用率は85%以上(外周寸法)を目標とする。
(3)納品伝票の標準化 ⃝考え方  日用品業界では、96年より「業際統一伝票」が導入された。
以来、納品伝票の業界標準形式として認識され、多くのメーカーに採用されている。
このため納品伝票の標準化は、「業際統一伝票」の項目・フォームを基軸に推進することが望ましい。
なお、納品伝票については、今後、紙伝票の統一に注力するより、電子化・EDI化を進めて、ペーパーレス化を実現することが、重要課題といえる。
⃝納品伝票への表記項目  納品伝票は、「業際統一伝票」の項目・フォームに準拠することが望ましい。
複写伝票を利用しない場合も、同様の項目・フォームを基軸に設計する(図表5)。
・ 重要表記項目 下記項目については、必須で表記することとし、特に視認しやすいよう、印字に配慮することが望ましい。
−お届先名称・住所 −メーカー名 −発注番号 −伝票番号 −納品日 −商品コード(JANコード) −商品名 −入数 −納品数量 4.今後に向けた課題と展望  ガイドラインの主な内容は以上の通りである。
物流標準化は継続的なフォローアップが必要である。
ガイドラインの策定後は現場での運用を確認しつつ、業界関係者への導入・普及を行うことが何より重要である。
また、ガイドラインで取り上げた外装表示、パレット、納品伝票の標準化内容も適宜更新するとともに、外装サイズなどの項目についても追加検討しなくてはならない。
 加えて今後特に考えるべきなのは、ロジスティクスEDIをベースにおいた物流標準化である。
日用品業界では、プラネットがメーカーから卸売業へのASN(事前出荷案内)データ、卸売業からメーカーへの入荷検収データを送受するロジスティクスEDIのインフラ整備を進めている。
ロジスティクスEDIが普及すれば業務プロセスは大きく変化し、物流標準化の対象範囲も広がることになる。
 例えば、ASNデータで納品伝票が電子化されれば、ペーパーレス化により伝票発行処理や伝票保管が不要となるだけでなく、検品レスなどの入荷業務の効率化が期待できる。
ASNデータとパレットの受け払い、バース予約、運送事業者への配送依頼を連携すれば、従来個別に行っていた業務を統合管理できるようになる。
さらには複数メーカーのASNデータなどを集約することで、新たな水平連携や最適化の取り組みも可能になるだろう。
 今後の日用品業界の物流標準化は、ロジスティクスEDIを起点とした物流のデジタル化、デジタルデータに基づくメーカー・卸売業(+小売業)・物流事業者の業務変革と一体的に推進することとなるだろう。

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