2020年3月号
特集
特集
ヤマト運輸 ヤマトグループ経営構造改革プランの全容
かつてのヤマトを取り戻す
──冒頭の「お客さまと向き合う本来のヤマトの姿を取り戻したい」とは、昨今の値上げで顧客が離反したなど、ヤマト本来の姿を実現できていなかったことに対する反省なり、後悔なりの表れという理解でよいか。
長尾:お客さまと向き合い、お客さまの立場でサービスを作っていくという、本来のヤマトの強みの部分、お客さまに対しての姿勢等が離れつつある、お客さまを向いてないということが起きているのではないかと感じています。
宅急便が成長する過程でその組織であったりガバナンスであったりを、現場の第一線の社員がよりお客さまに向き合えるような仕組みに変えていく必要があったのに、その変化をタイムリーに行うことができていなかったという危機感を持っています。
──EC向けサービスについて、昨今はアマゾンをはじめ地場の中小運送会社をまとめてラストワンマイルへの配送を実現していくEC事業者が増えている。
そうした環境でヤマトとしてどのように利益を確保しながらECの荷物を獲得していくのか。
長尾:当社は宅急便という強いサービスを持つがゆえに、そこに埋没をしているのではなかろうかという危機感を持っております。
確かに宅急便は優れたパッケージサービスだとは思っています。
しかし今、eコマース化がどんどん進んでいる。
単純に通販が増えたという話だけでなく、さまざまなサービスがeコマース化して、より便利な世の中が実現しつつある。
われわれとしてもそこに合わせた最適なサービスを作っていかないといけない。
宅急便というサービスはeコマース化が進んでいく世の中に対しても、決して合わないわけではないのですが、やはりいろいろな意味で過剰な部分もたくさんあると思います。
同時に、これだけスマホが当たり前になりいろいろな情報をリアルタイムに提供することが求められている社会の中において、私は宅急便を支えている情報システム等に不自由さを感じています。
その辺りを大きく改革して、今の、そしてこれからのお客さまのニーズに最適なサービスをご提供していく必要があるとの考えです。
──低価格のEC物流事業者に、ヤマトがどうやって立ち向かっていくのかというところについては? 長尾:当社の場合、ラストマイルだけではサービスを提供できないわけです。
宅急便で作ってきた拠点のネットワークであったり、幹線輸送も含めた全国の宅急便センターへの納品、仕分けといった一連の機能を最適化することによって、ラストワンマイルも生きてくるという考えです。
従来は宅急便だけで使ってきた、われわれの経営資源をオープン化することによって、より最適化された、より効率の良いサービスをご提供できる可能性があると考えています。
それは、お客さまにとってもそうですし、働く方々にとってもより効率の良いものになり得ると考えています。
──効率化や最適化を進めることで、地場の中小運送会社とも渡り合える価格競争ができるということか。
長尾:サービスの内容に応じた適正なプライシングは、あってしかるべきだと思います。
そのため低価格だけを強く打ち出すつもりはありませんが、サービスに合った価格でいかに提供するかというのは当然ながら必要と感じています。
──グループ経営体制の刷新のところで「四つの事業本部」が出てきたが、具体的に説明してほしい。
また「お客さまと十分に向き合えていない」という発言があったが、ECのラストワンマイルは基本的に一方通行なので、そこはセールスドライバーを通さないかたちで「EC事業本部」が担当し、お客さまとのコミュニケーションが必要なサービスとは分けていくといった見直しがあるのか。
長尾:まず事業本部の中身について説明します。
一つ目のリテール事業本部は、個人のお客さまと小口の法人のお客さま、つまり従来から宅急便のセールスドライバーが向き合ってきたお客さまを対象としています。
現在われわれが取り扱っている年間約18億個の荷物の半数を「リテール」が占めています。
残りの半数は、一定規模以上の法人のお客様です。
そこは二つの層に分けています。
その一つ「地域法人事業本部」は、一定の規模はあるけれども、ある程度その地域に閉じたサプライチェーンでビジネスをされているお客さまです。
そうしたお客さまに対して上流から下流までを含めた最適な物流を提供することを想定しています。
もう一つの「グローバル法人事業本部」は対象企業数として限られてきます。
200社くらいを想定しています。
カスタマイズに近いソリューションによって、そのお客さまの海外にまで伸びるバリューチェーンの、上から下までの全体最適を価値提供することを標榜しています。
そして「EC事業本部」は大手ECをはじめとするeコマース専業のお客さまが対象です。
また、セールスドライバーにはやはり本来のセールスドライバーの業務ができる仕事を振り分けていきたいと考えています。
──働き方改革の現状に対する認識と人手不足の問題にどうやって対応していくのか。
そこにデジタル化がどう関わってくるのか。
長尾:まず働き方改革の進捗についてお話しします。
労働時間の短縮は着実に進んでいます。
中核会社のヤマト運輸の労働環境整備もこの数年でかなり進みました。
ただし、労働時間の問題だけではなく、いかに働きがいを生み出すかということに、そろそろシフトしないといけない。
いわば働き方改革の第2フェーズに入ろうしているという認識です。
現場の在り方をどう変えていくか。
これまでは、営業から、安全から、サービスから、全てを宅急便の現場の第一線で完結させようという仕組みでした。
私自身そうした文化の中で育ってきました。
それをこれから大きく見直していかなくてはならない。
これから実行していく改革は、現場の第一線の社員たちの働きがいをどう作るかということに直結すると考えています。
そのためにデジタルベースの経営に変えていく。
そうしないとスピーディーに的確な手が打てない。
当社のこれからの経営においてはデジタル化とデータ活用が全ての下地になると考えています。
新しいEC配送サービス ──今年4月から実施する新しいEC事業者向け配送サービスは、宅急便とどう違うのか。
長尾:われわれの問題意識から申し上げると、宅急便は翌日配達を前提に設計されていて、データ処理の仕方も日単位のサービスに最適な仕組みになっています。
しかし、もうかなり前から、われわれは「時間帯お届けサービス」のような日単位だけではないサービスも開始しています。
クロネコメンバーズ等を通じて、お届け予定時間をご案内をしたり、それに対して変更を受け付けるというようなこともしています。
しかし、現在のシステムはデータをバッチで処理しているために、お届けの数時間前までに変更の受付を締め切らないとドライバーに間に合うように伝えられないといったことが散見・報告されています。
もっとタイムリーにお客さまにデータをご提供できるようにして、受け取る時間帯や受け取り方を受け取る直前まで、ぎりぎりまで選ぶことができる仕組みにしたい。
昨今話題になっている、いわゆる「置き配」にしても、単にサービスを提供する側が不在にしたくないということで荷物を置いて帰るのは、これは違うと思います。
しかし、受け取るお客さまのニーズに沿って、そして安全を担保する仕組みも合わせてご提供できるのであれば、そういうサービスも必要だろうと考えています。
今のeコマースの受け取り方によりフィットしたサービス形態を、セールスドライバーとは違う戦力で、今年4月から順次エリアを決めながら展開していきます。
リアルタイムの基幹システムも恐らく秋口くらいから少しずつ実装していけると考えています。
──昨年10月の通期業績予想の修正で、「プライシングの適正化を継続的に推進したことにより、宅急便単価は想定を上回ったものの、大口法人顧客の取扱数量減少を主因とし、宅急便取扱数量が想定を下回った」という説明があった。
この部分で運賃施策、そして荷物が減ったことへの評価あるいは反省はあるか。
また、この結果を受けて大口顧客との関係性がどう変わっていくのか。
このまま決別か。
あるいはなにがしかの工夫をして取り戻すのか。
長尾:プライシングによる大口のクライアントの離反という問題よりも、私がより深刻に捉えているのは、小口のお客さまに対してのプライシングです。
新しい事業本部のセグメントでいえば「リテール」の領域です。
要は宅急便のセールスドライバーが向き合っているお客さまのプライシングです。
当初われわれが想定をしていた水準よりプライシングが上がっているのは間違いない。
この部分によって離反しているお客さまの中身をいろいろ分析しておりますけども、やはりもう一度、セールスドライバーがお客さまと向き合える環境を作って、時間をかけながら取り戻していくしかない。
再度、お客さまとの関係構築をしっかり図っていきたいと考えています。
本来であれば第一線のセールスドライバーのプライシングに対して、お客さまの反応が芳しくないということなのであれば、状況を見ながら適切なプライシングに変えていくべきだったんでしょう。
そうなってはいなかったということに関しては大きな反省があります。
逆に、大口のお客さまに対しては、ご提供しているコストに対して適正なプライシングをしていくことを、引き続きやるべきだと思っています。
結局のところ問題は、宅急便だけでサービスをご提供していることであって、ご提供しているサービスの中身と、それを提供するためのコスト、そしてプライシングというものを再構築しなければらないと考えています。
そしてこれまた(プライシングとは)別の課題だろうと考えています。
――ヤマトホームコンビニエンスの過大請求問題で受注を休止している引っ越しについて、昨年9月に「単身者向け」を再開しましたが「法人向け(家族向け)」についての見通しは。
長尾:単身の引っ越しは再開して順次その地域を広げていこうというフェーズにあるのですが、正直に申し上げると、家族引っ越しを再開するのはかなり難しい。
家族向けの引っ越しにはいろいろな機能を持った社員が必要で、家の中の物を梱包する部分は、ある一定数の社員は残っていますが、全国で大きく再開するのが現状では少し難しい。
今はまだ再開の見通しが立っていません。
「Oneヤマト」で大企業病克服 ──「かつてのヤマトの姿を取り戻す」という発言があったが、長尾社長が理想とする「かつてのヤマト」とはどういうものか。
それがなぜ失われてしまったのか。
もうひとつの質問は、デジタル関連投資の1千億円は具体的に何に使うのか。
長尾:かつてのヤマトの姿について、私が申し上げたいのは、セールスドライバーならびに第一線でお客さまと対面をしている社員のことです。
セールスドライバーはお届けだけで毎日100人から120〜130人、集荷でプラスアルファのお客さまと対面しています。
この第一線の社員を、お客さまの立場で考えるということに特化させないといけない。
良いサービスをしながらいかに新しいお客さまを増やすか、今ご利用いただいているお客さまの満足度を高めて、さらに売り上げを伸ばすかというセールスの部分と、もうひとつは安全運転にどう徹底をするかという部分です。
ところが、それ以外の項目のミッション、例えば働く時間の問題であったり、拠点単位のP/Lであったりが、セールスドライバーをはじめ、現場の第一線に落ちてしまっている。
そうしたミッションを彼らから取り除いて、第一線の社員が本来向き合うべきことに特化させる仕組みに作り変えなければならないと考えています。
牧浦:デジタル投資については私からお話いたします。
今日の長尾の話には至る所で「デジタル」、それから「データ」という言葉が出てきました。
それだけ広範囲にわたって、経営の全般にわたってデジタル、それからデータを、差し込んでいくことになります。
投資の対象もそれだけ広くなります。
セールスドライバーのレベルでは、まず業務の無駄を見える化して、その上でデジタル化していくところにお金を使います。
幹線やベースの効率化投資も大きいものになります。
最先端のシリコンバレーのスタートアップに対するCVC的な投資にも入っていきます。
もちろん基幹システム刷新という塊もあります。
もうひとつ大事なこととして、業務プロセスの見直しに徹底的に取り組んでいます。
あらゆる無駄を洗い出して、なくせるものはなくした上でデジタル化していく。
これによって大幅に経営の効率を上げられると睨んでいます。
それを具体的な数字、具体的な施策に落としていく。
データドリブン経営は、発表は今になりましたが、既にかなり長い時間をかけて計画を練ってきております。
1年、2年かけてPDCAを回し、効果も検証した上で投資に入っていることをご理解いただきたい。
──純粋持ち株会社制をやめて事業会社に変わる理由は。
社名も「ヤマト運輸」に戻すのか。
長尾:今回の改革の1丁目1番地はお客さま基点のヤマトをもう一度作ろうということです。
それを実現をするために組織はどうあるべきかを検討した結果として、四つの事業本部を想定したわけです。
それを四つの会社に分けてしまうと、近年のヤマトグループを見ていても、やはり会社ごとにサイロ化してしまう可能性を否定できない。
まさに「大企業病」です。
それを打破するには、いったん一つのヤマトというものを作り上げて、1人の社長、一つの経営陣の下で、経営と現場が一体となって1丁目1番地を作り上げようということです。
1社化することで間接費を削減するというだけではなく、経営陣と事業、そして現場との階層を簡素化する。
経営と現場をいかに近くするかということに注力します。
社名はまだ決めていません。
──拠点網やグループの規模は現状維持か、それともスリム化していくのか。
長尾:拠点数に関しては、この数年で少し減らしました。
数年前まで約3900あったのが現在は約3700です。
意味のある店舗展開をしっかりと精査して適正化した結果です。
今後は必要なものは逆に増やします。
新しいソーティングシステムの展開を今年1年プラス3年の間に終わらせるつもりですが、そこでソーティング拠点を少し増やすことを検討しています。
一方、現状では同じ地域に各事業会社の拠点が重複しているケースもあるので、今回の事業統合である程度の集約が必要になってくるとみています。
また、足りないところは新規で出店することになりますが、トータルで見れば大きく増えるということにはならないと考えています。
人員についてもバックオフィス業務の削減、そして仕分けに関わる部分の省人化が、この1年プラス3年間で大きく効いてくる。
精査はこれからですが、基本的にトータルの人員数を増やすような計画は持っていません。
海外事業を整理して脱・自前主義 ──グローバル展開の方針をうかがいたい。
また新設する「グローバル法人事業部」はどういった役割を担うのか。
長尾:もちろん海外には力を入れます。
ただし、過去に展開してきた海外事業については、しっかり成果が出ているものと出ていないものに整理すべきと考えています。
昨年来その見極めをしてきました。
年内には整理整頓したい。
これまでは海外でも自前で宅急便をやろうと進めてきました。
しかし、「自力」や「自前」にこだわる時代ではもうなかろうと思います。
適切な海外のパートナーと一緒にビジネスを作っていく方が、よりスピーディーに、より良いビジネスを展開できる。
マレーシアであったりタイであったり、台湾もそうですが、既にこれからの展開が見えているパートナーもいます。
他にもいろいろ話をしているパートナーがいます。
そういったパートナーとの連携をうまく作ってアジアでの成長に力点を置いて進めていきます。
──「地域法人事業本部」の見通しと、法人事業強化に関するデジタル活用、小口配送とデータ基盤のところを詳しく。
長尾:地域法人事業本部は、グローバル法人事業本部が対象とする約200社以外で、宅急便として、かなりたくさんの荷物をお預かりさせていただいているお客さま、セールスドライバーではなく営業担当が向き合っている法人のお客さまが対象です。
その大多数とこれまでは宅急便だけの関係でした。
しかし、本来は宅急便として出てくる前に、商品・商材の調達であったり製造であったり、いろんな工程があるわけです。
そのバリューチェーンの上から下までを、ある程度パッケージ的にご提案していきます。
そのために数年前からヤマト運輸の法人営業部隊の増強とスキルアップに努めてきました。
そして昨年、ヤマト運輸の法人営業部隊とヤマトロジスティクスの営業部隊を合体させました。
今やBtoBも小口化が進んでいます。
当社が得意とする領域がバリューチェーンの下流だけではなく上流にも広がっています。
そこに対してデジタルで見える化して、お客さまが求めている情報をお返しする。
決済やブロックチェーンをはじめとしたいろんな技術を組み合わせてサービスを提供していく。
従来とは違う切り口でご契約ができる可能性があります。
「地域法人」は成長領域と想定しています。
──先ほどの質問にあった法人引っ越しだが再開のめどについてもう少し。
それともう1点、足下で利益が十分に出ていない原因をどう考えるか。
「大企業病」や「サイロ化」を課題として感じているとのことだったが、その辺り。
長尾:当社は引っ越しを「単身者向け」と「家族向け」に分けていますので、家族向けということでお話しますが、ご家族丸ごとの引っ越しサービスというのは、品揃えとしてやはり必要です。
それが2年も3年ご提供できないままというのは非常に問題ですので、一定の期間中には再開したい。
また、二つ目のご質問の社内的な問題は、身内の恥部を話すようで憚られるのですが、われわれも数年来そうした問題について社内で議論してきました。
私が現場にいた頃から、小倉昌男元会長は社内報などに「ヤマトは大企業病だ」と度々書いていた。
今は当時よりもっと深刻な状況ではなかろうかと思います。
お客さまを常に見ているか、お客さまの立ち場で考えているかということです。
社内の仕事をしていても、その仕事がお客さまにつながっているか、お客さまと向き合っている第一線の社員のためになっているか、ということを常に考える。
自分のセクションのことだけではなく、時には高い見地から全体を眺めてみる。
そうしたことが大事なのに、実際にはそうではないところが散見される。
それは社員の問題ではなく経営の問題だろう。
よって、経営構造を変えていく。
まず経営陣から、思想や考え方、行動を変えていく。
そうしない限り現場まで響いていかない。
それがわれわれ経営陣の問題意識です。
SDを本来の業務に特化させる ──新配送サービスはお届けする直前に変更可能ということだが、他にも個人にとってのメリットはあるのか。
また、海外では現地の事業者と連携していくということだが、日本国内の事業者との連携は具体的にどのようにするのか。
長尾:宅急便は全国一律のサービスです。
しかし、地域によってさまざまなサービスに対するニーズがあります。
例えば都内では、現行の宅急便が提供している時間帯とは違う時間帯にも届けてほしいとか、返品にも使いやすいものにできないかという声を聞きます。
もちろん宅急便として解決しないといけないところもあるのですが、先ほど申し上げたような制約もあり、すぐには改善できないこともある。
そうした部分をいち早く盛り込んでいく、早く手を動かし始めないといけないと考えています。
また、他の事業者との連携に関しては国内も海外と同じように考えています。
自力でやるだけではスピードが上がらない。
やれることにも限界がある。
われわれが持っている経営資源をうまくオープン化していけば、地域の同業のプレーヤーの方々といろんなビジネスを作れる。
サービスの幅を広げていけると考えています。
──質問の1点目として、24年3月期の営業利益1200億円以上という目標は相当にハードルが高いと感じる。
勝算や内訳を聞きたい。
2点目として今回の改革によって結局、何がどう変わるのか。
セールスドライバーの働き方や営業所の役割はどう変わるのか。
それを現場にどう伝えるのか。
長尾:この数年間、特に昨年から、経営構造改革について社内で大きく議論や分析をしてきました。
その中で、われわれが今直面している13の経営課題を特定しました。
そして、それぞれの課題について解決の手段、それによって得られる効果から、計画の目標値を導き出しました。
簡単な目標でないことは承知しています。
しかし、当てずっぽうではありません。
また、改革によって現場がどう変わるのか。
例えばここ数年でも、配達のルート組みに新しい仕組みを導入しました。
従来はドライバーが紙の伝票を見ながら、地図を見ながらルートを組んでいました。
それが今は彼らが携帯しているタブレット上に表示された地図とデータに従ってお届けできる。
彼らが見て「これ順番おかしい」という時には順番の組み替えも簡単にできる。
これで生産性が向上しました。
他にも彼らの手を止めている部分はまだまだあります。
例えば、今日の荷物のお届けに関してお客さまからいろいろな要望が来る。
それを今は出発する前に調べていかなくてはならない。
そうしたデジタル化できていない部分が残っています。
ソーティングシステムの導入にしても、営業所で2回目の仕分けをすることによって、彼らの出発時間が左右されてしまう、それをなくそうというのが一番の狙いです。
YAMATO NEXT 100は、現場からそのようなサービス提供以外の業務を全て取り除くための改革です。
それを現場と一緒になって進めていきます。
長尾:お客さまと向き合い、お客さまの立場でサービスを作っていくという、本来のヤマトの強みの部分、お客さまに対しての姿勢等が離れつつある、お客さまを向いてないということが起きているのではないかと感じています。
宅急便が成長する過程でその組織であったりガバナンスであったりを、現場の第一線の社員がよりお客さまに向き合えるような仕組みに変えていく必要があったのに、その変化をタイムリーに行うことができていなかったという危機感を持っています。
──EC向けサービスについて、昨今はアマゾンをはじめ地場の中小運送会社をまとめてラストワンマイルへの配送を実現していくEC事業者が増えている。
そうした環境でヤマトとしてどのように利益を確保しながらECの荷物を獲得していくのか。
長尾:当社は宅急便という強いサービスを持つがゆえに、そこに埋没をしているのではなかろうかという危機感を持っております。
確かに宅急便は優れたパッケージサービスだとは思っています。
しかし今、eコマース化がどんどん進んでいる。
単純に通販が増えたという話だけでなく、さまざまなサービスがeコマース化して、より便利な世の中が実現しつつある。
われわれとしてもそこに合わせた最適なサービスを作っていかないといけない。
宅急便というサービスはeコマース化が進んでいく世の中に対しても、決して合わないわけではないのですが、やはりいろいろな意味で過剰な部分もたくさんあると思います。
同時に、これだけスマホが当たり前になりいろいろな情報をリアルタイムに提供することが求められている社会の中において、私は宅急便を支えている情報システム等に不自由さを感じています。
その辺りを大きく改革して、今の、そしてこれからのお客さまのニーズに最適なサービスをご提供していく必要があるとの考えです。
──低価格のEC物流事業者に、ヤマトがどうやって立ち向かっていくのかというところについては? 長尾:当社の場合、ラストマイルだけではサービスを提供できないわけです。
宅急便で作ってきた拠点のネットワークであったり、幹線輸送も含めた全国の宅急便センターへの納品、仕分けといった一連の機能を最適化することによって、ラストワンマイルも生きてくるという考えです。
従来は宅急便だけで使ってきた、われわれの経営資源をオープン化することによって、より最適化された、より効率の良いサービスをご提供できる可能性があると考えています。
それは、お客さまにとってもそうですし、働く方々にとってもより効率の良いものになり得ると考えています。
──効率化や最適化を進めることで、地場の中小運送会社とも渡り合える価格競争ができるということか。
長尾:サービスの内容に応じた適正なプライシングは、あってしかるべきだと思います。
そのため低価格だけを強く打ち出すつもりはありませんが、サービスに合った価格でいかに提供するかというのは当然ながら必要と感じています。
──グループ経営体制の刷新のところで「四つの事業本部」が出てきたが、具体的に説明してほしい。
また「お客さまと十分に向き合えていない」という発言があったが、ECのラストワンマイルは基本的に一方通行なので、そこはセールスドライバーを通さないかたちで「EC事業本部」が担当し、お客さまとのコミュニケーションが必要なサービスとは分けていくといった見直しがあるのか。
長尾:まず事業本部の中身について説明します。
一つ目のリテール事業本部は、個人のお客さまと小口の法人のお客さま、つまり従来から宅急便のセールスドライバーが向き合ってきたお客さまを対象としています。
現在われわれが取り扱っている年間約18億個の荷物の半数を「リテール」が占めています。
残りの半数は、一定規模以上の法人のお客様です。
そこは二つの層に分けています。
その一つ「地域法人事業本部」は、一定の規模はあるけれども、ある程度その地域に閉じたサプライチェーンでビジネスをされているお客さまです。
そうしたお客さまに対して上流から下流までを含めた最適な物流を提供することを想定しています。
もう一つの「グローバル法人事業本部」は対象企業数として限られてきます。
200社くらいを想定しています。
カスタマイズに近いソリューションによって、そのお客さまの海外にまで伸びるバリューチェーンの、上から下までの全体最適を価値提供することを標榜しています。
そして「EC事業本部」は大手ECをはじめとするeコマース専業のお客さまが対象です。
また、セールスドライバーにはやはり本来のセールスドライバーの業務ができる仕事を振り分けていきたいと考えています。
──働き方改革の現状に対する認識と人手不足の問題にどうやって対応していくのか。
そこにデジタル化がどう関わってくるのか。
長尾:まず働き方改革の進捗についてお話しします。
労働時間の短縮は着実に進んでいます。
中核会社のヤマト運輸の労働環境整備もこの数年でかなり進みました。
ただし、労働時間の問題だけではなく、いかに働きがいを生み出すかということに、そろそろシフトしないといけない。
いわば働き方改革の第2フェーズに入ろうしているという認識です。
現場の在り方をどう変えていくか。
これまでは、営業から、安全から、サービスから、全てを宅急便の現場の第一線で完結させようという仕組みでした。
私自身そうした文化の中で育ってきました。
それをこれから大きく見直していかなくてはならない。
これから実行していく改革は、現場の第一線の社員たちの働きがいをどう作るかということに直結すると考えています。
そのためにデジタルベースの経営に変えていく。
そうしないとスピーディーに的確な手が打てない。
当社のこれからの経営においてはデジタル化とデータ活用が全ての下地になると考えています。
新しいEC配送サービス ──今年4月から実施する新しいEC事業者向け配送サービスは、宅急便とどう違うのか。
長尾:われわれの問題意識から申し上げると、宅急便は翌日配達を前提に設計されていて、データ処理の仕方も日単位のサービスに最適な仕組みになっています。
しかし、もうかなり前から、われわれは「時間帯お届けサービス」のような日単位だけではないサービスも開始しています。
クロネコメンバーズ等を通じて、お届け予定時間をご案内をしたり、それに対して変更を受け付けるというようなこともしています。
しかし、現在のシステムはデータをバッチで処理しているために、お届けの数時間前までに変更の受付を締め切らないとドライバーに間に合うように伝えられないといったことが散見・報告されています。
もっとタイムリーにお客さまにデータをご提供できるようにして、受け取る時間帯や受け取り方を受け取る直前まで、ぎりぎりまで選ぶことができる仕組みにしたい。
昨今話題になっている、いわゆる「置き配」にしても、単にサービスを提供する側が不在にしたくないということで荷物を置いて帰るのは、これは違うと思います。
しかし、受け取るお客さまのニーズに沿って、そして安全を担保する仕組みも合わせてご提供できるのであれば、そういうサービスも必要だろうと考えています。
今のeコマースの受け取り方によりフィットしたサービス形態を、セールスドライバーとは違う戦力で、今年4月から順次エリアを決めながら展開していきます。
リアルタイムの基幹システムも恐らく秋口くらいから少しずつ実装していけると考えています。
──昨年10月の通期業績予想の修正で、「プライシングの適正化を継続的に推進したことにより、宅急便単価は想定を上回ったものの、大口法人顧客の取扱数量減少を主因とし、宅急便取扱数量が想定を下回った」という説明があった。
この部分で運賃施策、そして荷物が減ったことへの評価あるいは反省はあるか。
また、この結果を受けて大口顧客との関係性がどう変わっていくのか。
このまま決別か。
あるいはなにがしかの工夫をして取り戻すのか。
長尾:プライシングによる大口のクライアントの離反という問題よりも、私がより深刻に捉えているのは、小口のお客さまに対してのプライシングです。
新しい事業本部のセグメントでいえば「リテール」の領域です。
要は宅急便のセールスドライバーが向き合っているお客さまのプライシングです。
当初われわれが想定をしていた水準よりプライシングが上がっているのは間違いない。
この部分によって離反しているお客さまの中身をいろいろ分析しておりますけども、やはりもう一度、セールスドライバーがお客さまと向き合える環境を作って、時間をかけながら取り戻していくしかない。
再度、お客さまとの関係構築をしっかり図っていきたいと考えています。
本来であれば第一線のセールスドライバーのプライシングに対して、お客さまの反応が芳しくないということなのであれば、状況を見ながら適切なプライシングに変えていくべきだったんでしょう。
そうなってはいなかったということに関しては大きな反省があります。
逆に、大口のお客さまに対しては、ご提供しているコストに対して適正なプライシングをしていくことを、引き続きやるべきだと思っています。
結局のところ問題は、宅急便だけでサービスをご提供していることであって、ご提供しているサービスの中身と、それを提供するためのコスト、そしてプライシングというものを再構築しなければらないと考えています。
そしてこれまた(プライシングとは)別の課題だろうと考えています。
――ヤマトホームコンビニエンスの過大請求問題で受注を休止している引っ越しについて、昨年9月に「単身者向け」を再開しましたが「法人向け(家族向け)」についての見通しは。
長尾:単身の引っ越しは再開して順次その地域を広げていこうというフェーズにあるのですが、正直に申し上げると、家族引っ越しを再開するのはかなり難しい。
家族向けの引っ越しにはいろいろな機能を持った社員が必要で、家の中の物を梱包する部分は、ある一定数の社員は残っていますが、全国で大きく再開するのが現状では少し難しい。
今はまだ再開の見通しが立っていません。
「Oneヤマト」で大企業病克服 ──「かつてのヤマトの姿を取り戻す」という発言があったが、長尾社長が理想とする「かつてのヤマト」とはどういうものか。
それがなぜ失われてしまったのか。
もうひとつの質問は、デジタル関連投資の1千億円は具体的に何に使うのか。
長尾:かつてのヤマトの姿について、私が申し上げたいのは、セールスドライバーならびに第一線でお客さまと対面をしている社員のことです。
セールスドライバーはお届けだけで毎日100人から120〜130人、集荷でプラスアルファのお客さまと対面しています。
この第一線の社員を、お客さまの立場で考えるということに特化させないといけない。
良いサービスをしながらいかに新しいお客さまを増やすか、今ご利用いただいているお客さまの満足度を高めて、さらに売り上げを伸ばすかというセールスの部分と、もうひとつは安全運転にどう徹底をするかという部分です。
ところが、それ以外の項目のミッション、例えば働く時間の問題であったり、拠点単位のP/Lであったりが、セールスドライバーをはじめ、現場の第一線に落ちてしまっている。
そうしたミッションを彼らから取り除いて、第一線の社員が本来向き合うべきことに特化させる仕組みに作り変えなければならないと考えています。
牧浦:デジタル投資については私からお話いたします。
今日の長尾の話には至る所で「デジタル」、それから「データ」という言葉が出てきました。
それだけ広範囲にわたって、経営の全般にわたってデジタル、それからデータを、差し込んでいくことになります。
投資の対象もそれだけ広くなります。
セールスドライバーのレベルでは、まず業務の無駄を見える化して、その上でデジタル化していくところにお金を使います。
幹線やベースの効率化投資も大きいものになります。
最先端のシリコンバレーのスタートアップに対するCVC的な投資にも入っていきます。
もちろん基幹システム刷新という塊もあります。
もうひとつ大事なこととして、業務プロセスの見直しに徹底的に取り組んでいます。
あらゆる無駄を洗い出して、なくせるものはなくした上でデジタル化していく。
これによって大幅に経営の効率を上げられると睨んでいます。
それを具体的な数字、具体的な施策に落としていく。
データドリブン経営は、発表は今になりましたが、既にかなり長い時間をかけて計画を練ってきております。
1年、2年かけてPDCAを回し、効果も検証した上で投資に入っていることをご理解いただきたい。
──純粋持ち株会社制をやめて事業会社に変わる理由は。
社名も「ヤマト運輸」に戻すのか。
長尾:今回の改革の1丁目1番地はお客さま基点のヤマトをもう一度作ろうということです。
それを実現をするために組織はどうあるべきかを検討した結果として、四つの事業本部を想定したわけです。
それを四つの会社に分けてしまうと、近年のヤマトグループを見ていても、やはり会社ごとにサイロ化してしまう可能性を否定できない。
まさに「大企業病」です。
それを打破するには、いったん一つのヤマトというものを作り上げて、1人の社長、一つの経営陣の下で、経営と現場が一体となって1丁目1番地を作り上げようということです。
1社化することで間接費を削減するというだけではなく、経営陣と事業、そして現場との階層を簡素化する。
経営と現場をいかに近くするかということに注力します。
社名はまだ決めていません。
──拠点網やグループの規模は現状維持か、それともスリム化していくのか。
長尾:拠点数に関しては、この数年で少し減らしました。
数年前まで約3900あったのが現在は約3700です。
意味のある店舗展開をしっかりと精査して適正化した結果です。
今後は必要なものは逆に増やします。
新しいソーティングシステムの展開を今年1年プラス3年の間に終わらせるつもりですが、そこでソーティング拠点を少し増やすことを検討しています。
一方、現状では同じ地域に各事業会社の拠点が重複しているケースもあるので、今回の事業統合である程度の集約が必要になってくるとみています。
また、足りないところは新規で出店することになりますが、トータルで見れば大きく増えるということにはならないと考えています。
人員についてもバックオフィス業務の削減、そして仕分けに関わる部分の省人化が、この1年プラス3年間で大きく効いてくる。
精査はこれからですが、基本的にトータルの人員数を増やすような計画は持っていません。
海外事業を整理して脱・自前主義 ──グローバル展開の方針をうかがいたい。
また新設する「グローバル法人事業部」はどういった役割を担うのか。
長尾:もちろん海外には力を入れます。
ただし、過去に展開してきた海外事業については、しっかり成果が出ているものと出ていないものに整理すべきと考えています。
昨年来その見極めをしてきました。
年内には整理整頓したい。
これまでは海外でも自前で宅急便をやろうと進めてきました。
しかし、「自力」や「自前」にこだわる時代ではもうなかろうと思います。
適切な海外のパートナーと一緒にビジネスを作っていく方が、よりスピーディーに、より良いビジネスを展開できる。
マレーシアであったりタイであったり、台湾もそうですが、既にこれからの展開が見えているパートナーもいます。
他にもいろいろ話をしているパートナーがいます。
そういったパートナーとの連携をうまく作ってアジアでの成長に力点を置いて進めていきます。
──「地域法人事業本部」の見通しと、法人事業強化に関するデジタル活用、小口配送とデータ基盤のところを詳しく。
長尾:地域法人事業本部は、グローバル法人事業本部が対象とする約200社以外で、宅急便として、かなりたくさんの荷物をお預かりさせていただいているお客さま、セールスドライバーではなく営業担当が向き合っている法人のお客さまが対象です。
その大多数とこれまでは宅急便だけの関係でした。
しかし、本来は宅急便として出てくる前に、商品・商材の調達であったり製造であったり、いろんな工程があるわけです。
そのバリューチェーンの上から下までを、ある程度パッケージ的にご提案していきます。
そのために数年前からヤマト運輸の法人営業部隊の増強とスキルアップに努めてきました。
そして昨年、ヤマト運輸の法人営業部隊とヤマトロジスティクスの営業部隊を合体させました。
今やBtoBも小口化が進んでいます。
当社が得意とする領域がバリューチェーンの下流だけではなく上流にも広がっています。
そこに対してデジタルで見える化して、お客さまが求めている情報をお返しする。
決済やブロックチェーンをはじめとしたいろんな技術を組み合わせてサービスを提供していく。
従来とは違う切り口でご契約ができる可能性があります。
「地域法人」は成長領域と想定しています。
──先ほどの質問にあった法人引っ越しだが再開のめどについてもう少し。
それともう1点、足下で利益が十分に出ていない原因をどう考えるか。
「大企業病」や「サイロ化」を課題として感じているとのことだったが、その辺り。
長尾:当社は引っ越しを「単身者向け」と「家族向け」に分けていますので、家族向けということでお話しますが、ご家族丸ごとの引っ越しサービスというのは、品揃えとしてやはり必要です。
それが2年も3年ご提供できないままというのは非常に問題ですので、一定の期間中には再開したい。
また、二つ目のご質問の社内的な問題は、身内の恥部を話すようで憚られるのですが、われわれも数年来そうした問題について社内で議論してきました。
私が現場にいた頃から、小倉昌男元会長は社内報などに「ヤマトは大企業病だ」と度々書いていた。
今は当時よりもっと深刻な状況ではなかろうかと思います。
お客さまを常に見ているか、お客さまの立ち場で考えているかということです。
社内の仕事をしていても、その仕事がお客さまにつながっているか、お客さまと向き合っている第一線の社員のためになっているか、ということを常に考える。
自分のセクションのことだけではなく、時には高い見地から全体を眺めてみる。
そうしたことが大事なのに、実際にはそうではないところが散見される。
それは社員の問題ではなく経営の問題だろう。
よって、経営構造を変えていく。
まず経営陣から、思想や考え方、行動を変えていく。
そうしない限り現場まで響いていかない。
それがわれわれ経営陣の問題意識です。
SDを本来の業務に特化させる ──新配送サービスはお届けする直前に変更可能ということだが、他にも個人にとってのメリットはあるのか。
また、海外では現地の事業者と連携していくということだが、日本国内の事業者との連携は具体的にどのようにするのか。
長尾:宅急便は全国一律のサービスです。
しかし、地域によってさまざまなサービスに対するニーズがあります。
例えば都内では、現行の宅急便が提供している時間帯とは違う時間帯にも届けてほしいとか、返品にも使いやすいものにできないかという声を聞きます。
もちろん宅急便として解決しないといけないところもあるのですが、先ほど申し上げたような制約もあり、すぐには改善できないこともある。
そうした部分をいち早く盛り込んでいく、早く手を動かし始めないといけないと考えています。
また、他の事業者との連携に関しては国内も海外と同じように考えています。
自力でやるだけではスピードが上がらない。
やれることにも限界がある。
われわれが持っている経営資源をうまくオープン化していけば、地域の同業のプレーヤーの方々といろんなビジネスを作れる。
サービスの幅を広げていけると考えています。
──質問の1点目として、24年3月期の営業利益1200億円以上という目標は相当にハードルが高いと感じる。
勝算や内訳を聞きたい。
2点目として今回の改革によって結局、何がどう変わるのか。
セールスドライバーの働き方や営業所の役割はどう変わるのか。
それを現場にどう伝えるのか。
長尾:この数年間、特に昨年から、経営構造改革について社内で大きく議論や分析をしてきました。
その中で、われわれが今直面している13の経営課題を特定しました。
そして、それぞれの課題について解決の手段、それによって得られる効果から、計画の目標値を導き出しました。
簡単な目標でないことは承知しています。
しかし、当てずっぽうではありません。
また、改革によって現場がどう変わるのか。
例えばここ数年でも、配達のルート組みに新しい仕組みを導入しました。
従来はドライバーが紙の伝票を見ながら、地図を見ながらルートを組んでいました。
それが今は彼らが携帯しているタブレット上に表示された地図とデータに従ってお届けできる。
彼らが見て「これ順番おかしい」という時には順番の組み替えも簡単にできる。
これで生産性が向上しました。
他にも彼らの手を止めている部分はまだまだあります。
例えば、今日の荷物のお届けに関してお客さまからいろいろな要望が来る。
それを今は出発する前に調べていかなくてはならない。
そうしたデジタル化できていない部分が残っています。
ソーティングシステムの導入にしても、営業所で2回目の仕分けをすることによって、彼らの出発時間が左右されてしまう、それをなくそうというのが一番の狙いです。
YAMATO NEXT 100は、現場からそのようなサービス提供以外の業務を全て取り除くための改革です。
それを現場と一緒になって進めていきます。
