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2020年12月号
特集

三井不動産 独自の「フルオートメーション物流モデル」を開発

完全自動化倉庫を体験する  三井不動産は2020年2月、千葉県船橋市に物流ICTの体験型ショールーム「MFLP ICT LABO 2・0」(ICTラボ2)を開設した。
同社が開発・運営する大型施設「MFLP船橋」のゲート棟1階に入荷から出荷までの全ての物流業務フローを自動化した「フルオートメーション物流モデル」の展示エリアを配置。
2階に国内外の最先端物流ICT機器約30種を展示している。
 1階区画約1000平方メートルの大部分を使って設置されている完全自動化倉庫のフローは次の通りだ。
まず荷台から三菱ロジスネクストのオートフォークがパレット貨物を仮置き場に荷降ろし。
それを日本電産シンポのAGVが、コンベヤラインまで搬送する。
 センサーとAIによって多様なサイズのケースに対応するIHI物流産業システムのパレタイザー/デパレタイザーがパレットに積まれたオリコンを一つずつピッキングしてコンベヤラインに流す。
コンベヤ上に設置された島津エス・ディーのRFIDゲートを通過させて検品する。
 保管はオカムラのロボットストレージシステム「オートストア」。
安川メカトレックの開梱・封かん双腕ロボットがオリコンの蓋を開け、その中身をIHI物流産業システムの入庫ピッキングロボットがビジョンセンサーで認識して商品を取り出し、保管用の専用コンテナに投入してオートストアに格納する。
 出荷はオートストアが出庫した専用コンテナから、東芝インフラシステムズの出庫ピッキングロボットが商品を取り出し、オリコンに投入してコンベヤラインへ。
RFIDゲートで検品、双腕ロボットで封かん、IHI物流産業システムの「シャトル&サーバ」に投入する。
 シャトル&サーバは、複数のシャトルを使ってオリコンを出荷別・方面別に仕分けて一時保管。
出荷のタイミングが来たらコンベヤラインに流し、その先にあるパレタイザー/デパレタイザーがコンベヤのオリコンを取り出してパレット積み。
AGVがパレットを出荷ステージに搬送、オートフォークが荷台に積み込む。
この一連の流れをICTラボ2では間近で見学できる。
 ICTラボ2のもうひとつの展示エリア「先進機器体感エリア」には最先端機器が、入荷・出荷、搬送、ピッキング、仕分け・梱包・検品、その他などの作業分野別に展示されている。
 国内外の最新機器を随時入れ替えている。
現在はソフトウエア関係から物流ロボット、各種スキャナー、電子棚札システム、サーマルカメラ、サポートジャケットなどのほか、服の写真を撮影したら自動的に採寸まで行える「ささげ」用のシステムや、協働型ピッキング支援ロボットなどを展示している。
 見学は午前1回、午後2回の1日3回の交代制。
2月のオープン以降は物流企業や荷主企業などを中心に約120社、600人以上が見学に訪れている。
1カ月以上先まで予約が埋まっている状態だという。
 ICTラボを設置するヒントの一つになったのは国際総合物流展(物流展)だった。
三井不動産の三木孝行常務執行役員ロジスティクス本部長は「物流展には毎回、幅広い物流関係者が訪れる。
相当な熱気があり、自動化設備は特に注目されている。
そこで、さまざまな会社の機器を組み合わせた全自動物流の仕組みを常設展示すれば物流企業や荷主企業も興味を持ってくれると思った」と話す。
 14年頃から検討を開始して3年後の17年9月に同社初となる物流自動化関連設備の常設展示施設「MFLP ICT RABO」(ICTラボ1)を開設した。
スペースの制約から、ロボットストレージシステムや先進物流機器を個別に展示するにとどまったが、それでも延べ250社以上の企業が来場するなど反応は上々だった。
これに手応えを感じて、ICTラボ2では面積を約10倍に拡張、展示内容もさらに充実させた。
物流コンサルティング事業と連動  ICTラボ2の開設は同社が18年7月に設立した物流コンサルティング会社「MFロジソリューションズ」(MFLS)とも連動している。
ICTラボ2を見学する企業は当然ながら物流の自動化に関心を持っている。
その相談に対応して、庫内業務の最適化や自動化、フロアの集約、拠点配置の最適化など、オーダーメードのコンサルティングサービスを行う。
 初期診断を経て本格的な検討段階まで進み、自動化設備の導入が効率化に有効な場合には具体的にどの作業工程でどのような機器を入れるかまで含めて提案する。
機器メーカーとの橋渡しも行う。
既にロボットストレージシステムをはじめとする大型設備や、ベルトコンベヤ、AGV、AMRなどの導入実績が積み上がっているという。
 ICTラボ2の見学をきっかけに三井不動産の物流施設へテナントとして入居することが決まり、同時にコンサルティングも依頼されるというパターンが同社にとっては理想的だ。
しかし、三木常務執行役員は、ICTラボ2の見学が必ずしもテナント誘致やコンサルティング案件に結びつかなくても構わないという。
 「物流業界の課題解決に少しでも役に立ちたいという思いが強い。
見学者からのヒアリングを通して物流業界共通の悩みを知ることができるし、当社の取り組みも知ってもらえる。
顧客獲得だけを目的にしてしまうと、どうしても視野が狭くなってしまう。
間口を広く取ることで当初の想定を超える広がりを見せることがある。
それが次のビジネスにつながっていく可能性に期待している」という。
 国内外の最先端の自動化設備の情報が集まってくるという効果も生まれている。
日本ではほとんど知られてない海外メーカーからの問い合わせが、最新鋭機器の展示につながった例も出てきている。
大企業に限らず、ベンチャーも含めた幅広い企業と組んで、最先端の物流機器を展示していく方針だ。
 三井不動産は物流施設内でのテクノロジー活用にも注力している。
入退室管理のフラッパーゲートやセンター内の空きトイレ表示システムなどを導入しているほか、Hacobuとの連携によってバース予約管理システムもテナントに提供している。
 直近では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、非接触型エレベーターボタンを物流施設に導入した。
東京都大田区の三井不動産インダストリアルパーク羽田で9月から稼働している。
商業施設やオフィスビルにもまだほとんど導入されていない設備だ。
 三木常務執行役員は「顔認証や自動で体温を測るサーモカメラなども運用しているが、非接触型のエレベーターボタンは特に感染予防効果が高い。
エッセンシャルワーカーが働く物流センターは止めてはいけない施設。
それだけ施設オーナーの果たす役割も重要だ」と語り、今後も最新技術の導入に力を入れていく方針だ。

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