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2020年1月号
特集

飲料配送の貨物毀損の取り扱い明確化

着荷主による運送会社いじめ  飲料配送は消費者側の要求レベルが非常に高く、慎重な運用が求められる。
荷主と物流事業者間のトラブルも多い。
この場合の荷主とは飲料メーカーだけではなく、スーパーやショッピングセンター、酒販店などの着荷主も含まれ、配送中に荷崩れなどが発生して貨物に毀損が生じると、毀損していない商品まで含めて運送事業者が損害賠償を求められるといったことが起きている。
 飲料はペットボトルや瓶など、商品自体が非常に重いため、段積みすると下段のダンボールが歪んだり、ふくれたりといったことが起きる。
ペットボトルや瓶が輸送中に破損して中身が漏れてしまうこともある。
問題は納品する商品の一部で毀損が発生しただけで、影響がないその他の商品まで着荷主から引き取りを拒否されてしまうケースがあることだ。
さらに酷い話だと、毀損していない商品も含めて損害賠償を求めるとともに、商品を全て引き取っていたというケースも報告されている。
 こういった問題に対し、国土交通省、国税庁、農林水産省、経済産業省、中小企業庁および公正取引委員会は2019年2月、「飲料配送研究会」を設置。
メーカー、卸、小売り、トラック事業者の各関係者や法律関係者などが同研究会に参画して、飲料配送に関する貨物の毀損範囲の決定や費用負担、廃棄方法などについて議論を重ねた。
 その検討結果を19年7月末に「飲料配送研究会報告書」として取りまとめた。
同報告書は飲料配送に関わる契約締結時や毀損が生じた場合の現場判断における基本的な考え方を次のように示している。
 まず包装資材(ダンボール)の扱い。
「商品である中身が毀損していなければ包装資材に傷や汚れがあっても、輸送・保管等に支障をきたす場合等を除いて、そのままの荷姿で販売することは許容されるべき」としている。
ダンボールが少し汚れていたり傷ついていても、中身の商品に問題なければ、そのままで販売すべきということだ(図1)。
 次は貨物の毀損範囲の判断について。
報告書では「包装資材の外観等から毀損範囲を推定する場合は、飲料メーカーにおいて合理性のある判断基準を作成して予め運送事業者との間で共有し、それに従って毀損範囲を決定」「判断基準が作成・共有されていない場合は、運送事業者と協議の上、毀損範囲を決定」との指針を示した。
 ただし、壊れている状態の線引きを明確にしておく必要がある。
1カ所が壊れていたら全体が壊れていると見なすのではなく、合理的に範囲を定める。
 廃棄の費用負担に関する基準については、「毀損に伴う損害賠償の対象範囲は、実際に毀損している商品」とする。
ただし、「包装資材の外観等から毀損範囲を推定する場合は、予め共有された判断基準に基づいて推定される毀損範囲を損害賠償の対象とする方法もとりうる」。
廃棄した部分については損害賠償すべきだが、それ以外の扱いについては個別に考える必要があるとしている。
 運送事業者が貨物の全額を賠償した場合は、運送事業者が貨物の所有権を取得するのが原則である。
一方、飲料メーカーがブランド維持の観点から毀損貨物を運送事業者に引き渡さない場合については「飲料メーカーが運送事業者から相当程度に減額された金額で買い戻す」もしくは「そもそも運送事業者が賠償する価額を相応に減額された金額とする」ことを契約で明文化するよう示している。
 この「飲料配送研究会報告書」の内容を踏まえ、国土交通省では標準貨物自動車運送約款における飲料配送に関わる取り扱いを明確にするための「適用細則」を定め、運送事業者へと通知している(図2)。
19年7月末に出たばかりの報告書と適用細則のため、全国各地での周知をさらに図る必要があると考えている。

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