2023年6月号
特集
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C&Fロジホールディングス 綾 宏将 社長 「難しいコースほど自分たちの車を走らせる」
年間1800本の幹線便を自社化
──チルドの名糖運輸とフローズンのヒューテックノオリンが経営統合して2015年にC&Fロジホールディングスが誕生しました。
経営統合は何をもたらしましたか。
「当社の売り上げの9割は食品物流が占めています。
食品の流通は過去30年間にわたり寡占化が進んできました。
量販なり、コンビニなり、ドラッグなりが大きくなっていった。
それに物流はどう対応するのかというのが大きな流れでした。
一方で『人は減るぞ。
足りなくなるぞ』と言われていた。
そうしたリスクに直面しながらも、従来のわれわれは内向きというか、硬直的なところがあった。
大きな環境の変化になかなか反応できていなかった。
それを変えようということが背景にあって、統合に至りました」 「実際、2社が一緒になったことで、そうした環境変化を考えることが当たり前にできるようになりました。
2社の管理系の業務をホールディングスに集約して、人事制度や会計の仕組みなど2社のうち良い方に寄せる、それでは目的に届かない場合にはまったく新しいものを作りました。
その結果、当社の仕事のやり方は大きく変わりました。
効率化も進みました。
ガバナンスやSDGsなど時代の要請に応える体制もとれるようになってきた。
統合がなかったらとてもそこまでのスピードは出せなかったはずです」 ──物流現場の働き方改革が求められています。
「行政主導でどこまで本当に進むのか、数年前までは半信半疑なところもありましたが、今は『これはやっていくしかない』と実感しています。
ルールを順守しないとわれわれは仕事を続けられません。
それだけはっきりとした指針、施策、現実的な指導が続いている。
物流会社だけでなく荷主にも対応が要請されています。
これまでの物流業界の常識は見直さざるを得ません」 ──ドライバーの労務改革という点でC&Fロジは世間に先行して動いてきた印象があります。
「当社にとっては自分たちの問題ですから。
協力会社にお願いしているのとは違います」 ──自社配送比率が高い。
「名糖もヒューテックも従来から、少なくともコースの6割は自分たちで走れという感覚でした。
しかも10コースあったら、その中の“きつい”コースを自分たちが走る。
自分たちができないことを協力会社に求めてはいけないと先輩たちから教えられてきました。
そうしないと長く続けられない。
協力会社ができないとなれば結局、自分たちでやらなければならないわけですから」 ──他の食品物流大手は傭車がメーンです。
「名糖運輸は乳業メーカーの運送会社として始まりましたから当初からずっと自分たちでクルマを走らせるのが当たり前という世界でした。
その後、共同配送を全国に展開していく上で足りないところだけを協力会社に依頼していった」 「一方のヒューテックは倉庫業として出発しましたが、後発であったため内陸部の倉庫から始まった。
湾岸にある冷凍倉庫は主に原料を扱い、大ロットで荷物が動きます。
しかし、内陸部ではそうはいかないので、ヒューテックは商品を保管するだけでなく、商品を預かってからお届けするまで、低温環境で温度管理の品質をしっかり守ることを仕事にした」 「そのため全てを完全に自分たちの手の中に置きました。
自分たちの仕事のタイミングで、自分たちで荷物を積み付けて、自分たちのクルマで運ぶ。
そうすることで、お客さまからお預かりした商品のトレース履歴をお示しすることができる。
つまりフローズンでも運ぶことが仕事でした。
ただし、物流には繁閑があるので、それを補え合えるところは協力会社と一緒にやる。
あるいは長距離の帰りが空いている部分を共有するといった協力体制をお願いしてきました」 運べないリスクを回避するノウハウ ──前中期経営計画(19〜21年度)では「幹線の自社化」を進めました。
関東を起点に年間約1800本の幹線輸送を自社化して、一部の路線では中継輸送を採用した。
「これまで当社はフローズンもチルドも地域共配、二次輸送を得意としていて、幹線は傭車の比率が高かった。
しかし、24年問題をはじめ車両不足で最も大きな影響が出ているのが長距離です。
協力会社から『もうこの路線は走れない』『これまでのやり方では無理』との声が上がるようになった」 「われわれとしても、自分たちができないことを協力会社に無理強いするわけにはいきません。
では、どうすれば運べるかと考えて(高速のサービスエリアなどで双方から来たドライバーが車両を乗り換える)スイッチ運行を実施したり中継センターを作ったり、自分たちのクルマを増やせる場所は増やしたりしています」 ──運賃が上がるのでは。
「コストは徐々に上がってきています。
軽油や人件費もどんどん上がっている。
それを少しでも抑制しようとパレット化に取り組んでいます。
フローズンはチルドと違って荷物が容積勝ちですから、従来はそれを効率的に運ぶためにパレットを使わず、手荷役で荷台にピシッと積み付けていた。
そのため荷物をパレットに乗せるとパレットの分だけ積載効率が落ちてしまう。
上部に積み増そうとしても、作業時間が発生するなどさまざまな制約がある。
それでも運用を工夫することで、どうにか回せるようになってきました」 ──来年4月以降、運べない荷物が本当に出るのでしょうか。
「われわれが協力会社に『どうですか』と聞くと『大丈夫です』と答えてくれます。
しかし、本当にそうなのか、というところはある。
現場は常に運べないリスクを感じながら、それはあってはならないことだと認識しています。
そのために物量を予測して、問題が起きそうであれば事前に荷主に報告して対応策を一緒に検討する。
これまでも台風が来たり、突発的な事態が起きた時には、荷主に状況を説明して出荷を1日止めてもらい、その時間を調整に充て、翌日以降にまた流す等、BCP的な対応を繰り返し経験してきました」 ──その蓄積が運用ノウハウの一つですか。
「少なくともチルドの需要予測には当社独自のノウハウがあります。
気温の変化や曜日波動によってお客さまの荷動きがどう変わるのか、当社の経験則に基づいてお伝えして、それに基づいて出荷してもらう受注代行業務まで当社はカバーしている。
当社に特徴的なサービスだと自負しています」 ──当面の舵取りでは特に何を重視しますか。
「現中計(22〜24年度)では『新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ持続可能な低温物流の実現』を基本方針に掲げています。
その本質は、処遇も含めて安心して働いてもらえる環境を整えることです。
どれだけ自動化を進めても全てを機械に置き換えることはできません。
今後も物流には人の力が必要です。
そのため当社はこれからも人の力を大事にする企業であり続けます」
経営統合は何をもたらしましたか。
「当社の売り上げの9割は食品物流が占めています。
食品の流通は過去30年間にわたり寡占化が進んできました。
量販なり、コンビニなり、ドラッグなりが大きくなっていった。
それに物流はどう対応するのかというのが大きな流れでした。
一方で『人は減るぞ。
足りなくなるぞ』と言われていた。
そうしたリスクに直面しながらも、従来のわれわれは内向きというか、硬直的なところがあった。
大きな環境の変化になかなか反応できていなかった。
それを変えようということが背景にあって、統合に至りました」 「実際、2社が一緒になったことで、そうした環境変化を考えることが当たり前にできるようになりました。
2社の管理系の業務をホールディングスに集約して、人事制度や会計の仕組みなど2社のうち良い方に寄せる、それでは目的に届かない場合にはまったく新しいものを作りました。
その結果、当社の仕事のやり方は大きく変わりました。
効率化も進みました。
ガバナンスやSDGsなど時代の要請に応える体制もとれるようになってきた。
統合がなかったらとてもそこまでのスピードは出せなかったはずです」 ──物流現場の働き方改革が求められています。
「行政主導でどこまで本当に進むのか、数年前までは半信半疑なところもありましたが、今は『これはやっていくしかない』と実感しています。
ルールを順守しないとわれわれは仕事を続けられません。
それだけはっきりとした指針、施策、現実的な指導が続いている。
物流会社だけでなく荷主にも対応が要請されています。
これまでの物流業界の常識は見直さざるを得ません」 ──ドライバーの労務改革という点でC&Fロジは世間に先行して動いてきた印象があります。
「当社にとっては自分たちの問題ですから。
協力会社にお願いしているのとは違います」 ──自社配送比率が高い。
「名糖もヒューテックも従来から、少なくともコースの6割は自分たちで走れという感覚でした。
しかも10コースあったら、その中の“きつい”コースを自分たちが走る。
自分たちができないことを協力会社に求めてはいけないと先輩たちから教えられてきました。
そうしないと長く続けられない。
協力会社ができないとなれば結局、自分たちでやらなければならないわけですから」 ──他の食品物流大手は傭車がメーンです。
「名糖運輸は乳業メーカーの運送会社として始まりましたから当初からずっと自分たちでクルマを走らせるのが当たり前という世界でした。
その後、共同配送を全国に展開していく上で足りないところだけを協力会社に依頼していった」 「一方のヒューテックは倉庫業として出発しましたが、後発であったため内陸部の倉庫から始まった。
湾岸にある冷凍倉庫は主に原料を扱い、大ロットで荷物が動きます。
しかし、内陸部ではそうはいかないので、ヒューテックは商品を保管するだけでなく、商品を預かってからお届けするまで、低温環境で温度管理の品質をしっかり守ることを仕事にした」 「そのため全てを完全に自分たちの手の中に置きました。
自分たちの仕事のタイミングで、自分たちで荷物を積み付けて、自分たちのクルマで運ぶ。
そうすることで、お客さまからお預かりした商品のトレース履歴をお示しすることができる。
つまりフローズンでも運ぶことが仕事でした。
ただし、物流には繁閑があるので、それを補え合えるところは協力会社と一緒にやる。
あるいは長距離の帰りが空いている部分を共有するといった協力体制をお願いしてきました」 運べないリスクを回避するノウハウ ──前中期経営計画(19〜21年度)では「幹線の自社化」を進めました。
関東を起点に年間約1800本の幹線輸送を自社化して、一部の路線では中継輸送を採用した。
「これまで当社はフローズンもチルドも地域共配、二次輸送を得意としていて、幹線は傭車の比率が高かった。
しかし、24年問題をはじめ車両不足で最も大きな影響が出ているのが長距離です。
協力会社から『もうこの路線は走れない』『これまでのやり方では無理』との声が上がるようになった」 「われわれとしても、自分たちができないことを協力会社に無理強いするわけにはいきません。
では、どうすれば運べるかと考えて(高速のサービスエリアなどで双方から来たドライバーが車両を乗り換える)スイッチ運行を実施したり中継センターを作ったり、自分たちのクルマを増やせる場所は増やしたりしています」 ──運賃が上がるのでは。
「コストは徐々に上がってきています。
軽油や人件費もどんどん上がっている。
それを少しでも抑制しようとパレット化に取り組んでいます。
フローズンはチルドと違って荷物が容積勝ちですから、従来はそれを効率的に運ぶためにパレットを使わず、手荷役で荷台にピシッと積み付けていた。
そのため荷物をパレットに乗せるとパレットの分だけ積載効率が落ちてしまう。
上部に積み増そうとしても、作業時間が発生するなどさまざまな制約がある。
それでも運用を工夫することで、どうにか回せるようになってきました」 ──来年4月以降、運べない荷物が本当に出るのでしょうか。
「われわれが協力会社に『どうですか』と聞くと『大丈夫です』と答えてくれます。
しかし、本当にそうなのか、というところはある。
現場は常に運べないリスクを感じながら、それはあってはならないことだと認識しています。
そのために物量を予測して、問題が起きそうであれば事前に荷主に報告して対応策を一緒に検討する。
これまでも台風が来たり、突発的な事態が起きた時には、荷主に状況を説明して出荷を1日止めてもらい、その時間を調整に充て、翌日以降にまた流す等、BCP的な対応を繰り返し経験してきました」 ──その蓄積が運用ノウハウの一つですか。
「少なくともチルドの需要予測には当社独自のノウハウがあります。
気温の変化や曜日波動によってお客さまの荷動きがどう変わるのか、当社の経験則に基づいてお伝えして、それに基づいて出荷してもらう受注代行業務まで当社はカバーしている。
当社に特徴的なサービスだと自負しています」 ──当面の舵取りでは特に何を重視しますか。
「現中計(22〜24年度)では『新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ持続可能な低温物流の実現』を基本方針に掲げています。
その本質は、処遇も含めて安心して働いてもらえる環境を整えることです。
どれだけ自動化を進めても全てを機械に置き換えることはできません。
今後も物流には人の力が必要です。
そのため当社はこれからも人の力を大事にする企業であり続けます」
