2022年1月号
特集
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ローソン 店舗配送のダイヤグラムをAIで最適化
ダイヤを半年固定から3カ月固定に
物流コストの上昇を受け、ローソンのロジスティクス部では2018年から物流体制の未来構想に関する検討を本格的に開始し、30年をゴールとする改革案を設定した。
その柱は大きく三つ。
物流拠点の最適化、配送の最適化、庫内作業の最適化だ。
このうち配送関連ではセンターから店舗配送を行う際のダイヤグラムの見直しに取り組んでいる。
同社は全国122カ所に配置するチルド、ドライ、フローズンの三つの温度帯の物流センターから約1万4千店舗に商品を配送している。
チルドは主に3トン車、ドライとフローズンは主に4トン車以上を用いて、各センターから店舗配送を行っている。
未来構想の検討を開始した18年当時のローソンの店舗配送はトラックのダイヤグラムを半年単位で策定していた。
物量がピークを迎える夏場に合わせた「春夏ダイヤ」と、物量が減少する「秋冬ダイヤ」の2種類を半年間固定で運用してきた。
それを春夏秋冬の4種類に増やして、3カ月固定のダイヤグラムを設定することで波動にきめ細かく対応することにした。
川島宏史商品本部ロジスティクス部長は「車両は各ダイヤグラムの対象期間中の最も物量が多い時期に合わせて手配している。
そのため同じ期間中の荷物が少ない日には荷台に余裕がある状態でトラックを走らせることになる。
ダイヤグラムの期間をもっと細かく設定すれば車両台数を減らすことができるのではないかという仮説が出発点だった」と話す。
社内調整と加盟店舗への丁寧な説明を経て、19年3月から新たなダイヤグラムの運用を開始した。
ダイヤグラム作成は改革前の半年間固定ダイヤグラムと現在の3カ月固定ダイヤグラムのどちらも各センターの配送管理者が担当している。
属人的なスキルに支えられている側面が大きい。
次のステップとして、ダイヤグラム作成をAIが行う仕組みの構築を進めることになった。
「未来構想で描いた将来像ではダイヤグラムを毎日設定して最適化する仕組みを考えていた。
その場合、全てを人力で行うのは現実的ではないため、テクノロジーの活用が必要になる。
実現に向けてさまざまな企業と接触する中で三菱商事から『トラックの配送順を毎日変えられるAIを作っているオプティマインドというベンチャー企業がある』と教えてもらい話を聞きに行った。
われわれの構想と方向性が一致していたので、共同で実験を進めることになった」と川島宏史部長は語る。
20年11月から群馬県のドライ・フローズンの物流センターで実証実験を開始した。
対象店舗数は約400。
配送トラック走行距離が関東にある拠点の中では最も全国平均に近く、ドライとフローズンを同じ場所で扱っているため2種類の温度帯を同時に実験できる。
48台の配送車両全てにGPS端末を搭載した。
センターからの出発時刻、各店舗の到着から荷降ろしにかかる時間、店舗からの出発時間、センターの帰着時間、走行速度などの走行軌跡が全て記録される。
まずは2カ月間分の運行データを収集した。
それを納品する店舗の敷地情報や駐車場所などが記録された「納品カルテ」や各種地図データなどと組み合わせ、さらに各ドライバーが把握している道路事情や納品先周辺情報も加味して解析し、AIがダイヤグラムを作成した。
それに配送管理者が必要に応じて修正を加えるという運用を繰り返して完成度を高めていった。
「実験の初期段階でAIが作成したダイヤグラムをドライバーに見てもらったら、『そのルートは効率がいいとは思えない』と言われてしまった。
しかし『とにかく一度走ってみてほしい』と頼んで走行してもらったところ、実際には効率的であることが分かってきた」と川島宏史部長はいう。
21年10月からAIが作成したダイヤグラムによる実際の配送を群馬のセンターで開始した。
その結果、使用車両台数を約8%削減することができた。
ほぼ期待通りの効果が得られた。
同じ21年10月から兵庫のセンターでも実験を開始した。
ドライセンターで供給先店舗数は約500。
やはり約2カ月かけてデータ収集を行う。
22年1月頃から本格的なAIによるダイヤグラム作成を開始、早ければ22年4月には実運用を始める。
続く第3弾は22年前半に名古屋のセンターで予定している。
群馬、兵庫と同様に実験の開始から半年後の実運用を計画しているが、データ収集に1カ月、AIダイヤグラムの作成と修正に2カ月の合計3カ月で実運用に移すことも検討している。
AIが毎日自動でダイヤを作成 ローソンでは最終的には当日の各店舗の在庫状況や発注数量を基に、AIがダイヤグラムを毎日自動作成する『ダイナミックルーティング』の運用を目指している。
AIによるダイヤグラム作成を最初に実装した群馬のセンターを対象にその効果を試算したところ、配送台数を約15%、CO2排出量は17%削減できるという結果が出ている。
しかし、実現は容易ではない。
個店別の在庫状況や各センターにどのタイミングで商品がいくつ入庫されるかといったデータなどを全て連携させなければならない。
取引先や加盟店の協力のほか、ローソンの社内システムの変更も必要になる。
ダイヤグラムが毎日変わるようになると、店舗側では納品トラックがいつ到着するのかを把握しにくいという問題も出てくる。
これを解決するため、配送トラックの車載端末情報を活用して店舗のレジ前に到着予定時刻などの情報を表示させる仕組みの整備も構想している。
各店舗のバックヤード内に納品専用エリアを設置することも検討している。
納品された商品をバックヤードに一時保管できるようになれば店舗の都合のいいタイミングで品出しが可能となり、店舗側の負荷も軽減される。
ドライバーも店舗に到着したらそのまま納品専用エリアに荷降ろしできるようになる。
いずれもオペレーションの大きな変更を伴う内容のため、実施に向けては関係各所との丁寧な調整が必要になる。
収集するデータ量やシステムの規模も大きくなる。
現時点では23年度以降の取り組み開始を想定しており、実現にはある程度時間がかかるもようだ。
それでも川島宏史部長は「持続可能な安定供給体制を構築することがわれわれの最大の使命。
拠点の最適化、配送の最適化、庫内の最適化は永遠にぶれないロジスティクス部のテーマだ。
その実現に向けた手段の一つとして今後もAIやテクノロジーを積極的に活用していきたい」と意欲をみせている。
その柱は大きく三つ。
物流拠点の最適化、配送の最適化、庫内作業の最適化だ。
このうち配送関連ではセンターから店舗配送を行う際のダイヤグラムの見直しに取り組んでいる。
同社は全国122カ所に配置するチルド、ドライ、フローズンの三つの温度帯の物流センターから約1万4千店舗に商品を配送している。
チルドは主に3トン車、ドライとフローズンは主に4トン車以上を用いて、各センターから店舗配送を行っている。
未来構想の検討を開始した18年当時のローソンの店舗配送はトラックのダイヤグラムを半年単位で策定していた。
物量がピークを迎える夏場に合わせた「春夏ダイヤ」と、物量が減少する「秋冬ダイヤ」の2種類を半年間固定で運用してきた。
それを春夏秋冬の4種類に増やして、3カ月固定のダイヤグラムを設定することで波動にきめ細かく対応することにした。
川島宏史商品本部ロジスティクス部長は「車両は各ダイヤグラムの対象期間中の最も物量が多い時期に合わせて手配している。
そのため同じ期間中の荷物が少ない日には荷台に余裕がある状態でトラックを走らせることになる。
ダイヤグラムの期間をもっと細かく設定すれば車両台数を減らすことができるのではないかという仮説が出発点だった」と話す。
社内調整と加盟店舗への丁寧な説明を経て、19年3月から新たなダイヤグラムの運用を開始した。
ダイヤグラム作成は改革前の半年間固定ダイヤグラムと現在の3カ月固定ダイヤグラムのどちらも各センターの配送管理者が担当している。
属人的なスキルに支えられている側面が大きい。
次のステップとして、ダイヤグラム作成をAIが行う仕組みの構築を進めることになった。
「未来構想で描いた将来像ではダイヤグラムを毎日設定して最適化する仕組みを考えていた。
その場合、全てを人力で行うのは現実的ではないため、テクノロジーの活用が必要になる。
実現に向けてさまざまな企業と接触する中で三菱商事から『トラックの配送順を毎日変えられるAIを作っているオプティマインドというベンチャー企業がある』と教えてもらい話を聞きに行った。
われわれの構想と方向性が一致していたので、共同で実験を進めることになった」と川島宏史部長は語る。
20年11月から群馬県のドライ・フローズンの物流センターで実証実験を開始した。
対象店舗数は約400。
配送トラック走行距離が関東にある拠点の中では最も全国平均に近く、ドライとフローズンを同じ場所で扱っているため2種類の温度帯を同時に実験できる。
48台の配送車両全てにGPS端末を搭載した。
センターからの出発時刻、各店舗の到着から荷降ろしにかかる時間、店舗からの出発時間、センターの帰着時間、走行速度などの走行軌跡が全て記録される。
まずは2カ月間分の運行データを収集した。
それを納品する店舗の敷地情報や駐車場所などが記録された「納品カルテ」や各種地図データなどと組み合わせ、さらに各ドライバーが把握している道路事情や納品先周辺情報も加味して解析し、AIがダイヤグラムを作成した。
それに配送管理者が必要に応じて修正を加えるという運用を繰り返して完成度を高めていった。
「実験の初期段階でAIが作成したダイヤグラムをドライバーに見てもらったら、『そのルートは効率がいいとは思えない』と言われてしまった。
しかし『とにかく一度走ってみてほしい』と頼んで走行してもらったところ、実際には効率的であることが分かってきた」と川島宏史部長はいう。
21年10月からAIが作成したダイヤグラムによる実際の配送を群馬のセンターで開始した。
その結果、使用車両台数を約8%削減することができた。
ほぼ期待通りの効果が得られた。
同じ21年10月から兵庫のセンターでも実験を開始した。
ドライセンターで供給先店舗数は約500。
やはり約2カ月かけてデータ収集を行う。
22年1月頃から本格的なAIによるダイヤグラム作成を開始、早ければ22年4月には実運用を始める。
続く第3弾は22年前半に名古屋のセンターで予定している。
群馬、兵庫と同様に実験の開始から半年後の実運用を計画しているが、データ収集に1カ月、AIダイヤグラムの作成と修正に2カ月の合計3カ月で実運用に移すことも検討している。
AIが毎日自動でダイヤを作成 ローソンでは最終的には当日の各店舗の在庫状況や発注数量を基に、AIがダイヤグラムを毎日自動作成する『ダイナミックルーティング』の運用を目指している。
AIによるダイヤグラム作成を最初に実装した群馬のセンターを対象にその効果を試算したところ、配送台数を約15%、CO2排出量は17%削減できるという結果が出ている。
しかし、実現は容易ではない。
個店別の在庫状況や各センターにどのタイミングで商品がいくつ入庫されるかといったデータなどを全て連携させなければならない。
取引先や加盟店の協力のほか、ローソンの社内システムの変更も必要になる。
ダイヤグラムが毎日変わるようになると、店舗側では納品トラックがいつ到着するのかを把握しにくいという問題も出てくる。
これを解決するため、配送トラックの車載端末情報を活用して店舗のレジ前に到着予定時刻などの情報を表示させる仕組みの整備も構想している。
各店舗のバックヤード内に納品専用エリアを設置することも検討している。
納品された商品をバックヤードに一時保管できるようになれば店舗の都合のいいタイミングで品出しが可能となり、店舗側の負荷も軽減される。
ドライバーも店舗に到着したらそのまま納品専用エリアに荷降ろしできるようになる。
いずれもオペレーションの大きな変更を伴う内容のため、実施に向けては関係各所との丁寧な調整が必要になる。
収集するデータ量やシステムの規模も大きくなる。
現時点では23年度以降の取り組み開始を想定しており、実現にはある程度時間がかかるもようだ。
それでも川島宏史部長は「持続可能な安定供給体制を構築することがわれわれの最大の使命。
拠点の最適化、配送の最適化、庫内の最適化は永遠にぶれないロジスティクス部のテーマだ。
その実現に向けた手段の一つとして今後もAIやテクノロジーを積極的に活用していきたい」と意欲をみせている。
