2020年6月号
特集
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米国市場報告:アマゾン vs ウォルマート
ネットスーパーの売り上げ急拡大
調査会社のコアサイト・リサーチは、今年全米で閉鎖される店舗数を最大1万5千店と予測している。
昨年の閉店数は約9300店だった。
今年は新型コロナの影響で売り上げがまったく立たない店が続出している。
コアサイト・リサーチ創業者のデボラ・ウェインスウィグCEOは「(感染の影響が)長引けば長引くほど多くの店が閉店する」と指摘している。
さらにCBSニュースが4月23日に発表したアンケート調査によると、現在、米国40州以上で発動されている外出禁止令が解除されても、新型コロナ問題が終息したことを確信できなければ48%の人がショッピングモールなどのパブリックスペースには行かないと答えている。
スイスの金融グループUBSは、eコマースのシェアが伸びることで2026年までにアメリカ国内で7・5万店が閉店するとの試算を昨年発表した。
しかし最近になって、25年までに10万店が閉店すると予測を修正した。
コロナショックがリアル小売業の凋落をいっそう加速させることになる。
高級デパートのニーマン・マーカスやJCペニーは現在、連邦倒産法第11章(チャプター11)の適用申請を検討していると伝えられている。
外出禁止令による休業が長引けば、メイシーズやコールズなど、ショッピングモールの核となっている他のテナントもキャッシュが枯渇する。
以前から青色吐息の状態だったシアーズなどは企業の消滅さえ現実味を帯びてくる。
その一方、生鮮品を扱う大手チェーンストアやスーパーマーケット業界は、外出禁止令によって明らかに潤っている。
とりわけ「カーブサイドピックアップ(ネットで注文した商品を店舗駐車場で受け取る。
店のスタッフが駐車場所まで商品を運びトランクにしまってくれる:写真1)や宅配サービスを提供しているネットスーパーの勢いが凄まじい。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、スーパーセンターやネイバーフッドマーケットなどを全米に4700店以上を展開するウォルマートでは、今年3月の4週間の既存店売上高が前年同期比20%近く増加した。
アプリなどを介したネットスーパーの売上高は過去8週間で30%上昇した。
同社のライバルの食品スーパーも以下の通り業績を大きく伸ばしている。
・ クローガー 米国35州に2800店近くを展開するスーパー最大手。
3月の既存店売上高が前年同月比30%増。
・ ターゲット 全米約1900店を展開。
3月25日までの4週間の既存店売上高が前年同期比20%以上増。
既存店ベースのデジタル売上高は前年同月比100%増。
・ アホールド・デレーズUSA 本社はオランダだが米国で「ストップ・アンド・ショップ」や「ジャイアント・フード」など約2千店のスーパーを展開。
3月の既存店売上高前年同月比34%増。
・ コストコ 3月の米国の既存店売上高前年同月比10・7%増。
eコマース売り上げは同48・3%増。
外出禁止令が出ている州でも、食料品の買い出しのために外出することは許可されている。
しかし、感染を恐れて外出を控える動きが広がり宅配サービスの需要が爆発的に増加、配達の遅延が各地で発生している。
特にカリフォルニア、マサチューセッツ、ニューヨーク、ペンシルベニア、そしてワシントンDCでサービスの供給が需要に追いついていないという。
そこでオンデマンド買物代行&宅配サービスのインスタカートは4月23日、注文品をスーパーなどで購入して届ける配達員「ショッパー」を新たに25万人追加採用すると発表した。
同社は3月末にも30万人の採用を発表したばかり。
今回発表された採用数を合わせると同社のショッパーの総数は75万人にも膨れあがる。
同社はサンフランシスコで2012年に創業したスタートアップで、クローガーやアルバートソンズ、コストコ、サムズクラブ、アホールド、パブリクスなどの大手食品スーパー10社以上と契約を結んでいる。
ウェグマンズやプライスチョッパーなど中堅食品スーパーとの提携も増えており、現在は350社以上と契約を結んでいる。
現在、インスタカートは北米の5500カ所以上、2万店以上でサービスを提供して、国内世帯の85%をカバーしているという。
ネットスーパーが米国民にとっていかに大きな存在になったのかがわかるだろう。
アマゾンのリアル店舗展開 一方、ネット通販最大手のアマゾンは百貨店やショッピングモールなどの既存のブリック・アンド・モルタル企業の苦境をよそに、独自のアプローチでリアル店舗の展開をいっそう本格化している。
アマゾン・4スター (Amazon 4-Star) 「アマゾン・4スター(Amazon 4-Star)」は、アマゾンのカスタマーレビューで平均評価が星4つ以上の商品を中心に取り揃えたリアル店舗だ(写真2)。
「Amazon Echo」や「Kindle」などのアマゾン製品の他、スマートホーム関連の各種デバイス、家電製品、キッチンウエア、ホーム用品、おもちゃ、書籍、ゲームなどを取り扱い、棚のデジタル表示器に、商品名、星評価数、レビュー数、カスタマーレビュー、プライム非会員向けのリスト価格、プライム会員用のディスカウント価格を表示している。
18年9月にニューヨークのソーホー地区に1号店をオープンして、現在12店舗を展開する。
さらに既に明らかにされているだけでも11店舗をオープンする予定だ。
アマゾン・ブックス (Amazon Books) リアル書店「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」は現在21店を数える。
15年11月、シアトル近郊に1号店をオープン。
16年9月にサンディエゴ郊外に2号店、同10月にオレゴン州タイガード地区に3号店と店舗数を増やしてきた。
店舗面積は100坪~200坪。
すべての書籍の表紙を正面に向けた陳列方法を採用、セクションごとにカスタマーレビュー、予約注文数、売上データなどを参考にしたキュレーションを展開している。
アマゾン4スターと同様、支払いはキャッシュレスのみ。
クレジットカード、デビットカードのほか、アプリで支払う機能も最近追加された。
アマゾン・ゴー(Amazon GO) キャッシュレスという点では、アマゾンのレジなしコンビニ「アマゾン・ゴー(Amazon GO)」が業界の注目を集めている。
スマートフォンにダウンロードした専用アプリのQRコードでチェックインするとゲートが開いて入店できる。
後は購入したい商品を手に取り店を出ていくだけの「ジャスト・ウォーク・アウト」だ(写真3)。
入店と同時に天井に設置されたカメラやセンサーによって買物客の行動が追跡される。
棚にも重量センサーが装備されていて、商品を手に取る行動までトラッキングする。
店から持ち出した商品は利用者のアマゾン・アカウントのクレジットカードに自動的に課金される。
現在、ニューヨークに8店舗、シカゴに7店舗、シアトルに5店舗、サンフランシスコに5店舗を展開している。
店舗面積は450~2300平方フィート(13~64坪)。
忙しいビジネスマンの利用を狙い、全25店舗のほとんどが街の中心地にある。
アマゾン・ゴーの決済方式は「キャッシャーフリー」とも呼ばれている。
ただし、自治体によるキャッシュレスストア禁止の動きが拡大していることを受けて、最近、アマゾン・ゴーの一部の店舗では現金の取り扱いも開始している。
現金払いはスタッフによるアナログ対応となっているのは皮肉なことだ。
アマゾン・ゴー・グロサリー (Amazon Go Grocery) 今年2月、シアトル市内にレジなしスーパーマーケット「アマゾン・ゴー・グロサリー(Amazon Go Grocery)」1号店がオープンした(写真4)。
店舗面積1万400平方フィート(約300坪)、売り場面積7千平方フィート(約200坪)で、最大規模のアマゾン・ゴーのさらに4倍程度の広さがある。
通常のアマゾン・ゴーの商品に加えて、一般的なスーパーが扱う青果や精肉などの生鮮品、ベーカリー、乳製品、デリ、アルコール類、日用品など約5000アイテムを販売している。
アマゾン傘下のホールフーズのPB「365」やアマゾンのPB「ハッピーベリー(Happy Belly)」の他、地元ワシントンで人気の「ドーナツ・ファクトリー」のドーナツも扱っている。
店舗の入り口には小型のショッピングカートが用意されている。
ただし、通常のスーパーとは異なり、生鮮品でも数量売りのみとなっている。
精肉は真空パック、他の生鮮品も多くはパッケージ化して販売している。
ブッチャーがカットする精肉やデリカウンターなど対面販売はない。
営業時間は日曜日~木曜日が午前7時~午後11時、金曜日と土曜日は午前7時~深夜0時まで。
エントランスのゲート前にはアマゾン・ロッカーが設置されている。
パーキングも用意されており1時間まで無料。
ただし、今のところアマゾンはアマゾン・ゴー・グローサリーにおける宅配サービスやカーブサイド・ピックアップ、返品等について何も言及していない。
アマゾン・ゴー・グローサリーはアマゾン・ゴーを単純に大きくしただけの店舗ではない。
流通ITを食品スーパーに応用するための、いくつかチャレンジを行っている。
生鮮品を扱う食品スーパーはコンビニと異なり、葉もの野菜であれば鮮度をキープするため一定時間ごとに噴霧(ミスティング)するといったオペレーションが必要だ。
同じ商品でも重量が変化するのでアマゾン・ゴーに導入している重量センサーはそのままでは使い物にならない。
果物や野菜はICタグなども使っていない。
オーガニック・バナナと通常のバナナが混在すると識別できなくなってしまう。
そのためカメラやセンサー、人工知能を駆使してお客さんが購入する商品を特定して、ジャスト・ウォーク・アウトを実現している。
その運用にはまだ課題が残るものの、アマゾンはJWOを他の小売業者にライセンス供与する事業を開始した。
直近では北米の空港350カ所以上でレストランやコンビニを展開するホスピタリティグループ、OTG傘下の「CIBOエクスプレス・グルメ・マーケット」に導入される。
ニューヨーク・マンハッタンから近いニュージャージー州ニューアークのリバティ空港に3月にオープンした店で、サンドイッチやサラダなどの軽食、お菓子などのスナック類、飲み物を取り扱う。
システムが導入されると店の入り口でクレジットカードをスワイプしてから店内に入ることになる。
ダークストア(Dark Store) アマゾンのリアル店舗展開でもうひとつ忘れてならない最新の動きが、ホールフーズとは別の新ブランドのスーパーだ。
4月12日、ロサンゼルス郊外のウッドランドヒルズ地区のトイザらス跡地に新店舗をオープンした。
店舗面積は3・3万平方フィート(920坪)。
自然食品中心のホールフーズには置いていないコカ・コーラやスマッカーズのいちごジャム、タイドの洗濯洗剤なども扱う、一般的な食品スーパーの品揃えとなっている。
ただし、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、現在は宅配のみに対応するダークストア(Dark Store)として運営している。
ダークストアとは倉庫に専用の駐車スペースがついた食料品の受け渡し専用拠点だ。
アマゾンが2年前にシアトルにオープンした「アマゾン・フレッシュ・ピックアップ(Amazon Fresh Pickup)」がよく知られている。
それに対して今回ウッドランドヒルズに暫定的にオープンしたダークストアは、今のところ宅配サービスのみに対応しており、カーブサイドピックアップや店内ピックアップは行っていない。
利用者はアマゾン・アプリやホームページを介しての注文しかできない。
マイクロ・フルフィルメント・センター 同スーパー内には「マイクロ・フルフィルメント・センター(Micro-Fulfillment Center:MFC)」が設置される見込みだと一部のニュースサイトが報じている。
MFCはスーパーマーケット店内もしくは敷地内に設置する小型のロボット倉庫で、カーブサイドピックアップや宅配サービスに対応する。
MFCの一般的な広さは1万平方フィート(約300坪)程度。
1・5万~1・8万アイテムを扱い、60アイテムの注文をピッキングから袋詰めまで5分程度で処理する。
着工から4カ月程度で稼働できて、工事費は300万ドル前後という。
MFCの事例としては南フロリダで34店舗を展開するセダノス・スーパーマーケット(Sedano’s Supermarket)がある。
昨年2月、ベンチャー企業のテイクオフ(Takeoff Technologies)のソリューションを導入して稼働を開始した。
テイクオフはセダノスの他にも、アルバートソンズやアホールド・デレーズ、ショップライトを展開するウェイクファーンと提携しており、今後多くのスーパーで店内MFCを稼働させると目されている。
アマゾンはウッドランドヒルズの他にも、同様のスーパーをロサンゼルス郊外のオレンジ郡タスティン地区にあるパワーセンター「タスティン・マーケットプレイス(Tustin Market Place)」にオープンする計画だ。
また今年1月に破綻したニューヨークの老舗スーパーのフェアウェイ・マーケット(Fairway Market)のパラマス店とウッドランドパーク店を買収した。
これも新業態に転換するものとみられる。
アマゾンのリアル店舗展開は今年、大きく動こうとしている。
ウォルマートのデジタル化戦略 迎え撃つウォルマートはIT&オムニチャネル展開を加速している。
ウォルマートが今年3月に米国証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書によると20年1月期の同社の米国事業(ウォルマートUS)の店舗数は4756店で前年度から13店舗減った(図1)。
これは同社にとって創業以来初となる出来事だ。
スーパーセンター、ディスカウントストア、ネイバーフッドマーケットを合わせた総店舗面積も前年の7・05億平方フィートから、7・03億平方フィートとわずかながらも減少した。
ただし、同期のウォルマートUSの売上高は3410億ドルで前年から2・8%増加した。
既存店売上高は同2・9%増、同事業部の営業利益率は5・1%と堅調だ。
海外事業を含めた総売上高(会員費等含む)も同1・9%増の5240億ドル。
純利益は同123・1%増加して149億ドルとなっている。
ウォルマートは1962年の創業からこれまで、チェーンストア理論の要となる店舗数の増大によって規模の経済性を追求してきた。
そのウォルマートが売り場を減らしながら売り上げを伸ばしている。
オムニチャネル化を生かしたシームレスなショッピングに移行することで、売り場の増大に頼らない成長をなし得ているのだ。
同期の移転・増床を含む新規出店の設備投資は7700万ドルで前年の3・13億ドルから大きく減少している。
2年前の9・14億ドルと比べると10分の1以下だ。
それとは対照的に、eコマースやサプライチェーンなどへの投資額は56・4億ドルで前年から8・1%増。
店舗改装は21・8億ドルで同1・5%増だった(図2)。
宅配サービス対象店は前年の約800店から1600店以上と倍に、カーブサイドピックアップ対象店は2100店から3200店以上に増加した。
直近4半期のeコマース売上高は前年同期比35%と急増している。
ネットスーパーを含むEコマースの拡大が店舗売上の増加に貢献している。
ウォルマートのロボティクス ロボティクススタートアップのボサノバ・ロボティクス(Bossa Nova Robotics)は今年1月、同社の商品陳列棚管理ロボット「オートS(Auto-S)」をウォルマートが新たに650台追加導入すると発表した。
ウォルマートは2017年にまず50台をテスト導入して、昨年4月に300台を追加導入している。
今回の追加によって全米の1千店でオートSが稼働することになる(写真5)。
オートSは「ライダー(LiDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)技術」を活用した高さ約1・8メートルのAIロボットで、売り場の通路を自律移動しながら棚の欠品や在庫の減少、置き間違い、値段間違いなどを一つ一つチェックしていく。
そのデータは中央のコンピューターに送信され、スタッフに商品補充など適切な行動を提案する。
カメラ、レーダーセンサー、スキャナーを搭載し、商品棚に光を当てスキャンしながら秒速20センチ(分速12メートル)の速さで移動する。
一つの通路につき2分~3分程度、1時間以内に店内のすべての棚を確認する。
陳列物、障害物などをよけて進み、買い物客など人を察知するとスキャニングを一時停止する。
ウォルマート店内のロボットはオートSだけに限らない。
自律走行して掃除と床磨きをする「オートC(Auto-C)」、店舗に到着した配送トラックからの荷受けで商品を仕分けする「ファスト・アンローダー(FAST Unloader)」、ネットで購入した商品を店舗で受け渡す巨大自販機のような「ピックアップタワー(Pickup Tower)」などが導入されている。
このうち特にピックアップタワーはウォルマートが提供するシームレスショッピングの要となっている。
高さ16フィート(約5メートル)・幅8フィート(2・4メートル)という大型設備で、最大300箱(箱の大きさは60㎝×40㎝×40㎝まで)の注文品を一時保管する(写真6)。
ネット注文時に利用者がピックアップタワーでの受け取りを選択すると、ピックアップ専用のバーコードが発行される。
利用者がピックアップタワーに近づくと、自動的に操作パネルがオープン、バーコードをかざすと5~10秒で注文品が出てくる。
既に700店以上に導入されており、利用者が多いため、マンハッタンからほど近いニュージャージー州セコーカスにあるウォルマート・スーパーセンターなどの一部の店舗ではピックアップタワーを2台導入している。
ウォルマートは前述のマイクロ・フルフィルメント・センター(MFC)の導入も進めている。
昨年、ニューハンプシャー州セイラム地区のスーパーセンターを2万平方フィート(約560坪)増床して、高さ20センチ幅60センチの小型カート型の仕分けロボット「アルファボット(Alphabot)」が動き回る物流倉庫を立ち上げた。
現在、約30台のアルファボットを導入してテスト運用しているという。
8千平方フィート(220坪)のピッキングフロアに投入されたアルファボットがそれぞれ注文品をピックして、ステーションに運ぶ。
対象アイテム数は4500アイテム、1日当たり170件の注文を処理している。
さらに来年中には、2万平方フィートよりも小規模なMFCをオクラホマ州マスタングとカリフォルニア州バーバンクにあるスーパーセンターに導入する計画だという。
アプリのダウンロード数がアマゾン超え ところで、アプリ調査会社のアップアニー(App Annie)によると、3月29日~4月4日の1週間のショッピングアプリのダウンロード数は、世界全体で1億600万回に上った。
これは今年1月の週平均より15%多い数字だ。
アメリカ国内のダウンロード数は1440万回に達し、1月の週平均より20%増加した。
中でも抜きん出ていたのがウォルマートのグローサリーアプリで、1週間で460%も増加した。
その結果、4月5日にはアマゾンアプリのダウンロード数を20%上回った。
これ以降、ウォルマートのグローサリーアプリは米国のショッピングアプリでトップの座を維持している。
さてコロナ禍によって今後、米国の失業率はリーマンショック期を超えて急上昇するとみられている。
失業して家計が苦しくなる世帯にとって低価格を訴求するウォルマートは強い味方だ。
買い物オプションとして定着しつつあるネットスーパー機能を含めて、より多くの人をひきつけることになる。
一方のアマゾンはプライム会員の年会費119ドルがボトルネックになる。
失業者の多くはプライムの更新をやめるだろう。
プライム会員でなくなると、無料の翌日配送やアマゾン傘下のホールフーズでのディスカウントもなくなる。
カーブサイドピックアップも有料になり、生鮮品などの2時間宅配や1時間宅配の手数料も高くなる。
アマゾン4スターやアマゾン・ブックス、ビジネス街のアマゾン・ゴーなど、アマゾンが展開するリアル店舗も家計が苦しい世帯にとっては縁がない。
EC市場でいまだアマゾンはダントツの地位にある。
しかし、コロナショックによる景気の悪化が深刻でその影響が長引くほど、ウォルマートの存在感は増すばかりとなる。
昨年の閉店数は約9300店だった。
今年は新型コロナの影響で売り上げがまったく立たない店が続出している。
コアサイト・リサーチ創業者のデボラ・ウェインスウィグCEOは「(感染の影響が)長引けば長引くほど多くの店が閉店する」と指摘している。
さらにCBSニュースが4月23日に発表したアンケート調査によると、現在、米国40州以上で発動されている外出禁止令が解除されても、新型コロナ問題が終息したことを確信できなければ48%の人がショッピングモールなどのパブリックスペースには行かないと答えている。
スイスの金融グループUBSは、eコマースのシェアが伸びることで2026年までにアメリカ国内で7・5万店が閉店するとの試算を昨年発表した。
しかし最近になって、25年までに10万店が閉店すると予測を修正した。
コロナショックがリアル小売業の凋落をいっそう加速させることになる。
高級デパートのニーマン・マーカスやJCペニーは現在、連邦倒産法第11章(チャプター11)の適用申請を検討していると伝えられている。
外出禁止令による休業が長引けば、メイシーズやコールズなど、ショッピングモールの核となっている他のテナントもキャッシュが枯渇する。
以前から青色吐息の状態だったシアーズなどは企業の消滅さえ現実味を帯びてくる。
その一方、生鮮品を扱う大手チェーンストアやスーパーマーケット業界は、外出禁止令によって明らかに潤っている。
とりわけ「カーブサイドピックアップ(ネットで注文した商品を店舗駐車場で受け取る。
店のスタッフが駐車場所まで商品を運びトランクにしまってくれる:写真1)や宅配サービスを提供しているネットスーパーの勢いが凄まじい。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、スーパーセンターやネイバーフッドマーケットなどを全米に4700店以上を展開するウォルマートでは、今年3月の4週間の既存店売上高が前年同期比20%近く増加した。
アプリなどを介したネットスーパーの売上高は過去8週間で30%上昇した。
同社のライバルの食品スーパーも以下の通り業績を大きく伸ばしている。
・ クローガー 米国35州に2800店近くを展開するスーパー最大手。
3月の既存店売上高が前年同月比30%増。
・ ターゲット 全米約1900店を展開。
3月25日までの4週間の既存店売上高が前年同期比20%以上増。
既存店ベースのデジタル売上高は前年同月比100%増。
・ アホールド・デレーズUSA 本社はオランダだが米国で「ストップ・アンド・ショップ」や「ジャイアント・フード」など約2千店のスーパーを展開。
3月の既存店売上高前年同月比34%増。
・ コストコ 3月の米国の既存店売上高前年同月比10・7%増。
eコマース売り上げは同48・3%増。
外出禁止令が出ている州でも、食料品の買い出しのために外出することは許可されている。
しかし、感染を恐れて外出を控える動きが広がり宅配サービスの需要が爆発的に増加、配達の遅延が各地で発生している。
特にカリフォルニア、マサチューセッツ、ニューヨーク、ペンシルベニア、そしてワシントンDCでサービスの供給が需要に追いついていないという。
そこでオンデマンド買物代行&宅配サービスのインスタカートは4月23日、注文品をスーパーなどで購入して届ける配達員「ショッパー」を新たに25万人追加採用すると発表した。
同社は3月末にも30万人の採用を発表したばかり。
今回発表された採用数を合わせると同社のショッパーの総数は75万人にも膨れあがる。
同社はサンフランシスコで2012年に創業したスタートアップで、クローガーやアルバートソンズ、コストコ、サムズクラブ、アホールド、パブリクスなどの大手食品スーパー10社以上と契約を結んでいる。
ウェグマンズやプライスチョッパーなど中堅食品スーパーとの提携も増えており、現在は350社以上と契約を結んでいる。
現在、インスタカートは北米の5500カ所以上、2万店以上でサービスを提供して、国内世帯の85%をカバーしているという。
ネットスーパーが米国民にとっていかに大きな存在になったのかがわかるだろう。
アマゾンのリアル店舗展開 一方、ネット通販最大手のアマゾンは百貨店やショッピングモールなどの既存のブリック・アンド・モルタル企業の苦境をよそに、独自のアプローチでリアル店舗の展開をいっそう本格化している。
アマゾン・4スター (Amazon 4-Star) 「アマゾン・4スター(Amazon 4-Star)」は、アマゾンのカスタマーレビューで平均評価が星4つ以上の商品を中心に取り揃えたリアル店舗だ(写真2)。
「Amazon Echo」や「Kindle」などのアマゾン製品の他、スマートホーム関連の各種デバイス、家電製品、キッチンウエア、ホーム用品、おもちゃ、書籍、ゲームなどを取り扱い、棚のデジタル表示器に、商品名、星評価数、レビュー数、カスタマーレビュー、プライム非会員向けのリスト価格、プライム会員用のディスカウント価格を表示している。
18年9月にニューヨークのソーホー地区に1号店をオープンして、現在12店舗を展開する。
さらに既に明らかにされているだけでも11店舗をオープンする予定だ。
アマゾン・ブックス (Amazon Books) リアル書店「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」は現在21店を数える。
15年11月、シアトル近郊に1号店をオープン。
16年9月にサンディエゴ郊外に2号店、同10月にオレゴン州タイガード地区に3号店と店舗数を増やしてきた。
店舗面積は100坪~200坪。
すべての書籍の表紙を正面に向けた陳列方法を採用、セクションごとにカスタマーレビュー、予約注文数、売上データなどを参考にしたキュレーションを展開している。
アマゾン4スターと同様、支払いはキャッシュレスのみ。
クレジットカード、デビットカードのほか、アプリで支払う機能も最近追加された。
アマゾン・ゴー(Amazon GO) キャッシュレスという点では、アマゾンのレジなしコンビニ「アマゾン・ゴー(Amazon GO)」が業界の注目を集めている。
スマートフォンにダウンロードした専用アプリのQRコードでチェックインするとゲートが開いて入店できる。
後は購入したい商品を手に取り店を出ていくだけの「ジャスト・ウォーク・アウト」だ(写真3)。
入店と同時に天井に設置されたカメラやセンサーによって買物客の行動が追跡される。
棚にも重量センサーが装備されていて、商品を手に取る行動までトラッキングする。
店から持ち出した商品は利用者のアマゾン・アカウントのクレジットカードに自動的に課金される。
現在、ニューヨークに8店舗、シカゴに7店舗、シアトルに5店舗、サンフランシスコに5店舗を展開している。
店舗面積は450~2300平方フィート(13~64坪)。
忙しいビジネスマンの利用を狙い、全25店舗のほとんどが街の中心地にある。
アマゾン・ゴーの決済方式は「キャッシャーフリー」とも呼ばれている。
ただし、自治体によるキャッシュレスストア禁止の動きが拡大していることを受けて、最近、アマゾン・ゴーの一部の店舗では現金の取り扱いも開始している。
現金払いはスタッフによるアナログ対応となっているのは皮肉なことだ。
アマゾン・ゴー・グロサリー (Amazon Go Grocery) 今年2月、シアトル市内にレジなしスーパーマーケット「アマゾン・ゴー・グロサリー(Amazon Go Grocery)」1号店がオープンした(写真4)。
店舗面積1万400平方フィート(約300坪)、売り場面積7千平方フィート(約200坪)で、最大規模のアマゾン・ゴーのさらに4倍程度の広さがある。
通常のアマゾン・ゴーの商品に加えて、一般的なスーパーが扱う青果や精肉などの生鮮品、ベーカリー、乳製品、デリ、アルコール類、日用品など約5000アイテムを販売している。
アマゾン傘下のホールフーズのPB「365」やアマゾンのPB「ハッピーベリー(Happy Belly)」の他、地元ワシントンで人気の「ドーナツ・ファクトリー」のドーナツも扱っている。
店舗の入り口には小型のショッピングカートが用意されている。
ただし、通常のスーパーとは異なり、生鮮品でも数量売りのみとなっている。
精肉は真空パック、他の生鮮品も多くはパッケージ化して販売している。
ブッチャーがカットする精肉やデリカウンターなど対面販売はない。
営業時間は日曜日~木曜日が午前7時~午後11時、金曜日と土曜日は午前7時~深夜0時まで。
エントランスのゲート前にはアマゾン・ロッカーが設置されている。
パーキングも用意されており1時間まで無料。
ただし、今のところアマゾンはアマゾン・ゴー・グローサリーにおける宅配サービスやカーブサイド・ピックアップ、返品等について何も言及していない。
アマゾン・ゴー・グローサリーはアマゾン・ゴーを単純に大きくしただけの店舗ではない。
流通ITを食品スーパーに応用するための、いくつかチャレンジを行っている。
生鮮品を扱う食品スーパーはコンビニと異なり、葉もの野菜であれば鮮度をキープするため一定時間ごとに噴霧(ミスティング)するといったオペレーションが必要だ。
同じ商品でも重量が変化するのでアマゾン・ゴーに導入している重量センサーはそのままでは使い物にならない。
果物や野菜はICタグなども使っていない。
オーガニック・バナナと通常のバナナが混在すると識別できなくなってしまう。
そのためカメラやセンサー、人工知能を駆使してお客さんが購入する商品を特定して、ジャスト・ウォーク・アウトを実現している。
その運用にはまだ課題が残るものの、アマゾンはJWOを他の小売業者にライセンス供与する事業を開始した。
直近では北米の空港350カ所以上でレストランやコンビニを展開するホスピタリティグループ、OTG傘下の「CIBOエクスプレス・グルメ・マーケット」に導入される。
ニューヨーク・マンハッタンから近いニュージャージー州ニューアークのリバティ空港に3月にオープンした店で、サンドイッチやサラダなどの軽食、お菓子などのスナック類、飲み物を取り扱う。
システムが導入されると店の入り口でクレジットカードをスワイプしてから店内に入ることになる。
ダークストア(Dark Store) アマゾンのリアル店舗展開でもうひとつ忘れてならない最新の動きが、ホールフーズとは別の新ブランドのスーパーだ。
4月12日、ロサンゼルス郊外のウッドランドヒルズ地区のトイザらス跡地に新店舗をオープンした。
店舗面積は3・3万平方フィート(920坪)。
自然食品中心のホールフーズには置いていないコカ・コーラやスマッカーズのいちごジャム、タイドの洗濯洗剤なども扱う、一般的な食品スーパーの品揃えとなっている。
ただし、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、現在は宅配のみに対応するダークストア(Dark Store)として運営している。
ダークストアとは倉庫に専用の駐車スペースがついた食料品の受け渡し専用拠点だ。
アマゾンが2年前にシアトルにオープンした「アマゾン・フレッシュ・ピックアップ(Amazon Fresh Pickup)」がよく知られている。
それに対して今回ウッドランドヒルズに暫定的にオープンしたダークストアは、今のところ宅配サービスのみに対応しており、カーブサイドピックアップや店内ピックアップは行っていない。
利用者はアマゾン・アプリやホームページを介しての注文しかできない。
マイクロ・フルフィルメント・センター 同スーパー内には「マイクロ・フルフィルメント・センター(Micro-Fulfillment Center:MFC)」が設置される見込みだと一部のニュースサイトが報じている。
MFCはスーパーマーケット店内もしくは敷地内に設置する小型のロボット倉庫で、カーブサイドピックアップや宅配サービスに対応する。
MFCの一般的な広さは1万平方フィート(約300坪)程度。
1・5万~1・8万アイテムを扱い、60アイテムの注文をピッキングから袋詰めまで5分程度で処理する。
着工から4カ月程度で稼働できて、工事費は300万ドル前後という。
MFCの事例としては南フロリダで34店舗を展開するセダノス・スーパーマーケット(Sedano’s Supermarket)がある。
昨年2月、ベンチャー企業のテイクオフ(Takeoff Technologies)のソリューションを導入して稼働を開始した。
テイクオフはセダノスの他にも、アルバートソンズやアホールド・デレーズ、ショップライトを展開するウェイクファーンと提携しており、今後多くのスーパーで店内MFCを稼働させると目されている。
アマゾンはウッドランドヒルズの他にも、同様のスーパーをロサンゼルス郊外のオレンジ郡タスティン地区にあるパワーセンター「タスティン・マーケットプレイス(Tustin Market Place)」にオープンする計画だ。
また今年1月に破綻したニューヨークの老舗スーパーのフェアウェイ・マーケット(Fairway Market)のパラマス店とウッドランドパーク店を買収した。
これも新業態に転換するものとみられる。
アマゾンのリアル店舗展開は今年、大きく動こうとしている。
ウォルマートのデジタル化戦略 迎え撃つウォルマートはIT&オムニチャネル展開を加速している。
ウォルマートが今年3月に米国証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書によると20年1月期の同社の米国事業(ウォルマートUS)の店舗数は4756店で前年度から13店舗減った(図1)。
これは同社にとって創業以来初となる出来事だ。
スーパーセンター、ディスカウントストア、ネイバーフッドマーケットを合わせた総店舗面積も前年の7・05億平方フィートから、7・03億平方フィートとわずかながらも減少した。
ただし、同期のウォルマートUSの売上高は3410億ドルで前年から2・8%増加した。
既存店売上高は同2・9%増、同事業部の営業利益率は5・1%と堅調だ。
海外事業を含めた総売上高(会員費等含む)も同1・9%増の5240億ドル。
純利益は同123・1%増加して149億ドルとなっている。
ウォルマートは1962年の創業からこれまで、チェーンストア理論の要となる店舗数の増大によって規模の経済性を追求してきた。
そのウォルマートが売り場を減らしながら売り上げを伸ばしている。
オムニチャネル化を生かしたシームレスなショッピングに移行することで、売り場の増大に頼らない成長をなし得ているのだ。
同期の移転・増床を含む新規出店の設備投資は7700万ドルで前年の3・13億ドルから大きく減少している。
2年前の9・14億ドルと比べると10分の1以下だ。
それとは対照的に、eコマースやサプライチェーンなどへの投資額は56・4億ドルで前年から8・1%増。
店舗改装は21・8億ドルで同1・5%増だった(図2)。
宅配サービス対象店は前年の約800店から1600店以上と倍に、カーブサイドピックアップ対象店は2100店から3200店以上に増加した。
直近4半期のeコマース売上高は前年同期比35%と急増している。
ネットスーパーを含むEコマースの拡大が店舗売上の増加に貢献している。
ウォルマートのロボティクス ロボティクススタートアップのボサノバ・ロボティクス(Bossa Nova Robotics)は今年1月、同社の商品陳列棚管理ロボット「オートS(Auto-S)」をウォルマートが新たに650台追加導入すると発表した。
ウォルマートは2017年にまず50台をテスト導入して、昨年4月に300台を追加導入している。
今回の追加によって全米の1千店でオートSが稼働することになる(写真5)。
オートSは「ライダー(LiDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)技術」を活用した高さ約1・8メートルのAIロボットで、売り場の通路を自律移動しながら棚の欠品や在庫の減少、置き間違い、値段間違いなどを一つ一つチェックしていく。
そのデータは中央のコンピューターに送信され、スタッフに商品補充など適切な行動を提案する。
カメラ、レーダーセンサー、スキャナーを搭載し、商品棚に光を当てスキャンしながら秒速20センチ(分速12メートル)の速さで移動する。
一つの通路につき2分~3分程度、1時間以内に店内のすべての棚を確認する。
陳列物、障害物などをよけて進み、買い物客など人を察知するとスキャニングを一時停止する。
ウォルマート店内のロボットはオートSだけに限らない。
自律走行して掃除と床磨きをする「オートC(Auto-C)」、店舗に到着した配送トラックからの荷受けで商品を仕分けする「ファスト・アンローダー(FAST Unloader)」、ネットで購入した商品を店舗で受け渡す巨大自販機のような「ピックアップタワー(Pickup Tower)」などが導入されている。
このうち特にピックアップタワーはウォルマートが提供するシームレスショッピングの要となっている。
高さ16フィート(約5メートル)・幅8フィート(2・4メートル)という大型設備で、最大300箱(箱の大きさは60㎝×40㎝×40㎝まで)の注文品を一時保管する(写真6)。
ネット注文時に利用者がピックアップタワーでの受け取りを選択すると、ピックアップ専用のバーコードが発行される。
利用者がピックアップタワーに近づくと、自動的に操作パネルがオープン、バーコードをかざすと5~10秒で注文品が出てくる。
既に700店以上に導入されており、利用者が多いため、マンハッタンからほど近いニュージャージー州セコーカスにあるウォルマート・スーパーセンターなどの一部の店舗ではピックアップタワーを2台導入している。
ウォルマートは前述のマイクロ・フルフィルメント・センター(MFC)の導入も進めている。
昨年、ニューハンプシャー州セイラム地区のスーパーセンターを2万平方フィート(約560坪)増床して、高さ20センチ幅60センチの小型カート型の仕分けロボット「アルファボット(Alphabot)」が動き回る物流倉庫を立ち上げた。
現在、約30台のアルファボットを導入してテスト運用しているという。
8千平方フィート(220坪)のピッキングフロアに投入されたアルファボットがそれぞれ注文品をピックして、ステーションに運ぶ。
対象アイテム数は4500アイテム、1日当たり170件の注文を処理している。
さらに来年中には、2万平方フィートよりも小規模なMFCをオクラホマ州マスタングとカリフォルニア州バーバンクにあるスーパーセンターに導入する計画だという。
アプリのダウンロード数がアマゾン超え ところで、アプリ調査会社のアップアニー(App Annie)によると、3月29日~4月4日の1週間のショッピングアプリのダウンロード数は、世界全体で1億600万回に上った。
これは今年1月の週平均より15%多い数字だ。
アメリカ国内のダウンロード数は1440万回に達し、1月の週平均より20%増加した。
中でも抜きん出ていたのがウォルマートのグローサリーアプリで、1週間で460%も増加した。
その結果、4月5日にはアマゾンアプリのダウンロード数を20%上回った。
これ以降、ウォルマートのグローサリーアプリは米国のショッピングアプリでトップの座を維持している。
さてコロナ禍によって今後、米国の失業率はリーマンショック期を超えて急上昇するとみられている。
失業して家計が苦しくなる世帯にとって低価格を訴求するウォルマートは強い味方だ。
買い物オプションとして定着しつつあるネットスーパー機能を含めて、より多くの人をひきつけることになる。
一方のアマゾンはプライム会員の年会費119ドルがボトルネックになる。
失業者の多くはプライムの更新をやめるだろう。
プライム会員でなくなると、無料の翌日配送やアマゾン傘下のホールフーズでのディスカウントもなくなる。
カーブサイドピックアップも有料になり、生鮮品などの2時間宅配や1時間宅配の手数料も高くなる。
アマゾン4スターやアマゾン・ブックス、ビジネス街のアマゾン・ゴーなど、アマゾンが展開するリアル店舗も家計が苦しい世帯にとっては縁がない。
EC市場でいまだアマゾンはダントツの地位にある。
しかし、コロナショックによる景気の悪化が深刻でその影響が長引くほど、ウォルマートの存在感は増すばかりとなる。
