2023年6月号
特集
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コールドストレージ・ジャパン コンテナ型冷蔵庫で低温物流網の穴を埋める
離島や途上国にもコールドチェーン
コールドストレージ・ジャパンは、低温物流ソリューションを開発する2018年設立のスタートアップだ。
創業者の後藤大悟社長は物流大手勤務を経て、家業の総合海運業・後藤回漕店に入社、15年間の在職期間中に物流業務に加えて経理業務、国内外の関連会社の取締役などを歴任した。
その過程で、都市部に集中しがちなコールドチェーンのあり方に疑問を抱くようになった。
「現状のコールドチェーンは、いわば中央集権型。
日本でも世界各国でも、末端まで行き届いているとは言い難い」と後藤社長は指摘する。
冷蔵倉庫は建築コストが高くつく。
電気代などの運用コストも大きいため、消費が集まる大都市に大型倉庫を集中させて、低温トラックでハブ&スポーク方式に輸送する。
結果的に農水産物は産地からの輸送距離が長くなる。
島嶼部や途上国では保管設備の不足から、フードロスが生じる。
消費者側も入手できる冷蔵・冷凍食品が限られてしまう。
「こうした状況を改善するには、生産地や消費地に分散して設置できる冷蔵・冷凍倉庫と、小ロットの荷物でも温度管理して輸送・保管できる物流の仕組みが必要だ。
物流業界での経験を生かして、多極型コールドチェーンのプラットフォームを構築したかった」と後藤社長はいう。
同社のソリューションは冷蔵・冷凍庫を搭載したコンテナハウス「コールドストレージボックス」と、輸送用保冷ボックスで構成されている。
いずれも専門メーカーなどと共同開発している。
コールドストレージボックスは輸送用コンテナではなく、建築基準法に対応した仕様で設計製造したコンテナなので、管轄自治体から建築確認を受けることで屋外にも合法的に設置できる。
サイズは8、10、20、40フィートおよび連結タイプがあり、荷物需要に合わせて選べるので、小ロットの荷物にも対応しやすくなる。
トラッククレーンを使って設置場所を変えられる。
荷物を入れたまま輸送することもできる。
21年3月には、食の安全管理に関する国際認証HACCPも取得した。
冷蔵コンテナでは世界初の取得事例だという。
オプションとして、IoTタイプも開発した。
Wi-Fiを使って庫内の温湿度や空気濃度を遠隔監視できるようになっている。
また、RFIDアンテナとWMSを連携させ、庫内の荷を一括管理できるようにして、在庫や入出庫管理を効率化する。
輸送用保冷ボックスは、折りたたみ式保冷ボックスに保冷剤を組み合わせたもの。
通常のトラックで冷蔵・冷凍・常温と異なる温度帯の食品を混載輸送できるようにして積載率を高め、小ロットの冷蔵・冷凍食品でも運びやすくすることを目指している。
保冷剤は表面積を増やして空気との接点を広げることで冷却力を高めた。
マイナス25度、マイナス20度、0度の三つの温度で、12時間、24時間、48時間の保冷期間を設定できる。
繰り返し使用することも可能。
このほか、米国の冷蔵・冷凍トレーラーKeep It Coldの日本総代理店も手掛けている。
Keep It Coldは自家用車でけん引できる冷蔵・冷凍トレーラー。
同社が総代理店となったことで、日本向けに、けん引免許なしで普通自動車でも運べる車両総重量750キロ以下のタイプが新規開発された。
冷却温度範囲はマイナス25度〜5度。
GPSや温湿度遠隔検視IoTデバイスを搭載している。
22年8月から販売を始めた。
5月には、Keep It Coldに太陽光発電パネルを搭載して、電力を自給自足できるタイプも市場投入した。
角度変更できるパネルを並列搭載しており、600ワットの定格出力が可能。
夜間など日照のない状態でも、充電済みバッテリーのみで保冷システムを5時間強連続使用できる。
現在の主な収益源は、コールドストレージボックスおよびKeep It Coldの販売売上と、コールドチェーン関連のコンサルティング。
前々期の21年10月期売上高は2千万円で、その9割をコンサル収入が占めていた。
22年10月期売上高は3600万円で、コールドストレージボックスとKeep It Coldの販売収入が全体の5割を占めるまで伸びてきた。
現在までにコールドストレージボックスは1本、Keep It Coldは22年8月に日本に持ち込んだ6台が完売した。
このうち2台はキッチンカーの製造会社、4台は物流会社が購入した。
ルワンダに合弁会社 海外市場の開拓にも力を入れている。
20年9月には、ルワンダに現地企業などとの合弁会社KIVU COLD GROUPを設立した。
ルワンダでは電力インフラが未発達な上、経済的な事情もあり冷蔵・冷凍倉庫が不足している。
道路インフラが脆弱なので、冷蔵・冷凍トラックでの輸送も難しい。
赤道直下の強い日差しのもと、常温で食品を輸送・保管しているため、ルワンダ政府の資料によると収穫された農作物の40%以上が消費者の手に届く前に腐ってしまう。
「腐敗することを前提に、必要量を大幅に上回る作物が生産されており、先進国とは別種のフードロスが発生している」(後藤社長)。
農業はルワンダのGDPの31%を占め、人口の70%が従事しており、影響は甚大だ。
KIVU COLD GROUPでは、太陽光発電パネル搭載の冷凍コンテナ3本で構成する保管拠点MoFRESH Hub、輸送用保冷ボックス、輸送管理アプリの三つを組み合わせたソリューションを展開している。
まず、収穫した作物は保冷ボックスに入れ、冷凍コンテナに運んで保管する。
小売店から注文が入ったら、作物を冷凍コンテナから取り出し、保冷ボックスに入れて店舗に届ける。
保冷ボックスはレンタル方式となっており、2次元コードをアプリで読み込んで使用する。
冷凍コンテナはマイナス20度まで冷却できる。
太陽光発電ができない夜間や悪天候に備え、出力128キロワット時のバッテリーも搭載している。
現在、首都キガリにMoFRESH Hubを1基設置し、保冷ボックスやアプリと組み合わせて、農家などに試験利用してもらっている。
「生鮮食品を保管するという発想自体がなかったため、まずはメリットを実感してもらうことから始めている」(後藤社長)。
コールドストレージ・ジャパンは今後、ルワンダを含めたアフリカ市場の開拓はKIVU COLD GROUPに委ね、東南アジア市場の開拓に取り組む方針だ。
創業者の後藤大悟社長は物流大手勤務を経て、家業の総合海運業・後藤回漕店に入社、15年間の在職期間中に物流業務に加えて経理業務、国内外の関連会社の取締役などを歴任した。
その過程で、都市部に集中しがちなコールドチェーンのあり方に疑問を抱くようになった。
「現状のコールドチェーンは、いわば中央集権型。
日本でも世界各国でも、末端まで行き届いているとは言い難い」と後藤社長は指摘する。
冷蔵倉庫は建築コストが高くつく。
電気代などの運用コストも大きいため、消費が集まる大都市に大型倉庫を集中させて、低温トラックでハブ&スポーク方式に輸送する。
結果的に農水産物は産地からの輸送距離が長くなる。
島嶼部や途上国では保管設備の不足から、フードロスが生じる。
消費者側も入手できる冷蔵・冷凍食品が限られてしまう。
「こうした状況を改善するには、生産地や消費地に分散して設置できる冷蔵・冷凍倉庫と、小ロットの荷物でも温度管理して輸送・保管できる物流の仕組みが必要だ。
物流業界での経験を生かして、多極型コールドチェーンのプラットフォームを構築したかった」と後藤社長はいう。
同社のソリューションは冷蔵・冷凍庫を搭載したコンテナハウス「コールドストレージボックス」と、輸送用保冷ボックスで構成されている。
いずれも専門メーカーなどと共同開発している。
コールドストレージボックスは輸送用コンテナではなく、建築基準法に対応した仕様で設計製造したコンテナなので、管轄自治体から建築確認を受けることで屋外にも合法的に設置できる。
サイズは8、10、20、40フィートおよび連結タイプがあり、荷物需要に合わせて選べるので、小ロットの荷物にも対応しやすくなる。
トラッククレーンを使って設置場所を変えられる。
荷物を入れたまま輸送することもできる。
21年3月には、食の安全管理に関する国際認証HACCPも取得した。
冷蔵コンテナでは世界初の取得事例だという。
オプションとして、IoTタイプも開発した。
Wi-Fiを使って庫内の温湿度や空気濃度を遠隔監視できるようになっている。
また、RFIDアンテナとWMSを連携させ、庫内の荷を一括管理できるようにして、在庫や入出庫管理を効率化する。
輸送用保冷ボックスは、折りたたみ式保冷ボックスに保冷剤を組み合わせたもの。
通常のトラックで冷蔵・冷凍・常温と異なる温度帯の食品を混載輸送できるようにして積載率を高め、小ロットの冷蔵・冷凍食品でも運びやすくすることを目指している。
保冷剤は表面積を増やして空気との接点を広げることで冷却力を高めた。
マイナス25度、マイナス20度、0度の三つの温度で、12時間、24時間、48時間の保冷期間を設定できる。
繰り返し使用することも可能。
このほか、米国の冷蔵・冷凍トレーラーKeep It Coldの日本総代理店も手掛けている。
Keep It Coldは自家用車でけん引できる冷蔵・冷凍トレーラー。
同社が総代理店となったことで、日本向けに、けん引免許なしで普通自動車でも運べる車両総重量750キロ以下のタイプが新規開発された。
冷却温度範囲はマイナス25度〜5度。
GPSや温湿度遠隔検視IoTデバイスを搭載している。
22年8月から販売を始めた。
5月には、Keep It Coldに太陽光発電パネルを搭載して、電力を自給自足できるタイプも市場投入した。
角度変更できるパネルを並列搭載しており、600ワットの定格出力が可能。
夜間など日照のない状態でも、充電済みバッテリーのみで保冷システムを5時間強連続使用できる。
現在の主な収益源は、コールドストレージボックスおよびKeep It Coldの販売売上と、コールドチェーン関連のコンサルティング。
前々期の21年10月期売上高は2千万円で、その9割をコンサル収入が占めていた。
22年10月期売上高は3600万円で、コールドストレージボックスとKeep It Coldの販売収入が全体の5割を占めるまで伸びてきた。
現在までにコールドストレージボックスは1本、Keep It Coldは22年8月に日本に持ち込んだ6台が完売した。
このうち2台はキッチンカーの製造会社、4台は物流会社が購入した。
ルワンダに合弁会社 海外市場の開拓にも力を入れている。
20年9月には、ルワンダに現地企業などとの合弁会社KIVU COLD GROUPを設立した。
ルワンダでは電力インフラが未発達な上、経済的な事情もあり冷蔵・冷凍倉庫が不足している。
道路インフラが脆弱なので、冷蔵・冷凍トラックでの輸送も難しい。
赤道直下の強い日差しのもと、常温で食品を輸送・保管しているため、ルワンダ政府の資料によると収穫された農作物の40%以上が消費者の手に届く前に腐ってしまう。
「腐敗することを前提に、必要量を大幅に上回る作物が生産されており、先進国とは別種のフードロスが発生している」(後藤社長)。
農業はルワンダのGDPの31%を占め、人口の70%が従事しており、影響は甚大だ。
KIVU COLD GROUPでは、太陽光発電パネル搭載の冷凍コンテナ3本で構成する保管拠点MoFRESH Hub、輸送用保冷ボックス、輸送管理アプリの三つを組み合わせたソリューションを展開している。
まず、収穫した作物は保冷ボックスに入れ、冷凍コンテナに運んで保管する。
小売店から注文が入ったら、作物を冷凍コンテナから取り出し、保冷ボックスに入れて店舗に届ける。
保冷ボックスはレンタル方式となっており、2次元コードをアプリで読み込んで使用する。
冷凍コンテナはマイナス20度まで冷却できる。
太陽光発電ができない夜間や悪天候に備え、出力128キロワット時のバッテリーも搭載している。
現在、首都キガリにMoFRESH Hubを1基設置し、保冷ボックスやアプリと組み合わせて、農家などに試験利用してもらっている。
「生鮮食品を保管するという発想自体がなかったため、まずはメリットを実感してもらうことから始めている」(後藤社長)。
コールドストレージ・ジャパンは今後、ルワンダを含めたアフリカ市場の開拓はKIVU COLD GROUPに委ね、東南アジア市場の開拓に取り組む方針だ。
