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2020年12月号
特集

ダイフク 巨大EC企業のグローバル展開に伴走する

生鮮品ECの自動化投資が始まる ──今年4月にFA&DA事業部門を、イントラロジスティクス事業部門に名称変更しました。
 「『FA&DA』の『FA』はファクトリーオートメーションの略で製造業向け、『DA』はディストリビューションオートメーションで流通向けを意味しているのですが、10年前くらいまで、われわれの仕事は大部分がFAであり、DAは卸や量販店の流通センターなどに限られていました。
それが現在はEコマースのBtoCに大きく比重が移っています」  「FAの物流はパレット単位です。
DAも店舗納品のBtoBですから、せいぜいがケース単位で、飲料などパレット単位でしか動かないものも多い。
それが今はピース単位に変わりました。
BtoBのセンターは基本的には、自動倉庫とコンベヤー、そしてソーターの三つで構成されています。
しかし、BtoCの物流にはピースをピッキングして、それを集める工程が加わります。
そのためにAGVやピッキングロボット、ピースピッキングした商品を荷合わせして一つの箱に同梱するアソートシステムが必要になってくる」 ──マテハン市場の拡大はまだ続きますか。
 「この先2〜3年は今の勢いが続きそうです。
ただし、大手ECモールやガリバー的な荷主企業による拠点展開は既に半分以上済んだという印象です。
その一方でネットスーパーはこれからが本番です。
生鮮品のECでは従来から生協さんが全国に約2900万人もの会員を抱えて『個配(個人宅配)』を行ってきました。
地域によっては非常に強い。
巣ごもり需要も相当な追い風になっていると聞きます。
しかし、大都市圏では地方ほどシェアは高くない。
関東、関西、中部、北九州などの都市部では、これからネットスーパーが伸びてくる可能性があります。
少なくとも、それを見越した投資需要が生まれます」  「ただし、ECセンターの拠点投資が100億円規模にも及んでいるのと比べれば、ネットスーパーの投資規模は半分以下です。
そしてその拠点数がどれくらいになるのかはまだ見えない。
ネットスーパーが本当に定着するのかということ自体まだ手探りのところがある。
各社は様子を見ながら進めていくことになるでしょう。
一気に拡大するとは思いません」 ──マテハン市場の成長性に注目して、異業種メーカーやスタートアップの参入も続いています。
 「AGVやロボットなど、パーツ、パーツで見れば大変な数の参入があります。
しかし、そうした会社が設備まで作れるのか、作った設備はちゃんと動くのか、アフターサービスに対応できるのかとなると疑問です。
一つのテクノロジーに特化した企業がそれなりに成長していくことはあるでしょう。
われわれもそうした企業とは手を組んで共同開発していきたい。
しかし、彼らに総合力は期待できない。
ましてやグローバルに物流センターを展開するとなれば、パートナーは自ずと限られてくるはずです」 ──総合力とは何ですか。
 「マテハンメーカーはお客さまから、ハンドリングする荷物、取扱量、1日の処理量などを聞いて、それを予算内で実現する方法を提案します。
その際に、当社はそこで選択肢となる全ての設備を自社生産しているので、自由に作り込める。
外部から設備やユニットを調達するのとは違います」 ──製品ごとに最適なものを選んで、組み合わせた方が良いという考え方もあるのでは。
 「おっしゃる通りです。
ただし、少なくとも日本において、他社の設備と比べて当社に劣っているところがあるとは考えていません。
常に他社よりも優れた設備を開発してきたと自負しています。
精神論に聞こえるかもしれませんが、最近でも例えば、もっと速く処理するピッキングシステムが欲しいというECのニーズに答えて『QPS』(図)を開発したり、回転率の低いC品の自動化など、まだ誰も実現していないことに取り組んでいます」 ──C品の作業を自動化する必要がありますか。
 「ECのお客さまはどこもそれを求めています。
現在、C品のハンドリングは人海戦術に頼っています。
出荷量は少なくてもアイテム数は多いので、取りに行くのに大変に長い距離を歩かなくてはならない。
また、ピースピッキングの自動化も求められています。
技術的には可能でも問題は投資対効果です。
多関節型アームを使えば高くつく。
もっと低価格のロボットを作らなくてはなりません」 米アマゾンに認められたい ──海外のマテハンメーカーとの競争状況は?  「ヨーロッパの老舗メーカーはさすがに洗練されていて、最近は価格的にもよく考えられたものを市場に出してくる。
手強い相手です。
一方、中国はアリババや京東などの大手ECが、ものづくりまで含めてファミリー内に全てを抱え込んでいるので、われわれのような海外勢が入っていくのは難しい。
可能性があるのはASEANです」 ──マテハン市場は地域性が強く、それほどグローバル化が進んでいないように見えます。
 「その通りです。
当社の海外売上高比率は65・1%(2020年3月期)に達していますが、それは自動車向けやクリーンルームがほとんど海外になったからで、イントラロジスティクス事業部門だけ見れば海外比率は40%にも届いていません。
これは当社だけではなく他のマテハンメーカーも同じです。
マテハン市場がグローバル化しない一番の原因は、搬送物が画一化されていないことにあります。
ヨーロッパの物流は標準化が徹底されていますが、日本はケース、折りコン、パレットとも各社でサイズがバラバラです。
そのため海外の製品をそのまま持ってこれない」 ──今後もマテハン市場はグローバル化しない?  「規格は違ってもベースとなる技術は変わりませんから、当社としては日本で確立した技術を地域に合わせてカスタマイズするかたちでグローバルに展開していきたい。
とはいえ、マテハン市場のグローバル化はまだ始まったばかりという認識です」 ──ファーストリテイリング(FR)とダイフクは2018年10月、ユニクロの全世界・全拠点の倉庫の自動化を目的に「戦略的グローバルパートナーシップ」を結びました。
そのためにFRは総額1千億円規模の物流投資を行うと発表しています。
ダイフクは自動車向けや半導体向け事業で、日系メーカーと歩調を合わせてグローバル化を進めて行くことができました。
マテハンでも同じことが可能ですか。
 「もちろん期待はしています。
しかし、グローバルに事業を展開している大手荷主の数は限られています。
とりわけECは米アマゾンが圧倒的です。
その海外展開にわれわれもついていきたい。
アメリカでは現在、(ダイフクが2013年に買収した米マテハンメーカー)ウィンライト社が一生懸命やってくれていますが、アマゾンの次のターゲットは恐らくインドやASEANです。
インドでは米ウォルマートが出資するフリップカートと激しく競争しています。
その市場でわれわれは存在感を示したい。
彼らに認められるようになりたいと考えています」

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