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2020年11月号
特集

エスプールロジスティクス 「単品リピート通販」向けサービスが急拡大

購入回数に応じた同梱物を封入  エスプールロジスティクスは人材派遣業などを展開するエスプールのロジスティクス事業部が2013年に分社化して発足した。
事業の柱は大きく二つ。
一つはエスプール創業当初から手掛けてきた大手3PLや荷主企業を主要顧客とする庫内作業の業務請負。
そして、もうひとつがEC事業者向けの自社物流センターの運営だ。
 エスプールロジスティクス設立前の09年11月、平和島に初の自社センターを開設した。
これが同社のEC物流の出発点となった。
その後、EC市場の拡大に伴い、自社センターの取り扱いは増加を続けた。
東京都大田区の平和島センター開設から4年後の13年9月には茨城県つくば市に「つくばセンター」を開設。
その4年後の17年1月には東京都江戸川区に「葛西センター」を開設した。
これもすぐに満床となり18年2月、代替拡張のため葛西センターの約3倍の規模となる「品川センター」を東京都港区に開設した。
 09年に平和島センター開設した時点では、庫内請負業務と自社センター運営事業の比率はおよそ8対2。
首都圏のみならず全国で展開していた庫内請負事業がロジスティクス事業の主体だった。
しかし現在はその比率が完全に逆転して、売り上げの約8割を自社センターの運営事業が占めている。
 独自に構築した「単品リピート通販」向けのEC物流サービスが伸びている。
単品リピート通販とは化粧品やコスメ、スキンケア系、健康食品などのカテゴリーを中心に、同じ商品を数週間から数カ月間隔で定期的に届けるというビジネスモデル。
リピート通販とも呼ばれて認知が広がっている。
 エスプールロジスティクスが単品リピート通販向けサービスに着目したのは、オンラインショッピングサイトの「買い物ボタン」を提供するカートシステム会社との情報交換がきっかけだった。
「最近、単品リピート通販の顧客が増えてきたのだが、どこも物流でかなり困っている」という話を耳にした。
 早速、調べてみると単品リピート通販は一般的なEC物流とは求められる機能が異なっていた。
最も特徴的なのは同梱物の封入方法だ。
初回購入者にはスターターキット、2度目は商品に関連した付属品、3度目はまた異なる同梱物やチラシというように、リピート購入回数に応じた同梱物を封入する必要がある。
しかし、対応できる物流会社が少ないことから、EC事業者は苦慮していた。
 エスプールロジスティクスの小林正憲副社長は「そこに新たなビジネスチャンスを感じた。
ただし、複雑な流通加工を手作業で行えば、手間がかかるだけでなく、ミスも起きやすい。
単品リピート通販用のシステムとオペレーションを新たに組み立てる必要があった」という。
 WMSを刷新し、オペレーションを練り上げ、品川センターの開設を機にサービスを本格的に開始した。
単品リピート通販に対応した物流会社は多くなかったことから、またたく間に顧客に受け入れられた。
本格的なスタートから約3年の間に出荷件数、売り上げとも10倍近く伸びている。
 同サービスを開始する前まで、エスプールロジスティクスのEC物流の取り扱いはアパレル品が中心だった。
しかし、その比率も大きく変わり、現在は単品リピート通販をメーンとする美容・健康用品が全体の7割超を占めるまで拡大した。
雑貨、アパレルがそれに続いている。
 同社のサービスの特徴は物流オペレーションだけではない。
独自開発した分析ソフト「Synapse(シナプス)」による購買分析データの提供も大きな柱となっている。
アイテム別の売り上げ推移、リピート購入数推移、売り上げ構成比率、あるいはクレジットや後払いといった決済別の売り上げ構成、エリア別売り上げ状況などがビジュアル化され、ひと目で概要を把握できる。
 小林副社長は「当社のお客さまには大手モールの店舗に加えて、新たに自社ショッピングサイトを構築しようとする会社が多い。
コアな部分だけで手一杯で、購買分析までなかなか人手を割けない。
そこで、われわれがデータを分析してお客さまに提供している。
お客さまの売り上げ拡大に貢献する提案が当社の大きな差別化要因になっている」という。
 都心部に拠点を構えているため、物流センターに荷主を招いての定例会も開催して分析データを提供している。
現在は新型コロナ対策で直接対面する頻度は下がっているが、ビデオ会議ツールなどを活用して従来同様のデータ提供を行っている。
 小林副社長は「単なる物流企業や3PLではなく、物流部としての機能をお客さまに提供するように努めている。
そのため自分が荷主企業の物流部だったら何を必要とするのかを常に考えている。
物流業は2020年代に向けてどんどん装置産業化されていく。
現場作業を機械がやるようになれば、作業生産性や綺麗な梱包、ミスがないことなどは価値を失ってしまう。
この先も当社が生き残っていくには、荷主がやりたいことをどうシステム化するか、あるいは経営に必要なデータを提供するといった方向にサービスの内容を変えていく必要がある」と考えている。
 荷主の成長ステージによって入居する拠点も区分している。
品川、平和島のシェアード拠点には「導入期・成長期」にあたる荷主が主に入居している。
ECの開始からそれほど時間が経っておらず、物流サイドとの綿密な打ち合わせや、頻繁な在庫確認が必要になるため、都心部に拠点を置いた方が都合が良い。
現在、品川センターでは約2千300坪の拠点内に100社超の商品を入れている。
 一方、一定の成長を遂げて成熟期に入った荷主は、コストダウンによる利益率の拡大が課題になってくる。
そうした荷主にはシェアード型の汎用センターではなく、専用センターを勧めている。
実際、つくばセンターはアパレルECの専用センターとしても運営している。
入荷した商品の箱開けからスチームアイロンかけ、名入れ加工、ズボンの裾直しといった専用オペレーションを提供している。
品川センターで先端技術を研究  基幹拠点である品川センターは最先端の物流関連技術の開発と運用を行うラボとしての役割も持たせている。
「ロジスティクスは大きく進歩した。
以前はやりたくてもできなかったことが今は可能になっている。
物流分野のテクノロジー導入はこれからさらに進む。
その進歩を待って、出来上がった仕組みを後から買うだけでは強みにできない。
自分たちでさまざまな機器に触れ、『どう使うか』を確立することが重要だ」と小林副社長。
 品川センターではRFID設備や各種自動化機器を導入して実際のオペレーションに組み込むほか、新技術の試験も行っている。
メーカーとの協業のほか、産学連携による新技術の導入も進めている。
 小林副社長は「日本は諸外国と比べてまだまだEC化比率が低い。
しかし、新型コロナの巣ごもり需要でEC慣れしたことで、日本の買い物はさらに変わっていく。
その変化とともに当社も規模を拡大していきたい。
設備投資との関連もあるので一概には言えないが、毎年2割の成長を目指したい。
当面は美容・健康関係が主体になると思っているが、トレンドは常に変わる。
今は店舗販売がメーンの商品がECに移る可能性も十分ある。
そうした変化の際にこそ、われわれが活躍できると思っている」と今後の展望を語った。

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