2023年5月号
特集
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2030年の都道府県別トラック輸送需給
荷物の3分の1が運べなくなる
野村総合研究所(NRI)のモビリティ・ロジスティクスグループは今年1月、「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方〜地域別ドライバー不足数の将来推計と共同輸配送の効用〜」と題した独自調査レポートをまとめた。
物流の2024年問題でドライバー不足の深刻化が懸念されることから、実際にどのくらい運べなくなるのか、地域別にはどこか厳しくなるのかを調べた。
2020年〜30年の全国のトラックドライバー数の推移を、5歳刻みの年齢階級別に推計。
30年のドライバー数を15年比で65%となる約42万人と予想した(図表1)。
それを基に各都道府県のドライバー数が全国値に占める構成比(15年実績値)と将来人口推計を加味して、将来のドライバー数を推計した。
一方、20年〜30年のトラック輸送需要は、GDPと全国の出荷貨物量の実績値の推移をベースに、今後もGDPの増加と商品の高付加価値化は進むと仮定して、30年の重量ベースの貨物量を対15年比27・4%減となる年間18億3468万トンと予測した(図表2)。
その結果、自営転換(自家用トラックから営業用トラックへの転換)が従来通りのペースで進んでも、営業用トラックが運ぶ貨物量は今後、緩やかに減っていき、30年には対15年比で19%減少すると予測した。
(図表3)その数値を営業用トラックの平均積載量で除して必要な運行数を計算、15年度のドライバー1人当たり運行数を基に必要なドライバー数を求めた。
その結果、全国のドライバーの需給は20年時点で既にマイナス4%となっており、仮に24年問題がなかった場合でも、25年にはマイナス10%、30年にはマイナス19%に拡大することが分かった。
さらに24年問題の影響(ドライバーの年間残業時間の上限規制による1人当たり運行数の減少)を加味したシナリオでは、需給ギャップは25年にマイナス28%、30年にはマイナス35%に達する。
つまり3分の1の荷物が運べなくなるという分析結果となった(図表4)。
多数の地方市町村が“離島化” ただし、ドライバー不足の影響は全国一律ではない。
東北や四国などの地方部でよりひっ迫する。
東北における需給ギャップを見ると、例えば30年に秋田県では約46%の貨物が運べなくなる(図表5)。
さらに秋田県内でも人口密度の高い市町村の配送を優先的に維持した場合には、25市町村のうち約8割の自治体が離島と同様の扱いになり、割増料金や運送頻度の低下など運送サービスの質が低下する恐れがある(図表6)。
四国も同様だ。
30年に高知県では約42%の荷物が運べなくなる(図表7)。
高知県内で相対的に人口密度が高い高知市、南国市の配送を維持した場合には、34市町村のうち約9割の自治体が“離島化”する恐れがある(図表8)。
輸配送の共同化は、運送サービスを持続可能なものとするための有効な対策になり得る。
営業用トラックの積載効率(輸送トンキロ/能力トンキロ)は2000年代の50%前後から現在は約38%まで低下している。
共同輸配送は地方部における運送サービスの維持のみならず、積載効率の向上によってドライバーの労働生産性を引き上げる効果も期待できる。
政府の「総合物流施策大綱(2021年度〜2025年度)」では、「共同輸配送のさらなる展開」をはじめとする「労働生産性の改善に向けた革新的な取組の推進」によって、2025年度にはトラックの積載効率を50%まで改善するという目標が掲げられている。
これが実現すれば、24年問題を加味したシナリオで、25年にマイナス28%だった全国ベースの需給ギャップがマイナス6%まで改善される。
さらに30年に積載効率が55%まで回復すれば、マイナス35%の需給ギャップが、マイナス7%に縮小する。
20年時点と大きく変わらないレベルを維持できることになる。
地方部の改善効果も大きい。
例えば東北の秋田県では30年のベースシナリオで需給ギャップが46%に達しているが、共配拡大シナリオではそれがマイナス22%に改善される。
同様に四国・高知県では、マイナス42%がマイナス17%になる。
全国平均との差は依然として大きいものの積載効率の向上と、それを可能にする共同化が決定的に重要であることは明らかだ。
共同輸配送の現状・課題・進め方 NRIモビリティ・ロジスティクスグループは2020年12月に、共同物流の実施状況とニーズに関するインターネット調査を実施している。
「企業で物流に関わる方」を対象とするアンケート調査を行い425の有効回答を得た。
その結果、共同輸配送の利用ニーズはやはり、北海道、東北、四国などの地方部で高くなっている(図表9)。
地域別の物流課題(最も当てはまるもの)を尋ねた設問でも、北海道、東北、四国は、「積載率が低い」こと、「輸送料金が高い」ことを特に問題視する傾向にあった(図表10)。
一方、同業者との共同輸配送を「実施している」との回答は全体の19%にとどまった。
「過去に検討したが、実施には至っていない」との回答が24%に上り、残り57%は検討自体していなかった。
異業種との共同輸配送は、「実施している」が14%、「過去に検討したが、実施には至っていない」が23%、「検討していない」が63%だった(図表なし)。
同アンケート調査では、同業他社/異業種による共同輸配送を実施していない理由(当てはまるものすべて)も尋ねた(図表11)。
共同化が進まない一番の理由は、「配送条件の面で共同輸配送パートナーが見つからないため」であり、「潜在的なパートナーとのマッチング機会がないため」「希望地域に共同輸配送のパートナーが存在しないため」が上位に並んだ。
つまり、共同化の相手が見つからないことが最大の理由であった。
共同化を進めるにはまず、対象地域・ルートを決めて相手を見つけることが必要であり、それには各社の物流の実態を可視化して、共同化の可否を判断できる状態にすることが必須である。
その上で、共同輸配送のルールを作り、実験などを経て運用へと進んでいく。
図表12にその取り組み概要を整理した。
NRIでは輸送の共同化を、物流の持続可能性を担保するための不可欠な対策と位置付け、今後も提言を続けていく考えだ。
物流の2024年問題でドライバー不足の深刻化が懸念されることから、実際にどのくらい運べなくなるのか、地域別にはどこか厳しくなるのかを調べた。
2020年〜30年の全国のトラックドライバー数の推移を、5歳刻みの年齢階級別に推計。
30年のドライバー数を15年比で65%となる約42万人と予想した(図表1)。
それを基に各都道府県のドライバー数が全国値に占める構成比(15年実績値)と将来人口推計を加味して、将来のドライバー数を推計した。
一方、20年〜30年のトラック輸送需要は、GDPと全国の出荷貨物量の実績値の推移をベースに、今後もGDPの増加と商品の高付加価値化は進むと仮定して、30年の重量ベースの貨物量を対15年比27・4%減となる年間18億3468万トンと予測した(図表2)。
その結果、自営転換(自家用トラックから営業用トラックへの転換)が従来通りのペースで進んでも、営業用トラックが運ぶ貨物量は今後、緩やかに減っていき、30年には対15年比で19%減少すると予測した。
(図表3)その数値を営業用トラックの平均積載量で除して必要な運行数を計算、15年度のドライバー1人当たり運行数を基に必要なドライバー数を求めた。
その結果、全国のドライバーの需給は20年時点で既にマイナス4%となっており、仮に24年問題がなかった場合でも、25年にはマイナス10%、30年にはマイナス19%に拡大することが分かった。
さらに24年問題の影響(ドライバーの年間残業時間の上限規制による1人当たり運行数の減少)を加味したシナリオでは、需給ギャップは25年にマイナス28%、30年にはマイナス35%に達する。
つまり3分の1の荷物が運べなくなるという分析結果となった(図表4)。
多数の地方市町村が“離島化” ただし、ドライバー不足の影響は全国一律ではない。
東北や四国などの地方部でよりひっ迫する。
東北における需給ギャップを見ると、例えば30年に秋田県では約46%の貨物が運べなくなる(図表5)。
さらに秋田県内でも人口密度の高い市町村の配送を優先的に維持した場合には、25市町村のうち約8割の自治体が離島と同様の扱いになり、割増料金や運送頻度の低下など運送サービスの質が低下する恐れがある(図表6)。
四国も同様だ。
30年に高知県では約42%の荷物が運べなくなる(図表7)。
高知県内で相対的に人口密度が高い高知市、南国市の配送を維持した場合には、34市町村のうち約9割の自治体が“離島化”する恐れがある(図表8)。
輸配送の共同化は、運送サービスを持続可能なものとするための有効な対策になり得る。
営業用トラックの積載効率(輸送トンキロ/能力トンキロ)は2000年代の50%前後から現在は約38%まで低下している。
共同輸配送は地方部における運送サービスの維持のみならず、積載効率の向上によってドライバーの労働生産性を引き上げる効果も期待できる。
政府の「総合物流施策大綱(2021年度〜2025年度)」では、「共同輸配送のさらなる展開」をはじめとする「労働生産性の改善に向けた革新的な取組の推進」によって、2025年度にはトラックの積載効率を50%まで改善するという目標が掲げられている。
これが実現すれば、24年問題を加味したシナリオで、25年にマイナス28%だった全国ベースの需給ギャップがマイナス6%まで改善される。
さらに30年に積載効率が55%まで回復すれば、マイナス35%の需給ギャップが、マイナス7%に縮小する。
20年時点と大きく変わらないレベルを維持できることになる。
地方部の改善効果も大きい。
例えば東北の秋田県では30年のベースシナリオで需給ギャップが46%に達しているが、共配拡大シナリオではそれがマイナス22%に改善される。
同様に四国・高知県では、マイナス42%がマイナス17%になる。
全国平均との差は依然として大きいものの積載効率の向上と、それを可能にする共同化が決定的に重要であることは明らかだ。
共同輸配送の現状・課題・進め方 NRIモビリティ・ロジスティクスグループは2020年12月に、共同物流の実施状況とニーズに関するインターネット調査を実施している。
「企業で物流に関わる方」を対象とするアンケート調査を行い425の有効回答を得た。
その結果、共同輸配送の利用ニーズはやはり、北海道、東北、四国などの地方部で高くなっている(図表9)。
地域別の物流課題(最も当てはまるもの)を尋ねた設問でも、北海道、東北、四国は、「積載率が低い」こと、「輸送料金が高い」ことを特に問題視する傾向にあった(図表10)。
一方、同業者との共同輸配送を「実施している」との回答は全体の19%にとどまった。
「過去に検討したが、実施には至っていない」との回答が24%に上り、残り57%は検討自体していなかった。
異業種との共同輸配送は、「実施している」が14%、「過去に検討したが、実施には至っていない」が23%、「検討していない」が63%だった(図表なし)。
同アンケート調査では、同業他社/異業種による共同輸配送を実施していない理由(当てはまるものすべて)も尋ねた(図表11)。
共同化が進まない一番の理由は、「配送条件の面で共同輸配送パートナーが見つからないため」であり、「潜在的なパートナーとのマッチング機会がないため」「希望地域に共同輸配送のパートナーが存在しないため」が上位に並んだ。
つまり、共同化の相手が見つからないことが最大の理由であった。
共同化を進めるにはまず、対象地域・ルートを決めて相手を見つけることが必要であり、それには各社の物流の実態を可視化して、共同化の可否を判断できる状態にすることが必須である。
その上で、共同輸配送のルールを作り、実験などを経て運用へと進んでいく。
図表12にその取り組み概要を整理した。
NRIでは輸送の共同化を、物流の持続可能性を担保するための不可欠な対策と位置付け、今後も提言を続けていく考えだ。
