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2020年11月号
特集

Qxpress Corp. 独自のスキームで低コストの越境EC物流

アジア中心のグループ物流企業と連携  ECモール「Qoo10」(キューテンジャパン)が急成長している。
eBay Japanが運営しているオンラインマーケットプレイスだ。
ファッションやビューティー関連をはじめ、家電や食品まで、幅広いカテゴリーの12億種類以上の商品が出品されている。
大手ECモールでは見掛けない輸入品や激安の掘り出し物が特に人気を集めている。
 現在の国内登録会員は1600万人以上。
毎年20~30パーセントのペースで増加している。
流通総額も詳細な数字は発表を控えているものの、年成長率は30~40パーセントに達するという。
2023年に5千億円を目標に置く。
新型コロナウイルスの影響で会員数・流通総額共にさらに大きな伸びが期待される。
 その物流を支えているのがQxpress Corp.(キューエクスプレス)だ。
Qoo10の国内および越境EC物流を運営する物流会社として、12年に当時サイトを運営していたシンガポールのジオシスによって設立された。
国内運送および越境EC、フルフィルメント、販促支援、ITサービスの4事業を展開する。
日本のほか、シンガポール、韓国、中国、台湾、マレーシア、米国にグループ物流会社がある。
 現在のキューテンジャパンは米eBayが日本市場の成長性に期待して、アジア各地で「Qoo10」モールを展開していたジオシスから日本事業だけを買収したもの。
これによってキューテンジャパンとキューエクスプレスの間に資本関係はなくなっているが、引き続き物流パートナーを務めている。
 キューエクスプレスは現在、千葉県船橋市の本社に併設した延べ床2100坪余りの「船橋物流センター」と、通関サービスを提供する拠点「芝浦保税倉庫」の2拠点体制を敷いている。
以前は東京都江東区に500坪の拠点を構えていたが、狭隘化したために現在の千葉の拠点に移転した。
 フルフィルメント事業「QFS」の一環で「QWMS」(Qxpress Warehouse Management System)と呼ぶサービスを展開している。
Qoo10の出店者はウェブサイトで在庫コードを登録して商品をキューエクスプレスに送るだけ。
それ以降のプロセスは全てキューエクスプレスが請け負う。
 海外のグループ会社とシステム連携しているため、国内のフルフィルメントだけでなくアウトバウンドとインバウンドの双方向の越境ECにも対応する。
シンガポールではラストワンマイルまで自社運営している。
その他の国・地域でも現地の宅配会社とパートナーシップを組んで、ドア・ツー・ドアの国際輸送を運営している。
 一番の武器は価格だ。
例えば同社が取り扱っている韓国から日本への越境EC貨物は月70〜80万件にも上る。
韓国から日本にBtoCで送られる荷物の大半を扱っていることになる。
それだけ運賃交渉力がある。
中国や他の東南アジア諸国とのルートにもグループ全体の取扱規模を生かせる。
 しかも、キューエクスプレスのグループ会社はいずれもインバウンドとアウトバウンドの両方を扱っている。
荷物の総取扱高はそれだけ大きくなる。
それを背景にしてフォワーダーと交渉することでボリュームディスカウントを引き出している。
 海外における国内輸送コストも各国にグループ会社を持っていることが有利に働く。
日本の物流会社が海外のトラック運送を使うと、往々にして運賃は現地の運送事業者の言い値になってしまう。
提示された価格が本当に適正なのか、その地域のネイティブでなければ判断するのは難しい。
突っ込んだ交渉もできない。
 しかし、Qoo10グループの場合、各国に支社ではなく、地域に根差した物流会社を置いている。
社員は全員現地採用だ。
本当の市場価格を把握した上で交渉に当たれる。
吉田隆一品川支社長は、「日頃からグループ会社間で連携を密に取り合っていることから、いざという時のレスポンスは早い」という。
 商品在庫をキューエクスプレスの拠点に置かずに、同社の越境EC物流だけを利用する「発送代行」サービスも広く利用されている。
販売者が商品在庫を抱えて注文ごとにパッキングを行い、キューエクスプレス宛に荷物を送る。
キューエクスプレスはその荷物に輸出用ラベルを張って出荷する。
小規模荷主でもキューエクスプレスのレートで海外に発送できる。
非Qoo10利用者が全体の3割に  QWMSはQoo10専用のサービスではない。
実際、現在は利用者の3割がQoo10以外のモール出店者によって占められている。
キューテンジャパンがeBayに売却された18年以降、いわば“外販”拡大を積極的に進めてきた。
その結果、全体の取扱規模が増加すると同時に非Qoo10比率が3倍に増えた。
 ただし、従来はキューエクスプレスを利用するにはQoo10のアカウントを取得する必要があった。
利用のハードルを下げるため、Qoo10グループのプラットフォームをベースにしたQMWSとは別に、キューエクスプレス独自のプラットフォーム「Smartship」(スマートシップ)を構築、今年に入って正式にローンチした。
 スマートシップでキューエクスプレスが保有するコードを使えば、出店者がQoo10以外のECモールの荷物を出荷する際にも、出荷元の場所にかかわらず、キューエクスプレスの取扱荷物として発送できる。
国内の宅配便にキューエクスプレスが大手宅配会社と結んでいる運賃レートが適用される。
割高なレートを強いられている中小規模のEC事業者は宅配単価を下げられる。
 キューエクスプレスは19年6月にグローバル私募ファンドの「Crescendo Equity Partners」から5千万米ドルを調達している。
それを原資に関東エリアにソーターや自動ラベル添付機を配備した物流拠点を立ち上げる計画だ。
その利用をスマートシップと合わせて積極的に拡販していく。
 越境ECでの商品販売は展開しようと思っても、言葉の壁や商品の配送方法が分かりづらいことなどがネックになって躊躇している販売者は多い。
そうした潜在顧客の開拓に特に力を入れる考えだ。
吉田支社長は「海外に出荷するにはキューエクスプレスという方程式をもっと広げていきたい」という。
 ただし、現在は拠点が首都圏にしかないことから、地方のEC事業者が越境ECにキューエクスプレスを使おうとすれば、地方から関東までの宅配コストとリードタイムが上乗せされてしまうことになる。
「九州や関西から東南アジアに商品を送るのに、関東を経由するのは効率が悪い。
韓国向けであれば福岡と釜山の海上輸送を使うなど、地方と海外を直接結ぶルートも仕掛けていきたい」という。

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