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2020年8月号
特集

バイアブルサプライチェーンの理論モデル

イントロダクション  サプライチェーンは経済と社会の屋台骨をなすものであり、自然環境とも深く関わっている。
サプライチェーンというエコシステムにおける相互作用は極めて複雑であり、各サプライチェーン・自然・社会・経済などの諸要素が相互に影響を与えあっている。
 「リーン(無駄のなさ)」と「アジリティ(機敏さ)」および、その二つを組み合わせた「リアジリティ(leagility)」に始まったサプライチェーンの研究は、「レジリエンス」と「サステナビリティ(持続可能性)」に発展して、さらには最新デジタル技術やインダストリー4・0にまで広がった。
 今日のSCMにおける最先端技術はそうした変遷を経て結実したものだ。
その展開を時系列に沿って示したのが図1である。
サプライチェーンはこれまで多くのことを学んできた。
リーンでレスポンシブ、そしてグローバルな構造を保ちながら、自然環境と調和し、サステナビリティなどの社会的責任を果たすには、どう動くべきなのか。
人為または自然による深刻な災害が引き起こす非常事態に対処するレジリエンスは、どのように強化すればよいか。
そこからの回復、そして波及効果への対策はどうすべきか──などである。
 ところが2020年春、サプライチェーンのリアジリティ、レジリエンス、そしてサステナビリティは再び試練を迎えた。
COVID-19の感染流行とそれに続くパンデミックにより、全世界のサプライチェーンはかつてない衝撃を受けることになった。
ウイルスがこうした非常事態を引き起こす可能性を指摘する声は近年ほとんどなかった。
 COVID-19は経済と社会のあらゆる面に巨大な影響を及ぼした。
サプライチェーンの研究者や実務家は、まったく新しい状況の下で以下のような問題に意思決定を迫られる事態に直面した。
◆従来のレジリエンス対策(安全在庫、代替生産先の確保、代替物資および物流インフラの用意、オムニチャネル、リアルタイムのデータ駆動型モニタリングおよび可視化システムなどといった予測と処理のメカニズム)は、パンデミック下の生き残りと復旧の役に立つのか? ◆社会と経済の存続に必要な最低限の需要に、サプライチェーンは迅速に応えることができるか? ◆COVID-19パンデミックのような世界中のサプライチェーンが機能不全に陥る状況下で、デジタル技術には過酷なリスクの影響を緩和する効果がどれだけあるのか?  サプライチェーンの中には、フェイスマスク、手指消毒剤、殺菌スプレー等、需要の急増で供給が追いつかなくなった分野がある。
そうした領域では市場と社会の存続そのものが危殆に瀕することになった。
その一方、自動車産業などでは需要と供給が共に極端に落ち込み、企業は生産停止や経営破綻、公的支援要請などといった窮地に追い込まれることになり、サプライチェーンの存続が問われることになった。
 どちらの状況にしてもリーン、アジリティ、サステナビリティ、そしてレジリエンスといった個別の切り口だけでは、とても手に負えないことは明らかである。
長期にわたる激甚かつグローバルな非常事態が、サプライチェーンというエコシステムのあらゆる側面(企業、社会、自然、経済等)に影響を与える状況に対して、より総合的で幅広いフレームワークがなければならない。
 リーン、アジリティ、サステナビリティ、レジリエンス、デジタルサプライチェーンなどの各視点の掘り下げおよび関連するアプリケーションは、長足の進歩を遂げているが、各フレームワークの役割を概念的に整理し、相互作用を統一的に制御するといった全体論的アプローチは、まだ世の中に存在しないようである。
 これまでは、人道支援のロジスティクスとそのサプライチェーンについての膨大な文献が、営利目的のサプライチェーンの災害耐性に関する研究の欠如を補完するものと考えられてきた。
ところがCOVID-19のパンデミック化をきっかけに、サプライチェーンの存続そのものが検討すべき喫緊のテーマとしてにわかに浮上した。
 非常事態下でもサプライチェーンと市場の崩壊を食い止め、物資とサービスの供給を確保するには、サプライチェーンの災害耐性を「バイアビリティ(生存能力)」の地平で捉え直す必要がある。
COVID-19パンデミックは、まさにそのことを明らかにしたのである。
 サプライチェーンのバイアビリティとは、サプライチェーンのデザインおよび経済的パフォーマンスをダイナミックに変更することで、平時とは異なる環境を生き抜いてゆく能力のことをいう。
 本稿でわれわれが提案する「バイアブルサプライチェーン(viable supply chain=VSC)」とは、いかなる状況下でも存続しうるサプライチェーンという新しいコンセプトであり、アジリティ、レジリエンス、サステナビリティの三つの視点を包摂する点に特徴がある。
 VSPモデルの柱となるのは、需給のアロケーションにサプライチェーンの構造設計を適応させることであり、そこで最も大事なのは、構造体を多様に変化させる適応メカニズムの確立とコントロールである。
 サプライチェーンの在り方を決める意思決定者にとって、VSCモデルは次のような価値を持つだろう。
すなわち、アジリティ的視点においては、ポジティブな変化に適応する一方、レジリエンスおよびサステナビリティ的視点においては、ネガティブな騒乱をやり過ごし、長期的・短期的な社会と経済の変容を伴うグローバルな衝撃のもとでも存続できるサプライチェーンデザインがいかなるものなのか、それが明らかに示される。
 COVID-19パンデミックのようなグローバルな長期的危機の後に、企業はどうすればサプライチェーンを復興できるのか。
VSCモデルはそれを考える一助となるだろう。
バイアブルサプライチェーンとは何か  バイアビリティは主にエコロジーや生態系、サイバネティクスなどの学問分野において研究が進められてきた概念である。
それはサプライチェーンの混乱への対応に関する最もハイレベルの分析であり、次の通り「安定性」「ロバストネス(頑強性)」「レジリエンス」という三つの性質に立脚する。
・ 安定性 非常事態に陥る前の常態へと復元し、継続性を保障する能力。
・ 頑強性 想定通りのパフォーマンスが維持されるように非常事態(あるいは一連の混乱)を持ちこたえる能力。
・ レジリエンス 非常事態(もしくは一連の混乱)に耐え、パフォーマンスを回復する能力。
・ バイアビリティ 変化する環境においても、構造の再設計や長期にわたる経済的影響を再検討することによって、自らを維持し、長く生き延びていく能力。
 バイアビリティのモデリングの基本原則は、サバイバル志向、分析における時間枠の排除、エコシステム重視、である。
次にわれわれのVSCの定義を示す。
 バイアブルサプライチェーン(VSC)とは、構造を随時変化させることでダイナミックな適応を可能にする付加価値ネットワークであり、(ⅰ)ポジティブな変化に素早く反応し(アジリティ)、(ⅱ)ネガティブな事象をやり過ごして復元するレジリエンスを備え、(ⅲ)社会とマーケットに物資およびサービスを安定的・長期的に供給すること念頭に、持続可能な成長が見込める体制を維持しながら、キャパシティの活用とアロケーションを調整していくことで、長期かつグローバルな非常事態を乗り切ることができるサプライチェーンのことである。
 VSCのこうした理解は、システム・情報・組織・ネットワーク理論などさまざまな分野の法則と関わっており、こうした理論のレンズを通して見てみることも可能である。
 Beer(1985)の「バイアブル・システム・モデル」(“Diagnosing the system for organisations” Wiley)を参照すると、変化する市場環境や市場そのもの、政策、社会などのメタシステムに対し、相互に関連するオペレーションがどのような関わりを持つのかを理解しやすくなる。
最高度に発達したサバイバル志向の複雑系である人体のアナロジーを基に、バイアビリティというレンズを経由して構築されているのがこのBeerモデルである。
 またAshby(1956)の「必須多様性の法則」(“An introduction to cybernetics” Chapman & Hall)によれば、多様な状況はコントロールする側の多様な反応によってのみ制御される。
あるいは“多様性に対応できるのは多様性だけ”である。
 この法則は著しく多様かつ分散型のシステムを成り立たせる柱の一つであり、オムニチャネルなどの新たな市場モデルや循環型経済などのビジネスモデル、イノベーションなどによるポジティブな破壊、自然災害などのネガティブな混乱等々といった外部システムの多様化に対応し、レジリエントかつ持続可能なオペレーショナルシステムを可能にする。
 さらにVSCは「オープンシステム」のコンテクスト分析にも関連付けることができる。
オープンシステムとは、環境との相互作用を通じて構造を変化させていくシステムのことであり、コントロール、自己適応、自己組織化などを特徴とする。
バイアブル・サプライチェーン・モデル VSCエコシステムのフレームワーク  VSCエコシステムのフレームワークは以下の諸要素からなる(図2)。
・ サプライチェーン自体 ・ 相互依存型サプライネットワーク(ISN=the intertwined supply network):互いが複雑に絡み合ったサプライチェーン全体を指し、その一体性が社会と市場への物資およびサービスの供給を担保する。
・ 社会 ・ 自然 ・ 経済およびガバナンス ・ デジタルサプライチェーン:現実のサプライチェーンと共に、サプライチェーンのデジタルツインを構成してサイバー・フィジカル・システムを表現する。
 図2に示したVSCエコシステムのフレームワークには、以下の3種類のフィードバックサイクルがある。
・ ポジティブ・フィードバック・サイクル(+) 混乱をもたらさないサプライチェーンオペレーションで、利益の最大化を主目的とする。
・ 両義的フィードバック・サイクル(+)(−) サプライチェーンに備わったレジリエンスの範囲内での混乱と回復を意味する。
システムのオペレーションとパフォーマンスの復旧を主目的とする。
・ サバイバビリティ・フィードバック・サイクル(−) 長期かつグローバルな危機に晒されたサプライチェーンを存続させて、物資とサービスを社会に供給し続けることを主目的とする。
 これら3種のフィードバックサイクルによりエコシステムとしての均衡が維持される場合にのみ、そのサプライチェーンはバイアブルであると評価できる。
 ポジティブサイクルは収益性、開発、投資、効率性、アジリティ、反応性などに関係する。
ポジティブな変化に対応するために、技術開発、イノベーション、市場の拡大などを最大限活用すべき局面である。
両義的サイクルは、混乱からの復旧と維持によって需要を満たす。
サバイバビリティサイクルは、経済と社会のために物資とサービスの供給を維持する。
 3種のフィードバックサイクルのそれぞれの中にも、ポジティブとネガティブのフィードバックが存在する。
例えばサプライチェーンと自然との関わりにおいて、天然資源の利用はポジティブであるが、気候変動の要因ともなる温室効果ガスの排出はネガティブなサイクルである。
社会との関わりでは、技術的イノベーションや労働力の増強などはポジティブである一方、労働者のストライキ(レジリエンスレベルの混乱)やグローバルなパンデミック(サバイバルレベルの混乱)などのネガティブフィードバックも存在する。
VSCモデル  構造と動態という二つのパースペクティブから見たVSCモデルが図3である。
まずサプライチェーンの構造という角度から見ると、適応と回復への対応の仕方よって3種に分類できる。
 例として、ここではグローバルサプライチェーンを擁する自動車メーカーを思い浮かべていただきたい。
経済的に安定した成長基調にある平時(S1)には、このサプライチェーンはリアジリティという特質を最大限に活用できる構造を採用し、個々のカスタマーの好みに合わせた幅広いラインナップの商品を提供する。
 次のS2は自然災害、ストライキ、火事など、独立した個別の非常事態に対するレジリエンスを重視したデザインである。
このような構造をもつレジリエントサプライチェーンは、安全在庫、キャパシティの融通、代替サプライヤーなどといった事前および事後対策のケイパビリティの上に成り立つ。
 三つ目(S3)のCOVID-19パンデミックのような長期にわたる世界的な非常事態の場合は、製造品目の切り換え(自動車の代わりに人工呼吸器やマスクを製造する等)、製造品目の絞り込み、サプライヤー・ロジスティクス・生産地などの抜本的な見直し等が行われる。
 これら3種のサプライチェーンデザインを同時並行で運営していくことは、効率性や複雑さからして現実には極めて困難であることは言うまでもない。
将来起こり得る全てのシナリオを想定し、それに伴う需要と供給の変化に合わせたサプライチェーンデザインを完璧に準備することは不可能に近い。
 だからこそVSCの主な役割は、適応と回復のメカニズム、デザイン、体制、トレーニング、導入などに求められるのである。
また企業にとっては、レジリエンスとサステナビリティに焦点を当てたサプライチェーンデザインを、“バーチャルに”デザインしてシミュレートし、適応行動のトレーニングができるようになる、という効用も見込める。
 次の動態というパースペクティブでは、縦横両軸がサプライチェーンデザイン、すなわちネットワークの構成の経時的変化を表す。
X1はリアジリティ、X2がレジリエンス、X3がサバイバビリティの各レベルを示している。
 水平方向の移動、例えばX1(S11)とX1(S12)は、リアジリティという同じレイヤーにおけるサプライチェーンデザインの組み替えを意味する。
こうした構造的変化は例えば、利益率の改善やコスト削減の一環として、サプライヤーや配送ネットワークを再構築する場合などに生じる。
垂直方向は非常事態への対応や復旧の程度にしたがって上下する。
 図4にバイアブルサプライチェーンの多重構造を図示したので参考にしてもらいたい。
レジリエンスとバイビリティの関係性  先立って筆者ら(Ivanov and Dolgui 2020)は「相互依存型サプライネットワーク(ISN)のバイアビリティに関する考察」(“Viability of intertwined supply networks: Extending the supply chain resilience angles towards survivability. Aposition paper motivated by COVID-19 outbreak” International Journal of Production Research)を発表した。
その後、本稿の準備のため、リスクマネジメントやエンジニアリングの専門家たちと、レジリエンスとバイアビリティの関係性について討議を行った。
 ただし、テーマはサプライチェーンのレジリエンスとバイアビリティに限った話であり、レジリエンスとバイアビリティ全般ではないことには留意いただきたい。
エンジニアリング、情報、エコロジー、医学などの分野ごとに捉え方は異なるからである。
 まずサプライチェーンレジリエンスの定義について見ていきたい。
サプライチェーンレジリエンスは、これまでに13種類の定義が提唱されている。
しかし、これらを概観すると、破壊的な事象への耐性、オペレーションの安定性、パフォーマンスの健全性などに集約できることが分かる。
 この分析からわれわれは、SCVの核心はレジリエンスにあるとの結論に至った。
今後、サプライチェーンのバイアビリティを実現する上で、レジリエンスこそが中心的な役割を担うようになることは間違いない。
 レジリエンスの重要な特徴の一つは、ネガティブな事象へのシステマティックな反応である。
一方のバイアビリティは、市場の拡大や収益性などのポジティブと、非常事態のネガティブの双方を想定している。
ライフサイクル全体から見れば、サプライチェーンには良いことも悪いことも起こるからである。
 レジリエンスは、バイアビリティの中でも特に防御・適応・回復という面に焦点を当てた見方である。
あるサプライチェーンが非常事態やその波及効果に耐え、そして復旧することができるのなら、そのサプライチェーンはレジリエントである。
 ライフサイクル全体を通じて需給構造とパフォーマンスを適応させていくことで、環境の変化に動じることなく生き延びることができるのであれば、われわれはそれをバイアブルサプライチェーンと呼ぶ。
なお、サプライチェーンのバイアビリティは、必要とする市場と社会に対して、長期にわたり物資やサービスを供給する能力如何によって評価される。
例1:自動車のサプライチェーンを例にとろう。
レジリエンスという見地に立てば、物資の調達や配送に一時的な悪影響を与えかねない自然災害などに対し、ロバストネスを発揮して復旧するには、自動車メーカーは安全在庫、融通の利く代替生産先の確保、可視化コントロールシステムなどを備えたサプライチェーンを構築すればよい。
 その場合のレジリエンスの評価は、そのメーカーの売上高やサービスレベルといったパフォーマンスによって判断されるだろう。
バイアビリティという視点からすれば、その自動車メーカーはリアジリティと収益性を確保し、レジリエントであり、社会に対しては長期的なモビリティサービスを提供していかなければならないということになる。
例2:レジリエンスとバイアビリティの関係を、生物を例に考えてみる。
われわれの理解では、サプライチェーンレジリエンスは免疫システムの果たす役割に近いのに対し、バイアビリティはネガティブなインパクトを吸収することで寿命を全うし、ポジティブな機会を逃さずパフォーマンスを達成する能力のことをいう。
 強力な免疫システムがあること、そして自然および社会の法則にのっとった行動をとることにより、人間は高いパフォーマンスを発揮することができる。
それと同様に、サプライチェーンのパフォーマンスは、レジリエンスとサステナビリティという基礎の上に成立する。
非力な免疫システムはパフォーマンスの低下につながる可能性がある。
サプライチェーンのレジリエンスが充分でないと、いざ混乱が発生した際には、収益の低下、需要と供給のミスマッチ、オペレーションの不安定化などが生じることになる。
 ここで再びアナロジーを用いるなら、個々人の免疫システムは環境との絶えざる相互作用である。
このことはバイアビリティの次のような性質、つまり環境からのポジティブなフィードバックを活用すること(成長市場での利益確保等)、ネガティブなインパクトに耐えること(施設や設備の損傷等)、グローバルパンデミックといった環境の激変を生き抜くことなどに通じる。
 強力な免疫システムは生物の生存に寄与する。
確固たるレジリンスは、ポジティブとネガティブを問わず、いかなる条件下でもサプライチェーンがそのライフサイクルを全うすることに寄与する。
そのことをしてバイアブルと称するのである。
(サプライチェーンバイアビリティの長期的および短期的な理解に関する注:バイアビリティは、グローバルパンデミックのような極端な悪条件下での生き残りという“急性”の問題と、長い目で見たライフサイクルの全体にわたる下支えという“慢性”の問題の、両者を包括する使い勝手の良い概念である) 今後の研究課題  サプライチェーンは今後、動的構造を特徴とする相互依存型サプライネットワーク(ISN)へと進化していく。
相互に関係し合って時には競合関係ともなるISNにおいては、静的構造の直線的なサプライチェーンとは異なり、企業はバイヤーとサプライヤーという関係性にとどまらない多様な行動をとることになる。
従来の分析方法は、こうした新しい動的構造の登場により再考を迫られることになる。
特にサプライチェーンバイアビリティという観点に着目すべきである。
 例えばCOVID-19のパンデミックは、工業・ヘルスケア・薬品・食品などの産業間に、これまで予想もできなかった複雑な関係性を生じさせることになった。
今後こうした状況に適応できる、全く新しい多分野包接型のサプライチェーンデザインの模索が続くことになるだろう。
 環境変化に適切に対応するためには、その道筋においてフレキシブルな生産とサービスを実現する技術、人間とロボットのコラボレーション、そしてVSCモデルの三つのフィードバックサイクルの切り換え(“平常時”の自動車生産から、パンデミック時の人工呼吸器生産への切り換えなど)などが必要となるはずである。
 いまひとつの方向性は、パンデミックのような長期かつ重大な非常事態の下での意思決定に役立つ、データ駆動型デジタル技術の可能性を見極めることである。
その中でも特にサプライチェーンのデジタルツイン──いつでもリアルタイムでネットワークの状況を把握できるようにコンピューター処理されたサプライチェーンモデル──は、情報収集・データ分析・マッピング・機能連携などの役割と価値を評価する上で、今後さらなる研究が行われるべきであろう。
(翻訳・構成 大矢英樹)

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