2020年7月号
特集
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【物流不動産】金融商品としての評価をさらに高める
新型コロナのアセットタイプ別影響
図1は「J─REIT(不動産投資信託)」におけるアセット(不動産タイプ)別の運用額の割合を2015年末と20年4月で比べたものだ。
一昔前まで不動産市場における主要な対象アセットは、オフィス、商業施設、住宅の三つであった。
しかし、新型コロナ禍に入る前から既に物流不動産は、今後の成長が期待できるアセットとして評価され、投資対象商品としての位置づけを高めていた。
とりわけ18年以降続いている過剰とも言える大規模な供給を、問題なく消化したことは、投資家にとっての大きな安心材料となり、新たな投資の呼び水となっていた。
そこに新型コロナ問題が起きた。
日本国内の感染拡大が本格的に始まった今年2月下旬から3月にかけて、J─REIT市場は大きく下落した。
一時は東証REIT指数が直近高値の約半値になるほどの暴落であった。
しかし、物流不動産の下落幅は他のアセットと比較して限定的だった。
図2はアセットタイプ別のリート株価の推移である。
「ホテル系」や、「商業系」と比べて、「住宅系」と「物流系」は影響が軽微であり、株価の戻りも早かった。
その結果、5月20日には日本プロロジスリートの時価総額が、全リート中2位に躍り出るといった“事象”も起きている。
以下に新型コロナの影響をアセットタイプ別に整理した。
現在の不動産市場において、物流不動産が今後の明るさを持ち合わせた唯一のアセットタイプであり、投資を呼び込める金融商品であることが理解できるだろう。
●商業施設 現時点では経済的影響の測定困難 現在、商業施設の入居テナントは売り上げが立たず、賃料負担が大きな重荷になっている。
施設オーナーにしても現在のテナントに抜けられてしまうと、次が見つからない恐れがあるため、休業要請に応じたテナントに対する賃料の繰り延べ等に応じているケースが見られる。
商業施設は、テナントの売り上げに賃料を反映させる賃料徴収構造(固定賃料+変動賃料)を採用していることが多く、それもまたアセットの評価を引き下げる要因となっている。
現状ではコロナ問題による影響を具体的に算定することが困難となっている。
●宿泊施設 需要蒸発、回復の見通しも立たず インバウンド需要の消滅、緊急事態宣言による外出自粛、出張抑制などにより、宿泊需要は大きく縮小した。
現状の稼働率はビジネスホテル系で20%以下、リゾート系では10%以下とも言われている。
今後コロナウィルスの感染拡大が収束しても短期間で需要が回復することは期待できない状況となっている。
商業施設と同様に宿泊施設もまた、テナントの売り上げに比例する変動賃料制を採っていることが多い。
変動賃料の割合は高く、賃料の免除に応じる例も出ている。
それだけアセットに対する評価は厳しくならざるを得ない。
●オフィス テレワーク普及で需要減の恐れ 新型コロナによるオフィスビル市況への影響は今のところ顕在化していない。
ただし、オフィスビルの賃貸契約を解約するには通常6カ月前には通知する必要があることを考慮する必要がある。
また今後は、在宅勤務の普及やシフト勤務の定着によるスペースの縮小、サテライトオフィス指向、さらにはデスク周辺の半径6フィート(約180センチ)以内に他の従業員が近付かないように工夫する、いわゆる「6フィートオフィス」の導入に伴う廉価な賃料への指向など、投資効率の低い施設にニーズが移行していく懸念がある。
●住宅 都心部から郊外にシフトする可能性 住居は生活に必要なものであるため、新型コロナによる直接的な影響は少ない。
ただし今後、テレワークが広く定着していくことで、都心の住宅需要が減退する可能性が指摘されている。
長期的には都市部郊外への居住が進む可能性がある。
●物流 通販・食品関連需要がいっそう拡大 物流施設は他のアセットタイプと比較して長期契約が多い。
また完全固定賃料制のため、収益の安定性が高い。
需要も安定している。
むしろコロナの影響で一時的に需要が跳ね上がっている。
外出自粛による通販利用の拡大、生活必需品の需要増によって、消費財系の物流施設は高稼働となっている。
特に3月、4月は、施設の運営維持に苦労する物流関連事業者が多くみられた。
投資家は今後のウィズコロナ/アフターコロナにおける物流施設需要を次のようにみている。
●生産財や耐久消費財系の物流施設の稼働率は低下する。
しかし、通販、食品・日用品関連の倉庫需要の増加がそれを上回る。
●通販購買が広く普及することで、店舗小売業のオムニチャネル化が進む。
その結果、通販モール系や通販物流代行事業者が直接的なテナントとなり、物流施設需要がさらに拡大する。
今後、感染が沈静化しても、宿泊施設(インバウンド需要の縮小)や商業施設(通販シフト)、オフィスなどのアセットタイプは多分に影響が残ることが懸念される。
相対的に安定した資産として、物流不動産に対する投資意欲は一層強まる可能性が高い。
現在、投資家はオフィスに対して最も低い期待利回りを与えている。
物流不動産の期待利回りはオフィスと比べて1%前後高くなっている。
しかし、物流不動産に対する評価が高まれば期待利回りは低下していく。
その結果、コスト面で用地取得の許容度が高まるなど、より開発しやすい環境が整っていくものと考えられる。
なお、新型コロナ禍のもと、物流不動産の利用状況はどのようであったのか、筆者が得ている情報はおおむね次の通りである。
食品を中心とした消費財は、物量が2~3割増加している。
食品スーパー、生協、コンビニなどに関わる食品や日用品の卸売事業者、3PL事業者の施設は高稼働な状況となっている。
庫内労働力の確保とともに、スポットで対応可能な配送事業者、倉庫スペースの確保が課題となっている。
また通販は注文の急増によって、調達が遅れて販売できない商品や、配送遅延がみられる。
一方でアパレル品は、商品の回転が止まり、短期的に保管スペースを必要とする状況が生じている。
店舗の閉鎖、次のシーズン商品の入荷(中国からの輸出回復)と入れ替えの遅れなどで倉庫に在庫が積み上がっている。
また、生産財も荷動きが止まり、出荷止め、部品待ち等で在庫が増加している。
このように短期的にかなり強いスペース需要が発生している。
しかし、賃貸物流施設の多くは新型コロナ以前から高稼働率で推移していた。
そのため、短期的なスペース需要には限定的にしか応えることができていないようだ。
アフターコロナの物流不動産市場 新型コロナが経済に与える影響はリーマンショックに匹敵する、あるいはそれ以上とも言われている。
金融危機に端を発したリーマンショックが物流不動産市場に与えた影響は甚大であった。
資金の流入が止まり、景気の悪化で施設需要も後退するという、二重苦が生じて2010年、11年の2年間にわたり、新規開発が事実上ストップした。
新型コロナが物流不動産市場に与える影響は現時点では不透明である。
経済への影響が景気の悪化だけにとどまらず、金融危機にまで拡大した場合には、リーマンショック時と同様の事態が生じる可能性がある。
しかし、新型コロナの直接的な影響に限れば、短期的な変動はあっても、中長期的には以下のようなメガトレンドによる構造的な需要の拡大を見通すことができる。
●バッファを備えたサプライチェーンへ 過去に有事が発生した際にも見られた傾向だが、これまでの無駄のないサプライチェーンから、バッファを備えたサプライチェーンへのシフトが進む。
生産財のグローバルサプライチェーンだけでなく、消費財にも同様の傾向が見られる。
端的には安全在庫の積み増しであり、それにより新たな保管スペースが必要となる。
●通販の拡大加速 日本のEC化率は19年時点で6・2%だ。
年々伸びているとはいえ、米国の12%や中国の20%と比べて極端に低い。
しかし、今回のコロナ禍で多くの消費者が通販の便利さに気づいたことで、日本のECが萌芽期を抜け出し、他の先進国並みに一般化してくる可能性が高い。
日本のEC化率が低いのは、サービスレベルの高い実店舗が日本には無数にあり、いつでもアクセスできる環境にあることがその一因とされてきた。
しかし、非対面・非接触を基本とする「新しい日常」においては、日本的な「おもてなし」や店舗の現場力はその効力を失う。
EC化率の上昇を阻んでいた要因が薄まっていく。
新型コロナ禍が終息していない現状においても、通販モール系事業者などによる賃貸スペースの賃借内定は進んでいる。
今後は通販の重要性を認識した店舗小売業のオムニチャネル化も進むだろう。
足元でも既にEC進出に伴う通販物流代行事業者への問い合わせが増加しているという。
●自動化の推進 従来は人手不足と物流コストの上昇に歯止めがかからないことから、物流管理が企業にとって大きな経営課題となり、その対策として自動化の検討や導入が進められていた。
今後はそれに加えて物流現場の「3密」を回避する手段としても自動化が検討される。
その他にも、配送機能の能力不足や運賃を抑制するために、拠点を分散して配送距離を短縮する動きが出ている。
新たな施設ニーズが生まれる。
また先述の6フィートオフィスの導入に伴う、まとまったオフィススペース需要に対応して、物流施設のマルチユース利用が増えていくかもしれない。
短期的な波乱はあっても成長は続く 今回の景気の下振れが長引くようであれば、通販・食品関連を除き、物流施設のテナント需要にも空室率の上昇や、テナント誘致時間の長期化などの影響が出ることが想定される。
ただし、中長期的な需要は明るさを有している。
通販需要に加えて今後はバブル期前後に建てられた大量の物流施設が再開発の時期を迎える。
構造的に需要が発生し続ける。
物流不動産は「金融商品」としての一面を持っている。
そのため金融システムが瓦解するような事態に至れば大きな影響を免れない。
しかし、金融システムが維持される限り、物流不動産の事業環境は、新型コロナ以前よりもむしろ向上していくだろう。
日頃あまり目にすることのない、なじみのないアセットタイプに投資することへの恐れがなくなり、安定した金融商品として安心して投資できる「実力派」という見方が投資家に定着して、よりいっそう資金が集まりやすくなる。
今回の問題で、物流は社会に必要不可欠なインフラであることがあらためて強く意識された。
それを支える施設として物流不動産の重要性に対する認識も高まっている。
今後の経済状況によって一時的な混乱が生じる可能性は否定できないものの、基本的には強い需要圧力によるオーナー側優位の状況は変わらずに続いていくものと考えられる。
一昔前まで不動産市場における主要な対象アセットは、オフィス、商業施設、住宅の三つであった。
しかし、新型コロナ禍に入る前から既に物流不動産は、今後の成長が期待できるアセットとして評価され、投資対象商品としての位置づけを高めていた。
とりわけ18年以降続いている過剰とも言える大規模な供給を、問題なく消化したことは、投資家にとっての大きな安心材料となり、新たな投資の呼び水となっていた。
そこに新型コロナ問題が起きた。
日本国内の感染拡大が本格的に始まった今年2月下旬から3月にかけて、J─REIT市場は大きく下落した。
一時は東証REIT指数が直近高値の約半値になるほどの暴落であった。
しかし、物流不動産の下落幅は他のアセットと比較して限定的だった。
図2はアセットタイプ別のリート株価の推移である。
「ホテル系」や、「商業系」と比べて、「住宅系」と「物流系」は影響が軽微であり、株価の戻りも早かった。
その結果、5月20日には日本プロロジスリートの時価総額が、全リート中2位に躍り出るといった“事象”も起きている。
以下に新型コロナの影響をアセットタイプ別に整理した。
現在の不動産市場において、物流不動産が今後の明るさを持ち合わせた唯一のアセットタイプであり、投資を呼び込める金融商品であることが理解できるだろう。
●商業施設 現時点では経済的影響の測定困難 現在、商業施設の入居テナントは売り上げが立たず、賃料負担が大きな重荷になっている。
施設オーナーにしても現在のテナントに抜けられてしまうと、次が見つからない恐れがあるため、休業要請に応じたテナントに対する賃料の繰り延べ等に応じているケースが見られる。
商業施設は、テナントの売り上げに賃料を反映させる賃料徴収構造(固定賃料+変動賃料)を採用していることが多く、それもまたアセットの評価を引き下げる要因となっている。
現状ではコロナ問題による影響を具体的に算定することが困難となっている。
●宿泊施設 需要蒸発、回復の見通しも立たず インバウンド需要の消滅、緊急事態宣言による外出自粛、出張抑制などにより、宿泊需要は大きく縮小した。
現状の稼働率はビジネスホテル系で20%以下、リゾート系では10%以下とも言われている。
今後コロナウィルスの感染拡大が収束しても短期間で需要が回復することは期待できない状況となっている。
商業施設と同様に宿泊施設もまた、テナントの売り上げに比例する変動賃料制を採っていることが多い。
変動賃料の割合は高く、賃料の免除に応じる例も出ている。
それだけアセットに対する評価は厳しくならざるを得ない。
●オフィス テレワーク普及で需要減の恐れ 新型コロナによるオフィスビル市況への影響は今のところ顕在化していない。
ただし、オフィスビルの賃貸契約を解約するには通常6カ月前には通知する必要があることを考慮する必要がある。
また今後は、在宅勤務の普及やシフト勤務の定着によるスペースの縮小、サテライトオフィス指向、さらにはデスク周辺の半径6フィート(約180センチ)以内に他の従業員が近付かないように工夫する、いわゆる「6フィートオフィス」の導入に伴う廉価な賃料への指向など、投資効率の低い施設にニーズが移行していく懸念がある。
●住宅 都心部から郊外にシフトする可能性 住居は生活に必要なものであるため、新型コロナによる直接的な影響は少ない。
ただし今後、テレワークが広く定着していくことで、都心の住宅需要が減退する可能性が指摘されている。
長期的には都市部郊外への居住が進む可能性がある。
●物流 通販・食品関連需要がいっそう拡大 物流施設は他のアセットタイプと比較して長期契約が多い。
また完全固定賃料制のため、収益の安定性が高い。
需要も安定している。
むしろコロナの影響で一時的に需要が跳ね上がっている。
外出自粛による通販利用の拡大、生活必需品の需要増によって、消費財系の物流施設は高稼働となっている。
特に3月、4月は、施設の運営維持に苦労する物流関連事業者が多くみられた。
投資家は今後のウィズコロナ/アフターコロナにおける物流施設需要を次のようにみている。
●生産財や耐久消費財系の物流施設の稼働率は低下する。
しかし、通販、食品・日用品関連の倉庫需要の増加がそれを上回る。
●通販購買が広く普及することで、店舗小売業のオムニチャネル化が進む。
その結果、通販モール系や通販物流代行事業者が直接的なテナントとなり、物流施設需要がさらに拡大する。
今後、感染が沈静化しても、宿泊施設(インバウンド需要の縮小)や商業施設(通販シフト)、オフィスなどのアセットタイプは多分に影響が残ることが懸念される。
相対的に安定した資産として、物流不動産に対する投資意欲は一層強まる可能性が高い。
現在、投資家はオフィスに対して最も低い期待利回りを与えている。
物流不動産の期待利回りはオフィスと比べて1%前後高くなっている。
しかし、物流不動産に対する評価が高まれば期待利回りは低下していく。
その結果、コスト面で用地取得の許容度が高まるなど、より開発しやすい環境が整っていくものと考えられる。
なお、新型コロナ禍のもと、物流不動産の利用状況はどのようであったのか、筆者が得ている情報はおおむね次の通りである。
食品を中心とした消費財は、物量が2~3割増加している。
食品スーパー、生協、コンビニなどに関わる食品や日用品の卸売事業者、3PL事業者の施設は高稼働な状況となっている。
庫内労働力の確保とともに、スポットで対応可能な配送事業者、倉庫スペースの確保が課題となっている。
また通販は注文の急増によって、調達が遅れて販売できない商品や、配送遅延がみられる。
一方でアパレル品は、商品の回転が止まり、短期的に保管スペースを必要とする状況が生じている。
店舗の閉鎖、次のシーズン商品の入荷(中国からの輸出回復)と入れ替えの遅れなどで倉庫に在庫が積み上がっている。
また、生産財も荷動きが止まり、出荷止め、部品待ち等で在庫が増加している。
このように短期的にかなり強いスペース需要が発生している。
しかし、賃貸物流施設の多くは新型コロナ以前から高稼働率で推移していた。
そのため、短期的なスペース需要には限定的にしか応えることができていないようだ。
アフターコロナの物流不動産市場 新型コロナが経済に与える影響はリーマンショックに匹敵する、あるいはそれ以上とも言われている。
金融危機に端を発したリーマンショックが物流不動産市場に与えた影響は甚大であった。
資金の流入が止まり、景気の悪化で施設需要も後退するという、二重苦が生じて2010年、11年の2年間にわたり、新規開発が事実上ストップした。
新型コロナが物流不動産市場に与える影響は現時点では不透明である。
経済への影響が景気の悪化だけにとどまらず、金融危機にまで拡大した場合には、リーマンショック時と同様の事態が生じる可能性がある。
しかし、新型コロナの直接的な影響に限れば、短期的な変動はあっても、中長期的には以下のようなメガトレンドによる構造的な需要の拡大を見通すことができる。
●バッファを備えたサプライチェーンへ 過去に有事が発生した際にも見られた傾向だが、これまでの無駄のないサプライチェーンから、バッファを備えたサプライチェーンへのシフトが進む。
生産財のグローバルサプライチェーンだけでなく、消費財にも同様の傾向が見られる。
端的には安全在庫の積み増しであり、それにより新たな保管スペースが必要となる。
●通販の拡大加速 日本のEC化率は19年時点で6・2%だ。
年々伸びているとはいえ、米国の12%や中国の20%と比べて極端に低い。
しかし、今回のコロナ禍で多くの消費者が通販の便利さに気づいたことで、日本のECが萌芽期を抜け出し、他の先進国並みに一般化してくる可能性が高い。
日本のEC化率が低いのは、サービスレベルの高い実店舗が日本には無数にあり、いつでもアクセスできる環境にあることがその一因とされてきた。
しかし、非対面・非接触を基本とする「新しい日常」においては、日本的な「おもてなし」や店舗の現場力はその効力を失う。
EC化率の上昇を阻んでいた要因が薄まっていく。
新型コロナ禍が終息していない現状においても、通販モール系事業者などによる賃貸スペースの賃借内定は進んでいる。
今後は通販の重要性を認識した店舗小売業のオムニチャネル化も進むだろう。
足元でも既にEC進出に伴う通販物流代行事業者への問い合わせが増加しているという。
●自動化の推進 従来は人手不足と物流コストの上昇に歯止めがかからないことから、物流管理が企業にとって大きな経営課題となり、その対策として自動化の検討や導入が進められていた。
今後はそれに加えて物流現場の「3密」を回避する手段としても自動化が検討される。
その他にも、配送機能の能力不足や運賃を抑制するために、拠点を分散して配送距離を短縮する動きが出ている。
新たな施設ニーズが生まれる。
また先述の6フィートオフィスの導入に伴う、まとまったオフィススペース需要に対応して、物流施設のマルチユース利用が増えていくかもしれない。
短期的な波乱はあっても成長は続く 今回の景気の下振れが長引くようであれば、通販・食品関連を除き、物流施設のテナント需要にも空室率の上昇や、テナント誘致時間の長期化などの影響が出ることが想定される。
ただし、中長期的な需要は明るさを有している。
通販需要に加えて今後はバブル期前後に建てられた大量の物流施設が再開発の時期を迎える。
構造的に需要が発生し続ける。
物流不動産は「金融商品」としての一面を持っている。
そのため金融システムが瓦解するような事態に至れば大きな影響を免れない。
しかし、金融システムが維持される限り、物流不動産の事業環境は、新型コロナ以前よりもむしろ向上していくだろう。
日頃あまり目にすることのない、なじみのないアセットタイプに投資することへの恐れがなくなり、安定した金融商品として安心して投資できる「実力派」という見方が投資家に定着して、よりいっそう資金が集まりやすくなる。
今回の問題で、物流は社会に必要不可欠なインフラであることがあらためて強く意識された。
それを支える施設として物流不動産の重要性に対する認識も高まっている。
今後の経済状況によって一時的な混乱が生じる可能性は否定できないものの、基本的には強い需要圧力によるオーナー側優位の状況は変わらずに続いていくものと考えられる。
