2023年5月号
特集
特集
佐川急便 東京〜九州のハンドル時間をフェリーで短縮
フェリーを活用した輸送環境を整備
佐川急便は2021年7月に就航した横須賀と新門司を結ぶフェリーを活用した宅配貨物の東京~九州幹線輸送を実施している。
東京・江東区のXフロンティアから横須賀フェリーターミナルへ陸送した後に約1010キロを海上輸送し、新門司フェリーターミナル到着後は約70キロ離れた福岡センターへと運ぶ。
それまで主にツーマンのトラック運行で運んでいた約1100キロの幹線輸送の一部をフェリーへとシフトしたことで、実施から半年間の実績集計では同一区間を陸送した場合と比べてトラックドライバーの運転時間を約86%削減している。
佐川急便では24年を見据え、従来型の運び方では時間外労働の上限規制を超えてしまうような長距離輸送の路線での改革を数年前から本格的に進めてきた。
宅配事業の幹線輸送はその大半を協力会社が担っているため、持続可能な環境を提供する必要があるからだ。
東京~九州間などの長距離輸送に関してはトラックなどのツーマン運行に加えて、幹線を鉄道や海上へと切り替えることが有効な対策になる。
鉄道輸送を積極的に活用してきたが、ダイヤや枠の関係もあって、現在以上の鉄道利用拡大は難しい状況にあった。
トラックや鉄道に続くもう一つの輸送モードとして、フェリーを活用した東京~九州間の輸送環境を整備すべく検討を進めてきた。
長距離フェリー会社との相談や交渉を経た18年末に新日本海フェリーや阪九フェリーなどで構成されるSHKライングループが横須賀港~新門司港間の航路計画を発表。
19年に運航を担う東京九州フェリーが新たに設立され、21年7月に横須賀~新門司航路が月曜日から土曜日の週6便で就航した。
就航している船舶はいずれも航海速力約28ノットの高速船でトラック積載台数は約160台。
佐川急便は就航と同時に約20台から利用を開始した。
その後も徐々に利用台数を増やしていき、現在は約30台分がフェリーで輸送されている。
宅配貨物を東京から九州までフェリーで幹線輸送する場合に重要となる要素は大きく二つある。
フェリーの航行時間とフェリーターミナルの出発時刻と到着時刻だ。
東京~九州の宅配便は翌々日配達というサービス定義があるため、宅配貨物を翌々日に配達するには、佐川急便の東京側の拠点を夜間に出発してフェリーターミナルからフェリーへと接続し、フェリーは翌日の夜には九州側のフェリーターミナルから中継拠点へと到着する必要がある。
翌日夜に着地の福岡センターで九州各地への荷物を仕分けして出発できないと、翌々日朝までに南九州を含む九州各地の配達店に着かないからだ。
東京九州フェリーの東京~九州航路は横須賀フェリーターミナルを23時45分に出発し、新門司フェリーターミナルには翌日の21時に到着する。
瀬戸内海ではなく四国南側を航行することで速度を確保し、21時間程度で横須賀港と新門司港を結んでいる。
この運航ダイヤなら通常のトラック幹線輸送とほぼ同様の拠点運用で横須賀港を出発するフェリーへと接続することができる。
フェリーに乗せる車両の運用は協力会社によって異なるが、大型トラックやシャーシのみを無人航送するパターンが最もメリットを享受できる。
東京と九州の双方に営業所がある会社なら、大型トラックを無人航送する運用ができる。
トレーラーの場合は連絡協定を結ぶことでヘッドレスシャーシ無人航送を行い、東京側と九州側で異なる運送会社がシャーシを運ぶこともできる。
ドライバー労働時間の管理をしっかりと行えるという面からもフェリー活用の利点は多い。
長距離のトラック幹線輸送は今後さらに実施が難しくなる可能性もあるため、フェリー利用を検討している協力会社は増加傾向にあるという。
「協力会社の皆さまが運びやすい環境を作ることは、私たちの重要な仕事の一つ。
東京~九州のフェリーもそうした環境構築の一環として取り組んできた」と輸送ネットワーク部の西井茂部長は説明する。
22年8月からは東京九州フェリーを活用した幹線共同輸送の取り組みを日本郵便と開始している。
Xフロンティアを夕方に出た佐川急便の協力会社のセミトレーラーが新東京郵便局に立ち寄り、日本郵便が関東近郊で引き受けた九州向け郵便物などを積み合わせてから、横須賀港に向かいシャーシのみをフェリー輸送。
翌日の21時に新門司港に到着したら日本郵便の新福岡郵便局を経て、佐川急便の福岡センターへ向かうという運用だ。
「荷役分離」を拡大 東京~九州間のフェリー輸送では佐川急便が近年進めてきた「荷役分離」の仕組みも一部で有効活用されている。
荷役分離は幹線輸送におけるドライバー作業の緩和を目的に進めている取り組みで、荷室を切り離せるスワップボディやトレーラーなどを活用し、従来はドライバー1人の通し業務となっていた積込み、運行、荷降ろしから荷役部分を切り離すことでドライバーの労働時間を短縮する。
拠点でトレーラーシャーシなどの荷室に荷物を積んでおき、ドライバーが車両で拠点に到着したら接続して出発する。
20年ごろからドライバー拘束時間が長いコースをピックアップして集中的に荷役分離や中継方式の変更といった対策を実施しており、今年中に改善が必要なコースへの対応をほぼ完了させる計画だという。
拠点のデジタル化と自動化による効率化も加速させている。
「路線積み込みではバーコードリーダーを用いた効率化を進めている。
コンベヤを流れてくる荷物のバーコードを読み取って自動で積み込み入力を行う機器を導入し、ドライバーの作業負荷を軽減させている」と輸送ネットワーク部の佐藤諒平輸送企画課課長は話す。
仕分け業務の自動化なども本格的に進めている。
庫内スタッフは曜日や時間によって十分な人員を配置できず、想定外の時間がかかってしまうケースがある。
仕分け業務を一部機械化し、安定した時間での積み込みや荷降ろしを実現してトラックを出発させることでドライバーの拘束時間を短縮させている。
「2024年問題に関しては今年の取り組みがキーになると思っている。
拠点能力の強化なども含めて、ドライバーが輸送業務に専念できるような環境の構築に力を入れていきたい」と西井部長は語り、今後も複数の施策を組み合わせた各種効率化を実施していく。
東京・江東区のXフロンティアから横須賀フェリーターミナルへ陸送した後に約1010キロを海上輸送し、新門司フェリーターミナル到着後は約70キロ離れた福岡センターへと運ぶ。
それまで主にツーマンのトラック運行で運んでいた約1100キロの幹線輸送の一部をフェリーへとシフトしたことで、実施から半年間の実績集計では同一区間を陸送した場合と比べてトラックドライバーの運転時間を約86%削減している。
佐川急便では24年を見据え、従来型の運び方では時間外労働の上限規制を超えてしまうような長距離輸送の路線での改革を数年前から本格的に進めてきた。
宅配事業の幹線輸送はその大半を協力会社が担っているため、持続可能な環境を提供する必要があるからだ。
東京~九州間などの長距離輸送に関してはトラックなどのツーマン運行に加えて、幹線を鉄道や海上へと切り替えることが有効な対策になる。
鉄道輸送を積極的に活用してきたが、ダイヤや枠の関係もあって、現在以上の鉄道利用拡大は難しい状況にあった。
トラックや鉄道に続くもう一つの輸送モードとして、フェリーを活用した東京~九州間の輸送環境を整備すべく検討を進めてきた。
長距離フェリー会社との相談や交渉を経た18年末に新日本海フェリーや阪九フェリーなどで構成されるSHKライングループが横須賀港~新門司港間の航路計画を発表。
19年に運航を担う東京九州フェリーが新たに設立され、21年7月に横須賀~新門司航路が月曜日から土曜日の週6便で就航した。
就航している船舶はいずれも航海速力約28ノットの高速船でトラック積載台数は約160台。
佐川急便は就航と同時に約20台から利用を開始した。
その後も徐々に利用台数を増やしていき、現在は約30台分がフェリーで輸送されている。
宅配貨物を東京から九州までフェリーで幹線輸送する場合に重要となる要素は大きく二つある。
フェリーの航行時間とフェリーターミナルの出発時刻と到着時刻だ。
東京~九州の宅配便は翌々日配達というサービス定義があるため、宅配貨物を翌々日に配達するには、佐川急便の東京側の拠点を夜間に出発してフェリーターミナルからフェリーへと接続し、フェリーは翌日の夜には九州側のフェリーターミナルから中継拠点へと到着する必要がある。
翌日夜に着地の福岡センターで九州各地への荷物を仕分けして出発できないと、翌々日朝までに南九州を含む九州各地の配達店に着かないからだ。
東京九州フェリーの東京~九州航路は横須賀フェリーターミナルを23時45分に出発し、新門司フェリーターミナルには翌日の21時に到着する。
瀬戸内海ではなく四国南側を航行することで速度を確保し、21時間程度で横須賀港と新門司港を結んでいる。
この運航ダイヤなら通常のトラック幹線輸送とほぼ同様の拠点運用で横須賀港を出発するフェリーへと接続することができる。
フェリーに乗せる車両の運用は協力会社によって異なるが、大型トラックやシャーシのみを無人航送するパターンが最もメリットを享受できる。
東京と九州の双方に営業所がある会社なら、大型トラックを無人航送する運用ができる。
トレーラーの場合は連絡協定を結ぶことでヘッドレスシャーシ無人航送を行い、東京側と九州側で異なる運送会社がシャーシを運ぶこともできる。
ドライバー労働時間の管理をしっかりと行えるという面からもフェリー活用の利点は多い。
長距離のトラック幹線輸送は今後さらに実施が難しくなる可能性もあるため、フェリー利用を検討している協力会社は増加傾向にあるという。
「協力会社の皆さまが運びやすい環境を作ることは、私たちの重要な仕事の一つ。
東京~九州のフェリーもそうした環境構築の一環として取り組んできた」と輸送ネットワーク部の西井茂部長は説明する。
22年8月からは東京九州フェリーを活用した幹線共同輸送の取り組みを日本郵便と開始している。
Xフロンティアを夕方に出た佐川急便の協力会社のセミトレーラーが新東京郵便局に立ち寄り、日本郵便が関東近郊で引き受けた九州向け郵便物などを積み合わせてから、横須賀港に向かいシャーシのみをフェリー輸送。
翌日の21時に新門司港に到着したら日本郵便の新福岡郵便局を経て、佐川急便の福岡センターへ向かうという運用だ。
「荷役分離」を拡大 東京~九州間のフェリー輸送では佐川急便が近年進めてきた「荷役分離」の仕組みも一部で有効活用されている。
荷役分離は幹線輸送におけるドライバー作業の緩和を目的に進めている取り組みで、荷室を切り離せるスワップボディやトレーラーなどを活用し、従来はドライバー1人の通し業務となっていた積込み、運行、荷降ろしから荷役部分を切り離すことでドライバーの労働時間を短縮する。
拠点でトレーラーシャーシなどの荷室に荷物を積んでおき、ドライバーが車両で拠点に到着したら接続して出発する。
20年ごろからドライバー拘束時間が長いコースをピックアップして集中的に荷役分離や中継方式の変更といった対策を実施しており、今年中に改善が必要なコースへの対応をほぼ完了させる計画だという。
拠点のデジタル化と自動化による効率化も加速させている。
「路線積み込みではバーコードリーダーを用いた効率化を進めている。
コンベヤを流れてくる荷物のバーコードを読み取って自動で積み込み入力を行う機器を導入し、ドライバーの作業負荷を軽減させている」と輸送ネットワーク部の佐藤諒平輸送企画課課長は話す。
仕分け業務の自動化なども本格的に進めている。
庫内スタッフは曜日や時間によって十分な人員を配置できず、想定外の時間がかかってしまうケースがある。
仕分け業務を一部機械化し、安定した時間での積み込みや荷降ろしを実現してトラックを出発させることでドライバーの拘束時間を短縮させている。
「2024年問題に関しては今年の取り組みがキーになると思っている。
拠点能力の強化なども含めて、ドライバーが輸送業務に専念できるような環境の構築に力を入れていきたい」と西井部長は語り、今後も複数の施策を組み合わせた各種効率化を実施していく。
