2023年6月号
特集

キョクレイ 低温環境下で自動運転フォークリフトを本格運用

低温自動化拠点の運用を軌道に乗せる  キョクレイはニチレイロジグループ本社のグループ倉庫会社として神奈川県を中心に冷凍冷蔵倉庫を展開し、主に果汁や乳製品などを取り扱っている。
2021年3月に開設した本牧物流センターでは自動運転フォークリフトやAGV、大型パレット自動倉庫、パレットチェンジャー、パレットストレッチ梱包機などといった複数機器を組み合わせた現場を運用している。
 各ディストリビューションセンターでは基本的に果汁と乳製品の両方を扱っているが、保管能力約3万トン(F級8812トン、FC級7756トン、C級1万4205トン)の本牧物流センターは乳製品の比率が高い。
本牧物流センターは1階から3階で主に原料、4階で主に製品を保管しており、出荷バースのある1階と製品保管を行う4階でレーザー誘導方式の自動運転フォークリフトやAGVを導入している。
保管庫や荷捌きエリアを含む稼働場所はいずれも低温環境となる。
 自動運転フォークリフトは現在、大きく2種類の物流工程で運用している。
一つ目は夜間から早朝にかけての時間帯に行う4階の冷蔵保管庫から1階の出荷エリアまでの搬送だ。
従来型の人が運転するフォークリフトを用いた運用の場合、冷蔵製品の出荷作業は基本的には次のように行う。
 まず、出荷オーダーに応じて冷蔵保管庫内のラックに在庫されている商品をピッキングして出荷パレットに積み替える。
次に出荷パレットをフォークリフトで保管庫から垂直搬送機まで運び、垂直搬送機で4階から出荷エリアのある1階へと搬送する。
1階に出荷パレットが到着したら、フォークリフトで垂直搬送機から出荷エリアへと運ぶ。
最後に出荷エリアでフォークリフトがトラックに積み込む。
 いずれの作業もフォークリフトを用いるので、午前中の早い時間帯の出荷などでは早朝に複数のフォークリフトオペレーターが出勤して一連の作業を行う必要があった。
 そこで、一連の工程のうち出荷パレットの保管庫からの搬出および垂直搬送機への移動と、垂直搬送機で1階に到着した出荷パレットの出荷エリアへの搬送部分を自動運転フォークリフトに代替する仕組みを作り上げた。
 自動運転フォークリフトによる4階から1階への夜間搬送は次のような流れで行われている。
保管庫のラックからピッキングした製品を積み替えて、自動運転フォークリフト専用ラックに出荷パレットを配置するまでの作業は基本的には前日のうちに人が行っておく。
この自動運転フォークリフト専用ラックは段積みが可能で60パレット分を配置している。
 自動運転フォークリフトは設定時刻になったら、冷蔵保管庫の前に移動して保管庫の扉を開く。
保管庫の中に入ったら自動運転フォークリフト専用ラックに置かれた出荷パレットを搬出して垂直搬送機に移動し、4階から1階に出荷パレットを搬送。
 1階に配置されているもう1台の自動運転フォークリフトが出荷パレットを垂直搬送機から1階の指定した場所まで搬送する。
最後のトラックへの積み込みは人が行うが、保管庫から先の作業を自動運転フォークリフトが夜間から早朝にかけて行ってくれるので、早出作業による負荷を大幅に軽減することに成功している。
 自動運転フォークリフトへの各種作業設定はタブレット端末から行える。
1階の出荷エリアへいつまでに移動させればいいかを設定すると、システムが作業開始時刻を割り出してくれる。
 出荷量によって自動運転フォークリフトの作業開始時刻は変わってくるが、平均的には深夜3時ごろに搬送を開始し、早朝までには作業を完了させる。
タブレット端末では出荷パレットの搬送先を図面上から指示できるので、例えば出荷パレット1枚目から6枚目をA方面区画、7枚目から10枚目はB方面区画と設定すれば、指示通り1列に配置してくれる。
 「深夜の倉庫内が真っ暗な中で自動運転フォークリフトが作業を始めて、朝には出荷パレットをきれいに並べておいてくれる。
従来型の人が行うフォークリフト作業の一部を自動運転フォークリフトにそのまま代替しているので、作業手順も大きく変わっていない。
稼働してから最初の2カ月ほどは追加の調整なども行ったが、今は完全に実用化できている」とキョクレイの大石享執行役員本牧物流センター所長は語る。
 自動運転フォークリフトのもう一つの運用がパレット自動倉庫からの入出庫作業での活用だ。
こちらは夜間の冷蔵製品の出荷パレット搬送とは異なり、日中の運用となる。
本牧物流センターでは冷蔵棟1階部分から4階部分に大型のパレット自動倉庫を設置している。
4200パレットを保管可能で、1時間あたり136パレットの入出庫が可能となる。
 パレット自動倉庫内で使用しているパレットは自動庫専用機材のため、出荷の際には顧客納品用パレットに荷物を載せ替える必要がある。
この載せ替え作業を自動で行う専用機器のパレットチェンジャーを導入している。
 本牧物流センターではパレット自動倉庫から出庫したパレットをパレットチェンジャーまで搬送する作業を自動フォークリフトが担う仕組みを構築し、試験運用している。
パレット自動倉庫からパレットチェンジャーへの搬送は日中作業なこともあり、状況に応じて有人フォークリフト作業と自動運転フォークリフトによる作業を任意で切り替えられるように設計している。
機器活用のプロジェクトチームを設置  本牧物流センターでは稼働開始の翌年に太陽光発電システムとパレット搬送AGVをセットで追加導入している。
AGVは高回転製品を主な対象に4階で4台を運用している。
各搬送地点に設置したAGV用台座の上に搬送対象となるパレットが置かれると、カメラがパレットを認識するので、AGVが自動的に指定の地点へと搬送してくれる。
 キョクレイは本牧物流センターでの導入に先行して、大黒物流センターで自動運転フォークリフト運用に関する各種取り組みを行っていた。
どの物流工程に、どういった形で組み込むことが最も効果的なのかといった実用化に向けた幅広い試みが、新設拠点である本牧物流センターでの本格導入に役立ったという。
 「大黒物流センターでの試行錯誤は本当に大きかった。
そこで得た各種ノウハウや知見が本牧物流センターで生きている。
『こんな使い方はどうだろう』や『こうなったらいいよね』を本牧物流センターで具現化した」とキョクレイオペレーションの大河内久夫本牧事業所所長は語る。
 本牧物流センターでは各種機器の新たな活用法や運用方法の改善、デジタル化などに関するプロジェクトチームを22年に設置した。
定期的な会合を開催しており、現在は各現場に設置したプロジェクターを業務の効率化に活用するための検討などを行っている。
トラック予約システムなどの各種システムからデータを収集して、例えば作業の進捗表示や安全に関する注意喚起などといった時間帯ごとに各現場で必要となる各種情報をプロジェクターに投影するといった仕組みを構想している。
 自動運転フォークリフトを他の物流工程で活用するための研究も進めている。
現時点で導入効果が高いと考えているのが、保管庫内の荷繰り作業における自動運転フォークリフトの活用だ。
荷繰りは定期的な作業が必要な上、作業時間もある程度かかる。
自動運転フォークリフトが夜間に荷繰り作業を代替してくれれば効果も大きいことから、今後も実用化に向けた検討を継続していく方針だ。

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