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2021年8月号
特集

日本パレットレンタル(JPR) 異業種の共同輸送を迅速にマッチング

無償トライアルに50社以上が名乗り  日本パレットレンタル(JPR)は近年、中核事業のパレットレンタルのユーザー企業同士による幹線輸送の共同化をアレンジしている。
パレット管理システムのデータを基に荷物の動きをつかみ、効果的な荷物の組み合わせや運行ルートなどを提案、運用を支援している。
 2018年にはキユーピー、ライオンの2社と連携し、関東~九州間でキユーピーの調味料や加工食品などとライオンのハンドソープやボディソープなどを対象に開始。
輸送の大半をフェリーに移行するなど従来のルートを大胆に見直し、実車率を大幅に改善することに成功した。
 19年にはキユーピーとサンスターをパートナーとして、別の共同輸送をスタート。
キユーピーのマヨネーズやドレッシングなどの調味料とサンスターの歯磨きや歯ブラシなどを混載するルートを新設、実車率を約99%まで高めるとともにトラックドライバーの年間稼働時間を2200時間以上短縮することにもつながった。
 他にも、サッポロホールディングスとエバラ食品工業の共同輸送を岡山~大分・福岡間で実施。
サッポロのビールテイスト製品とエバラの加工食品や調味料を組み合わせて実車率を向上させるとともに、運行スケジュールの固定化や現場でのフォークリフトによる機械荷役徹底などで労働環境改善も図っているのが特徴だ。
 こうした共同輸送のケースはグリーン物流パートナーシップ会議の国土交通大臣表彰や日本物流団体連合会(物流連)の物流環境大賞の特別賞などを受賞、物流業界でも評価を得ている。
 物流現場の人手不足深刻化でさらに共同輸送のニーズが高まる中、JPRとしても支援体制の強化に乗り出している。
今年6月にAIを使い異業種の荷主企業間の共同輸送をマッチングするサービスを開始する方針を発表した。
個々の企業努力だけでは実現のハードルが高い共同輸送の仲介をこれまでの人手に代わってAIで行うことで、よりシステマティックに幅広い業界を対象として迅速にマッチングできる体制を実現するのが目的だ。
 JPRが19年に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に参加し、群馬大および明治大との産学共同研究で開発してきたAIを活用。
今年10月のスタートへ準備を進めている。
その前段として昨年から無償でトライアルを実施、既に50社以上が名乗りを挙げている。
 JPR事業企画部の渡邉安彦輸送マッチング推進グループ長は新たなサービス展開に至った経緯について「パレットレンタルという中立的な立場の当社にユーザーの方々から輸送共同化の相談が寄せられていた。
異なる業界をつなぎ合わせることに価値を非常に感じていただいている。
多くの企業が帰り荷の確保に頭を悩まされており、トラックドライバー不足の影響でそうした状況がさらに深刻となる可能性もある。
混載便を仕立てたいとのニーズも根強く、当社のノウハウを生かして物流現場の課題解決に貢献できると考えた」と語る。
 AIによるマッチングは、帰り便が見つからないため最適なトラックを探したい場合と、混載便に加わりたい場合の2パターンへの対応を想定。
積載率を高めるとともに、不定期便を共同輸送で定期便化し、物流の効率化を実現するのが狙いだ。
荷主企業がメーンだが、製造業などから一定量の荷物を定期便で請け負っている運送会社や倉庫会社などもターゲットに据えている。
モーダルシフト希望にも対応  現時点でのサービス利用イメージは、まず荷主企業が自社の輸送ルートをシステムに登録。
帰り便を探すのか、混載便を探すのかを選択した上で、希望する条件を設定しておく。
AIが膨大なデータを基に、条件に適したルートの候補を複数表示、荷主企業はその中から希望するものを選んで共同輸送を申し込むことを想定している。
現状は条件に合ったルートの中から“ベスト40”を列挙している。
 マッチング先が承諾すれば、双方の担当者がそこで初めて顔合わせして実際に積載する荷物の種類や量、運行スケジュールなどの協議に入る。
合意に至ったらテスト走行を経て正式な共同輸送をスタートする予定。
JPRは共同輸送実現までおおよそ3~4カ月を見込んでいる。
 肝になるマッチングの条件に関しては、現在は20項目程度を設定してトライアルを展開。
発着地や車型、車種、運賃、商品のカテゴリー、温度帯、年間の出荷便数、納品時間など多岐にわたっている。
希望を細かく把握することで、AIがより正確にマッチングできるようにする構想だ。
 サービス開始時には、トライアルでユーザーから出た意見などを踏まえ、さらに条件を追加・修正する方向だ。
積み降ろし方や荷姿、積み荷のサイズといったポイントを設けるほか、温度帯の設定を必須化することや、昨今の環境意識の高まりに伴う鉄道や船舶のモーダルシフトの希望にも対応できるようにすることを検討している。
高速道路や有料道路の利用の有無、輸送以外の付帯作業の内容も取り入れることを念頭に置いている。
 また、マッチングしやすくなるための工夫を施している。
候補企業の年間の輸送量の波動をグラフで表示し、選択する際には自社の波動と時期が重なっていないかといった点を考慮できる。
競合他社のようにマッチングを望まない相手を指定することも可能にする予定だ。
地球温暖化対策が産業界で広く叫ばれていることを考慮し、共同輸送する前後のCO2排出量も概算で算出、提示する。
 渡邉氏は「トライアル参加に名乗りを挙げられた業種は加工食品、日用品、飲料のほかに農産物、電子部品、化学品、建材資材、自動車部品、文具、紙パルプ、廃材回収など多岐にわたる。
登録ルートも相当数蓄積されてきた。
期待度は高い」と手応えを感じている。
長距離だけでなく、同一県内の輸送ルートで共同化を望まれるケースも結構見られるという。
 サービスを本格的に開始した後は、共同輸送が成立したユーザー向けにスポット便の求貨求車サービスも提供する準備を進めている。
渡邉氏は「将来はAIマッチングシステムを同一企業のグループ内輸送最適化にも生かせるようにすることを視野に入れている。
脱炭素の流れで無駄な輸送を減らすとの観点からも、AIマッチングが活躍できる場を広げていきたい」と話している。

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