2021年8月号
特集
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トラスコ中山 & GROUND 《対談》AI×ロボのプラットフォーム構築へDX加速
「プラネット愛知」でWESを実装
──トラスコ中山がGROUNDへの出資を決めた理由は?
トラスコ中山 直吉秀樹 取締役物流本部長 「一つには経営者(中山哲也社長)の想いがあります。
当社は『ロジスティクスワンダーランド』というコンセプトを掲げて2018年に稼働させた『プラネット埼玉』(埼玉県幸手市)に、GROUNDが日本に持ち込んだGreyOrange社の自動搬送ロボット『Butler(バトラー)』を導入しました。
当時、日本では導入例が限られていて、しかも『埼玉』では専用ラックを複数配列して運用する『n-deep』を世界で初めて採用したこともあって、立ち上げ当初は思ったようなKPIを出せませんでした」 「宮田社長をはじめGROUNDのスタッフが連日現場に貼り付いて朝から晩まで懸命にシステムのチューニングに取り組んでくれました。
期待通りの機能を発揮できるようになるまで、通常の保守契約の範囲をはるかに超えてサポートしてくれました。
強い執念が伝わってきました。
その姿に中山は感銘を受け、われわれがDXを加速させていくには宮田さんの力が必要だと惚れ込んだ」 「また2024年の稼働を予定している『プラネット愛知』では、『WES(Warehouse Execution System)』を実装して、AIとロボティクスを非常に高いレベルで統合することに取り組みます。
それには当社の物流を熟知し、技術力を持ったGROUNDのメンバーに一定期間アサインしてもらう必要がある。
しかし、まったく新しいことにチャレンジするわけですからGROUNDにとっても当然リスクがあります。
そのため、GROUNDとは単なる売り買い以上の密接な関係性を築く必要があった。
そう理解しています」 ──GROUND側では、特定のユーザーからの出資を受け入れることについてどのように判断したのですか。
GROUND 宮田啓友 共同創業者CEO「最初に話をいただいた時には驚きました。
当社の経営メンバーや株主にもそれぞれ意見があり、決断するまでには時間がかかりました。
しかし、私自身はこの話を受けるべきだと考えました。
米アマゾン・ドット・コムは年間1兆円規模の物流投資を続けています。
日本のわれわれが単独で対抗しようとしてもとうてい太刀打ちできない。
アマゾンと競い合っていくとしたら、緩やかなコンソーシアムを作っていく以外に方法はありません。
大企業とベンチャーが連携をして新たなプラットフォームを創造するというのは、日本の物流業界の生き残りの在り方だと思います。
そのため今回の提携を受け入れトラスコさんと一緒に『愛知』を必ず成功させようと説得しました」 世界最高の生産性を『埼玉』で実現 ──前回の『プラネット埼玉』では何を目指したのでしょうか。
トラスコ中山・直吉「50万SKUまで取り扱えるようにするという目標を定めました。
そのために、当社では『住所不定在庫管理システム』と呼んでいますが、フリーロケーションの仕組みを開発しました。
入荷した商品の三辺寸法と入荷数量、出荷頻度の三つをかけ合わせて、どこに保管するかを自動で決定して誘導する」 GROUND・宮田「バトラーと(ロボット倉庫の)『AutoStore(オートストア)』をどう組み合わせるかが重要でした。
バトラーは出荷頻度が中クラスの、全体の6〜7割のアイテムを取り扱った時に最も生産性が高くなる。
特Aクラスをバトラーに保管すれば往復の回数がいたずらに多くなって渋滞を起こす。
一方、ロングテール品は場所塞ぎになってやはり効率が落ちる。
ロングテール品は普通の平棚に保管した方がいい。
またオートストアは小型の商品に適している。
そうした切り分けに工夫が必要でした」 トラスコ中山・直吉「また、当社には従来から『在庫ヒット率』という独自のKPIがあります。
お客さまから100回注文を受けて何回を手持ちの在庫から即納できたかを測る指標で、現在は91%です。
『埼玉』のプロジェクトが始まって私が物流本部長を命じられた17年当時、当社の物流KPIはそれしかなかった。
さすがにそれでは日々の業務を管理できないので、床面積当たりの出荷件数、面積当たりの在庫アイテム数といったKPIを宮田さんから教わりました」 GROUND・宮田「在庫と物流オペレーションは基本的にトレードオフの関係にあるので通常なら、生産性を上げるためにどう在庫を絞っていくか考えていくわけですが、トラスコさんの場合は商品点数を増やし続けて、顧客満足度を上げていくという経営方針です。
そのため面積当たりの生産性とアイテム数をバランスよく伸ばしていく必要がある。
われわれにとっても大きなチャレンジでした」 ──『埼玉』で成し遂げたこと、積み残したことをどう評価していますか。
トラスコ中山・直吉「設備の稼働率を高めるためのノウハウを蓄積できたこと、現場の社員やパートの皆さんが成長できた点は誇れるところです。
立ち上げ当初は苦労しましたが、今では全国でも1、2を争うパフォーマンスをたたき出せるようになりました。
しかし、当社が最終的にやりたいことからすると、まだ四合目といったところです」 「ちなみに『埼玉』では商品の大きさ・数量・出荷頻度で事前に決めた通りに、その時の入荷数量から保管場所をバトラーかオートストア、あるいは平棚に割り振っています。
しかし、商品の出荷頻度は当然ながら常に変動します。
それを次の『愛知』ではAIが常に最適な保管場所に誘導する仕組みにしようと考えています」 GROUND・宮田「現在、『埼玉』のバトラーは、バトラーを導入した世界中の拠点の中でも最高クラスのパフォーマンスを発揮しています。
一つのステーションに1時間当たり平均50〜60回、1分おきにラックが搬送されてくる。
さらに、同じラックから1回につき何個ピックできるか、その掛け算で1時間当たりのスループットを計算するわけですが、それが直近の1年間だけ見ても20%以上向上している。
細かなチューニングとソフトウエアのアップデートを地道に繰り返した成果です」 トラスコ中山・直吉「KPIについては今年1月から新たな試みも始めました。
従来の在庫ヒット率に加えて『エリア在庫ヒット率』を採用した。
各地の物流センターの対象エリアからの注文を、そのセンターに保管している在庫からどれだけ出荷できたのかを測る指標です。
そのため全社在庫が対象の在庫ヒット率より数値は落ちる。
そこに拠点別の目標値を定めて向上させていく、というのが一つです」 「そしてもうひとつが『入出荷一行当たり人件費』です。
サービスレベルを上げるために無尽蔵にコストを投入していいということは当然ない。
そのため注文1行当たりの入出庫にいくらかかっているのか、その履歴を全て見える化して、やはり目標値を設定して改善していく。
この二つを昨年からテスト運用して今年から本採用しました」 SKU数の上限を取り払う ──『プラネット愛知』では何を目指しますか。
トラスコ中山・直吉「在庫は100万SKUを目指します。
これは事実上、在庫の上限を取り払ってしまおうということです。
ものづくりの現場で必要な商品が果たしていくつあるのかは誰にも分かりません。
それでも当社は基本的に全て在庫したい。
それが現実的に難しい場合には、当社がプラットフォームになる」 「お客さまが当社以外の仕入れ先に発注したのであれば、たとえそれが当社と取引のないメーカーであったとしても『愛知』に商品が入ってきてトラスコの他の商品とクロスドックしてまとめてお届けする。
当社では『出荷代行』あるいは『疑似3PL』と呼んでいます。
また販売店に代わって当社が最終ユーザーに納品する『ユーザー直送サービス』も、このまま増え続けていけばいずれキャパシティを超えてしまうので、『愛知』から西日本を対象にそうした整備をする」 「また、先ほど少し触れましたが『WES』を本格的に実装する。
既に『埼玉』で一部導入して、庫内の在庫の配置を最適化して、今どこで何の作業をやっているのか、リアルタイムで可視化することができるようになりました。
『愛知』ではさらに、このまま作業を進めたらどうなるか予測し、計画通りに作業を完了するために要員の配置を判断するところまで持っていきたい」 「一方、AIで需要予測して発注を最適化する。
在庫の肥大化を防ぎながら欠品はゼロを目指す。
愛知の物流機能、WES、そして需要予測の三つを柱にして『必要なモノが必ずある、すぐに届く』状態を、このプラットフォームで実現したい」 ──GROUNDにとってのチャレンジは? GROUND・宮田「当社が創業以来、目指してきた次世代型物流オペレーションの姿が、ここに来てようやく見えてきたという手応えを得ています。
それを『ハイパーウェアハウス』と名付けています。
WESはその基盤です。
携帯電話の『Android OS』と同様に、WESに各種のロボットやAIのソフトウエアがアプリケーションとして接続されます。
全体最適を可能にするものです」 「先進的なユーザーの関心は単にロボットを導入することから、ロボットをはじめとする新しいテクノロジーを使ってオペレーションをどう刷新していくか、その施設をどう作り上げていくかということに移っています。
当社はバトラーの提供から事業をスタートしましたが、いつまでも同じところにとどまっているつもりは毛頭ありません。
それと並行してWESの開発を粛々と進めてきました。
WESが実装されたハイパーウェアハウスを『愛知』で実現します」 ──WESは一般用語ですか。
GROUND・宮田「アメリカでもまだ定着した用語とは言えません。
しかし、DHLが既に動いていて、(イギリスのネットスーパー)Okadoも恐らくデジタルツインの仮想環境でオペレーションのシミュレーションを始めています。
これからの10年間は『WESの時代』だと私は考えています。
2012年にKIVA System(現アマゾンロボティクス)がアマゾンに買収されて以来、この10年で物流ロボットは世界的に普及しました。
しかし、ロボットの導入はまだ部分最適です。
これからは全体最適、オーケストレーションが問われていく。
当社はそこに照準を合わせていきます」 ──成熟した技術と違って先端テクノロジーの活用はリスクを伴います。
トラスコ中山があえてそのリスクを取る理由は何ですか。
トラスコ中山・直吉「当社は『究極の即納』を目指しています。
『最速・最短・最良の物流』を実現できるのであればどんな方法でも構いません。
成熟した技術も決して否定はしていません。
しかし、当社が直面している課題を解決する方法が、成熟した技術の中には残念ながら見当たらない。
それがチャレンジを続ける理由です」
当社は『ロジスティクスワンダーランド』というコンセプトを掲げて2018年に稼働させた『プラネット埼玉』(埼玉県幸手市)に、GROUNDが日本に持ち込んだGreyOrange社の自動搬送ロボット『Butler(バトラー)』を導入しました。
当時、日本では導入例が限られていて、しかも『埼玉』では専用ラックを複数配列して運用する『n-deep』を世界で初めて採用したこともあって、立ち上げ当初は思ったようなKPIを出せませんでした」 「宮田社長をはじめGROUNDのスタッフが連日現場に貼り付いて朝から晩まで懸命にシステムのチューニングに取り組んでくれました。
期待通りの機能を発揮できるようになるまで、通常の保守契約の範囲をはるかに超えてサポートしてくれました。
強い執念が伝わってきました。
その姿に中山は感銘を受け、われわれがDXを加速させていくには宮田さんの力が必要だと惚れ込んだ」 「また2024年の稼働を予定している『プラネット愛知』では、『WES(Warehouse Execution System)』を実装して、AIとロボティクスを非常に高いレベルで統合することに取り組みます。
それには当社の物流を熟知し、技術力を持ったGROUNDのメンバーに一定期間アサインしてもらう必要がある。
しかし、まったく新しいことにチャレンジするわけですからGROUNDにとっても当然リスクがあります。
そのため、GROUNDとは単なる売り買い以上の密接な関係性を築く必要があった。
そう理解しています」 ──GROUND側では、特定のユーザーからの出資を受け入れることについてどのように判断したのですか。
GROUND 宮田啓友 共同創業者CEO「最初に話をいただいた時には驚きました。
当社の経営メンバーや株主にもそれぞれ意見があり、決断するまでには時間がかかりました。
しかし、私自身はこの話を受けるべきだと考えました。
米アマゾン・ドット・コムは年間1兆円規模の物流投資を続けています。
日本のわれわれが単独で対抗しようとしてもとうてい太刀打ちできない。
アマゾンと競い合っていくとしたら、緩やかなコンソーシアムを作っていく以外に方法はありません。
大企業とベンチャーが連携をして新たなプラットフォームを創造するというのは、日本の物流業界の生き残りの在り方だと思います。
そのため今回の提携を受け入れトラスコさんと一緒に『愛知』を必ず成功させようと説得しました」 世界最高の生産性を『埼玉』で実現 ──前回の『プラネット埼玉』では何を目指したのでしょうか。
トラスコ中山・直吉「50万SKUまで取り扱えるようにするという目標を定めました。
そのために、当社では『住所不定在庫管理システム』と呼んでいますが、フリーロケーションの仕組みを開発しました。
入荷した商品の三辺寸法と入荷数量、出荷頻度の三つをかけ合わせて、どこに保管するかを自動で決定して誘導する」 GROUND・宮田「バトラーと(ロボット倉庫の)『AutoStore(オートストア)』をどう組み合わせるかが重要でした。
バトラーは出荷頻度が中クラスの、全体の6〜7割のアイテムを取り扱った時に最も生産性が高くなる。
特Aクラスをバトラーに保管すれば往復の回数がいたずらに多くなって渋滞を起こす。
一方、ロングテール品は場所塞ぎになってやはり効率が落ちる。
ロングテール品は普通の平棚に保管した方がいい。
またオートストアは小型の商品に適している。
そうした切り分けに工夫が必要でした」 トラスコ中山・直吉「また、当社には従来から『在庫ヒット率』という独自のKPIがあります。
お客さまから100回注文を受けて何回を手持ちの在庫から即納できたかを測る指標で、現在は91%です。
『埼玉』のプロジェクトが始まって私が物流本部長を命じられた17年当時、当社の物流KPIはそれしかなかった。
さすがにそれでは日々の業務を管理できないので、床面積当たりの出荷件数、面積当たりの在庫アイテム数といったKPIを宮田さんから教わりました」 GROUND・宮田「在庫と物流オペレーションは基本的にトレードオフの関係にあるので通常なら、生産性を上げるためにどう在庫を絞っていくか考えていくわけですが、トラスコさんの場合は商品点数を増やし続けて、顧客満足度を上げていくという経営方針です。
そのため面積当たりの生産性とアイテム数をバランスよく伸ばしていく必要がある。
われわれにとっても大きなチャレンジでした」 ──『埼玉』で成し遂げたこと、積み残したことをどう評価していますか。
トラスコ中山・直吉「設備の稼働率を高めるためのノウハウを蓄積できたこと、現場の社員やパートの皆さんが成長できた点は誇れるところです。
立ち上げ当初は苦労しましたが、今では全国でも1、2を争うパフォーマンスをたたき出せるようになりました。
しかし、当社が最終的にやりたいことからすると、まだ四合目といったところです」 「ちなみに『埼玉』では商品の大きさ・数量・出荷頻度で事前に決めた通りに、その時の入荷数量から保管場所をバトラーかオートストア、あるいは平棚に割り振っています。
しかし、商品の出荷頻度は当然ながら常に変動します。
それを次の『愛知』ではAIが常に最適な保管場所に誘導する仕組みにしようと考えています」 GROUND・宮田「現在、『埼玉』のバトラーは、バトラーを導入した世界中の拠点の中でも最高クラスのパフォーマンスを発揮しています。
一つのステーションに1時間当たり平均50〜60回、1分おきにラックが搬送されてくる。
さらに、同じラックから1回につき何個ピックできるか、その掛け算で1時間当たりのスループットを計算するわけですが、それが直近の1年間だけ見ても20%以上向上している。
細かなチューニングとソフトウエアのアップデートを地道に繰り返した成果です」 トラスコ中山・直吉「KPIについては今年1月から新たな試みも始めました。
従来の在庫ヒット率に加えて『エリア在庫ヒット率』を採用した。
各地の物流センターの対象エリアからの注文を、そのセンターに保管している在庫からどれだけ出荷できたのかを測る指標です。
そのため全社在庫が対象の在庫ヒット率より数値は落ちる。
そこに拠点別の目標値を定めて向上させていく、というのが一つです」 「そしてもうひとつが『入出荷一行当たり人件費』です。
サービスレベルを上げるために無尽蔵にコストを投入していいということは当然ない。
そのため注文1行当たりの入出庫にいくらかかっているのか、その履歴を全て見える化して、やはり目標値を設定して改善していく。
この二つを昨年からテスト運用して今年から本採用しました」 SKU数の上限を取り払う ──『プラネット愛知』では何を目指しますか。
トラスコ中山・直吉「在庫は100万SKUを目指します。
これは事実上、在庫の上限を取り払ってしまおうということです。
ものづくりの現場で必要な商品が果たしていくつあるのかは誰にも分かりません。
それでも当社は基本的に全て在庫したい。
それが現実的に難しい場合には、当社がプラットフォームになる」 「お客さまが当社以外の仕入れ先に発注したのであれば、たとえそれが当社と取引のないメーカーであったとしても『愛知』に商品が入ってきてトラスコの他の商品とクロスドックしてまとめてお届けする。
当社では『出荷代行』あるいは『疑似3PL』と呼んでいます。
また販売店に代わって当社が最終ユーザーに納品する『ユーザー直送サービス』も、このまま増え続けていけばいずれキャパシティを超えてしまうので、『愛知』から西日本を対象にそうした整備をする」 「また、先ほど少し触れましたが『WES』を本格的に実装する。
既に『埼玉』で一部導入して、庫内の在庫の配置を最適化して、今どこで何の作業をやっているのか、リアルタイムで可視化することができるようになりました。
『愛知』ではさらに、このまま作業を進めたらどうなるか予測し、計画通りに作業を完了するために要員の配置を判断するところまで持っていきたい」 「一方、AIで需要予測して発注を最適化する。
在庫の肥大化を防ぎながら欠品はゼロを目指す。
愛知の物流機能、WES、そして需要予測の三つを柱にして『必要なモノが必ずある、すぐに届く』状態を、このプラットフォームで実現したい」 ──GROUNDにとってのチャレンジは? GROUND・宮田「当社が創業以来、目指してきた次世代型物流オペレーションの姿が、ここに来てようやく見えてきたという手応えを得ています。
それを『ハイパーウェアハウス』と名付けています。
WESはその基盤です。
携帯電話の『Android OS』と同様に、WESに各種のロボットやAIのソフトウエアがアプリケーションとして接続されます。
全体最適を可能にするものです」 「先進的なユーザーの関心は単にロボットを導入することから、ロボットをはじめとする新しいテクノロジーを使ってオペレーションをどう刷新していくか、その施設をどう作り上げていくかということに移っています。
当社はバトラーの提供から事業をスタートしましたが、いつまでも同じところにとどまっているつもりは毛頭ありません。
それと並行してWESの開発を粛々と進めてきました。
WESが実装されたハイパーウェアハウスを『愛知』で実現します」 ──WESは一般用語ですか。
GROUND・宮田「アメリカでもまだ定着した用語とは言えません。
しかし、DHLが既に動いていて、(イギリスのネットスーパー)Okadoも恐らくデジタルツインの仮想環境でオペレーションのシミュレーションを始めています。
これからの10年間は『WESの時代』だと私は考えています。
2012年にKIVA System(現アマゾンロボティクス)がアマゾンに買収されて以来、この10年で物流ロボットは世界的に普及しました。
しかし、ロボットの導入はまだ部分最適です。
これからは全体最適、オーケストレーションが問われていく。
当社はそこに照準を合わせていきます」 ──成熟した技術と違って先端テクノロジーの活用はリスクを伴います。
トラスコ中山があえてそのリスクを取る理由は何ですか。
トラスコ中山・直吉「当社は『究極の即納』を目指しています。
『最速・最短・最良の物流』を実現できるのであればどんな方法でも構いません。
成熟した技術も決して否定はしていません。
しかし、当社が直面している課題を解決する方法が、成熟した技術の中には残念ながら見当たらない。
それがチャレンジを続ける理由です」
