2019年12月号
特集
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日立物流 「ECプラットフォームセンター」――完全自動化に挑むシェアリング拠点
自動化率72%でスタート
2019年9月23日、日立物流は埼玉県に「春日部ECプラットフォームセンター」を稼働した。
延べ床面積約二千坪のスペースに中国ギークプラス(GEEK+)社製のピッキングロボット「EVE」90台をはじめ、製函機・封かん機、チラシや納品書の封入機など、現時点で利用できる自動化設備を調べ上げてフルラインで導入、入庫から出荷までの作業の72%を自動化した。
最大処理能力は1時間当たり870箱・2800行。
朝9時から翌朝の5時まで1日20時間稼働する。
同社の中安良二営業開発本部デジタルビジネス開発部部長は「中小のEC事業者や新たにネット通販に乗り出した荷主を対象に、固定費なし、投資負担もなく最先端のフルフィルメントサービスを提供しようというコンセプトだ。
お客さまに代わって当社が投資をして、従量課金制でそれをシェアリングしてもらう。
その実現に当たっては標準化が課題だった。
仕様を標準化することで自動化を徹底する必要があった」という。
作業費と保管料の2本立てでシンプルな標準料金表を用意した。
荷主は契約から最短1カ月でサービスを開始できる。
商品マスターや出荷指示の仕組みが整っていれば稼働をさらに前倒しできるという。
さらに20年1月からは同じ施設の1階フロアの一部を、資本業務提携を結んでいるSGホールディングスグループの佐川急便が仕分けバースとして利用する。
集荷の必要がなくなり、通常よりも宅配便の出荷の締め時間を後ろ倒しにできる。
以下にその設備とオペレーションを見ていく。
●入出庫 入荷した商品はEVE用の保管棚に格納する。
すぐには出荷しない商品はパレット積みのままバッファエリアで保管する。
●製函 宅配便の100サイズ、80サイズ、60サイズに合わせた出荷箱を自動作成する。
完成した出荷箱の側面に、センター内のオペレーションで使用するバーコードを印字する。
●ピッキング ピッキングステーションは14基を設けている。
各ステーションでは作業員1人が一度に最大10間口×2段の計20オーダーの仕分けを処理する。
仕分け間口はそれぞれデジタル表示器とフラップゲートを備えている。
作業は仕分け間口に出荷箱をセットすることからスタートする。
間口に備え付けられたデジタル表示器に「000」と表示されていれば「大箱(100サイズ)」、「00」は「中箱(80サイズ)」、「0」なら「小箱(60サイズ)」を意味する。
オーダーの内容から荷物の容積を計算してシステムが箱の大きさを指定している。
作業員はまず仕分け間口のバーコードをスキャン。
上部を流れるコンベヤーからの出荷箱を取り出し、その側面に印字されたバーコードをスキャンして間口とひも付ける。
この時に箱のサイズが正しければ「中箱です」と自動音声が流れてフラップゲートが開く。
間違っていればブザーが鳴る。
出荷箱が全てセットできたらピッキングに移る。
EVEが運んできた保管棚の何段目のどの間口にピッキングする商品があるのか、モニターが視覚的に表示する。
作業員はそこから必要数を取り出す。
出荷箱に投入する時に商品のJANコードを読み込む。
正しければ「OK」と音声で知らせる。
同じ商品が複数ある場合でも1個ずつ全てスキャンする。
それによって後工程であらためて別の作業者が検品することを回避した。
現在、産業用カメラを開発するスタートアップをパートナーに、画像検品システムを検証している。
事前に商品の画像を撮影してマスター登録、ピッキングステーションで商品を出荷箱に投入する時点で、棚に設置したカメラでAIが商品を識別する。
商品のJANコードを一つ一つスキャンする作業が不要になる。
出荷箱に必要数を投入するとデジタル表示器のランプの色が赤から青に変わる。
全ての出荷箱の投入が完了したら、仕分け完了のバーコードをスキャン。
全てのゲートが上がる。
出荷箱を奥に押し出しコンベヤーに乗せる。
表示器のボタンを押してゲートを閉じ作業終了。
これを繰り返す。
同社の村上宏介営業開発本部部長補佐兼春日部ECPFセンター長は「同じ保管棚に複数のお客さまの商品が混在していて、なおかつ複数のお客さまのオーダーを一度に仕分けているが、作業員は決められた通りやるだけ。
どのお客さまの仕事なのか作業者が意識する必要は一切ない」と説明する。
現在はデジタル表示器やモニターを使用している作業指示を、プロジェクションピッキングに置き換えることを検討している。
保管棚からピッキングする間口、ピッキングした商品を投入する出荷箱側の間口の場所や個数をプロジェクターで指示する。
実用化できればフリップゲートは不要になる。
●緩衝材投入 緩衝材投入エリアの隣に検証スペースを設けて自動化を検証している。
出荷箱の中身を画像認識してロボットアームで隙間に緩衝材を詰める、ロール上の緩衝材を必要量だけカットして出荷箱の中に落とす、などさまざまな仕組みを試している。
●納品書投入 白紙のB5用紙に荷主のロゴや指定された文言を加えた納品書をその場で印刷投入する。
中安部長は「たくさんのお客さまにヒアリングして納品書のレイアウトを標準化する一方で、個別のお客さまの要望にも最大限対応する柔軟性を持たせた。
どうしても専用納品書を使いたい場合にはマニュアルで対応するが、ほとんどのお客さまは納得してくれる。
別の場所で専用納品書を印刷して出荷箱にセットする作業を回避する意味は大きい。
手間とミスがなくなる」という。
●出荷箱の封かん 出荷箱の中身の高さをセンサーが感知。
最適な高さに自動封かんする。
テープは使わずボンドで糊付けする。
●出荷箱の化粧 顧客の要望に応じて、出荷箱の両側面にロゴマークやECサイトのQRコード等を自動印刷する。
●宅配便送り状貼付 佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便の宅配大手3社の送り状をそれぞれ自動発行して出荷箱に貼付する。
また自動封かん機で高さを調整した出荷箱の大きさを宅配会社にデータで送信して正しいサイズの料金が適用されることを担保している。
●現場管理 人手を介する作業の様子を庫内31カ所に設置したカメラで撮影して記録している。
画像拡大すれば作業者が持つスマートフォンの画面表示まで確認できる。
現場管理者はモニターを通してその場にいながら全ての作業をリアルタイムで把握できる。
記録したデータは約1カ月間保管する。
WMSのデータと連係させることで作業者別の生産性の分析やトラブル時の状況把握に利用する他、荷主から問い合わせに対応する。
出荷ナンバーや日付、指示番号等から該当する映像を簡単に検索してエビデンスとして提示できる。
中安部長は「春日部ECPCは20年度の早い時期に満床化する計画。
最低でも10社以上が同居することになるだろう。
複数の荷主のシェアリングによって曜日や季節波動を吸収する効果を期待している。
ここで運用を確認した上で、次のステップではより大型の施設を立ち上げたい」という。
延べ床面積約二千坪のスペースに中国ギークプラス(GEEK+)社製のピッキングロボット「EVE」90台をはじめ、製函機・封かん機、チラシや納品書の封入機など、現時点で利用できる自動化設備を調べ上げてフルラインで導入、入庫から出荷までの作業の72%を自動化した。
最大処理能力は1時間当たり870箱・2800行。
朝9時から翌朝の5時まで1日20時間稼働する。
同社の中安良二営業開発本部デジタルビジネス開発部部長は「中小のEC事業者や新たにネット通販に乗り出した荷主を対象に、固定費なし、投資負担もなく最先端のフルフィルメントサービスを提供しようというコンセプトだ。
お客さまに代わって当社が投資をして、従量課金制でそれをシェアリングしてもらう。
その実現に当たっては標準化が課題だった。
仕様を標準化することで自動化を徹底する必要があった」という。
作業費と保管料の2本立てでシンプルな標準料金表を用意した。
荷主は契約から最短1カ月でサービスを開始できる。
商品マスターや出荷指示の仕組みが整っていれば稼働をさらに前倒しできるという。
さらに20年1月からは同じ施設の1階フロアの一部を、資本業務提携を結んでいるSGホールディングスグループの佐川急便が仕分けバースとして利用する。
集荷の必要がなくなり、通常よりも宅配便の出荷の締め時間を後ろ倒しにできる。
以下にその設備とオペレーションを見ていく。
●入出庫 入荷した商品はEVE用の保管棚に格納する。
すぐには出荷しない商品はパレット積みのままバッファエリアで保管する。
●製函 宅配便の100サイズ、80サイズ、60サイズに合わせた出荷箱を自動作成する。
完成した出荷箱の側面に、センター内のオペレーションで使用するバーコードを印字する。
●ピッキング ピッキングステーションは14基を設けている。
各ステーションでは作業員1人が一度に最大10間口×2段の計20オーダーの仕分けを処理する。
仕分け間口はそれぞれデジタル表示器とフラップゲートを備えている。
作業は仕分け間口に出荷箱をセットすることからスタートする。
間口に備え付けられたデジタル表示器に「000」と表示されていれば「大箱(100サイズ)」、「00」は「中箱(80サイズ)」、「0」なら「小箱(60サイズ)」を意味する。
オーダーの内容から荷物の容積を計算してシステムが箱の大きさを指定している。
作業員はまず仕分け間口のバーコードをスキャン。
上部を流れるコンベヤーからの出荷箱を取り出し、その側面に印字されたバーコードをスキャンして間口とひも付ける。
この時に箱のサイズが正しければ「中箱です」と自動音声が流れてフラップゲートが開く。
間違っていればブザーが鳴る。
出荷箱が全てセットできたらピッキングに移る。
EVEが運んできた保管棚の何段目のどの間口にピッキングする商品があるのか、モニターが視覚的に表示する。
作業員はそこから必要数を取り出す。
出荷箱に投入する時に商品のJANコードを読み込む。
正しければ「OK」と音声で知らせる。
同じ商品が複数ある場合でも1個ずつ全てスキャンする。
それによって後工程であらためて別の作業者が検品することを回避した。
現在、産業用カメラを開発するスタートアップをパートナーに、画像検品システムを検証している。
事前に商品の画像を撮影してマスター登録、ピッキングステーションで商品を出荷箱に投入する時点で、棚に設置したカメラでAIが商品を識別する。
商品のJANコードを一つ一つスキャンする作業が不要になる。
出荷箱に必要数を投入するとデジタル表示器のランプの色が赤から青に変わる。
全ての出荷箱の投入が完了したら、仕分け完了のバーコードをスキャン。
全てのゲートが上がる。
出荷箱を奥に押し出しコンベヤーに乗せる。
表示器のボタンを押してゲートを閉じ作業終了。
これを繰り返す。
同社の村上宏介営業開発本部部長補佐兼春日部ECPFセンター長は「同じ保管棚に複数のお客さまの商品が混在していて、なおかつ複数のお客さまのオーダーを一度に仕分けているが、作業員は決められた通りやるだけ。
どのお客さまの仕事なのか作業者が意識する必要は一切ない」と説明する。
現在はデジタル表示器やモニターを使用している作業指示を、プロジェクションピッキングに置き換えることを検討している。
保管棚からピッキングする間口、ピッキングした商品を投入する出荷箱側の間口の場所や個数をプロジェクターで指示する。
実用化できればフリップゲートは不要になる。
●緩衝材投入 緩衝材投入エリアの隣に検証スペースを設けて自動化を検証している。
出荷箱の中身を画像認識してロボットアームで隙間に緩衝材を詰める、ロール上の緩衝材を必要量だけカットして出荷箱の中に落とす、などさまざまな仕組みを試している。
●納品書投入 白紙のB5用紙に荷主のロゴや指定された文言を加えた納品書をその場で印刷投入する。
中安部長は「たくさんのお客さまにヒアリングして納品書のレイアウトを標準化する一方で、個別のお客さまの要望にも最大限対応する柔軟性を持たせた。
どうしても専用納品書を使いたい場合にはマニュアルで対応するが、ほとんどのお客さまは納得してくれる。
別の場所で専用納品書を印刷して出荷箱にセットする作業を回避する意味は大きい。
手間とミスがなくなる」という。
●出荷箱の封かん 出荷箱の中身の高さをセンサーが感知。
最適な高さに自動封かんする。
テープは使わずボンドで糊付けする。
●出荷箱の化粧 顧客の要望に応じて、出荷箱の両側面にロゴマークやECサイトのQRコード等を自動印刷する。
●宅配便送り状貼付 佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便の宅配大手3社の送り状をそれぞれ自動発行して出荷箱に貼付する。
また自動封かん機で高さを調整した出荷箱の大きさを宅配会社にデータで送信して正しいサイズの料金が適用されることを担保している。
●現場管理 人手を介する作業の様子を庫内31カ所に設置したカメラで撮影して記録している。
画像拡大すれば作業者が持つスマートフォンの画面表示まで確認できる。
現場管理者はモニターを通してその場にいながら全ての作業をリアルタイムで把握できる。
記録したデータは約1カ月間保管する。
WMSのデータと連係させることで作業者別の生産性の分析やトラブル時の状況把握に利用する他、荷主から問い合わせに対応する。
出荷ナンバーや日付、指示番号等から該当する映像を簡単に検索してエビデンスとして提示できる。
中安部長は「春日部ECPCは20年度の早い時期に満床化する計画。
最低でも10社以上が同居することになるだろう。
複数の荷主のシェアリングによって曜日や季節波動を吸収する効果を期待している。
ここで運用を確認した上で、次のステップではより大型の施設を立ち上げたい」という。
