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2020年12月号
特集

大和ハウス工業 グループ企業の連携で次世代物流拠点に挑む

物流テック企業の集合体を組織  WMSベンダーのフレームワークスと、クラウドシステム構築支援のモノプラスは2012年12月に大和ハウスグループ入りした。
現在、ダイワロジテック取締役を兼務し、フレームワークスとモノプラスの代表を務める秋葉淳一社長は「当時の大和ハウスグループは、テクノロジーを活用して物流施設の価値を高めるための試みを始めようと考えていた。
フレームワークスのグループ入りでそれが動き始めた」と振り返る。
 しかし、その頃の大和ハウスグループは物流施設の開発・運営を行う大和ハウス工業、建材物流が主体の大和物流、そしてフレームワークスとモノプラスという体制。
幅広い荷主の物流ニーズや物流業界の課題に対応するには機能がまだ足りなかった。
 体制整備を進めていく方法は二つあった。
一つはフレームワークスや大和物流が必要なノウハウや機能を自分自身で獲得していくというアプローチだ。
しかし、環境変化のスピードを考えると、それでは時間がかかり過ぎる。
そこで、必要な機能を持つ企業を出資やM&Aによってグループに取り込んでいく方法を選んだ。
 17年に大和ハウス工業のグループ会社でフレームワークスなどの株式を所有するSCSホールディングスを現在のダイワロジテックに商号変更。
ロジスティクステクノロジー関連企業への出資を本格的に開始した。
 17年に大和ハウスグループ入りしたアッカ・インターナショナルはアパレルECに強みを持つフルフィルメント企業だ。
在庫連携の仕組みや物流ロボットの現場運用のノウハウを持つ。
19年6月に稼働したNIKEのフルフィルメントセンター「The DUNK」ではGEEK+の物流ロボット200台超を運用している。
NIKEが全国10カ所に展開している直営店とECサイトの「NIKE.com」のアパレル商品を扱っており、物流やシステム、ささげ業務(撮影・採寸・原稿作成)、コールセンターといったサービスを一気通貫で提供している。
 さらに物流ロボットソリューションを提供するGROUND、クラウド型の運行管理バースコントロールシステムを展開するHacobu、人工知能開発ベンチャーのABEJAなど、各領域のパイオニアに出資。
ロボットコントローラー開発のMUJINや三菱商事とも業務提携を結んだ。
 これにより物流センターの設計・施工のみならず、計画段階の拠点シミュレーション、稼働後の運用改善コンサルティング、複数機器や物流ロボットを組み合わせた省人化システムの構築、AIを活用した業務改善、物流情報プラットフォームによる輸配送効率化などの総合的なソリューションを構築できる体制が整った。
 大和ハウスグループではこれらのテクノロジーを組み合わせることで、各種の省人化設備やシステムをマルチテナント型施設に入居する複数のテナントで共有する枠組みの構築に取り組んでいる。
 初期段階ではマルチテナント型施設に入居する多数の荷主が、施設内に配備された自動化機器やシステムを大規模に共有する形式を構想していた。
しかし、そのためには出荷ケースのサイズを限定するなどの制約がどうしても発生してしまう。
そのため一足飛びに大規模な自動化拠点を構築するのではなく、段階を踏んでシェアリングを広げていく方針に転換した。
 フレームワークスの秋葉社長は「シェアリングを成功させるためにはいくつかの条件があることも分かってきた」という。
現時点では在庫型センターではなく仕分け型センターでないと実現は難しい。
設備やシステムを共有する荷主の貨物特性も重要になる。
そこでマルチテナント型施設に入居する荷扱いが比較的に似ている2、3社で自動化設備とシステムを共有して運用する形で開始し、それを徐々につなぎあわせることで規模を拡大していく方針を取ることになった。
 そこで得た知見を大和ハウス工業が開発するマルチテナント型施設の設計に生かすことも検討されている。
建物のスペックに加え、ロジスティクステクノロジーを導入しやすい施設にしていく。
自動化機器を導入しやすい構造、人間によるオペレーションを前提とするのではなくロボット活用を念頭に置いた電源容量、ピッキングロボットを運用する際の3Dビジョンによる画像認識に適した光の入り方、あるいはセンター内での情報端末の大規模運用で必要となるネットワーク設備など、次世代型のマルチテナント型施設の用件定義を進めていく。
 テクノロジー開発では画像認識と言語解析技術の活用が当面の焦点となっている。
画像認識については、棚搬送型ロボットシステムにおけるステーション作業の効率化に活用するために、センター内の照度と人の動きの把握をテストしている。
ステーションで作業するスタッフがバーコードを読み取る際の作業を画像認識で代替する。
 ステーションでの運用実験に成功した後は、バーコードを読み取る庫内の他のオペレーションへの適用可能性を実験していく。
画像認識によって人の動きと商品を追いかけられるのであれば、その技術は梱包段階での商品の詰め直し作業の確認など幅広い業務に応用できる。
 言語解析技術は画像認識とセットでの運用を構想している。
例えば、棚入れ作業時にスタッフが間違った間口に商品を置いてしまおうとする動きを見せれば、AIが音声で作業者に警告する。
イレギュラー作業が発生して、作業者がどうしたらよいか分からない場合には、作業者がAIに音声で質問、AIも音声で作業を指示するなどといった運用を研究している。
新たな物流施設の世界観をみせる  フレームワークスの秋葉社長は「テクノロジーに対する姿勢で重要なのは、現時点では物流で使えない技術であっても、将来的な発展によって物流分野での利用可能性がある技術をフォローしておくこと。
例えば言語解析はパーソナルロボットや医療現場などで活用が進んでいて、物流分野よりも研究が進んでいる。
そうした技術を探し出し、物流での使い方を見つける。
半歩先を行くことにわれわれの価値がある」という。
 物流DXを先導していく考えだ。
「DXは単なるシステムやロボット投資の話ではない。
業務を全く新しいやり方にするためにデジタルを活用することが、本来の意味だ。
ロボットの利用を前提としたら物流センターはどう変わるか、あるいは人工知能を使えばどんなセンター運営になるか、テクノロジーの活用が初めから組み込まれた物流施設の世界観をみせていきたい」とフレームワークスの秋葉社長は抱負を抱いている。

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