2021年3月号
特集
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NTTロジスコ「メディカルライナー」 医療機器の物流プラットフォーム構築目指す
外販比率は62%まで拡大
NTTロジスコはNTTグループの総合物流会社だ。
全国29カ所に物流センター、49カ所に緊急配送拠点を構えている。
うち約4割は自社のアセットだ。
配送は傭車だが、各地のパートナーを長期契約で組織化している。
2020年3月期の売上高は前年比9・3%増の420億円。
そのうちNTTグループ向け以外の売り上げ、いわゆる外販が62%を占める。
IT機器、医療機器、エンターテインメントなどの業界向けに、3PLを提供している。
同社は1994年に当時のNTT物流部を分社化するかたちで営業を開始した。
その後、携帯電話の普及で通信資材や通信機器、電話帳など、NTTグループ向けの仕事が年々減っていくのを受けて、2001年から本格的に外販に乗り出した。
当初から医療機器を外販のターゲットの一つに据えていた。
慎重な荷扱いが求められる通信機器や精密機器を長年取り扱ってきたノウハウを生かせると考えた。
日系の医療機器メーカーは通常自社で納品していたが、アセットを持たず社員数も限られる外資系メーカーには外注のニーズがあった。
荷主ごとに最適な物流を組み立てる3PLサービスを軸に、荷主の数と売り上げを増やしてきた。
2020年3月期の医療機器物流の荷主数は51社。
同売上高は前年比15%増の53億円。
外販売り上げの約20%を占める柱の一つに育っている。
18年5月にスタートした医療機器の共同配送サービス「メディカルライナー」がその成長を後押ししている。
同社の3PL顧客を中心に現在、大手医療機器メーカー10社の荷物を混載して、関東一円のディーラーの営業所約70カ所にルート配送で納品している。
17年の“宅配クライシス”で宅配事業者が荷量制限を実施、路線便(特積み)も取り扱いを絞ったことで、従来通りの納品が難しくなったことがきっかけだった。
17年10月にメディカル事業本部を発足、課題の解決に乗り出した。
同社は東京・平和島に医療機器専用施設「メディカルロジスティクスセンター平和島(MLC)」を置いている。
地上7階建て。
うち6フロアが倉庫で延べ床面積は2万5660坪。
医療機器の流通加工、洗浄、メンテナンス機能などを備えている。
現在、外資系医療機器メーカーを中心に20社が入居している。
その配送を共同化する計画を立てた。
納品先となるディーラーの各営業所の着時間や納品方法などを整理してルートを設計、メーカーやディーラーの要望に対応するためのドライバー教育を実施した。
並行して情報システムを整備した。
一つは動態管理システムだ。
ドライバーが携帯するハンディ端末のGPSで車両の位置をリアルタイムで補足する。
もうひとつは配送トレースシステムだ。
荷物一つ一つについて、積み込み時と荷降ろし時にタイムスタンプを押してサーバーに保存する。
18年3月、まずは荷量のまとまらない北関東向けから運用を開始、同9月には東京23区にエリアを拡大した。
その後、19年8月に埼玉・千葉、20年11月に横浜・川崎と段階的に対象を広げた。
現在はMLCのテナントのほかに、近隣に拠点を置く医療機器メーカーからの集荷も請け負う。
ルート配送便は宅配便や路線便とは違って積み替え作業が発生しないため、破損リスクや仕分けミスが減る。
納品用段ボール箱を折り畳みコンテナに変えるなど梱包も簡易化できる。
訓練を受けた専門ドライバーが担当するため、製品特性に応じた納品や取り扱い注意事項にも柔軟に対応できる。
納品時間も安定する。
中村圭吾メディカル事業本部メディカルサービス部長は「サービス開始から約3年経ったが、汚破損によるクレームは一度も上がったことがない。
納品先のディーラーからは、他のメーカーもメディカルライナーの荷主に加えてほしいとの要望を受けている」という。
20年1月にはメディカルライナーのラインナップに「返却便」を加えた。
インプラントや整形外科などで用いられる医療器具には手術が始まってからでないとサイズが確定しないものがある。
そのためいくつか近いサイズのものを取り揃えてセットで貸し出して、そのうち一つだけ使用して残りを返却する預託販売型が慣行となっている。
残りはディーラーの営業マンが回収して主に宅配便でメーカーに返送する。
この業務もまた、宅配便・路線便の締め時間の切り上げなどで影響を受けていた。
そこでメディカルライナーの配送網でこれを代替した。
ディーラーへの納品時に返却品を集荷する。
午前中8〜9時に集荷して当日中にメーカーに返却できる。
全国に共同在庫拠点を配置 同社はメディカルライナーの全国展開を計画している。
関東と同様のMLCを主要都市に配置、前線に共同在庫拠点「FSL(Forward Stock Location)」を置いて、サプライチェーン全体の在庫配分や移動を最適化するという構想だ。
既に関西のMLCの立ち上げに取りかかっている。
普通倉庫を医療機器専用倉庫用に作り変える。
今年中に完成予定だ。
一方、FSLは同社が従来から運営しているIT機器や医療機器向けの「24時間緊急配送サービス」用の配送拠点に、保管機能を付加して全国を網羅する。
ディーラーの営業所を経由しない医療機関への直送も進める。
現状ではメディカルライナーでディーラーの営業所に納品した製品は、ディーラーの営業マンが病院に納品している。
メディカルライナーの納品先として医療機関までカバーすることでディーラーの商物分離を可能にする。
中村部長は「物流のシェアリング、フィジカルネットワークの世界に移行していくには標準化がどうしても必要。
しかし、取引先や同業種同士で話合っていてもなかなかまとまらない。
われわれ物流会社にサプライチェーンの改善を主導してほしいとの声が高まっている。
その期待に応えていきたい」という。
同社は現在、絶対単品管理を目的とするRFIDの活用を進めている。
グループのNTTデータならびに医療機器メーカーのスミス・アンド・ネフューの協力の下、短期貸出の医療材料にRFIDを貼付する実証実験を18年11月に行った。
廃棄ロスや過剰在庫の削減、預託在庫数と使用数のリアルタイムな把握、検品作業の負担軽減が実現した。
NTTデータの医療材料IoTプラットフォーム「MD-TraC」でメーカー、ディーラー、医療機関が製造から使用・廃棄に至るまでの流れを可視化し、情報を一元化する。
それをNTTロジスコが、業務提携を結んでいるザイオネックスのSCMソフトウエア「T3」(ティーキューブ)を使って分析する。
酒井英明メディカルサービス部担当課長は「どの製品がどう使われたのか、現状では情報が医療機関内でブラックボックス化している。
RFIDの活用によってそれを見える化して、ディーラーやメーカーにフィードバックする。
在庫管理の高度化はもちろんメーカーの商品開発にも一役買える」と期待している。
全国29カ所に物流センター、49カ所に緊急配送拠点を構えている。
うち約4割は自社のアセットだ。
配送は傭車だが、各地のパートナーを長期契約で組織化している。
2020年3月期の売上高は前年比9・3%増の420億円。
そのうちNTTグループ向け以外の売り上げ、いわゆる外販が62%を占める。
IT機器、医療機器、エンターテインメントなどの業界向けに、3PLを提供している。
同社は1994年に当時のNTT物流部を分社化するかたちで営業を開始した。
その後、携帯電話の普及で通信資材や通信機器、電話帳など、NTTグループ向けの仕事が年々減っていくのを受けて、2001年から本格的に外販に乗り出した。
当初から医療機器を外販のターゲットの一つに据えていた。
慎重な荷扱いが求められる通信機器や精密機器を長年取り扱ってきたノウハウを生かせると考えた。
日系の医療機器メーカーは通常自社で納品していたが、アセットを持たず社員数も限られる外資系メーカーには外注のニーズがあった。
荷主ごとに最適な物流を組み立てる3PLサービスを軸に、荷主の数と売り上げを増やしてきた。
2020年3月期の医療機器物流の荷主数は51社。
同売上高は前年比15%増の53億円。
外販売り上げの約20%を占める柱の一つに育っている。
18年5月にスタートした医療機器の共同配送サービス「メディカルライナー」がその成長を後押ししている。
同社の3PL顧客を中心に現在、大手医療機器メーカー10社の荷物を混載して、関東一円のディーラーの営業所約70カ所にルート配送で納品している。
17年の“宅配クライシス”で宅配事業者が荷量制限を実施、路線便(特積み)も取り扱いを絞ったことで、従来通りの納品が難しくなったことがきっかけだった。
17年10月にメディカル事業本部を発足、課題の解決に乗り出した。
同社は東京・平和島に医療機器専用施設「メディカルロジスティクスセンター平和島(MLC)」を置いている。
地上7階建て。
うち6フロアが倉庫で延べ床面積は2万5660坪。
医療機器の流通加工、洗浄、メンテナンス機能などを備えている。
現在、外資系医療機器メーカーを中心に20社が入居している。
その配送を共同化する計画を立てた。
納品先となるディーラーの各営業所の着時間や納品方法などを整理してルートを設計、メーカーやディーラーの要望に対応するためのドライバー教育を実施した。
並行して情報システムを整備した。
一つは動態管理システムだ。
ドライバーが携帯するハンディ端末のGPSで車両の位置をリアルタイムで補足する。
もうひとつは配送トレースシステムだ。
荷物一つ一つについて、積み込み時と荷降ろし時にタイムスタンプを押してサーバーに保存する。
18年3月、まずは荷量のまとまらない北関東向けから運用を開始、同9月には東京23区にエリアを拡大した。
その後、19年8月に埼玉・千葉、20年11月に横浜・川崎と段階的に対象を広げた。
現在はMLCのテナントのほかに、近隣に拠点を置く医療機器メーカーからの集荷も請け負う。
ルート配送便は宅配便や路線便とは違って積み替え作業が発生しないため、破損リスクや仕分けミスが減る。
納品用段ボール箱を折り畳みコンテナに変えるなど梱包も簡易化できる。
訓練を受けた専門ドライバーが担当するため、製品特性に応じた納品や取り扱い注意事項にも柔軟に対応できる。
納品時間も安定する。
中村圭吾メディカル事業本部メディカルサービス部長は「サービス開始から約3年経ったが、汚破損によるクレームは一度も上がったことがない。
納品先のディーラーからは、他のメーカーもメディカルライナーの荷主に加えてほしいとの要望を受けている」という。
20年1月にはメディカルライナーのラインナップに「返却便」を加えた。
インプラントや整形外科などで用いられる医療器具には手術が始まってからでないとサイズが確定しないものがある。
そのためいくつか近いサイズのものを取り揃えてセットで貸し出して、そのうち一つだけ使用して残りを返却する預託販売型が慣行となっている。
残りはディーラーの営業マンが回収して主に宅配便でメーカーに返送する。
この業務もまた、宅配便・路線便の締め時間の切り上げなどで影響を受けていた。
そこでメディカルライナーの配送網でこれを代替した。
ディーラーへの納品時に返却品を集荷する。
午前中8〜9時に集荷して当日中にメーカーに返却できる。
全国に共同在庫拠点を配置 同社はメディカルライナーの全国展開を計画している。
関東と同様のMLCを主要都市に配置、前線に共同在庫拠点「FSL(Forward Stock Location)」を置いて、サプライチェーン全体の在庫配分や移動を最適化するという構想だ。
既に関西のMLCの立ち上げに取りかかっている。
普通倉庫を医療機器専用倉庫用に作り変える。
今年中に完成予定だ。
一方、FSLは同社が従来から運営しているIT機器や医療機器向けの「24時間緊急配送サービス」用の配送拠点に、保管機能を付加して全国を網羅する。
ディーラーの営業所を経由しない医療機関への直送も進める。
現状ではメディカルライナーでディーラーの営業所に納品した製品は、ディーラーの営業マンが病院に納品している。
メディカルライナーの納品先として医療機関までカバーすることでディーラーの商物分離を可能にする。
中村部長は「物流のシェアリング、フィジカルネットワークの世界に移行していくには標準化がどうしても必要。
しかし、取引先や同業種同士で話合っていてもなかなかまとまらない。
われわれ物流会社にサプライチェーンの改善を主導してほしいとの声が高まっている。
その期待に応えていきたい」という。
同社は現在、絶対単品管理を目的とするRFIDの活用を進めている。
グループのNTTデータならびに医療機器メーカーのスミス・アンド・ネフューの協力の下、短期貸出の医療材料にRFIDを貼付する実証実験を18年11月に行った。
廃棄ロスや過剰在庫の削減、預託在庫数と使用数のリアルタイムな把握、検品作業の負担軽減が実現した。
NTTデータの医療材料IoTプラットフォーム「MD-TraC」でメーカー、ディーラー、医療機関が製造から使用・廃棄に至るまでの流れを可視化し、情報を一元化する。
それをNTTロジスコが、業務提携を結んでいるザイオネックスのSCMソフトウエア「T3」(ティーキューブ)を使って分析する。
酒井英明メディカルサービス部担当課長は「どの製品がどう使われたのか、現状では情報が医療機関内でブラックボックス化している。
RFIDの活用によってそれを見える化して、ディーラーやメーカーにフィードバックする。
在庫管理の高度化はもちろんメーカーの商品開発にも一役買える」と期待している。
