2020年11月号
特集
特集
ソフトバンクGの物流構想がベールを脱ぐ
EC事業者100社以上が利用を開始
──SBロジスティクスの概要を説明してください。
「当社は、最先端技術を駆使してお客さまの物流を安定化させること、ソフトバンクグループのECと物流を強くすること、世の中のサプライチェーンを最適化することの三つを目指しています。
ソフトバンクグループの100%出資で2016年に設立しました。
当社とは別に私が参画しているソフトバンクロボティクスとは兄弟関係にあります。
社員数は現在約100人。
大手ECやSPA、3PLなどでECや自動化の酸いも甘いも味わってきたメンバーが集まっています」 「現在は三つの事業を手掛けています。
一つはデジタル技術やロボットを活用したSCMコンサルティング。
二つ目は従量課金制のECフルフィルメントサービス。
そして三つ目が最新テクノロジーの開発と販売です。
当初は自動化の相談が多かったのですが、よくよくお客さまの話を聞いて整理していくと、今、庫内作業を自動化しても数年後には別の問題が顕在化して設備を有効に使えなくなってしまうといった話が多く、自動化の前にサプライチェーンを見直す必要があることが分かってきました。
そこからコンサルティングが事業の一つになってきました」 ──これまでSBロジスティクスの活動はあまり表に出ていませんでした。
「メディアリリースしてきませんでした。
積極的な営業活動もしていません。
それでも昨年12月に稼働した当社の市川センターには既に、個人レベルのEC事業者から大手荷主まで、3ケタの数のお客さまにご利用いただいています」 ──市川センターとは、ESRのマルチテナント型施設「市川ディストリビューションセンター(市川DC)」に開設したEC事業者向け物流拠点のことですね。
「市川DCは全部で8フロア、延べ約6万8千坪あるのですが、全て当社で借り上げて、そのうち6フロアを今は転貸ししています。
残り2フロア、1万5千坪余りを自分たちで使っています。
フルフィルメントの他、テクノロジーの開発やテストをそこで行っています。
公開できない設備もあるため、お客さまとは守秘義務契約を結ばせてもらっています」 ──どのような設備を開発しているのですか。
「世間ではAGVの普及が進んでいますが、AGVは上部の空間が活かせないので、賃料の高い都市型施設ではペイさせるのが難しい。
AMR(協働型ロボット)も試しましたが、われわれの狙いとは合いませんでした。
そこで日本の汎用倉庫の設計に合わせた自動化設備を自社開発しています」 ──既存のEC物流とSBロジスティクスのサービスの違いはどこにありますか。
「現状でも既にコスト、クオリティとも水準以上のサービスを提供できているという自負はありますが、本当の違いはこれから多拠点展開して、それをネットワーク化することで生まれてきます。
つまり現在はまだテスト段階なのですが、それでも予想をはるかに超える反響をいただいています」 ──ロボティクスにドメインを置くSBグループが物流事業に手を伸ばすのはなぜですか。
「これまでのやり方では、大手ECモールやSPA以外、物流を自動化できないからです。
EC物流は基本的に装置産業です。
しかし、庫内作業を自動化するために設備を入れても、設備の能力を最大限に発揮するには、着たい服に合わせてダイエットするように、商品の設計からSKU政策、単価、サプライチェーンの仕組みなど、ビジネスモデル自体を変えていかなければなりません。
それができるのはサプライチェーン全体をコントロールしている会社だけ。
日本であれば大手SPAやコンビニくらいです」 「3PLにしてもEC物流が伸びることは皆分かっています。
しかし、手間がかかって利が薄い商売なので大手は本格的に入って来ていない。
現状では中小規模のEC専門の物流会社が対応していますが、汎用倉庫に同居しても荷主ごとにスペースと作業が独立しているので全体の効率がなかなか上がらない。
しかもEC物流は保管より作業が中心なのに、天井高が5メートル以上ある倉庫を使っている」 「汎用センターにAGVや自動化設備を導入して運用する3PLもいくつか出てきましたが、見たところ粗利の高い商品しか取り扱っていません。
それだけの物流コストを払える荷主でないと成り立たないわけです。
しかし、物量でいえば、そうした商品以外の方が圧倒的に多い。
それをどうコントロールするかというところを今は誰も手掛けていない」 クラウド型のリアルな物流基盤を構築 ──EC物流に自動化は不可欠ですか。
「店舗販売がECに移ると、これまではお客さまが自分で店頭の棚から取りだして持ち帰っていたものを、作業員がピースピッキングして消費者に届けるわけですから、当然ながら物流費が何倍にも跳ね上がります。
それでも従来は宅配大手3社がべらぼうに安いコストで運んでいたので、それほど物流のことを考えなくても何とかやってこれた。
ECの対象商品も比較的高単価だったので成り立っていた」 「しかし、カテゴリーがこれだけ広がって、EC化率も高くなってくると、ロジスティクスをはじめ、全てのフィジカルコストをひっくるめて最終的に利益が出ているのか、カテゴリーごとに数値管理しなければなりません。
ところが、それができている会社は私の知る限りほとんどない」 「米ウォルマートがEC戦略で息を吹き返しているのは、彼らが全てのコストをテーブルに乗せて、売り場のゾーンごとの実質利益を弾いて、原材料の調達までさかのぼってサプライチェーンを設計しているからです。
取引先にもそれだけのコミットをしている。
その戦略を他の会社が表面的になぞっても同じようにはいきません。
今は各社とも、ECは成長分野だからと力を入れているけれど、実際にもうかっているのかは分からない。
結果としてECの売り上げは伸びても、コストがかかり過ぎて利益は出ていなかった、ということになってしまう」 ──SBロジスティクスはその問題を解決できますか。
「EC物流には大変な人手がかかっています。
しかも、みんなが苦手にしています。
テクノロジーに対するリテラシーの高い人は、荷主や物流企業にはそう多くはない。
また、いくらECが伸びているといっても、全体に占める比率が10%やそこらでは、これまでのやり方を大きく変えようという話にはならない。
そこにわれわれが入り込んで極端な省人化を実現します」 「われわれはずっとロボティクスを磨いてきました。
自分たちでロボットや設備、ソフトウエアを開発しているわけですから、外部から購入するより圧倒的に安く調達できます。
同じ設備を多拠点展開するので、ソフトウエアのバージョンアップによって常に機能も更新していける。
ITの世界では今ではクラウドが当たり前になりましたが、われわれはフィジカルな物流の世界でクラウド型のプラットフォームを提供します。
それだけの体力もある。
今はまだその詳細までお話することはできませんが、近く発表するつもりです」
「当社は、最先端技術を駆使してお客さまの物流を安定化させること、ソフトバンクグループのECと物流を強くすること、世の中のサプライチェーンを最適化することの三つを目指しています。
ソフトバンクグループの100%出資で2016年に設立しました。
当社とは別に私が参画しているソフトバンクロボティクスとは兄弟関係にあります。
社員数は現在約100人。
大手ECやSPA、3PLなどでECや自動化の酸いも甘いも味わってきたメンバーが集まっています」 「現在は三つの事業を手掛けています。
一つはデジタル技術やロボットを活用したSCMコンサルティング。
二つ目は従量課金制のECフルフィルメントサービス。
そして三つ目が最新テクノロジーの開発と販売です。
当初は自動化の相談が多かったのですが、よくよくお客さまの話を聞いて整理していくと、今、庫内作業を自動化しても数年後には別の問題が顕在化して設備を有効に使えなくなってしまうといった話が多く、自動化の前にサプライチェーンを見直す必要があることが分かってきました。
そこからコンサルティングが事業の一つになってきました」 ──これまでSBロジスティクスの活動はあまり表に出ていませんでした。
「メディアリリースしてきませんでした。
積極的な営業活動もしていません。
それでも昨年12月に稼働した当社の市川センターには既に、個人レベルのEC事業者から大手荷主まで、3ケタの数のお客さまにご利用いただいています」 ──市川センターとは、ESRのマルチテナント型施設「市川ディストリビューションセンター(市川DC)」に開設したEC事業者向け物流拠点のことですね。
「市川DCは全部で8フロア、延べ約6万8千坪あるのですが、全て当社で借り上げて、そのうち6フロアを今は転貸ししています。
残り2フロア、1万5千坪余りを自分たちで使っています。
フルフィルメントの他、テクノロジーの開発やテストをそこで行っています。
公開できない設備もあるため、お客さまとは守秘義務契約を結ばせてもらっています」 ──どのような設備を開発しているのですか。
「世間ではAGVの普及が進んでいますが、AGVは上部の空間が活かせないので、賃料の高い都市型施設ではペイさせるのが難しい。
AMR(協働型ロボット)も試しましたが、われわれの狙いとは合いませんでした。
そこで日本の汎用倉庫の設計に合わせた自動化設備を自社開発しています」 ──既存のEC物流とSBロジスティクスのサービスの違いはどこにありますか。
「現状でも既にコスト、クオリティとも水準以上のサービスを提供できているという自負はありますが、本当の違いはこれから多拠点展開して、それをネットワーク化することで生まれてきます。
つまり現在はまだテスト段階なのですが、それでも予想をはるかに超える反響をいただいています」 ──ロボティクスにドメインを置くSBグループが物流事業に手を伸ばすのはなぜですか。
「これまでのやり方では、大手ECモールやSPA以外、物流を自動化できないからです。
EC物流は基本的に装置産業です。
しかし、庫内作業を自動化するために設備を入れても、設備の能力を最大限に発揮するには、着たい服に合わせてダイエットするように、商品の設計からSKU政策、単価、サプライチェーンの仕組みなど、ビジネスモデル自体を変えていかなければなりません。
それができるのはサプライチェーン全体をコントロールしている会社だけ。
日本であれば大手SPAやコンビニくらいです」 「3PLにしてもEC物流が伸びることは皆分かっています。
しかし、手間がかかって利が薄い商売なので大手は本格的に入って来ていない。
現状では中小規模のEC専門の物流会社が対応していますが、汎用倉庫に同居しても荷主ごとにスペースと作業が独立しているので全体の効率がなかなか上がらない。
しかもEC物流は保管より作業が中心なのに、天井高が5メートル以上ある倉庫を使っている」 「汎用センターにAGVや自動化設備を導入して運用する3PLもいくつか出てきましたが、見たところ粗利の高い商品しか取り扱っていません。
それだけの物流コストを払える荷主でないと成り立たないわけです。
しかし、物量でいえば、そうした商品以外の方が圧倒的に多い。
それをどうコントロールするかというところを今は誰も手掛けていない」 クラウド型のリアルな物流基盤を構築 ──EC物流に自動化は不可欠ですか。
「店舗販売がECに移ると、これまではお客さまが自分で店頭の棚から取りだして持ち帰っていたものを、作業員がピースピッキングして消費者に届けるわけですから、当然ながら物流費が何倍にも跳ね上がります。
それでも従来は宅配大手3社がべらぼうに安いコストで運んでいたので、それほど物流のことを考えなくても何とかやってこれた。
ECの対象商品も比較的高単価だったので成り立っていた」 「しかし、カテゴリーがこれだけ広がって、EC化率も高くなってくると、ロジスティクスをはじめ、全てのフィジカルコストをひっくるめて最終的に利益が出ているのか、カテゴリーごとに数値管理しなければなりません。
ところが、それができている会社は私の知る限りほとんどない」 「米ウォルマートがEC戦略で息を吹き返しているのは、彼らが全てのコストをテーブルに乗せて、売り場のゾーンごとの実質利益を弾いて、原材料の調達までさかのぼってサプライチェーンを設計しているからです。
取引先にもそれだけのコミットをしている。
その戦略を他の会社が表面的になぞっても同じようにはいきません。
今は各社とも、ECは成長分野だからと力を入れているけれど、実際にもうかっているのかは分からない。
結果としてECの売り上げは伸びても、コストがかかり過ぎて利益は出ていなかった、ということになってしまう」 ──SBロジスティクスはその問題を解決できますか。
「EC物流には大変な人手がかかっています。
しかも、みんなが苦手にしています。
テクノロジーに対するリテラシーの高い人は、荷主や物流企業にはそう多くはない。
また、いくらECが伸びているといっても、全体に占める比率が10%やそこらでは、これまでのやり方を大きく変えようという話にはならない。
そこにわれわれが入り込んで極端な省人化を実現します」 「われわれはずっとロボティクスを磨いてきました。
自分たちでロボットや設備、ソフトウエアを開発しているわけですから、外部から購入するより圧倒的に安く調達できます。
同じ設備を多拠点展開するので、ソフトウエアのバージョンアップによって常に機能も更新していける。
ITの世界では今ではクラウドが当たり前になりましたが、われわれはフィジカルな物流の世界でクラウド型のプラットフォームを提供します。
それだけの体力もある。
今はまだその詳細までお話することはできませんが、近く発表するつもりです」
