2021年1月号
特集
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ロジクラ 小売業1万6千社超の在庫最適化に挑む
スマホで検品・出荷を効率化
ロジクラの長浜佑樹社長は2016年8月に同社の前身であるニューレボを創業した。
アルバイトとして働いていた物流倉庫で体験した過剰在庫問題を社会的な課題として捉え、需要予測による供給量の最適化によってこれを解決することを長期的な目標に据えた。
「在庫データを活用し、企業の成長を支援する」という経営ビジョンを掲げている。
実現に向けて18年11月、スマートフォンを使って簡単に在庫管理ができる小売企業向けクラウド型在庫管理ソフト「ロジクラ」をリリースした。
iPhoneにロジクラのアプリをインストールすることで物流管理用のハンディターミナルとして使用することができる。
リリースから約2年で導入企業数は1万6千社を突破した。
とりわけコロナ禍に入って以降は、新たにECを始める小売業者の利用が急増している。
同社は売上高を公表していないが、今期は前期比350%以上だという。
20年6月に社名もロジクラに変更した。
同社の武末健二朗取締役CSO(最高戦略責任者)は、アーサー・D・リトルや通販アプリ運営会社の立ち上げなどを経て、ベンチャーキャピタルの紹介でロジクラの長浜社長と知り合い、当初は経営顧問として参画。
ロジクラのサービスに可能性を感じて、19年12月に現職に就いた。
武末取締役は「中小の小売事業者の方々は、ハンディターミナルを在庫管理や入出荷作業に使えること自体を知らないことが多い。
また知ってはいても物流向けハンディはそれなりの価格なので導入には慎重になってしまう。
しかし、ロジクラならスマホをハンディ代わりに使って簡単に在庫管理や入出荷のオペレーションを一括で管理できる。
しかもロジクラは店舗や倉庫などといった複数拠点の在庫も一元的に管理できる。
実店舗での運用とECの両方に対応している点も大きい」という。
ロジクラは無料から有料まで複数の利用プランを用意している。
無料プランの位置付けはエデュケーションだ。
中小の小売業者は紙やエクセルを使って在庫を管理しているケースが多い。
しかし、出荷数が増えてくるとそれでは限界がある。
そうしたユーザーにロジクラをまずは無料で使ってもらい、システムの利用法を学習してもらう。
無料プランでも入出荷や在庫管理などの基礎的な機能はカバーしている。
しかも商品登録は無制限。
ただし、一括登録可能な商品は100件までで、月間出荷件数は300件まで。
利用できる拠点数も1拠点だ。
武末取締役は「在庫管理システムやWMSにそれまで触れたことがないお客さまが一度でもロジクラを使えば、それが効果的であることが必ず分かる。
まずは無料プランで在庫の可視化を体感していただく。
事業規模が拡大していけば追加機能が必要になってくるので、そこから有料プランを案内している」という。
有料の「スタータープラン」は無料プランの内容に棚卸しとログ機能が追加される。
「スタンダードプラン」は3拠点、月間出荷1千件まで対応し、納品書や送り状機能などのほか、外部サービスとの連携も可能となる。
「WMSプラン」ではスマホピッキングやロケーション管理、拠点間入出荷などが追加される。
現在、ロジクラに登録されている在庫データは金額ベースで5千億円近くに達している。
大量の在庫データを取り扱うようになったことから、ロジクラでは新たな取り組みを始めようとしている。
具体的にはロジクラを核とした次の三つのサービスの開発を進めている。
一つは小売業の在庫を担保に運転資金を融資する「動産担保融資」だ。
信販会社などと連携して、在庫データと入出荷データを融資における調査に活用する仕組みを検討している。
現在、オリエントコーポレーションなどと共同で実証実験を進めている。
「事業がどれだけ儲かっているのかは出荷量をみれば、おおよその内容がわかる。
出荷量に単価をかければおおよその売り上げも把握できる。
この実体データと財務三表を組み合わせて、どれくらいの金額を融資できるかを調査する」と武末取締役は説明する。
与信判断にトランザクションデータを用いる融資の枠組みは「トランザクションレンディング」と呼ばれて国内でもヤフー出店者向けのビジネスローンなどが既に存在している。
これから徐々に広がっていくとみられている。
ECビジネスは銀行などからの融資を待てないほど変化が早い。
「実際、ECの世界ではインフルエンサーの投稿などをきっかけに、ビジネスを始めてから1カ月も経たないうちに爆発的に人気を集めたりする。
しかし、売れることは分かっているのに手元資金がないから仕入れられない。
銀行などから融資を受けたくても、財務諸表がまだ整理されていないので受けられない。
そうした状況を在庫を活用した動産担保融資によって変えたいと思っている」と武末取締役はいう。
二つ目は在庫売買のプラットフォーム構築だ。
余った在庫を流動化する仕組みを構築していく。
ロジクラのユーザーは商品の画像データを含む在庫情報を登録している。
ユーザーが余剰在庫を換金したい場合には、ロジクラに接続された在庫売買プラットフォームで販売して換金できるようにする。
まずは既存の在庫売買のプラットフォームと連携しての実装を目指す。
現在、複数のプラットフォームと実施に向けた検討を始めている。
ただし、ロジクラは現在、有料顧客の拡大と集客を強化するフェーズにあるため、在庫売買サービスの開始には少し時間がかかる見通しだ。
「3PLパートナープログラム」を開始 そして三つ目が需要予測だ。
在庫の適正化を支援する取り組みとなる。
ユーザーの販売データとロジクラの在庫データを活用した機械学習モデルを整備していく計画だ。
現在、二つのスキームを検討している。
一つはロジクラが在庫データを自分で解析し、それをサービスの一つとしてユーザーに提供するというパターン。
もうひとつはロジクラの在庫データをテクノロジー企業に提供して、その事業者が需要予測サービスなどといった新たな仕組みを開発する方法だ。
現時点ではどちらを選択するかを決めていない。
引き続き検討していくという。
武末取締役は「当社が自分たちだけでやれることは限られている。
われわれは在庫データを持つ中核の企業となり、そのデータを使った新しい仕組みを色々な事業者と連携して構築していく。
そうすることでユーザーにとってより有益なサービスを提供する」と話す。
同社ではロジクラを核とした「物流群戦略」と呼んでいる。
3PLとの連携も進めている。
20年9月には「3PLパートナープログラム」を開始した。
ロジクラを利用している小売業者に対して、ロジクラのシステムと連携できる倉庫業者を紹介する。
小売事業者はロジクラをそのまま使い続けられる。
ロジクラは小売業者の在庫データを把握しているため、その小売業者の今後の成長を予測できる。
物流会社は優良顧客を紹介してもらえる。
ロジクラと連携可能な倉庫は既に全国100カ所以上カバーしている。
大手物流事業者もそこに参加している。
武末取締役は「ロジクラは在庫データを軸に経営者の意思決定を支援し、成長に結びつけることが最大の目的。
そのためには使い勝手のいい機能を追加してプロダクトとしての完成度を高めていく」と語り、今後も機能の拡張や充実に力を入れていく計画だ。
アルバイトとして働いていた物流倉庫で体験した過剰在庫問題を社会的な課題として捉え、需要予測による供給量の最適化によってこれを解決することを長期的な目標に据えた。
「在庫データを活用し、企業の成長を支援する」という経営ビジョンを掲げている。
実現に向けて18年11月、スマートフォンを使って簡単に在庫管理ができる小売企業向けクラウド型在庫管理ソフト「ロジクラ」をリリースした。
iPhoneにロジクラのアプリをインストールすることで物流管理用のハンディターミナルとして使用することができる。
リリースから約2年で導入企業数は1万6千社を突破した。
とりわけコロナ禍に入って以降は、新たにECを始める小売業者の利用が急増している。
同社は売上高を公表していないが、今期は前期比350%以上だという。
20年6月に社名もロジクラに変更した。
同社の武末健二朗取締役CSO(最高戦略責任者)は、アーサー・D・リトルや通販アプリ運営会社の立ち上げなどを経て、ベンチャーキャピタルの紹介でロジクラの長浜社長と知り合い、当初は経営顧問として参画。
ロジクラのサービスに可能性を感じて、19年12月に現職に就いた。
武末取締役は「中小の小売事業者の方々は、ハンディターミナルを在庫管理や入出荷作業に使えること自体を知らないことが多い。
また知ってはいても物流向けハンディはそれなりの価格なので導入には慎重になってしまう。
しかし、ロジクラならスマホをハンディ代わりに使って簡単に在庫管理や入出荷のオペレーションを一括で管理できる。
しかもロジクラは店舗や倉庫などといった複数拠点の在庫も一元的に管理できる。
実店舗での運用とECの両方に対応している点も大きい」という。
ロジクラは無料から有料まで複数の利用プランを用意している。
無料プランの位置付けはエデュケーションだ。
中小の小売業者は紙やエクセルを使って在庫を管理しているケースが多い。
しかし、出荷数が増えてくるとそれでは限界がある。
そうしたユーザーにロジクラをまずは無料で使ってもらい、システムの利用法を学習してもらう。
無料プランでも入出荷や在庫管理などの基礎的な機能はカバーしている。
しかも商品登録は無制限。
ただし、一括登録可能な商品は100件までで、月間出荷件数は300件まで。
利用できる拠点数も1拠点だ。
武末取締役は「在庫管理システムやWMSにそれまで触れたことがないお客さまが一度でもロジクラを使えば、それが効果的であることが必ず分かる。
まずは無料プランで在庫の可視化を体感していただく。
事業規模が拡大していけば追加機能が必要になってくるので、そこから有料プランを案内している」という。
有料の「スタータープラン」は無料プランの内容に棚卸しとログ機能が追加される。
「スタンダードプラン」は3拠点、月間出荷1千件まで対応し、納品書や送り状機能などのほか、外部サービスとの連携も可能となる。
「WMSプラン」ではスマホピッキングやロケーション管理、拠点間入出荷などが追加される。
現在、ロジクラに登録されている在庫データは金額ベースで5千億円近くに達している。
大量の在庫データを取り扱うようになったことから、ロジクラでは新たな取り組みを始めようとしている。
具体的にはロジクラを核とした次の三つのサービスの開発を進めている。
一つは小売業の在庫を担保に運転資金を融資する「動産担保融資」だ。
信販会社などと連携して、在庫データと入出荷データを融資における調査に活用する仕組みを検討している。
現在、オリエントコーポレーションなどと共同で実証実験を進めている。
「事業がどれだけ儲かっているのかは出荷量をみれば、おおよその内容がわかる。
出荷量に単価をかければおおよその売り上げも把握できる。
この実体データと財務三表を組み合わせて、どれくらいの金額を融資できるかを調査する」と武末取締役は説明する。
与信判断にトランザクションデータを用いる融資の枠組みは「トランザクションレンディング」と呼ばれて国内でもヤフー出店者向けのビジネスローンなどが既に存在している。
これから徐々に広がっていくとみられている。
ECビジネスは銀行などからの融資を待てないほど変化が早い。
「実際、ECの世界ではインフルエンサーの投稿などをきっかけに、ビジネスを始めてから1カ月も経たないうちに爆発的に人気を集めたりする。
しかし、売れることは分かっているのに手元資金がないから仕入れられない。
銀行などから融資を受けたくても、財務諸表がまだ整理されていないので受けられない。
そうした状況を在庫を活用した動産担保融資によって変えたいと思っている」と武末取締役はいう。
二つ目は在庫売買のプラットフォーム構築だ。
余った在庫を流動化する仕組みを構築していく。
ロジクラのユーザーは商品の画像データを含む在庫情報を登録している。
ユーザーが余剰在庫を換金したい場合には、ロジクラに接続された在庫売買プラットフォームで販売して換金できるようにする。
まずは既存の在庫売買のプラットフォームと連携しての実装を目指す。
現在、複数のプラットフォームと実施に向けた検討を始めている。
ただし、ロジクラは現在、有料顧客の拡大と集客を強化するフェーズにあるため、在庫売買サービスの開始には少し時間がかかる見通しだ。
「3PLパートナープログラム」を開始 そして三つ目が需要予測だ。
在庫の適正化を支援する取り組みとなる。
ユーザーの販売データとロジクラの在庫データを活用した機械学習モデルを整備していく計画だ。
現在、二つのスキームを検討している。
一つはロジクラが在庫データを自分で解析し、それをサービスの一つとしてユーザーに提供するというパターン。
もうひとつはロジクラの在庫データをテクノロジー企業に提供して、その事業者が需要予測サービスなどといった新たな仕組みを開発する方法だ。
現時点ではどちらを選択するかを決めていない。
引き続き検討していくという。
武末取締役は「当社が自分たちだけでやれることは限られている。
われわれは在庫データを持つ中核の企業となり、そのデータを使った新しい仕組みを色々な事業者と連携して構築していく。
そうすることでユーザーにとってより有益なサービスを提供する」と話す。
同社ではロジクラを核とした「物流群戦略」と呼んでいる。
3PLとの連携も進めている。
20年9月には「3PLパートナープログラム」を開始した。
ロジクラを利用している小売業者に対して、ロジクラのシステムと連携できる倉庫業者を紹介する。
小売事業者はロジクラをそのまま使い続けられる。
ロジクラは小売業者の在庫データを把握しているため、その小売業者の今後の成長を予測できる。
物流会社は優良顧客を紹介してもらえる。
ロジクラと連携可能な倉庫は既に全国100カ所以上カバーしている。
大手物流事業者もそこに参加している。
武末取締役は「ロジクラは在庫データを軸に経営者の意思決定を支援し、成長に結びつけることが最大の目的。
そのためには使い勝手のいい機能を追加してプロダクトとしての完成度を高めていく」と語り、今後も機能の拡張や充実に力を入れていく計画だ。
