2020年12月号
特集
特集
【AI】GROUND 物流センター長のロボット化はどこまできたか
ロケーション変更を最適化
物流ソリューション企業のGROUNDは9月28日、自社開発のAI物流ソフトウエア「DyAS(ディアス)」をローンチした。
拠点内の保管ロケーション、作業員などのリソースの配置、ピッキング作業順および作業単位を最適化する。
サービスの提供に先立ち、トラスコ中山、三菱倉庫とそれぞれ実証実験を行い、両社の作業生産性向上に寄与したことを確認したという。
同社はアスクル、楽天で物流責任者を務めた宮田啓友社長が2015年に設立したスタートアップ。
17年に大和ハウス工業から10億円を調達して資本業務提携。
さらに19年に官民ファンドのINCJとソニーなどから約17億円、今年6月にも日本ユニシスから約2億円を調達している。
GreyOrange製の自律搬送ロボット「Butler(バトラー)」を日本市場に導入することから事業を開始、19年には日本の構内環境に合わせて自社開発した協働型ロボット(AMR)「PEER(ピア)」を発売した。
ロボットをはじめとするハードウエア、AIなどの先端テクノロジーを活用したソフトウエア、そして物流オペレーションの最適化の三つをコアコンピタンスと位置付け、コーポレートスローガンに掲げる「インテリジェント ロジスティクス」の実現を目指している。
図1はその世界観を示す可視化ツール「インテリジェントEYE」のダッシュボードだ。
各工程の作業の進捗と生産性をリアルタイムで定量的に可視化している。
従来は管理者が現場を巡回して集めていた情報を1カ所に集めて意思決定の速度を上げる。
拠点の遠隔操作や複数拠点の統制管理も可能になる。
図2はディアスのセンター管理画面だ。
画面左側中段にあるのはフロアの俯瞰図。
棚の色はそこに保管されたSKUの出荷頻度を示している。
当然ながらAランクを出荷口に近い場所に置くことで、ピッカーの移動距離は短くなり、作業処理は速くなる。
ただし、一定のエリアにAランク品が密集すると渋滞が起きてしまう。
そのバラツキを見る。
ピッカーの歩行距離を最小化して渋滞も発生しないロケーションをAIが判断している。
そのアルゴリズムを同社は「DIA(Dynamic Inventory Allocator:拠点内在庫配置最適化)」と名付けて自社開発した(特許取得済)。
人手では計算不可能な多数のパラメータを同時に解析して最適な在庫配置を判断することができるという。
ただし、各SKUの出荷頻度は時間の経過と共に変化する。
取り扱いSKU自体も変わる。
生産性を維持するには、それに合わせて常にロケーションを変更する必要がある。
一方でロケーションの変更作業にはコストが伴う。
ロケーション変更のコストメリットと作業コストのトレードオフを図2の左上のグラフが示している。
物流管理者はそこに示された損益分岐点を基にロケーション変更の頻度やタイミングを判断する。
図1の右側のカラフルなマス目もロケーション変更用のグラフだ。
こちらは出荷頻度と保管ゾーンでSKUを分類している。
縦軸が出荷頻度のABCランク、横軸は保管ゾーンのランクを示している。
出荷口に近い“一等地”がAランク、出荷口から最も遠いゾーンがEランクというようにゾーンを区分している。
出荷頻度は高いのに低ランクのゾーンに保管されているSKUは右上に、反対に出荷頻度は低いにもかかわらず、高ランクのゾーンに保管されているSKUは左下に、それぞれ赤色のマスで表示されている。
作業員の手が空いた時間などに、赤いマスに区分されているSKUのロケーションを変更することで改善する。
作業員やロボットなどの配置もAIが指示する。
同社では「DRA(Dynamic Resource Allocator:拠点内リソース配置最適化)」と呼んでいる。
工程をまたぐ再配置を人の判断に依存していると手遅れになりかねない。
そこでディアスがリアルタイムの庫内状況をモニターして、各作業者のスキルやマテハンのスペック、締め時間、渋滞緩和などの制約を加味して適切な配置を指示する。
ディアスの三つ目の機能がピッキングの作業順と作業単位を最適化する「BO(Butch-Optimizer)」だ。
ピッキングの対象ロケーションが近いオーダーをまとめて作業にできるように業務を振り分け、作業順をコントロールする。
同社の山口春菜営業本部ソリューションコンサルティング部長は「さらに現在は、影響の大きなイレギュラーが発生して現場が混乱した場合や、想定以上に速く作業が進んで手すきが発生した場合などに、ディアスを活用して作業バッチの切り方を最適化する仕組みを構想している」という。
ロボットセンター長の誕生 ディアスはWMSや基幹システムと、ロボットやマテハン設備をコントロールするWCS(Warehouse Control System)をつなぐ「WES(Warehouse Execution System:倉庫実行システム)」と呼ばれるプラットフォームに連係されている。
従来型のシステムは各設備のWCSをWMSに直接つなぎ、設備同士を連係させる仕組みを作り込んでいる。
そのため自動化設備の種類を増やしたり、ロボットを入れ替えたり、あるいは出荷やオペレーションのパターンを見直すたびにシステムの改修が必要になる。
全ての工程をクラウド型のWESに統合することで設備やオペレーションの柔軟な変更が可能になる。
さらにそこにディアスをつなぎAIにデータを解析させることで、従来は物流センター長の経験と勘が頼りだった意思決定を自動化した。
同社の小林孝嗣取締役CTO開発本部長は「これまではセンター長や管理者の属人的なスキルと現場のがんばりで拠点を運営してきたが、対象とするマーケットが変わり、人の力でなんとかなる限界を超えてしまった。
デジタル化とシステム化が否応なく必要になっている」と説明する。
ロボットセンター長の時代が目の前に近付いている。
拠点内の保管ロケーション、作業員などのリソースの配置、ピッキング作業順および作業単位を最適化する。
サービスの提供に先立ち、トラスコ中山、三菱倉庫とそれぞれ実証実験を行い、両社の作業生産性向上に寄与したことを確認したという。
同社はアスクル、楽天で物流責任者を務めた宮田啓友社長が2015年に設立したスタートアップ。
17年に大和ハウス工業から10億円を調達して資本業務提携。
さらに19年に官民ファンドのINCJとソニーなどから約17億円、今年6月にも日本ユニシスから約2億円を調達している。
GreyOrange製の自律搬送ロボット「Butler(バトラー)」を日本市場に導入することから事業を開始、19年には日本の構内環境に合わせて自社開発した協働型ロボット(AMR)「PEER(ピア)」を発売した。
ロボットをはじめとするハードウエア、AIなどの先端テクノロジーを活用したソフトウエア、そして物流オペレーションの最適化の三つをコアコンピタンスと位置付け、コーポレートスローガンに掲げる「インテリジェント ロジスティクス」の実現を目指している。
図1はその世界観を示す可視化ツール「インテリジェントEYE」のダッシュボードだ。
各工程の作業の進捗と生産性をリアルタイムで定量的に可視化している。
従来は管理者が現場を巡回して集めていた情報を1カ所に集めて意思決定の速度を上げる。
拠点の遠隔操作や複数拠点の統制管理も可能になる。
図2はディアスのセンター管理画面だ。
画面左側中段にあるのはフロアの俯瞰図。
棚の色はそこに保管されたSKUの出荷頻度を示している。
当然ながらAランクを出荷口に近い場所に置くことで、ピッカーの移動距離は短くなり、作業処理は速くなる。
ただし、一定のエリアにAランク品が密集すると渋滞が起きてしまう。
そのバラツキを見る。
ピッカーの歩行距離を最小化して渋滞も発生しないロケーションをAIが判断している。
そのアルゴリズムを同社は「DIA(Dynamic Inventory Allocator:拠点内在庫配置最適化)」と名付けて自社開発した(特許取得済)。
人手では計算不可能な多数のパラメータを同時に解析して最適な在庫配置を判断することができるという。
ただし、各SKUの出荷頻度は時間の経過と共に変化する。
取り扱いSKU自体も変わる。
生産性を維持するには、それに合わせて常にロケーションを変更する必要がある。
一方でロケーションの変更作業にはコストが伴う。
ロケーション変更のコストメリットと作業コストのトレードオフを図2の左上のグラフが示している。
物流管理者はそこに示された損益分岐点を基にロケーション変更の頻度やタイミングを判断する。
図1の右側のカラフルなマス目もロケーション変更用のグラフだ。
こちらは出荷頻度と保管ゾーンでSKUを分類している。
縦軸が出荷頻度のABCランク、横軸は保管ゾーンのランクを示している。
出荷口に近い“一等地”がAランク、出荷口から最も遠いゾーンがEランクというようにゾーンを区分している。
出荷頻度は高いのに低ランクのゾーンに保管されているSKUは右上に、反対に出荷頻度は低いにもかかわらず、高ランクのゾーンに保管されているSKUは左下に、それぞれ赤色のマスで表示されている。
作業員の手が空いた時間などに、赤いマスに区分されているSKUのロケーションを変更することで改善する。
作業員やロボットなどの配置もAIが指示する。
同社では「DRA(Dynamic Resource Allocator:拠点内リソース配置最適化)」と呼んでいる。
工程をまたぐ再配置を人の判断に依存していると手遅れになりかねない。
そこでディアスがリアルタイムの庫内状況をモニターして、各作業者のスキルやマテハンのスペック、締め時間、渋滞緩和などの制約を加味して適切な配置を指示する。
ディアスの三つ目の機能がピッキングの作業順と作業単位を最適化する「BO(Butch-Optimizer)」だ。
ピッキングの対象ロケーションが近いオーダーをまとめて作業にできるように業務を振り分け、作業順をコントロールする。
同社の山口春菜営業本部ソリューションコンサルティング部長は「さらに現在は、影響の大きなイレギュラーが発生して現場が混乱した場合や、想定以上に速く作業が進んで手すきが発生した場合などに、ディアスを活用して作業バッチの切り方を最適化する仕組みを構想している」という。
ロボットセンター長の誕生 ディアスはWMSや基幹システムと、ロボットやマテハン設備をコントロールするWCS(Warehouse Control System)をつなぐ「WES(Warehouse Execution System:倉庫実行システム)」と呼ばれるプラットフォームに連係されている。
従来型のシステムは各設備のWCSをWMSに直接つなぎ、設備同士を連係させる仕組みを作り込んでいる。
そのため自動化設備の種類を増やしたり、ロボットを入れ替えたり、あるいは出荷やオペレーションのパターンを見直すたびにシステムの改修が必要になる。
全ての工程をクラウド型のWESに統合することで設備やオペレーションの柔軟な変更が可能になる。
さらにそこにディアスをつなぎAIにデータを解析させることで、従来は物流センター長の経験と勘が頼りだった意思決定を自動化した。
同社の小林孝嗣取締役CTO開発本部長は「これまではセンター長や管理者の属人的なスキルと現場のがんばりで拠点を運営してきたが、対象とするマーケットが変わり、人の力でなんとかなる限界を超えてしまった。
デジタル化とシステム化が否応なく必要になっている」と説明する。
ロボットセンター長の時代が目の前に近付いている。
