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2020年1月号
特集

「東京2020TDM」が最初の試金石に

首都高の交通量を30%抑制  2020年の東京オリンピック・パラリンピック(東京2020大会)開催期間中は、大会関係者やマスコミは基本的に車で移動することになり、1日あたりの交通需要の増大が見込まれている。
これにより、何も対策を行わない場合は渋滞の悪化で経済活動や市民生活に影響すると考えられることから「2020TDM推進プロジェクト」として大会開催時の交通量の抑制や分散化を行うTDMを推進している。
大会前との比較で一般交通の交通量を10%抑制するという目標が掲げられている。
重点取り組み地区は30%減が目標だ。
 首都高も30%減だ。
選手などの移動は主に首都高を使うのでTDMの削減効果が十分でない場合は、その時間帯に渋滞する本線の料金所は閉鎖される可能性がある。
トラックを含め一般車両は一般道を使うしかないため、かなりの渋滞の発生が予想される。
何もしなければ当然ながら物流に大きな支障を来す。
都民の生活にも大きな影響が出る。
コンビニの棚から商品の3割がなくなると考えれば想像しやすいだろう。
それだけ深刻な話にもかかわらず一般的にはまだそれほど認知されていないのが実情だ。
 大会期間中の混雑を緩和して円滑な交通を維持するために、交通需要マネジメント(Transportation Demand Management:TDM)と交通システムマネジメント(Transportation System Management:TSM)が行われる。
 TDMとは、自動車の効率的利用や公共交通への利用転換など、交通行動の変更を促して、発生交通量の抑制や集中の平準化などといった交通需要の調整を行うことにより、道路交通混雑を緩和していく取り組みとなる。
またTSMとは、TDMにより、全体の交通量を減少させた上で、道路の交通混雑が想定される箇所において実効性を伴う通行抑制や通行制限を実施することにより、円滑な交通を維持する取り組みだ。
 実は東京2020大会のちょうど1年前に当たる19年7月、本番に向けたTDMとTSMのテストが行われた(図1)。
企業や関係各所に働きかけて、首都高の本線料金所への流入調整や入口の閉鎖、信号調整を伴う一般道路の交通対策などを実施した。
一定の効果はあったものの、交通量の減少は数パーセントにとどまり、目標の3割減とはほど遠い結果だった(図2)。
 しかし、それに先立ち19年6月末に開催された「大阪G20サミット」では、交通量の大幅な抑制が実現している。
多数の荷主企業が休日にすることにより物流を取りやめることやトラックによる日中の配送を日常生活に最低限必要な商品だけに限定して、その他は基本的に夜間配送にする、宅配便の日時指定を取りやめるといった取り組みを実施した。
その結果、物流量を4割減らすことができた。
ただし、これは交通規制が4日間に限られていたために、民間企業の経済活動や大阪府民の生活も耐えることができたと考えるべきだろう。
 それに対して、東京2020大会は7月24日から9月6日まで間に一部休みを挟むものの、1カ月以上にわたって開催される。
それだけの長期間にわたり物流を制限した生活を都民に強いることができるのかという大きな問題がある。
その一方、選手や観客の移動に支障を来すような事態が発生した場合には、東京2020大会は失敗だったという烙印を押されてしまうことになる。
 従って国土交通省としても、これから荷主や物流事業者に対してかなり踏み込んだ要請と理解をお願いしていくことになる。
ご承知の通り、われわれは今、物流の効率化や取引環境の適正化といった大きな枠組みの取り組みを中長期で進めているわけだが、その最初の試金石が東京においては2020年にやってくるという認識だ。
 先ほど、交通量の3割抑制は単純に言えばコンビニの棚に並ぶ商品が3割減ってしまうということだと申し上げたが、現実にそんなことが起きてしまえば、都民の生活が混乱するだけでなく、来日した外国人観光客たちに「東京って何もないところなんだ」という印象を持たれてしまう。
それはまた深刻な問題であることから、経済産業省や農林水産省などとも連携して対応を検討している。
 東京2020大会の大会輸送と経済活動の両立を図る方法を探るため、物流事業者へヒアリングしたところ、「輸送量の抑制は物流事業者の取り組みだけでは実現が難しい。
荷主企業など関係者の理解を得ることが必要不可欠」との声が多くあがった。
具体的な施策についてはこれからだが、例えば配送ルートの変更や納品頻度の見直しなど荷主企業と物流事業者のサプライチェーン全体が一体となって、早めに混雑を避ける準備が必要になるだろう。

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