2019年12月号
特集
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さよならコンベヤー 庫内風景が変わる
アマゾンロボティクスの新たな展開
2019年6月、米アマゾン・ドット・コムはラスベガスで開催した第1回AIカンファレンス「re:MARS」で、2種類の新型ロボットを発表した。
その一つ「Pegasus(ペガサス)」は、上部にベルトコンベヤーを搭載した無人搬送車だ。
出荷用の段ボール箱や袋を一つだけ乗せて仕分け間口まで搬送して掃き出す。
18年にデンバーのフルフィルメントセンターに800台以上を配備して、半年間で延べ150万マイル以上を走行したという(写真1)。
もう一つのロボット「Xanthus(ザンザス)」はペガサスよりも大型で、上部にパレットサイズのベルトコンベヤーや、空の通い箱を重ねて運ぶためのアタッチメントなど、さまざまな装置を搭載することができる(写真2)。
センター内の工程間搬送に使用するものとみられる。
同社のセンターには、作業員のいるピッキングステーションまで保管棚を運ぶGTP(Goods To Person)型の無人搬送車が、既に10万台以上配備されている。
12年に約800億円でKiva System(現・アマゾンロボティクス)を買収して同社を囲い込んで以来、日本を含め積極的に導入を進めてきた。
その台数は19年中に20万台に達するとみる業界関係者もいる。
運用の高度化も進んでいる。
現在、同社のセンターではロボットに搬送させる保管棚をフロアーに4列単位でまとめて配置している(写真3)。
アマゾンと同じKiva型ロボットを導入している他のセンターは通常2基配列だ。
4基配列にすればスペース効率は良くなるが、通路に面していない中2列の保管棚を取り出すのが難しくなる。
物流テクノロジースタートアップのGROUNDの宮田啓友社長は「私の知る限り他のロボットメーカーはどこも2基で回している。
われわれのパートナーのグレイオレンジ(GreyOrange)が初めて3基配列を実現したところだ。
4基配列はそれだけアマゾンのアルゴリズムが優れていることを意味している」と技術力の違いを認める。
そのアマゾンが、ロボット開発の矛先をKiva型のGTPから、新たに仕分けや工程間搬送の自動化に向け始めている。
Kivaの買収以来7年ぶりに物流ロボットスタートアップへの投資も再開した。
19年1月に自動運転フォークを開発するフランスのBalyoへの出資を発表したのに続き、4月には自動搬送カートを開発するスタートアップのCanvas Technologyの買収を発表した。
Kiva型以外の物流ロボットの活用において、アマゾンはこれまで必ずしもトップランナーとは言えなかった。
自動化率では中国のJD.com(京東商城)やアリババ傘下の菜鳥(Cainiao)に先を越され、「AutoStore」などのロボット倉庫や協働型ロボットとは距離を置いてきた。
Kivaの大量導入によるコストダウンと運用の高度化にひたすら邁進することで他社をリードしてきた。
同社がその戦略を転換したことで、物流自動化競争は新たな局面を迎えることになる。
アマゾンのライバルたちも既に動き出している。
グレイオレンジのジェフ・キャッシュマン上級副社長兼COOは「アマゾンに買収されてアマゾンロボティクスとなったKivaからは、誰もロボットを購入することができなくった。
それに対してわれわれは“買えるロボティクス”を提供してきた。
いわば“KIVAキラー”だ」と物流ロボット市場における同社のポジショニングを説明する。
自らを“ゲームチェンジャー”と呼ぶ同社は19年2月、独シュトゥットガルトで開催された「LogiMAT 2019」で新製品「The Flexo(フレクソ)」を発表した。
同社は日本ではKIva型ロボットメーカーとして知られているが、コンベヤー型の自動仕分け機でも60基を超える導入実績があるインドのトップベンダーだ。
フレクソでは、その機能をモジュラー型の「AMR(Autonomous Mobile Robot:自律移動ロボット)」を利用したシンプルな構成のシステムに置き換えた。
AIを搭載した独自の制御システムでAMRの動線を最適化することで1時間当たり最大1万2千個を処理する。
コンベヤー型と違って既存の建屋の構造に合わせて運用できるため、立ち上げまで4〜6週間しかかからない。
庫内レイアウトの柔軟な調整が可能で、投入するAMRの台数を増減することで波動にも対応する。
EC事業者や宅配会社のほか3PLもユーザーとして想定しているという。
仕分け機がロボットに置き換わる 三井物産グローバルロジスティクス(MGL)は19年3月、中国のロボット開発企業Zhejiang LiBiao Robot(LiBiao社)の自動仕分けシステムを日本で初めて導入した(写真4)。
チルトトレイを搭載した小型搬送ロボット『Mini yellow』が、最大38㎝×31㎝×25㎝・重量5㎏までの荷物を乗せて高速で仕分ける。
MGLは同システムの特徴を、「省スペースでの運用が可能」「ロボットが数台故障しても、全体の生産製に大きく影響しない堅牢性」「初期工事等が相対的に簡易であり、短期間での導入・立ち上げが可能」と説明している。
同社の他のセンターにも横展開していく計画で、同秋にはさらに2カ所の物流センターにも配備したという。
これまで高額なマテハン設備は、荷姿が決まっているメーカーか、膨大な物量を処理する大手流通業者にユーザーが限られていた。
物流会社は宅配会社・路線会社が仕分け機を利用する以外は、荷主が償却までの契約を保証しない限り投資に踏み切れなかった。
しかし、AIロボットを利用した最新のシステムは、不特定の荷主の仕事に対応する汎用性、別の倉庫に運べる可搬性がある。
従来型のマテハン設備と比べて費用対効果も優れている。
3PLをはじめとする物流会社にも手が出せる。
1メーター当たり10万円とも言われ、庫内レイアウトの制約にもなっていたコンベヤーを使わなくても自動化が可能になった。
ロボティクスの進化が庫内の風景をさらに変えていく。
その一つ「Pegasus(ペガサス)」は、上部にベルトコンベヤーを搭載した無人搬送車だ。
出荷用の段ボール箱や袋を一つだけ乗せて仕分け間口まで搬送して掃き出す。
18年にデンバーのフルフィルメントセンターに800台以上を配備して、半年間で延べ150万マイル以上を走行したという(写真1)。
もう一つのロボット「Xanthus(ザンザス)」はペガサスよりも大型で、上部にパレットサイズのベルトコンベヤーや、空の通い箱を重ねて運ぶためのアタッチメントなど、さまざまな装置を搭載することができる(写真2)。
センター内の工程間搬送に使用するものとみられる。
同社のセンターには、作業員のいるピッキングステーションまで保管棚を運ぶGTP(Goods To Person)型の無人搬送車が、既に10万台以上配備されている。
12年に約800億円でKiva System(現・アマゾンロボティクス)を買収して同社を囲い込んで以来、日本を含め積極的に導入を進めてきた。
その台数は19年中に20万台に達するとみる業界関係者もいる。
運用の高度化も進んでいる。
現在、同社のセンターではロボットに搬送させる保管棚をフロアーに4列単位でまとめて配置している(写真3)。
アマゾンと同じKiva型ロボットを導入している他のセンターは通常2基配列だ。
4基配列にすればスペース効率は良くなるが、通路に面していない中2列の保管棚を取り出すのが難しくなる。
物流テクノロジースタートアップのGROUNDの宮田啓友社長は「私の知る限り他のロボットメーカーはどこも2基で回している。
われわれのパートナーのグレイオレンジ(GreyOrange)が初めて3基配列を実現したところだ。
4基配列はそれだけアマゾンのアルゴリズムが優れていることを意味している」と技術力の違いを認める。
そのアマゾンが、ロボット開発の矛先をKiva型のGTPから、新たに仕分けや工程間搬送の自動化に向け始めている。
Kivaの買収以来7年ぶりに物流ロボットスタートアップへの投資も再開した。
19年1月に自動運転フォークを開発するフランスのBalyoへの出資を発表したのに続き、4月には自動搬送カートを開発するスタートアップのCanvas Technologyの買収を発表した。
Kiva型以外の物流ロボットの活用において、アマゾンはこれまで必ずしもトップランナーとは言えなかった。
自動化率では中国のJD.com(京東商城)やアリババ傘下の菜鳥(Cainiao)に先を越され、「AutoStore」などのロボット倉庫や協働型ロボットとは距離を置いてきた。
Kivaの大量導入によるコストダウンと運用の高度化にひたすら邁進することで他社をリードしてきた。
同社がその戦略を転換したことで、物流自動化競争は新たな局面を迎えることになる。
アマゾンのライバルたちも既に動き出している。
グレイオレンジのジェフ・キャッシュマン上級副社長兼COOは「アマゾンに買収されてアマゾンロボティクスとなったKivaからは、誰もロボットを購入することができなくった。
それに対してわれわれは“買えるロボティクス”を提供してきた。
いわば“KIVAキラー”だ」と物流ロボット市場における同社のポジショニングを説明する。
自らを“ゲームチェンジャー”と呼ぶ同社は19年2月、独シュトゥットガルトで開催された「LogiMAT 2019」で新製品「The Flexo(フレクソ)」を発表した。
同社は日本ではKIva型ロボットメーカーとして知られているが、コンベヤー型の自動仕分け機でも60基を超える導入実績があるインドのトップベンダーだ。
フレクソでは、その機能をモジュラー型の「AMR(Autonomous Mobile Robot:自律移動ロボット)」を利用したシンプルな構成のシステムに置き換えた。
AIを搭載した独自の制御システムでAMRの動線を最適化することで1時間当たり最大1万2千個を処理する。
コンベヤー型と違って既存の建屋の構造に合わせて運用できるため、立ち上げまで4〜6週間しかかからない。
庫内レイアウトの柔軟な調整が可能で、投入するAMRの台数を増減することで波動にも対応する。
EC事業者や宅配会社のほか3PLもユーザーとして想定しているという。
仕分け機がロボットに置き換わる 三井物産グローバルロジスティクス(MGL)は19年3月、中国のロボット開発企業Zhejiang LiBiao Robot(LiBiao社)の自動仕分けシステムを日本で初めて導入した(写真4)。
チルトトレイを搭載した小型搬送ロボット『Mini yellow』が、最大38㎝×31㎝×25㎝・重量5㎏までの荷物を乗せて高速で仕分ける。
MGLは同システムの特徴を、「省スペースでの運用が可能」「ロボットが数台故障しても、全体の生産製に大きく影響しない堅牢性」「初期工事等が相対的に簡易であり、短期間での導入・立ち上げが可能」と説明している。
同社の他のセンターにも横展開していく計画で、同秋にはさらに2カ所の物流センターにも配備したという。
これまで高額なマテハン設備は、荷姿が決まっているメーカーか、膨大な物量を処理する大手流通業者にユーザーが限られていた。
物流会社は宅配会社・路線会社が仕分け機を利用する以外は、荷主が償却までの契約を保証しない限り投資に踏み切れなかった。
しかし、AIロボットを利用した最新のシステムは、不特定の荷主の仕事に対応する汎用性、別の倉庫に運べる可搬性がある。
従来型のマテハン設備と比べて費用対効果も優れている。
3PLをはじめとする物流会社にも手が出せる。
1メーター当たり10万円とも言われ、庫内レイアウトの制約にもなっていたコンベヤーを使わなくても自動化が可能になった。
ロボティクスの進化が庫内の風景をさらに変えていく。
