2022年5月号
特集
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日本パレットレンタル 荷主の定期輸送ルートをAIで高速マッチング
14業種・120社の荷主が会員登録
日本パレットレンタル(JPR)は複数荷主の定期輸送ルートを主な対象とする共同輸送マッチングサービス「TranOpt(トランオプト)」を2021年10月にローンチした。
群馬大と共同開発したシステムで、多数の輸送ルートが登録されたデータベースからAIが効率のいい組み合わせを提案する。
JPRはパレットのレンタル料金を計算するため、パレットの発地や着地などの情報を把握している。
そのためJPRの営業担当は訪問した荷主の物流担当者などから、「当社のAルートの帰りに組み合わせられるいい荷物を知らないか」「JPRの空パレット輸送と組み合わせて何か効率化できないか」といった相談を受けることがよくあった。
そうした相談などを契機の一つとして18年にはキユーピー、ライオン、JPRの組み合わせで、関東─九州を一筆書きで結ぶ共同幹線輸送が実現した。
個々で独立して行っていた輸送を転換することで実車率を高めた。
19年にはキユーピー、サンスター、JPRでの共同輸送を実施。
こちらはキユーピーの重量勝ちな製品とサンスターの容積勝ちな日用品を混載して積載率を向上させた。
これらの成功事例からJPRは、異業種間の共同輸送マッチングは日本の物流効率化に役立ち、顧客ニーズも高いとの手応えを得た。
ただ、事業化にはシステム化が必要だった。
人手によるマッチングでは相談などを受けたJPRの営業担当者が複数顧客のパレット輸送情報を基にルートを発案して、双方の承諾を得た上で相手には匿名の状態で輸送ルートを提案する。
荷主同士が接触する際にも間に入る。
一つのルートをマッチングするだけでも相当な手間がかかる。
3ルート以上を組み合わせる三角輸送や混載輸送となると、組み合わせが膨大になることから人手で処理するのは困難だった。
そこで群馬大の協力を得て、効果的な共同輸送の組み合わせを高速で導き出すAIの共同開発に取り組んだ。
オペレーションズ・リサーチやゲーム理論などを研究分野とする群馬大の吉良知文准教授のソーシャル数理研究室がコアエンジンとなるAIの開発を担当した。
開発に際しては匿名化された1万7千本以上の輸送データから、効率のよい三角輸送や混載輸送の組み合わせを列挙する実験を行った。
指定する条件によってAIの応答速度は若干変動するものの、単純な総当りと比較して、三角輸送の探索は4千倍速く、混載輸送の探索は1500倍速く条件を満たす組み合わせを提示できるようになった。
1ユーザーからの複数のマッチング依頼や複数ユーザーからのマッチング依頼に瞬時に応答できる。
共同輸送マッチングサービスの「TranOpt」は会員制となる。
22年3月現在、14業種・120社が会員登録している。
積荷の商品カテゴリーは飲料、加工食品、紙・パルプ、日用品、物流容器、電子部品・電子機器など幅広い。
実際にユーザーが共同輸送相手を探す場合の流れは次の通りだ。
荷主は入会登録後、「発着地」「車格」「年間出荷便数」など、マッチングに必要な情報を入力する。
入力項目は全28項目。
JPRの渡邉安彦事業企画部輸送マッチング推進グループ長は「全項目入力が必須ではないのだが、入力項目数が多い方がマッチングの質は高まる」という。
マッチングに進む際のメニューは2種類ある。
一つは「ルートを探したい」。
特定のルートに対応したマッチング相手を能動的に探す場合に使用する。
もうひとつは「ルートを探されたい」。
こちらは受動的にマッチングされる。
どちらかを選んだ後に「帰り便を探す」もしくは「混載便を探す」の目的を選択する。
そうするとマッチング条件設定に基づいて全国各地のさまざまなルートパターンをAIが計算して効率のいい上位40のマッチング候補を出力する。
共同輸送の協議を進めたいルートがあった場合にはその相手を選んで、「いいね」を押すと「共同輸送の申し入れ」の通知が相手先に行く。
この段階では発地や着地、年間出荷便数などの情報はユーザーの画面上に表示されるが、企業名は匿名だ。
相手先も同じように企業名が匿名の状態で情報を確認して、共同輸送の交渉を進めたい場合は「いいね」ボタンを押す。
これで「承諾」となり、マッチング成立。
お互いの企業名と共により詳細な情報が開示される。
その後は両社の担当者同士が実際に顔を合わせて、諸条件を詰め、契約を結び、共同輸送の運行開始へと進む。
会員登録やサービスの利用自体は無料、マッチングと共同輸送の成立時に手数料が発生する成功報酬型の料金体系が基本となる。
システムのライセンス提供も開始へ 渡邉グループ長は「定期輸送のマッチング自体が新しいサービスであり、共同輸送に取り組むのが初めてというユーザーも多い。
マッチング成立後は当事者同士でのやり取りが基本ではあるが、顔合わせなどについてもJPRが可能な限りサポートをしている。
共同輸送の成立という成功体験を重ね、その有用性を実感してもらいたいからだ」と語る。
マッチング候補が出てこないケースは基本的にはないという。
現在の120社参加の段階でも既に数万ルートが登録されているため、一般的なルートであれば確実に複数の候補が提示される。
ローンチ後の機能拡張にも力を入れている。
当初はユーザーが「帰り便を探す」場合に、基本的にはそのまま「帰り便を探す」とマッチングさせていた。
しかし、多少でも荷物があるのなら、満載にならなくても運びたいというニーズもある。
そこで、帰り便探索のマッチング相手に混載便を含む機能を追加で実装している。
ユーザーから追加実装の要望が多い機能は、ドライバー労働時間に対応したルート計算や積載率のシミュレーションなどだという。
共同輸送のマッチングが成立した場合のCO2排出量を表示する仕組みなども構想している。
マッチングサービスに続き、「TranOpt」のシステムそのものを荷主企業にクラウドサービスとしてライセンス提供する事業も新たに開始する。
多数のグループ企業を傘下に持つ荷主が、グループ全体の輸送ルートを登録して、AIにマッチングさせるといった使用法を想定している。
群馬大と共同開発したシステムで、多数の輸送ルートが登録されたデータベースからAIが効率のいい組み合わせを提案する。
JPRはパレットのレンタル料金を計算するため、パレットの発地や着地などの情報を把握している。
そのためJPRの営業担当は訪問した荷主の物流担当者などから、「当社のAルートの帰りに組み合わせられるいい荷物を知らないか」「JPRの空パレット輸送と組み合わせて何か効率化できないか」といった相談を受けることがよくあった。
そうした相談などを契機の一つとして18年にはキユーピー、ライオン、JPRの組み合わせで、関東─九州を一筆書きで結ぶ共同幹線輸送が実現した。
個々で独立して行っていた輸送を転換することで実車率を高めた。
19年にはキユーピー、サンスター、JPRでの共同輸送を実施。
こちらはキユーピーの重量勝ちな製品とサンスターの容積勝ちな日用品を混載して積載率を向上させた。
これらの成功事例からJPRは、異業種間の共同輸送マッチングは日本の物流効率化に役立ち、顧客ニーズも高いとの手応えを得た。
ただ、事業化にはシステム化が必要だった。
人手によるマッチングでは相談などを受けたJPRの営業担当者が複数顧客のパレット輸送情報を基にルートを発案して、双方の承諾を得た上で相手には匿名の状態で輸送ルートを提案する。
荷主同士が接触する際にも間に入る。
一つのルートをマッチングするだけでも相当な手間がかかる。
3ルート以上を組み合わせる三角輸送や混載輸送となると、組み合わせが膨大になることから人手で処理するのは困難だった。
そこで群馬大の協力を得て、効果的な共同輸送の組み合わせを高速で導き出すAIの共同開発に取り組んだ。
オペレーションズ・リサーチやゲーム理論などを研究分野とする群馬大の吉良知文准教授のソーシャル数理研究室がコアエンジンとなるAIの開発を担当した。
開発に際しては匿名化された1万7千本以上の輸送データから、効率のよい三角輸送や混載輸送の組み合わせを列挙する実験を行った。
指定する条件によってAIの応答速度は若干変動するものの、単純な総当りと比較して、三角輸送の探索は4千倍速く、混載輸送の探索は1500倍速く条件を満たす組み合わせを提示できるようになった。
1ユーザーからの複数のマッチング依頼や複数ユーザーからのマッチング依頼に瞬時に応答できる。
共同輸送マッチングサービスの「TranOpt」は会員制となる。
22年3月現在、14業種・120社が会員登録している。
積荷の商品カテゴリーは飲料、加工食品、紙・パルプ、日用品、物流容器、電子部品・電子機器など幅広い。
実際にユーザーが共同輸送相手を探す場合の流れは次の通りだ。
荷主は入会登録後、「発着地」「車格」「年間出荷便数」など、マッチングに必要な情報を入力する。
入力項目は全28項目。
JPRの渡邉安彦事業企画部輸送マッチング推進グループ長は「全項目入力が必須ではないのだが、入力項目数が多い方がマッチングの質は高まる」という。
マッチングに進む際のメニューは2種類ある。
一つは「ルートを探したい」。
特定のルートに対応したマッチング相手を能動的に探す場合に使用する。
もうひとつは「ルートを探されたい」。
こちらは受動的にマッチングされる。
どちらかを選んだ後に「帰り便を探す」もしくは「混載便を探す」の目的を選択する。
そうするとマッチング条件設定に基づいて全国各地のさまざまなルートパターンをAIが計算して効率のいい上位40のマッチング候補を出力する。
共同輸送の協議を進めたいルートがあった場合にはその相手を選んで、「いいね」を押すと「共同輸送の申し入れ」の通知が相手先に行く。
この段階では発地や着地、年間出荷便数などの情報はユーザーの画面上に表示されるが、企業名は匿名だ。
相手先も同じように企業名が匿名の状態で情報を確認して、共同輸送の交渉を進めたい場合は「いいね」ボタンを押す。
これで「承諾」となり、マッチング成立。
お互いの企業名と共により詳細な情報が開示される。
その後は両社の担当者同士が実際に顔を合わせて、諸条件を詰め、契約を結び、共同輸送の運行開始へと進む。
会員登録やサービスの利用自体は無料、マッチングと共同輸送の成立時に手数料が発生する成功報酬型の料金体系が基本となる。
システムのライセンス提供も開始へ 渡邉グループ長は「定期輸送のマッチング自体が新しいサービスであり、共同輸送に取り組むのが初めてというユーザーも多い。
マッチング成立後は当事者同士でのやり取りが基本ではあるが、顔合わせなどについてもJPRが可能な限りサポートをしている。
共同輸送の成立という成功体験を重ね、その有用性を実感してもらいたいからだ」と語る。
マッチング候補が出てこないケースは基本的にはないという。
現在の120社参加の段階でも既に数万ルートが登録されているため、一般的なルートであれば確実に複数の候補が提示される。
ローンチ後の機能拡張にも力を入れている。
当初はユーザーが「帰り便を探す」場合に、基本的にはそのまま「帰り便を探す」とマッチングさせていた。
しかし、多少でも荷物があるのなら、満載にならなくても運びたいというニーズもある。
そこで、帰り便探索のマッチング相手に混載便を含む機能を追加で実装している。
ユーザーから追加実装の要望が多い機能は、ドライバー労働時間に対応したルート計算や積載率のシミュレーションなどだという。
共同輸送のマッチングが成立した場合のCO2排出量を表示する仕組みなども構想している。
マッチングサービスに続き、「TranOpt」のシステムそのものを荷主企業にクラウドサービスとしてライセンス提供する事業も新たに開始する。
多数のグループ企業を傘下に持つ荷主が、グループ全体の輸送ルートを登録して、AIにマッチングさせるといった使用法を想定している。
