2021年1月号
特集
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日本アクセス 冷食サプライチェーン全域にスコープを拡大
「冷凍マザーセンター構想」を開始
日本アクセスは冷凍食品に強みを持つ大手食料品卸だ。
前身は旧・雪印乳業の販売会社で現在は伊藤忠商事が100%株式を保有している。
2019年度の連結売上高は2兆1543億円。
冷凍対応の126拠点を含む全国520カ所に物流拠点を展開して、協力運送会社と連携して約9400台の車両を動かしている。
同社は20年11月、埼玉県さいたま市で「関東フローズンマザー物流センター」の試験運用を開始した。
各メーカーからの荷受けを同センターに集約して同エリアにある15カ所の物流センター別に仕分けて出荷する。
同社が19年度に打ち出した「冷凍マザーセンター構想」を具体化した。
まずは冷凍食品メーカー10社前後で運用を開始した。
1年間にわたりコスト面、運用面を検証した上で、現在建設中の新センターに舞台を移し、本稼働に移行する計画だ。
同様のマザーセンターを21年春に中四国、続いて東北にも設置する計画で、順次、全国に展開していく。
同社の田中弘志ロジスティクス戦略室長は、その狙いを「旧態依然とした冷凍食品の物流を改革することだ」という。
加工食品卸の物流センターは納品に来たトラックを長時間待機させることで悪名が高い。
冷凍食品も例外ではない。
基本的に商品はトラックの荷台にばら積みした状態で納品されてくる。
フォークリフトを使えないため、トラック1台の荷降ろしに2時間近くかかることもある。
従来から卸はメーカーに対してパレットで納品するよう求めてきた。
しかし、パレット化によって1台のトラックに積載できる商品の量は2割近く減る。
新たにパレットを購入して回収する必要もある。
パレットサイズはメーカーによってバラバラなので共同化や混載はできない。
手積み手降ろしが改められることはなかった。
当然ながら現場のドライバーからは敬遠される。
人手不足と共に車両の確保が難しくなった。
庫内作業員も集まらない。
とりわけ冷凍倉庫は身体への負担が大きい。
その現場運営は今や外国人労働者頼みとなっている。
このままでは、いずれ事業を継続できなくなることは明らかだった。
そこで日本アクセスはメーカー物流の懐に手を伸ばすことを決意した。
冷凍食品メーカーの多くは工場近隣に営業倉庫を借りて在庫を保管している。
冷凍マザーセンターはメーカーの倉庫を代替する役割を果たす。
工場の生産計画に基づいて日本アクセスが発注することで工場から直送し、メーカーの一時保管を不要にした。
冷凍マザーセンターに納品した製品は、入荷時点で全て日本アクセスに所有権が移る。
通常メーカーは営業倉庫1カ月程度の在庫を抱えている。
在庫削減によって資金効率が向上する。
営業倉庫会社に支払う費用も減る。
その分を日本アクセスは入荷時点でメーカーに課金するが、メーカーに損はない。
一方、日本アクセスの在庫負担は増える。
それを業務の効率化によって吸収しようというアイデアだ。
メーカーからマザーセンターへの輸送は従来通りのばら積みだ。
それを、荷降ろし時にT11型の標準パレットに積み付けてもらう。
従来、日本アクセスでは物流センターによってパレットに荷物を積み付ける方法がバラバラだった。
今回のプロジェクトを機にそれを統一した。
物流センターからの補充発注も売れ筋のS・Aランク品についてはパレット単位に統一。
B・Cランク品は物流センターの規模に合わせて発注ロットを設定した。
このパレチゼーションによって、マザーセンターの入荷から各物流センターのラックに入荷するまで無駄なハンドリングが発生しなくなる。
さらに各物流センターの需要に応じてマザーセンターから納品する頻度をコントロールして、納品時間帯を調整することでトータルの運用車両台数も抑制できるとみている。
試験稼働の開始からまだ1カ月余りだが既に想定した以上の効果が出ている。
マザーセンターの入荷時にパレットに積み付けた状態でそのまま出荷できる割合を当初は出荷量の7割程度と見込んでいたが、実際には8割に達した。
「データの3PL」が小売業のDX支援 一方、EC化への対応では、大手モールに自社サイトを開設して直接販売を開始した。
19年1月にアマゾンに「Smile Spoon」(スマイルスプーン)の屋号で出店した。
20年3月には楽天、同11月にはヤフー「PayPayモール」にも出店した。
自社プライベートブランドと取引メーカーの商品を合わせて約1千アイテムを出品している。
18年からの3カ年中期経営計画で掲げた「次世代ビジネス戦略」の一環だ。
同年4月に当初は「マーケティング管掌」役員の下に設置されたEC事業部を、同10月に「ロジスティクス管掌」に移管して次世代ビジネス営業部に名称変更した。
同社の佐々木淳一社長は記者会見で、3温度帯商品のネット通販事業と個人宅配を「BtoBtoCビジネスの挑戦」と説明している。
既にアスクルや料理動画サイト「クラシル」を運営するdelyなどと連携を強め、事業基盤を固めている。
実店舗小売業に対しては「情報卸」としての機能を強化する。
100%子会社のD&Sソリューションズ(D&S)がその実働部隊だ。
生活協同組合コープさっぽろは10月、D&Sの新サービス「RETAILSTUDIO」と「ダイナミックプライシング」の正式導入を発表した。
RETAILSTUDIOは、スマートフォンアプリの開発やデータ分析、デジタルマーケティング等を始めるときに発生していたデータ連係に関するシステム開発を不要にするクラウドサービスだ。
初期費用なしでさまざまなマーケティング機能を利用できる。
「ダイナミックプライシング」はその一つで顧客の購買履歴や買い物の内容に応じてポイントを付与することで実質価格をコントロールする。
日本アクセスの商品統括・マーケティング管掌付特命担当を兼務するD&Sの望月洋志取締役COO情報卸事業部長は、D&Sの役割を“データの3PL”と表現する。
店舗小売業者が社内に優秀なITエンジニアを抱え込むのは難しい。
SIerに開発を依頼すれば高額投資が避けられない。
要件定義やプロジェクトを管理できる人材もいない。
そのためDXが進まない。
望月COOは「店舗小売業に代わってわれわれが情報機能に投資をする。
IT人材も社内に抱えてシステムを作り込む。
小売業は開発費用なし、要件定義さえ必要なく、われわれの用意した“データ倉庫”とつなぐだけで今日からすぐにDXを実現できる。
そんな世界を目指している」という。
既にコープさっぽろのほか、いなげや、阪急OASIS、マルキュウなどが同社を「情報卸」として利用している。
前身は旧・雪印乳業の販売会社で現在は伊藤忠商事が100%株式を保有している。
2019年度の連結売上高は2兆1543億円。
冷凍対応の126拠点を含む全国520カ所に物流拠点を展開して、協力運送会社と連携して約9400台の車両を動かしている。
同社は20年11月、埼玉県さいたま市で「関東フローズンマザー物流センター」の試験運用を開始した。
各メーカーからの荷受けを同センターに集約して同エリアにある15カ所の物流センター別に仕分けて出荷する。
同社が19年度に打ち出した「冷凍マザーセンター構想」を具体化した。
まずは冷凍食品メーカー10社前後で運用を開始した。
1年間にわたりコスト面、運用面を検証した上で、現在建設中の新センターに舞台を移し、本稼働に移行する計画だ。
同様のマザーセンターを21年春に中四国、続いて東北にも設置する計画で、順次、全国に展開していく。
同社の田中弘志ロジスティクス戦略室長は、その狙いを「旧態依然とした冷凍食品の物流を改革することだ」という。
加工食品卸の物流センターは納品に来たトラックを長時間待機させることで悪名が高い。
冷凍食品も例外ではない。
基本的に商品はトラックの荷台にばら積みした状態で納品されてくる。
フォークリフトを使えないため、トラック1台の荷降ろしに2時間近くかかることもある。
従来から卸はメーカーに対してパレットで納品するよう求めてきた。
しかし、パレット化によって1台のトラックに積載できる商品の量は2割近く減る。
新たにパレットを購入して回収する必要もある。
パレットサイズはメーカーによってバラバラなので共同化や混載はできない。
手積み手降ろしが改められることはなかった。
当然ながら現場のドライバーからは敬遠される。
人手不足と共に車両の確保が難しくなった。
庫内作業員も集まらない。
とりわけ冷凍倉庫は身体への負担が大きい。
その現場運営は今や外国人労働者頼みとなっている。
このままでは、いずれ事業を継続できなくなることは明らかだった。
そこで日本アクセスはメーカー物流の懐に手を伸ばすことを決意した。
冷凍食品メーカーの多くは工場近隣に営業倉庫を借りて在庫を保管している。
冷凍マザーセンターはメーカーの倉庫を代替する役割を果たす。
工場の生産計画に基づいて日本アクセスが発注することで工場から直送し、メーカーの一時保管を不要にした。
冷凍マザーセンターに納品した製品は、入荷時点で全て日本アクセスに所有権が移る。
通常メーカーは営業倉庫1カ月程度の在庫を抱えている。
在庫削減によって資金効率が向上する。
営業倉庫会社に支払う費用も減る。
その分を日本アクセスは入荷時点でメーカーに課金するが、メーカーに損はない。
一方、日本アクセスの在庫負担は増える。
それを業務の効率化によって吸収しようというアイデアだ。
メーカーからマザーセンターへの輸送は従来通りのばら積みだ。
それを、荷降ろし時にT11型の標準パレットに積み付けてもらう。
従来、日本アクセスでは物流センターによってパレットに荷物を積み付ける方法がバラバラだった。
今回のプロジェクトを機にそれを統一した。
物流センターからの補充発注も売れ筋のS・Aランク品についてはパレット単位に統一。
B・Cランク品は物流センターの規模に合わせて発注ロットを設定した。
このパレチゼーションによって、マザーセンターの入荷から各物流センターのラックに入荷するまで無駄なハンドリングが発生しなくなる。
さらに各物流センターの需要に応じてマザーセンターから納品する頻度をコントロールして、納品時間帯を調整することでトータルの運用車両台数も抑制できるとみている。
試験稼働の開始からまだ1カ月余りだが既に想定した以上の効果が出ている。
マザーセンターの入荷時にパレットに積み付けた状態でそのまま出荷できる割合を当初は出荷量の7割程度と見込んでいたが、実際には8割に達した。
「データの3PL」が小売業のDX支援 一方、EC化への対応では、大手モールに自社サイトを開設して直接販売を開始した。
19年1月にアマゾンに「Smile Spoon」(スマイルスプーン)の屋号で出店した。
20年3月には楽天、同11月にはヤフー「PayPayモール」にも出店した。
自社プライベートブランドと取引メーカーの商品を合わせて約1千アイテムを出品している。
18年からの3カ年中期経営計画で掲げた「次世代ビジネス戦略」の一環だ。
同年4月に当初は「マーケティング管掌」役員の下に設置されたEC事業部を、同10月に「ロジスティクス管掌」に移管して次世代ビジネス営業部に名称変更した。
同社の佐々木淳一社長は記者会見で、3温度帯商品のネット通販事業と個人宅配を「BtoBtoCビジネスの挑戦」と説明している。
既にアスクルや料理動画サイト「クラシル」を運営するdelyなどと連携を強め、事業基盤を固めている。
実店舗小売業に対しては「情報卸」としての機能を強化する。
100%子会社のD&Sソリューションズ(D&S)がその実働部隊だ。
生活協同組合コープさっぽろは10月、D&Sの新サービス「RETAILSTUDIO」と「ダイナミックプライシング」の正式導入を発表した。
RETAILSTUDIOは、スマートフォンアプリの開発やデータ分析、デジタルマーケティング等を始めるときに発生していたデータ連係に関するシステム開発を不要にするクラウドサービスだ。
初期費用なしでさまざまなマーケティング機能を利用できる。
「ダイナミックプライシング」はその一つで顧客の購買履歴や買い物の内容に応じてポイントを付与することで実質価格をコントロールする。
日本アクセスの商品統括・マーケティング管掌付特命担当を兼務するD&Sの望月洋志取締役COO情報卸事業部長は、D&Sの役割を“データの3PL”と表現する。
店舗小売業者が社内に優秀なITエンジニアを抱え込むのは難しい。
SIerに開発を依頼すれば高額投資が避けられない。
要件定義やプロジェクトを管理できる人材もいない。
そのためDXが進まない。
望月COOは「店舗小売業に代わってわれわれが情報機能に投資をする。
IT人材も社内に抱えてシステムを作り込む。
小売業は開発費用なし、要件定義さえ必要なく、われわれの用意した“データ倉庫”とつなぐだけで今日からすぐにDXを実現できる。
そんな世界を目指している」という。
既にコープさっぽろのほか、いなげや、阪急OASIS、マルキュウなどが同社を「情報卸」として利用している。
